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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1711.07535
Ferrin & Zuluaga (2017)
1I/2017 U1 (Oumuamua) Might Be A Cometary Nucleus
(オウムアムアは彗星の核であるかもしれない)
また,この天体の色は励起されたカイパーベルト天体や,あまり赤くない木星トロヤ群小惑星と類似しており (Bannister et al. 2017),カイパーベルト天体の色とも類似している (Masiero 2017).その他,D 型トロヤ群小惑星や内部太陽系の天体の平均の色とも範囲が被っており,一方でカイパーベルト天体のうち特に赤いものとは非整合である (Jewitt et al. 2017).
ここでは,オウムアムアが彗星起源の天体であるという兆候について報告する.
観測から得られた,B-V とV-R の値をダイアグラムにして,太陽系内の様々な天体との比較を行った.
太陽系内の彗星核をこのダイアグラムに図示すると,傾いた直線の上に乗る.これを「彗星核のカラーの主系列」とみなす.
1I/2017 U1 の色をこのダイアグラム上に図示すると,この主系列の上に乗ることが分かる.そのため,この天体は彗星の核であることが示唆される.
Meech (2017) での撮像観測ではコマが存在するという証拠は得られなかったが,この事によってオウムアムアが彗星である可能性を否定することは出来ない.その理由は,この天体は近日点通過の 39 日後に発見されており,近日点付近での観測は存在しないからである.
非活発な彗星核の中には,彗星としての活動期間が短いものがある.例えば 107P/Wilson-Harrington (ウィルソン・ハリントン彗星) の場合は,35 ± 5 日の間しか彗星活動を見せなかった (Ferrin et al. 2017).
そのため,この天体が母天体の系のどこに起源を持つのかは分からない.惑星系の内側領域かも知れないし,その系の小惑星メインベルトかもしれないし,木星のような惑星近傍領域や,その系のオールトの雲のような領域からかもしれない.
arXiv:1711.07535
Ferrin & Zuluaga (2017)
1I/2017 U1 (Oumuamua) Might Be A Cometary Nucleus
(オウムアムアは彗星の核であるかもしれない)
概要
恒星間天体 1I/2017 U1 (Oumuamua) (オウムアムア) は,これまでの測光観測ではコマや尾の存在は確認されていない.現段階では,この天体は彗星ではなく小惑星であるというのがコンセンサスである.また,この天体の色は励起されたカイパーベルト天体や,あまり赤くない木星トロヤ群小惑星と類似しており (Bannister et al. 2017),カイパーベルト天体の色とも類似している (Masiero 2017).その他,D 型トロヤ群小惑星や内部太陽系の天体の平均の色とも範囲が被っており,一方でカイパーベルト天体のうち特に赤いものとは非整合である (Jewitt et al. 2017).
ここでは,オウムアムアが彗星起源の天体であるという兆候について報告する.
観測から得られた,B-V とV-R の値をダイアグラムにして,太陽系内の様々な天体との比較を行った.
太陽系内の彗星核をこのダイアグラムに図示すると,傾いた直線の上に乗る.これを「彗星核のカラーの主系列」とみなす.
1I/2017 U1 の色をこのダイアグラム上に図示すると,この主系列の上に乗ることが分かる.そのため,この天体は彗星の核であることが示唆される.
Meech (2017) での撮像観測ではコマが存在するという証拠は得られなかったが,この事によってオウムアムアが彗星である可能性を否定することは出来ない.その理由は,この天体は近日点通過の 39 日後に発見されており,近日点付近での観測は存在しないからである.
非活発な彗星核の中には,彗星としての活動期間が短いものがある.例えば 107P/Wilson-Harrington (ウィルソン・ハリントン彗星) の場合は,35 ± 5 日の間しか彗星活動を見せなかった (Ferrin et al. 2017).
そのため,この天体が母天体の系のどこに起源を持つのかは分からない.惑星系の内側領域かも知れないし,その系の小惑星メインベルトかもしれないし,木星のような惑星近傍領域や,その系のオールトの雲のような領域からかもしれない.
