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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1711.04927
Bolin et al. (2017)
APO Time Resolved Color Photometry of Highly-Elongated Interstellar Object 1I/'Oumuamua
(非常に細長い恒星間天体オウムアムアの APO 時間分解色測光)

概要

恒星間天体 1I/‘Oumuamua (1I,オウムアムア) の g, r, i バンドでの観測結果について報告する.観測は 2017 年 10 月 29 日,4:28 - 8:40 (UTC) に行われた.観測に用いたのは Apache Point Observatory (APO,アパッチポイント天文台) の 3.5 m 望遠鏡に設置されている ARCTIC カメラである.

1I のカラーは, g - r = 0.41 ± 0.24,r - i = 0.23 ± 0.25 であり,これはこれまでに得られている可視光のスペクトルと整合的なものであった (Masiero 2017,Ye et al. 2017,Fitzsimmons et al. 2017).また,太陽系の C/D 型小惑星,トロヤ群小惑星,彗星のポピュレーションと最も類似している.

太陽からの距離が 1.46 au となる地点で,この天体はいかなる彗星的な活動の兆候を見せなかった.この観測は 1I が太陽に最も接近してから 1.5 ヶ月後の観測である.

r バンドの観測では明確な光度の変化が検出され,天体は観測の終了時に顕著に明るくなった.

ここで得た APO の測光データを,Discovery Channel Telescope (DCT) のデータ (Knight et al. 2017) と併せて解析を行った.Knight et al. (2017) の観測は,この観測より 20 時間後の 2017 年 10 月 30 日に取得されたデータである.
その結果,この天体のほぼ完全な光度曲線を作成することができ,もっともらしい光度曲線の周期は 4 時間であった.

二重ピークの光度曲線を仮定すると,天体の自転周期は 8.1 ± 0.02 時間となり,光度の最大振幅は 1.5 - 2.1 mag であった.1I の形状が楕円体で近似できると仮定すると,光度曲線の振幅への制約より,1I は軸比が 4.1 - 6.9 の間の値を取ることを示唆している.これはこの天体が著しく細長い形状であることを示している

1I が遠心力によって破壊される限界未満で自転していると仮定すると,今回の結果は 1I の密度が 1.0 g cm-3 よりも大きいか,あるい適度な凝集力を有するとする解釈と適合する.

1I の軌道を制約するのに有用な位置天文学データも得られ,これは Weaver et al. (2017) にて公表する予定である.

結論

オウムアムアの色は,太陽に類似している (太陽光を反射しているため) か,あるいはやや赤い色であり,カラーと輝度の変動が見つかった.他の観測者によって発見された,点源状の性質 (彗星活動を示さない) とやや赤い色という性質は,今回の観測でも確認された.

小惑星風の見た目と,太陽に似た色を示すことから,1I は氷が豊富な領域で形成されたのではなく,揮発性物質に乏しい恒星に近い領域で形成されたであろうことを示唆している.

APO と DCT の観測結果を合わせると,自転周期は 8.14 時間と推定される.これは太陽系の多くの小惑星と整合的である (Warner et al. 2009).また光度曲線の振幅は ~ 1.5 - 2 mag であり,これは軸比が 4:1 - 7:1 であることを示唆している.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1711.05185
Fedele et al. (2017)
ALMA continuum observations of the protoplanetary disk AS 209. Evidence of multiple gaps opened by a single planet
(原始惑星系円盤 AS 209 の ALMA 連続波観測.単一の惑星によって開けられた複数のギャップの兆候)

概要

Ophiuchus star forming region (へびつかい座星形成領域) にある原始惑星系 AS 209 を,ALMA 1.3 mm ダスト連続光で高角度分解能観測を行った.

観測されたダスト連続波放射は,メインの中心コア部分と,その外側の 2 つの主要なリング構造として特徴付けられる.外側の構造は,75 au, 130 au の位置にあるリングと,それらを隔てる 62 au と 103 au の位置のギャップからなる.

2 つのギャップは異なる幅と深さを持ち,内側のほうが細く浅い構造になっている.


三次元輻射輸送円盤コード DALI を用いて,ミリメートルサイズのダスト粒子の表面密度の推定を行った.
シミュレーションの基準モデルを元にすると,内側のギャップはミリメートルサイズの粒子に部分的に満たされている一方,外側のギャップは大きくダストに欠けていると推定される.

