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日々の感想などどうでもよいことを書き連ねるためだけのブログ。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1806.07890
Ryu et al. (2018)
Turbulence-driven thermal and kinetic energy in the atmospheres of hot Jupiters
(ホットジュピターの大気中での乱流駆動の熱と運動エネルギー)

概要

高分解能・三次元の圧縮性流体力学シミュレーションを用いて,様々なシア勾配のもとでのホットジュピター大気のエネルギー輸送における,衝撃波と乱流の影響を調査した.小規模の乱流.衝撃波の構造を正確に追うために,局所的な大気領域に注目してシミュレーションを行った.

その結果,シア層の上部と下部での乱流の効果は,スケールと強度において異なることを発見した.
シア層よりも下部では,鉛直方向のエネルギー輸送における乱流の影響は局所的であり,一般に 2 スケールハイト程度以下の範囲に留まる.しかしシア層の上では,ほとんど至る領域において乱流は空間的および熱的に大きな影響を持つ.

いったん大気が定常状態になると,気圧 P ~ 1 bar での時間平均した熱エネルギーフラックスの大きさはわずかになる.P ~ 1 mbar の圧力領域では,恒星の入射フラックスの 0.001% のオーダーのエネルギーフラックスになる,また100 mbar での深いシア層を伴う場合は 0.1% のオーダーになる.

結果的に.深いシア層のがある場合の方が拡散係数は高くなる.従って今回の結果は,低密度領域付近で乱流がどれくらい強力なのかに関わらず,ホットジュピターにおける半径の膨張を説明できるような,十分な熱エネルギーの深く大きな貫入を引き起こさないということを示唆している.

しかしシア層が深くなるにつれ,大気が持つ大きな運動エネルギーの影響で,大気中での熱エネルギーの輸送は上向きも下向きもより効率的になる.従って,大気中での実効的なエネルギー輸送に関しては,惑星大気がどの程度不安定なのかよりも,大気中のどれくらいの深さで乱流が発生するかの方が重要である

研究背景

ホットジュピターの膨張半径

ホットジュピターの半径が,一般的な冷却進化モデルから予測されるよりも大きな半径を持っていることが報告されている (Showman & Guillot 2002など).この半径膨張の起源は不明であり,いくつかの仮説が提唱されている.

惑星の半径が理論予測よりも膨張しているということは,膨張した半径を持つ惑星は予想されるよりも多くの内部エントロピーを保持していることを示唆している.これは,熱の注入や散逸が原因か,あるいは惑星内部からのエネルギー損失が非効率的になっているかのどちらか,あるいはその組み合わせの効果であると考えられる.

この観点に基づいて,ホットジュピターの半径異常に関していくつかの説が提唱されており,それらは 2 つのクラスに分けられる.

膨張半径を説明する仮説

1 番目は,増幅された大気の不透明度によって,惑星の冷却が非効率的になるという効果を含む仮説である (Burrows et al. 2007).大気の不透明度が大きくなるにつれて惑星の冷却は非効率的になり,惑星は自然に多くの内部熱を有することになる.

2 番目のカテゴリーは,惑星内部に余分な熱源を与えることである.例えば,潮汐力を介した熱の散逸 (Bodenheimer et al. 2001など),大きな昼夜間温度勾配によって駆動される,全球的な大気流の運動エネルギーが熱エネルギーに変換される過程によるもの (しばしば「流体力学的散逸」と呼ばれる) (Showman & Guillot 2002など),電離した惑星風中での磁気抗力 (オーム散逸,Batygin & Stevenson 2010など),また流体不安定に誘起されるエネルギーの散逸 (Li & Goodman 2010) などである.

これらのうち,乱流を介したエネルギー散逸,おそらく衝撃波に伴うエネルギー散逸は,ホットジュピター大気中で有効であるか,あるいは少なくとも考慮するべき対象として興味深いものである.これは,乱流はおそらく大気中に遍在しており,安定に成層した大気中であっても存在するからである.

Mechanical greenhouse effect とその検証

Youdin & Mitchell (2010) では,強制的な乱流は,成層した大気の外部放射層における,下向きの熱の輸送を駆動できることを指摘している.彼らはこの機構を “mechanical greenhouse effect” と呼び,強制された乱流による拡散と散逸に焦点を当て,外部の放射領域の解析モデルを構築した.その結果,強制乱流によって発生する熱流が下向きに伝播し,惑星大気のより深い領域に注入されることを見出した.

しかしこの解析的なアプローチが適用できるのは,いくらか理想化された状態であり,より現実的なシナリオを検証するためには,詳細なモデリングを伴ったシミュレーションが必要である.

Fromang et al. (2016) は,圧縮性流体の衝撃波捕獲コード RAMSES を使用して三次元モデルを構築した. 彼らのシミュレーションでは,赤道ジェットはシア駆動の不安定に晒され,十分に大きな量の下向き運動エネルギーフラックスを発生させ,また数 mbar の圧力水準での衝撃波の形成を引き起こした.しかしその論文中でも述べられているように,彼らの計算は小スケールでの過程を見るには分解能が悪い.

ここでは,三次元の圧縮性流体力学シミュレーションを高分解能で計算できるシミュレーションコード CASTRO を使用した.

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