忍者ブログ
日々の感想などどうでもよいことを書き連ねるためだけのブログ。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1804.01148
Alessi & Pudritz (2018)
Formation of Planetary Populations I: Metallicity & Envelope Opacity Effects
(惑星ポピュレーションの生成 I:金属量とエンベロープ不透明度の効果)

概要

系外惑星系のポピュレーションの形成に関する総合的なシミュレーションについての研究を行った.これには,惑星の移動を低下させるような円盤の不均質性の効果も考慮されている.

ここでは,モデル中のパラメータを,2 つの物理パラメータに減らす.降着している惑星大気の不透明度 \(\kappa_{\rm env}\) と,ギャップを開けた後の惑星降着効率の度合い \(f_{\rm max}\) の 2 つである.

中心星と円盤特性 (円盤質量,寿命,恒星の金属量) の観測されている初期の分布に基づき,惑星の種族合成計算を実行した.その結果,巨大惑星の形成頻度は円盤の金属量でスケールすることを見出した.これは,木星型惑星の存在頻度と金属量に対して観測されている関係性と一致する.

また,X 線と宇宙線両方による円盤の電離モデルを考慮した,これらの異なるイオン化率は,異なるデッドゾーン捕獲場所をもたらす.どちらのケースでも,円盤のイオン化源とエンベロープの不透明度の設定に依存する,

より小さな軌道距離での分布を伴って,木星型惑星は遠くて 2 - 3 AU の距離で形成される.0.1 AU 付近でのホットジュピターと,0.6 AU 以遠でのウォームジュピターの二分性を説明するためには,小さいエンベロープの不透明度と (0.001 - 0.002 cm2 g-1),X 線による円盤のイオン化が必要である.

このモデルは,多くのスーパーアースも生成されることを予測する.しかしその大部分は 2 AU 以遠に形成される.このモデルではダストガス比は一定であることを仮定している.そのため,観測されているスーパーアースの分布を再現するためには,動径方向のダスト進化を考慮する必要が有ることが示唆される.

拍手[0回]

PR

論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1804.01209
Malhotra et al. (2018)
Neptune's 5:2 Resonance in the Kuiper Belt
(カイパーベルト中の海王星の 5:2 共鳴)

概要

海王星と 5:2 軌道共鳴に入っているカイパーベルト天体の観測結果には,2 つの未解決問題が存在する.一つ目は,この 3 次の共鳴に入っている天体が驚くほど多いという点である.1 次の共鳴である 3:2 共鳴にいる Plutino (プルーティーノ天体) と 2:1 共鳴にいる Twotino (トゥーティーノ天体) の主要な数と比べても多い.二つ目は,5:2 共鳴に入っている天体の軌道離心率が 0.4 付近に集中している点である.

これらの疑問点を明らかにするため,この共鳴付近の位相空間についての研究を行った.円軌道の同一平面制限三体モデルの Poincar ́e section (ポアンカレセクション,ポアンカレ断面図) を使用した.

その結果,軌道離心率の増加に伴って,位相空間構造に幾つかの転移が存在することを見出した.これを海王星軌道に対する共鳴軌道の特性で説明する.

非常に小さい離心率では共鳴幅は狭いが,離心率が 0.2 程度より大きいと急激に共鳴幅は大きくなり,離心率 0.4 付近で最大になる.このときの共鳴幅は,2:1 共鳴と 3:2 共鳴の最大幅と同程度となる.

これらの結果を N 体数値シミュレーションで確認した.このシミュレーションには 4 つの全ての巨大惑星の効果と,カイパーベルト天体の軌道傾斜角の効果を含む.
その結果,この共鳴に入っているカイパーベルト天体の長期的な安定性は,軌道傾斜角に強く依存はしないことが分かった.また安定共鳴領域の境界は,単純化された三体モデルで見られるものと非常に似ている.ただし離心率が ~ 0.55 を超えるものは不安定になる.このような離心率になると,海王星との近接遭遇からは位相が保護されるが,天王星との不安定化遭遇からは保護されない.

結論として,5:2 共鳴のカイパーベルト天体の存在は,位相空間構造およびこの共鳴における長期的な安定性の基本的な考察の観点から,自然に解釈することが出来る

背景

カイパーベルト天体の軌道周期の分布の特徴として,海王星の軌道周期との小さな整数比になっているものが多いというものがある.海王星との軌道共鳴に入っている天体の個数は,海王星やその他の巨大惑星の移動と関連しているため,興味深い研究対象である.