シミュレーションから示唆されたダストの表面密度を,惑星・円盤相互作用の三次元流体力学シミュレーション (FARGO-3D) の結果と比較した.その結果,外側のギャップは 0.8 土星質量の巨大惑星が存在する事によって形成されるという解釈と整合的であった,この惑星は,円盤へのギャップの形成と,惑星軌道の外縁におけるダストの滞留の原因となっていると考えられる.


またシミュレーションでは,外側のギャップを開けている惑星が,内側の 62 au のギャップの原因にもなる可能性を示唆した.

2 つのギャップの相対的な位置は 2:1 共鳴に近く,ここでは内側のギャップの中に二番目の惑星が存在する可能性についても調べた.その結果得られた表面密度 (2 つのダストギャップの位置,幅と深さを含む) は観測と一致するものであった.

内側のギャップの特性は内側の惑星質量に強い制限を与え,質量は 0.1 木星質量と推定される.


単一の惑星によるギャップか,惑星ペアによるギャップか,どちらのシナリオにおいても,流体力学シミュレーションは円盤の粘性は非常に低いことを示唆している (α < 10-4).この系の年齢は若いため (0.5 - 1 Myr),この観測結果は,巨大惑星の形成は ≲ 1 Myr のタイムスケールで起きることを示唆している

AS 209 について

AS 209 は T Tauri (おうし座T型星) であり,円盤を持つ.中心星の質量は 0.9 太陽質量であり,スペクトル型は K5,光度は 1.5 太陽光度である (Tazzari et al. 2016).

推定年齢が 0.5 - 1.0 Myr (50万 - 100 万歳) の Ophiuchus star forming region (へびつかい座星形成領域) の一員であり.距離は 126 pc である (Gaia Collaboration et al. 2016).

多波長の連続波観測では,恒星から数十 au を超える位置からのミリメートル波長の光学的に薄い放射が検出されている (Perez et al. 2012, Tazzari et al. 2016).Huang et al. (2016) は,円盤外側での CO 脱離によると思われる,広がったガスの放射 (C18O) の証拠を発見している.また興味深いことに,Huang et al. (2017) ではダストの 1.1 mm 連続波放射には暗い帯があることを指摘している.
※注釈
AS 209 の AS は "Additional Stars" の略称で,Hα 線の明るい輝線が検出された天体を集めた論文 "Additional stars whose spectra have a bright H-α line." に収録されている天体の一つである (Merrill & Burwell 1950).

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1711.03558
Portegies Zwart et al. (2017)
The origin of interstellar asteroidal objects like 1I/2017 U1
(1I/2017 U1 的な恒星間小惑星天体の起源)

概要

恒星間天体 1I/2017 U1 (1I/’Oumuamua) (オウムアムア) の発見により,太陽系は孤立しているわけではなく,相互作用する大きな環境の一部であることを再認識させられた.

ここでは,1I/2017 U1 の運動学と,銀河系のシミュレーション,Gaia TGAS のデータを比較し,1I/2017 U1 に類似した天体の局所的な個数密度を推定し,またそのような天体の起源について考察した.


運動学的には,1I/2017 U1 は 1.3 Myr (130 万年) 前に,近傍の恒星 TYC4742-1027-1 から 0.16 pc の位置を通過したと考えられる.しかし 1I/2017 U1 がこの恒星の周りにあると思われるオールトの雲に起源を持つとは考えにくく,単に通過しただけだと考えられる.


ここでの計算に基づき,”sola lapis” (束縛されていない非彗星の小惑星状天体) のポピュレーションは,同様の彗星状天体のそれよりもずっと多いと結論付ける.

1I/2017 U1 に類似した特徴を持つ天体の数は非常に一般的であり,同程度のサイズを持つこのような天体の個数密度は,太陽から 100 au 以内には 3 × 105 個,あるいは太陽の近傍の空間で 1 立方パーセク当たり 1014 個であると推定される

銀河のシミュレーション結果と Gaia DR1 TGAS のデータを比較した結果,1I/2017 U1 の運動学は,局所銀河ポテンシャルの一部である孤立した天体の星間分布から期待されるものと整合的であった.そのため,この天体が太陽系を訪れる前にどの程度の期間銀河系内を漂っていたのかを推定するのは難しい.

また,このような天体 (solae lapides) は,銀河系内に豊富に存在すると考えられる.このような天体は,星と惑星形成過程から残されたデブリ円盤で形成されたと推測される.母星団内の恒星あるいは惑星系円盤内での共鳴相互作用に起因してこれらの天体は主星から解放され,星間空間を自由に浮遊する.

導出された銀河系内での平均密度からは,このような訪問者は非常に一般的であると予想され,我々は 1I/2017 U1 に偶然遭遇している最中である.

