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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1712.01042
Mroz et al. (2017)
A free-floating planet candidate from the OGLE and KMTNet surveys
(OGLE と KMTNet サーベイからの自由浮遊惑星候補)

概要

現在のマイクロレンズサーベイは,地球質量天体の free-floating planet (自由浮遊惑星,恒星を公転せず単独で存在する惑星質量の天体) を検出できる感度がある.

重力的に束縛されていない惑星に関する,全ての公開されているマイクロレンズイベントは,そのイベントのタイムスケールが短い (2 日以下) ことに基づいて同定されている,しかしこれらの観測はアインシュタイン角半径の測定が出来ておらず,そのためにレンズ天体の質量への強い制約は掛けられていなかった.


ここでは,海王星質量の自由浮遊惑星候補天体の検出について報告する.
検出されたマイクロレンズイベントの名称は OGLE-2016-BLG-1540 であり,このイベントはタイムスケールが 0.320 日と非常に短かった.このイベントでは強い有限ソース効果が検出され,これによってこのマイクロレンズイベントのアインシュタイン角半径の測定が可能となった.測定されたアインシュタイン角半径は 9.2 µas である.
しかし,レンズ天体の質量とレンズ天体までの距離の縮退は残った.

ソース天体の固有運動と,ソース天体・レンズ天体の相対固有運動の測定からは,この天体は銀河円盤に位置する海王星質量の天体がレンズ天体である,と考えるのがもっともらしい.しかし,レンズ天体が銀河バルジに属している土星質量天体であるという可能性も否定はできない.

なお,恒星がこの天体の ~ 15 au 以内に存在している可能性は排除される.

マイクロレンズのレンズ天体とソース天体の相対的な固有運動が大きいため,比較的近い将来に,高解像度観測を用いて恒星の companion を検出できる可能性がある.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1712.01046
Suárez Mascareño et al. (2017)
The RoPES project with HARPS and HARPS-N. I. A system of super-Earths orbiting the moderately active K-dwarf HD 176986
(HAPRS と HARPS-N での RoPES プロジェクト I:やや活発な K 型矮星 HD 176986 を公転するスーパーアース系)

概要

やや活発な K 型矮星 HD 176986 を公転する,2 つのスーパーアースの発見について報告する.この研究は,G, K 型星まわりでの RoPES 視線速度プログラムの一環であり,HARPS と HARPS-N の分光器を用いて得られた視線速度から,短周期の地球型惑星を探すプログラムである.

発見された惑星 HD 176986bHD 176986c はそれぞれ 5.74 地球質量と 9.18 地球質量,軌道周期は 6.49 日と 16.82 日,軌道長半径は 0.063 AU と 0.119 AU である.軌道の形状は円軌道と仮定した場合と整合的である.

中心星の HD 176986 は K2.5 型矮星で,彩層の活動は穏やかなレベルながら,複雑な活動パターンを示す.ここでは,2 惑星の発見と共に,恒星の磁気的な活動周期と自転についての研究も行った.

パラメータ

HD 176986
スペクトル型:K2.5V
距離:26.4 pc
有効温度:4931 K
金属量:[Fe/H] = 0.03
質量:0.789 太陽質量
半径:0.782 太陽半径
光度:0.331 太陽光度
自転周期:35.9 日
年齢:4.3 Gyr (43 億年)
HD 176986b
軌道周期:6.48980 日
軌道離心率:0.066
軌道長半径:0.06296 AU
最小質量:5.74 地球質量
HD 176986c
軌道周期:16.8191 日
軌道離心率:0.111
軌道長半径:0.11878 AU
最小質量:9.18 地球質量

その他

RoPES (Rocky Planets in Equatorial Stars) は,Instituto de Astrofísica de Canarias (IAC) 主導の研究グループであり,赤道上の太陽型星・晩期 K 型星を HARPS,HAPRS-N データを合わせて解析して系外惑星の検出を行っている.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1712.00415
Tregloan-Reed et al. (2017)
Possible detection of a bimodal cloud distribution in the atmosphere of HAT-P-32\,A\,b from multi-band photometry
(多バンド測光からの HAT-P-32Ab の大気における雲の二峰性分布の検出の可能性)

概要

HAT-P-32 の惑星系における,8 回のトランジットイベントの,高精度測光観測を行った.
1 回のトランジットは 2 つの望遠鏡によって同時に観測され,そのうちの 1 つの望遠鏡では,3 つの可視光のバンドで同時測光観測を行ったことにより,得られた光度曲線の合計は 11 である.

