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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1808.05947
Rosenthal & Murray-Clay (2018)
Restrictions on the Growth of Gas Giant Cores via Pebble Accretion
(ペブル降着を介した巨大ガス惑星コアの成長への制限)

概要

ペブル降着 (pebble accretion) として知られる,ガスに補佐された惑星成長の一桁精度のモデルを乱流物質中に適用した.これを元にして,なぜいくつかの系では遠距離のガス惑星が存在し,その他ではそのような惑星が存在しないのかという疑問に対する答えを示唆した.

微惑星との弾道衝突による古典的な惑星の成長とは対照的に,ペブル降着による惑星の成長は,最も大きなコア質量では必ずしも doubling time によって律速されない.特に円盤ガスの乱流は,より低いコア質量で成長のボトルネックになる可能性がある.
ここでは,微惑星による成長とペブル降着による成長の組み合わせが,ガス惑星が形成される最大軌道長半径をどの様に制限するか調査した.

基準円盤パラメータを用いた場合,強い乱流 (α ≳ 10-2) が存在する場合は,巨大ガス惑星のコアが形成される範囲は中心星から 40 AU 以内に制限される,一方で,弱い乱流の条件ではガス惑星は 70 AU の距離まで形成可能である.

乱流強度を示す α と惑星の軌道長半径の対応性は,成長に可能な小さい天体のサイズに依存する.乱流と小さい天体のサイズ分布に対するこの依存性は,大きく離れた軌道間隔を持つ巨大惑星が少ないことを説明する可能性がある.

また,乱流が低い水準 (α が 10-4 以下) である場合は円盤の遠方で巨大ガス惑星が形成できる一方で,形成されるこれらのガス惑星は 1 木星質量程度以下の低質量になることが予想される.
これらの軽い惑星は,現在の世代の直接撮像サーベイで検出できるほど明るくはならない.そのため,大きく離れた軌道を持つガス惑星は現在のところ A 型星の周りでしか発見されていないという事実を説明できる可能性がある.

遠方軌道でのガス惑星形成

コア降着モデル

古典的なコア降着モデル (core accretion) では,惑星の成長はボトムアップ的に発生すると考えられている.

惑星はその成長を岩石のコア,あるいは原始惑星として開始する.もしこれらの原始惑星がガス円盤の寿命の間に十分なサイズに成長した場合,これらは暴走ガス降着を引き起こし,ガス惑星に成長する (Pollack et al. 1996).

この暴走降着は,原始惑星周りの大気の質量が,コア質量と同程度になった段階で発生する.暴走降着が発生する限界のコア質量として臨界コア質量 (critical core mass) という概念があり,これはしばしば 10 地球質量程度とされている.しかし実際の臨界コア質量は円盤のパラメータよって変わり.特に円盤の不透明度と固体コアへの質量降着率に依存する (Rafikov 2006, Piso et al. 2015など).

円盤の寿命の間に原始惑星が臨界コア質量に達しない場合は,ガス惑星は形成されない.円盤の寿命は,G 型星のまわりでは 250 万年程度と考えられている (Mamajek 2009,Ribas et al. 2014),

古典的なモデルでは,原始惑星への天体の衝突の有効半径の増加は,重力フォーカシングに頼ってきた.この微惑星降着モデルでは,臨界コア質量への成長タイムスケールは 10 AU 程度以内の範囲であれば十分早いが,この距離以遠では円盤消失のタイムスケールよりも長くなってしまうという問題点がある.

コア降着モデルの問題点とその他の可能性

近年,この古典的な形成モデルは困難に直面している,特に,遠方軌道を公転するガス惑星が発見されているという問題点がある.
例えば HR 8799 では,4 つのガス惑星が 14, 24, 38, 68 AU の大きな軌道に存在している (Marois et al. 2008,Marois et al. 2010).このような遠方では,円盤が消失するまでの間に原始惑星が臨界コア質量に到達できないという重大な問題点がある.

原始惑星の成長を促進する追加の効果として,惑星の大気によるガス摩擦 (Inaba & Ikoma 2003) や,円盤ガスによる微惑星のランダム運動の減衰 (Rafikov 2004) などが,原始惑星への衝突の断面積をさらに増加させる効果として提案されている.しかしこれらの効果のいずれも,70 AU での巨大ガス惑星のその場形成を可能にするほど十分ではない.

遠方惑星を形成するためのその他の機構としては,重力不安定がある.これは原始惑星系円盤のガス成分が不安定になって重力崩壊を起こし,その断片が現在観測されているようなガス惑星になるというものである (Boss 1997など).

しかしこのモデルにも,生成した断片が惑星ではなく,褐色矮星や,場合によっては M 型星になってしまという困難がある.

遠方のガス惑星は,内側で形成された後に外側に飛ばされたという可能性もある.しかし N 体シミュレーションでは,HR 8799 の複数惑星系のような系を軌道散乱で形成するのは困難であることが指摘されている (Dodson-Robinson et al. 2009).

ペブル降着による惑星形成モデル

最近は,惑星形成に関して第三の可能性が提案されている.これは従来のコア降着理論の修正版であり,ペブル降着 (pebble accretion) と呼ばれるものである.あるいは gas-assisted growth とも呼ばれる (Ormel & Klahr 2010など).

ペブル降着モデルでは,原始惑星の成長率を決定する際に,固体天体とガス円盤の相互作用が詳細に考慮されている.特に,ガス摩擦が小さい天体からエネルギーを取り除くことによって,原始惑星の成長率を増加される.

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