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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1711.07745
Dorn & Heng (2017)
Secondary atmospheres on HD 219134 b and c
(HD 219134b と c の二次大気)
最初のステップとして,惑星質量・半径・難揮発性元素の存在度・軌道長半径・恒星の輻射について,与えられた内部構造のパラメータの縮退を厳密に定量化するために,確率的ベイズ推定を用いる.これにより,コア・マントル・氷の層と,大気の構造・組成に対する制約を得る.
二番目のステップでは,大気散逸の影響を考慮した上で,これらの惑星が持ちうる大気の性質についての結論を導き出すことを目指す.具体的には,実際に存在可能な大気を,惑星系の年齢の期間に渡って大気散逸に対抗して大気を保持することが可能なための厚さの閾値を上回るような,初期の水素分子主体の大気と比較する.最も良く制約を与えることが出来るパラメータは,それぞれの層の厚さである.
それぞれの惑星に対する大気の取りうる最大半径割合は,0.18 惑星半径 と 0.13 惑星半径となった.これらの値は,初期大気の閾値となる厚さである 0.28 惑星半径 と 0.19 惑星半径 よりも明確に小さい.そのため,HD 219134b と HD 219134c が持っているであろう大気は,水素分子主体のものではないと考えられる.
しかし,存在するかもしれない揮発性物質の層が,気体または液体/固体の水で形成されているかどうかは,現段階では一意に決定できない.
ここでの主要な結論は以下の通り.
(1) HD 219134b と HD 219134c が持ちうる大気は水素主体ではなく,初期に獲得した一時的な大気ではなく,おそらくは二次的な大気である.
(2) どちらの惑星も気体の層を持っており,HD 219134b の層の方が大きい.また HD 219134c は岩石惑星の可能性がある.
arXiv:1711.07745
Dorn & Heng (2017)
Secondary atmospheres on HD 219134 b and c
(HD 219134b と c の二次大気)
概要
HD 219134b と HD 219134c の内部構造の解析を行った.これらの惑星は,これまで検出された中で最も低温な部類のスーパーアースである.ここでは,分光観測を用いずに,これらの惑星の大気が水素豊富か,あるいは水素に欠けているかの制約を与えることを目標にしている.最初のステップとして,惑星質量・半径・難揮発性元素の存在度・軌道長半径・恒星の輻射について,与えられた内部構造のパラメータの縮退を厳密に定量化するために,確率的ベイズ推定を用いる.これにより,コア・マントル・氷の層と,大気の構造・組成に対する制約を得る.
二番目のステップでは,大気散逸の影響を考慮した上で,これらの惑星が持ちうる大気の性質についての結論を導き出すことを目指す.具体的には,実際に存在可能な大気を,惑星系の年齢の期間に渡って大気散逸に対抗して大気を保持することが可能なための厚さの閾値を上回るような,初期の水素分子主体の大気と比較する.最も良く制約を与えることが出来るパラメータは,それぞれの層の厚さである.
それぞれの惑星に対する大気の取りうる最大半径割合は,0.18 惑星半径 と 0.13 惑星半径となった.これらの値は,初期大気の閾値となる厚さである 0.28 惑星半径 と 0.19 惑星半径 よりも明確に小さい.そのため,HD 219134b と HD 219134c が持っているであろう大気は,水素分子主体のものではないと考えられる.
しかし,存在するかもしれない揮発性物質の層が,気体または液体/固体の水で形成されているかどうかは,現段階では一意に決定できない.
ここでの主要な結論は以下の通り.
(1) HD 219134b と HD 219134c が持ちうる大気は水素主体ではなく,初期に獲得した一時的な大気ではなく,おそらくは二次的な大気である.
(2) どちらの惑星も気体の層を持っており,HD 219134b の層の方が大きい.また HD 219134c は岩石惑星の可能性がある.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1711.06905
Cieza et al. (2017)
ALMA observations of Elias 2-24: a protoplanetary disk with multiple gaps in the Ophiuchus Molecular Cloud
(Elias 2-24 の ALMA 観測:へびつかい座分子雲にある複数のギャップを持った原始惑星系円盤)
観測の結果,原始惑星系円盤に,同心円状の部分的に空間分解された 3 つのギャップが存在することを検出した.ギャップの位置はそれぞれ,恒星から ~ 20, 52, 87 au の距離である.