これまでに多数の共鳴が発見されている.しかし最も数が多いのは,海王星との 1:1,3:2,2:1 共鳴に入っている天体と,5:2 外部平均運動共鳴に入っている天体である.1:1,3:2 と 2:1 平均運動共鳴に入っている天体多いことは理論的な研究からも予測されていた.しかし Chiang et al. (2003) は 5:2 平均運動共鳴にいる天体の数が多いことは特に驚きであり,これまでに提案されている理論モデルではこれを説明するのが難しいことを初めて指摘した.

5:2 共鳴は 3 次の共鳴であり,軌道長半径は 55 AU になる,1 次の共鳴である 2:1 共鳴と 3:2 共鳴に比べると海王星より離れている.そのため,共鳴の影響は比較的弱いことが予想される.外部太陽系の力学的歴史についてのこれまでのモデル研究は,上記のその他の共鳴に捕獲された天体数と比べて,5:2 共鳴に捕獲される KBOs の数を遥かに少なく予想している.そのため,5:2 平均運動共鳴に入っているカイパーベルト天体が多いという観測的証拠は,驚くべきことである.

観測バイアスを補正した後で,Volk et al. (2016) による最近の解析では,5:2 共鳴にいる天体のうち絶対等級が Hr < 8.666 のもの (50 - 100 km サイズに相当) の数は,少なくとも ~ 8500 (+7500, -4700) 個であると推定されている.これは 2:1 共鳴と 3:2 共鳴に入っている天体数と類似している.Deep Ecliptic Survey (Elliot et al. 2005) の結果に基づくこれまでの 5:2 共鳴天体の個数の推定値は,2:1 共鳴に入っている天体の個数より僅かに少なく,また 3:2 共鳴の半分程度と推定されていた (Adams et al. 2014).

さらに,Chiang et al. (2003) と Volk et al. (2016) の両方で,5:2 共鳴に入っているカイパーベルト天体は軌道離心率が 0.4 付近に集中していることが指摘されている.

拍手[0回]


論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1804.00830
Miyazaki et al. (2018)
MOA-2015-BLG-337: A Planetary System with a Low-mass Brown Dwarf/Planetary Boundary Host, or a Brown Dwarf Binary
(MOA-2015-BLG-337:低質量の褐色矮星/惑星境界の中心星の惑星系か,褐色矮星連星)

概要

短いタイムスケールの連星レンズ天体によるマイクロレンズイベント MOA-2015-BLG-337 の発見と解析について報告する.
レンズ系は,非常に低質量の褐色矮星/惑星の質量境界周辺の主星を持つ惑星系か,褐色矮星連星のどちらかであると考えられる.

観測された光度曲線を説明できるモデルとして 2 つの競合するものがある,伴星/主星質量比が ~ 0.01 と ~ 0.17 のものである.
ベストフィットの惑星モデルでの有限ソース効果の測定から,このレンズイベントが比較的小さいアインシュタイン角半径 ~ 0.03 mas を持つことを発見した.このことは,レンズ天体は低質量であることを示唆している.

ベイズ統計を行って,レンズ天体の特性の確率分布を計算した.惑星モデルの結果は,仮定した質量関数における最小質量に強く依存する.

まとめると,レンズ系には以下の 2 つの解がある.
(1) 褐色矮星/惑星質量境界の天体と,それを公転するスーパーネプチューン (最小質量 0.001 太陽質量の惑星モデル)
(2) 褐色矮星連星 (連星モデル)


もし惑星モデルが正しければ,この系は中心星質量が小さく,また中心星質量と伴星質量の質量比も小さい (< 0.03) という特徴を持つ,新しい部類の惑星系のひとつになる.このイベントの発見は,非常に低質量な天体まわりでの惑星形成の研究において重要である.さらに,今回のような多義的なイベントでは,惑星・連星マイクロレンズイベントの将来の包括的な統計解析のため,すべての可能な解を考慮することは重要.

拍手[0回]


論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1804.00583
Stamatellos & Inutsuka (2018)
The diverse lives of massive protoplanets in self-gravitating discs
(自己重力円盤中の重い原始惑星の異なる一生)

概要

巨大ガス惑星は星周円盤の進化の早期段階で形成される可能性があるが,これらは比較的重い.ここでは,木星質量の惑星の種 (原始惑星) が,重いが重力的に安定な (Q ≳ 1.5) 円盤の中でどのように進化するか,輻射流体力学シミュレーションを用いて研究した.