天体の特徴

1I/2017 U1 (1I/’Oumuamua) の近日点距離は 0.254 AU で,軌道離心率は 1.1971,また無限遠での太陽との相対速度は 26 km/s である.

天体のスペクトルはカイパーベルト天体のものと類似しているが,一方でメインベルトの小惑星としては赤すぎる (Masiero 2017).

銀河中心に対する速度を考慮すると,太陽の近傍の恒星に起源があるとは考えづらい (Mamajek 2017, dela Fuente Marcos & de la Fuente Marcos 2018),しかし,起源としてありうる候補は,近傍の惑星系 Luhman 16 (ルーマン16) で,0.059 太陽質量である.あるいは,近傍の若い恒星の星団 Carina か Columbia に起源を持ち,1 - 2 km/s で射出された可能性も指摘されている (Gaidos et al. 2017).

議論と結論

このような恒星間天体の個数密度の推定値は,~ 0.08 au-3 (1 立方天文単位中に 0.08 個),あるいは 7 × 1014 pc-3 である.
これは大きな値だが,星と惑星形成過程ではじき出されるデブリの量とは矛盾しない.

恒星間小惑星の個数密度についての過去の推定は,銀河系中心の大質量ブラックホールいて座A* で毎日のように発生する X 線フレアを説明するために行われた (Hamers & Portegies Zwart 2015).その研究では 1014 pc-3 という値を得ている.これは,ここでの推定より数ファクターだけ小さいのみである.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1711.02097
Barragán et al. (2017)
EPIC 246393474 b: A 5-M⊕ super-Earth transiting a K7 V star every 6.7 hours
(EPIC 246393474b:K7V 星を 6.7 時間毎にトランジットする 5 地球質量のスーパーアース)

概要

EPIC 246393474b の発見について報告する.この惑星は,ケプラー K2 ミッションの Campaign 12 の間に取得されたデータに基づいて検出された,


この惑星は,活発な K7V 星をトランジットする惑星であり,軌道周期は 6.7 時間と超短周期軌道にあるスーパーアースである.

K2 で得られたトランジットシグナルが惑星起源であることを,一連のフォローアップ観測から確認した.フォローアップに用いたのは,MuSCAT での撮像観測,NESSI 高分散スペックル観測,FIES と HARPS での高分散視線速度観測である.


EPIC 246393474b は 5.31 地球質量,1.54 地球半径で,平均密度は 8.00 g cm-3 である.密度からは,この惑星は岩石と鉄からなる組成であることを示唆している.理論モデルからは,惑星の総質量に占める鉄の割合は ~ 70%を超えない程度であることが推定される.

この惑星の軌道周期はわずか 6.7 時間であり,EPIC 246393474b は正確に質量が測定された中ではこれまでに知られている中で最も軌道周期が短い惑星である

パラメータ

EPIC 246393474
質量:0.662 太陽質量
半径:0.674 太陽半径
有効温度:4373 K
金属量:[Fe/H] = 0.03
自転周期:14.03 日
年齢:740 Myr (7 億 4000 万年),Gyrochronology からの推定
距離:58.77 pc
EPIC 246393474b
軌道周期:0.2803226 日
質量:5.31 地球質量
半径:1.54 地球半径
平均密度:8.00 g cm-3
軌道長半径:0.00716 AU
平衡温度:2039 K (アルベド 0 を仮定した場合)

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1711.02320
Ye et al. (2017)
1I/'Oumuamua is Hot: Imaging, Spectroscopy and Search of Meteor Activity
(1I/'Oumuamua は熱い:撮像,分光および流星活動の探査)

概要

1I/2017 U1 (’Oumuamua) (オウムアムア) は最近発見された双曲線軌道にある小惑星であり,おそらくは太陽系内で同定された初めての太陽系外に起源を持つ天体である.

ここでは Hale Telescape を用いた,この天体の撮像と分光観測の結果について報告する.
またこの天体に関係している可能性がある流星活動の有無についても報告を行う.


この天体は 10% ± 6%の穏やかなスペクトルの勾配を持っており,この値は太陽系の外縁部にある天体よりも明確に低い.このことは,この天体の形成場所か,あるいはこの天体が過去に存在した場所が温暖な環境であったことを示唆するものである.

撮像・分光観測および流星観測からは,この天体が現在や最近活発だったという証拠は見られなかった.

この天体の起源と思われる恒星の明確な候補は今のところ提案されていない.
太陽近傍での平均自由行程は 109 光年であることから,太陽系に遭遇する前は非常に長い時間を星間空間で過ごしたと考えられる.

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