円盤の輻射輸送モデリングを行い,円盤の表面密度と温度の動径方向分布への制約を与え,円盤の構造について考察を行った.ギャップの成因として,活発に形成している最中の惑星による力学的な clearing,あるいは凝結線などの細いギャップを形成しうるメカニズムに注目した.
特に,各ギャップの距離における温度の推定値はそれぞれ 23, 15, 12 K であり,この温度は CO (23 - 28 K),N2 (12 - 15 K) のスノーラインの場所に非常に近い.
同様に,ギャップの幅がギャップ内部で形成途中の惑星の,ヒル半径の 4 - 8 倍であるという仮定をすると (これは数値シミュレーションから示唆されているもの),ギャップを形成している可能性がある惑星の質量は,それぞれ 0.2 - 1.5 木星質量,1.0 - 8.0 木星質量,0.02 - 0.15 木星質量と推定される.
円盤の面密度分布を与えると,これらのギャップの隙間の各位置における “失われた質量” (4 - 20 木星質量) は,このような惑星の形成を説明するのに十分な量である.
原始惑星系円盤の特徴的な温度とサイズ (20 K,100 au) を考えると,円盤からの熱的放射を空間分解して撮像観測するには,秒角以下の角度分解能でのミリ波・サブミリ波での観測が適している.
詳細な原始惑星系円盤の撮像観測を行うことは Atacama Large Millimeter/Submillimeter Array (ALMA) を建設する主要な科学的理由のひとつであり,ALMA が達成したこれまでにない分解能のお陰で,原始惑星系円盤に対する我々の見方は近年大きく進歩している.
ALMA の登場以前は,円盤中にはわずかな構造しか見られなかった,
主なものは,円盤の中心に空いた大きな cavity (空洞) で,空洞の半径は数十 au のものが発見されている (e.g., Brown et al. 2009; Andrews et al. 2010; Cieza et al. 2012).
高分解能と高感度で観測を行うと,原始惑星系円盤は非常に多くの内部構造を持っていることが分かる.
例えば,細いギャップ (ALMA Partnership 2015; Andrews et al. 2016; Isella etal. 2016 ),明るいリング (Canovas et al. 2016; van der Plas et al. 2017),ダスト捕獲 (Casassuset al. 2013; van der Marel et al. 2013; Kraus et al. 2017),渦状腕 (P ́erez et al. 2016),鋭い強度の break (Cieza et al. 2016) である.
これらの構造の起源と,その構造が円盤進化と惑星形成に対して果たす役割が,この分野の重要な研究課題である.
arXiv:1711.06905
Cieza et al. (2017)
ALMA observations of Elias 2-24: a protoplanetary disk with multiple gaps in the Ophiuchus Molecular Cloud
(Elias 2-24 の ALMA 観測:へびつかい座分子雲にある複数のギャップを持った原始惑星系円盤)
概要
ALMA を用いて,波長 1.3 mm の連続波で,0.2” の分解能で Elias 2-24 の観測を行った.この天体は, Ophiuchus Molecular Cloud (へびつかい座分子雲) の中にある,最も大きく明るい原始惑星系円盤の一つである.観測の結果,原始惑星系円盤に,同心円状の部分的に空間分解された 3 つのギャップが存在することを検出した.ギャップの位置はそれぞれ,恒星から ~ 20, 52, 87 au の距離である.
円盤の輻射輸送モデリングを行い,円盤の表面密度と温度の動径方向分布への制約を与え,円盤の構造について考察を行った.ギャップの成因として,活発に形成している最中の惑星による力学的な clearing,あるいは凝結線などの細いギャップを形成しうるメカニズムに注目した.
特に,各ギャップの距離における温度の推定値はそれぞれ 23, 15, 12 K であり,この温度は CO (23 - 28 K),N2 (12 - 15 K) のスノーラインの場所に非常に近い.
同様に,ギャップの幅がギャップ内部で形成途中の惑星の,ヒル半径の 4 - 8 倍であるという仮定をすると (これは数値シミュレーションから示唆されているもの),ギャップを形成している可能性がある惑星の質量は,それぞれ 0.2 - 1.5 木星質量,1.0 - 8.0 木星質量,0.02 - 0.15 木星質量と推定される.