フィルタの選択と,デフォーカスした測光技術の使用を合わせることで,地上からの u バンド (350 nm) の非常に高精度なトランジットを得ることが可能となった.この観測の二乗平均平方根散乱は ~ 1 mmag である.

合計 11 回のトランジットは,PRISM とGEMC を用いてモデル化し,惑星系の物理特性の計算を行った.
中心星の質量と半径は 1.182 太陽質量,1.225 太陽半径であり,惑星の質量と半径は 0.80 木星質量,1.807 木星半径となり,平均密度は木星の 0.126 倍である.これらの結果は,過去の観測結果と整合的である.

また惑星大気の透過スペクトルを測定し,理論的な透過スペクトルと比較を行った.その結果,二峰性の雲粒子の分布を持っている可能性が示された.すなわち,レイリー散乱を起こすヘイズと,灰色吸収特性を示す雲粒子の 2 種類である.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1712.00437
Drahus et al. (2017)
Tumbling motion of 1I/'Oumuamua reveals body's violent past
(1I/オウムアムアのタンブリング運動が解き明かす天体の激しい過去)

概要

太陽系の進化に関する理論モデルは,惑星形成から取り残されたほとんど全ての始原的な物質は,その後の力学的な不安定性の結果として星間空間に放出されたことを示唆する.従って,太陽系以外の他の惑星系からも小天体は放出され,そのような小天体は星間空間では豊富に存在しているはずである.

このような天体の数密度の観測と,それらが太陽系を通過する際の検出の可能性は,Pan-STARRS と LSST のサーベイによって最近期待が高まっていた.この期待は,2017 年 10 月 18 日に Pan-STARRS によって 1I/‘Oumuamua が発見されたことによって具体化した.


ここでは,Gemini North でのこの天体の均一な測光観測の結果について報告する.この観測では,2 夜で合計 8 時間以上の網羅的な観測を行った.

この天体の超深度観測画像からは,彗星活動の兆候は発見されなかった,これは,これまでに行われていた,今回よりも感度の低い観測結果を確認するものである.

また,天体の光度の変動の大きさは 2.5 等であり,これは太陽系内の小天体でこれまでに確認されている変動の大きさよりも大きいものである.これは,この天体が非常に細長い形状であることを示唆している.

しかし今回最も重要なのは,観測された光度曲線は一回の自転ごとに正確に繰り返されるわけではないというものである.観測された二重ピークの周期性 7.5483 ± 0.0073 時間は,過去の推定値とは一致しない.
これは,この天体がきれいな自転をしているのではなく,タンブリング運動をしていることの明確な兆候である.タンブリング運動をしている事がこの天体の回転が示す顕著な特徴であり,過去に激しい衝突を経験したことと整合的である.

初めて検出された太陽系外起源の小天体が激しい衝突を経験したと思われるものであるという事は,他の惑星系でも小天体ポピュレーションが衝突進化を起こすことは珍しい現象ではないということを表すものである.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1711.11530
Fraser et al. (2017)
1I/'Oumuamua is tumbling
(1I オウムアムアはタンブリングしている)

概要

恒星間天体 1I/2017 U1 (‘Oumuamua) (オウムアムア) の発見は,他の惑星系で生まれた微惑星の姿を垣間見る機会を我々に与えた.
この放浪者は変化する色を示し,その色は P/D 型小惑星,木星のトロヤ群小惑星,力学的に励起されたカイパーベルト天体などの,太陽系内の小天体とおおむね整合的な範囲の値を示す.

この天体は非常に細長い形状をしており,形状の軸比は 5:1 を超える.自転周期の推定値は一貫性がなく,これまでに報告された値は 6.9 - 8.3 時間の範囲である.

ここでは,これまでに得られている,信頼できる可視光の測光データの解析を行った.

その結果,単一の自転周期ではこの天体の光度の変動を説明することが出来ないと考えられる.むしろ,この天体は非主軸回転 (non-principal axis (NPA) rotation) の励起された自転状態にあるように思われる.

観測結果を説明できる解としては,この天体の見かけの光度曲線周波数は 0.135 - 0.126 hr-1 の範囲の値を持ち,形状は最も長い軸と最も短い軸の比率が 5:1 であることが示唆される.
ただし現在参照可能なデータは,この天体の真の光度曲線周波数と形状を一意に決定するには不十分である.

太陽系の小惑星や彗星と同様に NPA 回転を起こしている天体を仮定すると,この天体のタンブリングが減衰するためのタイムスケールは,少なくとも 10 億年であると推定される.従って,この天体は起源となる惑星系の中で自転が複雑なタンブリング状態となり,今後太陽系を離れた後長期間に渡ってもタンブリング状態にあるだろうと考えられる.

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