その結果,原始惑星は初期は円盤にギャップを開ける段階になるまで,内側に向かって急速に移動することが分かった.その後の進化は,ずっと長いタイムスケールで内側へ移動を続けるか,あるいは外側へ移動を始めるかの,どちらになる可能性も有り得る.

惑星の外向き移動は,原始惑星が重力的に不安定な縁を持つギャップの中に位置している場合に発生する.これは,この場合に惑星に降着したガスの多くの割合は,原始惑星軌道の外側からの高い角運動量を持ったガスだからである.

原始惑星からの輻射加熱の効果は,原始惑星の移動の方向と離心率を決めるのに重要な役割を果たす.円盤へのギャップの形成は,一般的に使用されている β 冷却近似では追うことができないであろう効率的な冷却過程によって促進される.

原始惑星は初期は高い降着率を持ち (~ 10-3 木星質量/年),この降着光度は中心星の光度の数十分の一程度の大きさになり得る.そのため,原始惑星は容易に観測され得るようになる (ただしほんの短い期間だが).

この高いガス降着率により,原始惑星は一般に重水素燃焼を起こす質量限界を超えて成長する.原始惑星の輻射フィードバックは,その最終質量が褐色矮星-惑星境界の近くになるようにこの質量成長を減少させる.

円盤中での若い惑星の種の運命は多様であり,中心星から数 AU の円軌道上の巨大ガス惑星になる可能性から,高軌道離心率の大きな軌道にある褐色矮星になる可能性までが有り得る

拍手[0回]


論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1803.11307
Mullally et al. (2018)
Kepler's Earth-like Planets Should Not Be Confirmed Without Independent Detection: The Case of Kepler-452b
(ケプラーの地球類似惑星は独立検出無しで確定されるべきではない:ケプラー452b の場合)

概要

存在が確認されている系外惑星ケプラー452b について,この惑星は純粋な統計的有効化手段を用いては存在を確認できない事を示す.

ケプラーは,惑星のトランジットによる周期的シグナルよりも,機器の影響に起因する周期的シグナルの方をより多く検出する.そして,信号対雑音比 (signal-to-noise ratio,SN 比) が低い場合は,その 2 つのタイプのシグナルを確実に区別することは不可能である.
その結果として,ケプラー452b の観測されたシグナルが機器による artifact であるという可能性は,99% の信頼性で否定することは出来ない,そのためケプラー452b は確定した惑星ということになっているが,依然として惑星候補とみなす必要がある.

さらに,ハビタブルゾーンの内部かその近くにある,その他の確認された惑星への影響についても議論する.

背景

Brown (2003) と Mandushev et al. (2005) の結果をベースにして,Torres et al. (2011) は惑星候補天体を統計的に確認するための技術を導入した.これは,食連星の視野への混入による様々な偽陽性の可能性を,観測されたシグナルが惑星である確率を食連星である確率の 100 倍かそれ以上の水準で排除するために,全ての可能な観測的証拠 (背景の食連星の可能性を同定するための高分解能撮像を含む) を使用するものである.

Morton et al. (2016) は惑星候補天体のカタログ全体に対して簡略化された手法を用いて,1284 個の新しい系を発見し確認した.Lissauer et al. (2012) は,単一の恒星周りに 2 つかそれ以上の惑星候補が存在する場合はどちらも偽陽性ではないと推論し,偽陽性確率が 1% 未満であれば惑星候補天体の確認を主張するのに十分であると初めて示唆した.
Rowe et al. (2014) はこの議論を用い,851 個の新しい惑星を統計的に確認と主張した.

Rowe et al. (2014) と Morton et al. (2016) で報告された惑星の個数は,これまでに確認されたケプラー惑星のうちの圧倒的多数を占める.しかしここでは,長周期惑星の低 SN 比の惑星の統計的な確認は,これまでに信じられてきたよりもより難しいということを議論する.

ここでは,ケプラー452b (Jenkins et al. 2015) を,確認されたと見なされるべきではない惑星の例の具体例として使用する.ただしこの議論は,統計的に確認された他の太陽型星のハビタブルゾーン内や付近にある小さい惑星や惑星候補天体にも適用することが出来る.ここでの主張は,以下の 2 つの証拠に基づくものである.
1 つ目は,精査前のケプラーデータ中に見られる機器の偽陽性シグナルの数が,長周期で SN 比が低い真の惑星シグナルの数を上回っていること.
2 つ目は,たとえ目視による検査であっても,これらの偽陽性を十分に除外することは (不可能とまではいかないものの) 困難であるということ.

拍手[0回]