円盤の面密度分布を与えると,これらのギャップの隙間の各位置における “失われた質量” (4 - 20 木星質量) は,このような惑星の形成を説明するのに十分な量である.
研究背景
ガスの豊富な星周円盤は,惑星形成が起きている現場である.それらの大部分はまだ分子雲の中に存在しているため,地球から 100 pc 以内には少数の原始惑星系円盤しか存在しない.原始惑星系円盤の特徴的な温度とサイズ (20 K,100 au) を考えると,円盤からの熱的放射を空間分解して撮像観測するには,秒角以下の角度分解能でのミリ波・サブミリ波での観測が適している.
詳細な原始惑星系円盤の撮像観測を行うことは Atacama Large Millimeter/Submillimeter Array (ALMA) を建設する主要な科学的理由のひとつであり,ALMA が達成したこれまでにない分解能のお陰で,原始惑星系円盤に対する我々の見方は近年大きく進歩している.
ALMA の登場以前は,円盤中にはわずかな構造しか見られなかった,
主なものは,円盤の中心に空いた大きな cavity (空洞) で,空洞の半径は数十 au のものが発見されている (e.g., Brown et al. 2009; Andrews et al. 2010; Cieza et al. 2012).
高分解能と高感度で観測を行うと,原始惑星系円盤は非常に多くの内部構造を持っていることが分かる.
例えば,細いギャップ (ALMA Partnership 2015; Andrews et al. 2016; Isella etal. 2016 ),明るいリング (Canovas et al. 2016; van der Plas et al. 2017),ダスト捕獲 (Casassuset al. 2013; van der Marel et al. 2013; Kraus et al. 2017),渦状腕 (P ́erez et al. 2016),鋭い強度の break (Cieza et al. 2016) である.
これらの構造の起源と,その構造が円盤進化と惑星形成に対して果たす役割が,この分野の重要な研究課題である.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1711.07018
Liu et al. (2017)
Searching for the Transit of the Earth--mass exoplanet Proxima~Centauri~b in Antarctica: Preliminary Result
(地球質量系外惑星プロキシマ・ケンタウリb のトランジットの南極での探査:中間結果)
最近,視線速度観測によってプロキシマ・ケンタウリを公転する地球質量の惑星の存在が明らかにされた.この惑星の軌道周期は 11 日で,プロキシマ・ケンタウリb (プロキシマb) の表面は温暖でハビタブルな環境である可能性もある.
ここでは,南極大陸の Zhongshan Station の Bright Star Survey Telescope を用いて,プロキシマb のトランジットの有無を探るため,測光モニタリングキャンペーンを行った.
観測の結果,2016 年 9 月 8 日にトランジット的なシグナルが見られた.このシグナルがトランジットだとした場合の中心時刻は,視線速度観測に基づいた軌道の天体暦と,1 σ の信頼区間で整合する.
プロキシマ・ケンタウリの光度曲線には時間相関のあるノイズが見られ,これは惑星トランジットの検出に影響を及ぼす.発生しうるトランジット検出の統計的有意性を測定するために,ガウス過程のフレームワークで技術を開発した.
ここで報告された暫定的なトランジットシグナルは,2.5 σ の信頼水準を持つ.プロキシマ・ケンタウリb のトランジットであると確定させるためには,さらなる周期的なシグナルの検出が必要である.そのため,次の極夜の時期にプロキシマ・ケンタウリをモニターすることを計画している.
Kipping et al. (2017) では,プロキシマ・ケンタウリb の暫定的なトランジット的なシグナルを 2 つ報告している.今回検出したトランジット中心時刻は,Kipping et al. (2017) でのトランジット天体暦の予測よりも 138 分遅かった.
仮にこれらのシグナルが実際のトランジットを見ているのであれば,トランジット時刻のずれは,プロキシマ・ケンタウリ系内にあるかもしれない,外側の別の惑星に誘起されたトランジット時刻変動である可能性を示唆する.
arXiv:1711.07018
Liu et al. (2017)
Searching for the Transit of the Earth--mass exoplanet Proxima~Centauri~b in Antarctica: Preliminary Result
(地球質量系外惑星プロキシマ・ケンタウリb のトランジットの南極での探査:中間結果)
概要
プロキシマ・ケンタウリ (Proxima Centauri) は,太陽に最も近い恒星として知られている.最近,視線速度観測によってプロキシマ・ケンタウリを公転する地球質量の惑星の存在が明らかにされた.この惑星の軌道周期は 11 日で,プロキシマ・ケンタウリb (プロキシマb) の表面は温暖でハビタブルな環境である可能性もある.
ここでは,南極大陸の Zhongshan Station の Bright Star Survey Telescope を用いて,プロキシマb のトランジットの有無を探るため,測光モニタリングキャンペーンを行った.
観測の結果,2016 年 9 月 8 日にトランジット的なシグナルが見られた.このシグナルがトランジットだとした場合の中心時刻は,視線速度観測に基づいた軌道の天体暦と,1 σ の信頼区間で整合する.
プロキシマ・ケンタウリの光度曲線には時間相関のあるノイズが見られ,これは惑星トランジットの検出に影響を及ぼす.発生しうるトランジット検出の統計的有意性を測定するために,ガウス過程のフレームワークで技術を開発した.
ここで報告された暫定的なトランジットシグナルは,2.5 σ の信頼水準を持つ.プロキシマ・ケンタウリb のトランジットであると確定させるためには,さらなる周期的なシグナルの検出が必要である.そのため,次の極夜の時期にプロキシマ・ケンタウリをモニターすることを計画している.
Kipping et al. (2017) では,プロキシマ・ケンタウリb の暫定的なトランジット的なシグナルを 2 つ報告している.今回検出したトランジット中心時刻は,Kipping et al. (2017) でのトランジット天体暦の予測よりも 138 分遅かった.
仮にこれらのシグナルが実際のトランジットを見ているのであれば,トランジット時刻のずれは,プロキシマ・ケンタウリ系内にあるかもしれない,外側の別の惑星に誘起されたトランジット時刻変動である可能性を示唆する.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1711.07173
Jeong et al. (2017)
Detection of planet candidates around K giants, HD 40956, HD 111591, and HD 113996
(K 型巨星,HD 40956,HD 111591 と HD 113996 まわりの惑星候補の検出)
このプロジェクトは,Bohyunsan Optical Astronomy Observatory (BOAO) の 1.8 m 望遠鏡と,Okayama Astrophysical Observatory (OAO) の 1.88 m 望遠鏡を使用して,巨星の高精度視線速度測定を行うものである.
BOAO でのプログラムは,早期 K 型巨星 55 個を探査し,OAO でのプログラムは G - K 型巨星 190 個を探査する.ここでは,3 つの K 型巨星の周りの長周期視線速度変動の検出について報告する.視線速度変動が検出されたのは,HD 40956,HD 111591,HD 113996 の 3 つである.
これらの天体における視線速度変動の原因について調査した結果,準恒星質量の伴星の存在が原因であると考えるのがもっともらしいという結論を得た.
有効温度:4869 K
金属量:[Fe/H] = 0.14
年齢:1.35 Gyr (13.5 億歳)
半径:8.56 太陽半径
質量:2.00 太陽質量
光度:46.17 太陽光度
軌道離心率:0.24
最小質量:2.7 木星質量
軌道長半径:1.4 AU
惑星候補の軌道運動を取り除いた後の残差には,185 日の周期性のあるシグナルが見られる.現段階では,この起源は不明であり,追加の観測が必要である.
巨星の周りの惑星系に関してはこれまでにも 2 つの巨大惑星が発見されている例があり,それは軌道周期が 360 日と 580 日で安定な軌道にある (Johnson et al. 2011, Trifonov et al. 2014, Sato et al. 2016).追加観測によってシグナルの原因が 2 つ目の惑星だと判明すれば,これらの先行例に加わる可能性がある.
有効温度:4884 K
金属量:[Fe/H] = 0.07
年齢:1.41 Gyr (14.1 億歳)
半径:8.03 太陽半径
質量:1.94 太陽質量
光度:38.07 太陽光度
軌道離心率:0.26
最小質量:4.4 木星質量
軌道長半径:2.5 AU
このような長周期の変動は,この恒星のスペクトル型と表面重力を考慮すると,明るいミラ型変光星のものと類似している.しかし,視線速度変動の原因としてミラ型変光星の脈動による可能性は排除された.
惑星候補天体の運動を取り除いた残差には,視線速度の変動は見られなかった.
有効温度:4181 K
金属量:[Fe/H] = 0.13
年齢:3.24 Gyr (32.4 億歳)
半径:25.11 太陽半径
質量:1.49 太陽質量
光度:291.00 太陽光度
軌道離心率:0.28
最小質量:6.3 木星質量
軌道長半径:1.6 AU
arXiv:1711.07173
Jeong et al. (2017)
Detection of planet candidates around K giants, HD 40956, HD 111591, and HD 113996
(K 型巨星,HD 40956,HD 111591 と HD 113996 まわりの惑星候補の検出)
概要
K 型巨星の視線速度の長期間の変動を検出するプロジェクトについて報告する.このプロジェクトは,Bohyunsan Optical Astronomy Observatory (BOAO) の 1.8 m 望遠鏡と,Okayama Astrophysical Observatory (OAO) の 1.88 m 望遠鏡を使用して,巨星の高精度視線速度測定を行うものである.
BOAO でのプログラムは,早期 K 型巨星 55 個を探査し,OAO でのプログラムは G - K 型巨星 190 個を探査する.ここでは,3 つの K 型巨星の周りの長周期視線速度変動の検出について報告する.視線速度変動が検出されたのは,HD 40956,HD 111591,HD 113996 の 3 つである.
これらの天体における視線速度変動の原因について調査した結果,準恒星質量の伴星の存在が原因であると考えるのがもっともらしいという結論を得た.
パラメータ
HD 40956 系
HD 40956
スペクトル型:K0有効温度:4869 K
金属量:[Fe/H] = 0.14
年齢:1.35 Gyr (13.5 億歳)
半径:8.56 太陽半径
質量:2.00 太陽質量
光度:46.17 太陽光度
HD 40956b
軌道周期:578.6 日軌道離心率:0.24
最小質量:2.7 木星質量
軌道長半径:1.4 AU
HD 40956 系の特徴
惑星候補天体 HD 40956b による視線速度変動の他に,より長周期の線形の視線速度変化の傾向が検出された.後者の変動は,より長周期の伴星の存在が関係している可能性がある.惑星候補の軌道運動を取り除いた後の残差には,185 日の周期性のあるシグナルが見られる.現段階では,この起源は不明であり,追加の観測が必要である.
巨星の周りの惑星系に関してはこれまでにも 2 つの巨大惑星が発見されている例があり,それは軌道周期が 360 日と 580 日で安定な軌道にある (Johnson et al. 2011, Trifonov et al. 2014, Sato et al. 2016).追加観測によってシグナルの原因が 2 つ目の惑星だと判明すれば,これらの先行例に加わる可能性がある.
HD 111591 系
HD 111591
スペクトル型:K0 III有効温度:4884 K
金属量:[Fe/H] = 0.07
年齢:1.41 Gyr (14.1 億歳)
半径:8.03 太陽半径
質量:1.94 太陽質量
光度:38.07 太陽光度
HD 111591b
軌道周期:1056.4 日軌道離心率:0.26
最小質量:4.4 木星質量
軌道長半径:2.5 AU
HD 111591 系の特徴
今回のサンプル中で最も長周期のシグナルである.このような長周期の変動は,この恒星のスペクトル型と表面重力を考慮すると,明るいミラ型変光星のものと類似している.しかし,視線速度変動の原因としてミラ型変光星の脈動による可能性は排除された.
惑星候補天体の運動を取り除いた残差には,視線速度の変動は見られなかった.
HD 113996 系
HD 113996
スペクトル型:K5 III有効温度:4181 K
金属量:[Fe/H] = 0.13
年齢:3.24 Gyr (32.4 億歳)
半径:25.11 太陽半径
質量:1.49 太陽質量
光度:291.00 太陽光度
HD 113996b
軌道周期:610.2 日軌道離心率:0.28
最小質量:6.3 木星質量
軌道長半径:1.6 AU