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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1704.05440
Tremblin et al. (2017)
Advection of potential temperature in the atmosphere of irradiated exoplanets: a robust mechanism to explain radius inflation
(輻射を受ける系外惑星大気中での温位の移流:半径異常を説明する有力な機構)
今回の提案は 2 次元の定常状態大気循環モデルを元にしており,またこの定常状態大気循環モデルは 3 次元計算の結果との比較によって有効性が評価されているものである.
大気の深い領域では,消滅する加熱フラックスは 1 次元計算で得られているものよりも大気構造を高温の断熱構造へ変換する.これは惑星の半径を大きくすることを示唆している.このモデルでは HD 209458b の観測されている大きな半径を再現するだけではなく,トランジット惑星で観測されている,膨張半径と輻射の相関関係も再現できる.非一様な大気の加熱によって誘起される温位の垂直方向の移流が,輻射を受けるホットジュピターの膨張半径のメカニズムである可能性がある.
arXiv:1704.05440
Tremblin et al. (2017)
Advection of potential temperature in the atmosphere of irradiated exoplanets: a robust mechanism to explain radius inflation
(輻射を受ける系外惑星大気中での温位の移流:半径異常を説明する有力な機構)
概要
強い輻射を受けている系外惑星が持つ異常に大きな半径は,天文学における大きな問題点として残されている.ここでは,半径異常を説明するための新しいメカニズム,すなわち,質量と経度方向の運動量保存による温位 (potential temperature) の移流を提案する.これは地球の大気や海洋で発生している過程である.今回の提案は 2 次元の定常状態大気循環モデルを元にしており,またこの定常状態大気循環モデルは 3 次元計算の結果との比較によって有効性が評価されているものである.
大気の深い領域では,消滅する加熱フラックスは 1 次元計算で得られているものよりも大気構造を高温の断熱構造へ変換する.これは惑星の半径を大きくすることを示唆している.このモデルでは HD 209458b の観測されている大きな半径を再現するだけではなく,トランジット惑星で観測されている,膨張半径と輻射の相関関係も再現できる.非一様な大気の加熱によって誘起される温位の垂直方向の移流が,輻射を受けるホットジュピターの膨張半径のメカニズムである可能性がある.
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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1704.04290
Wang et al. (2017)
Updated Masses for the TRAPPIST-1 Planets
(TRAPPIST-1 の惑星の質量のアップデート)
発見報告論文で報告されている質量は,地上望遠鏡による観測とスピッツァー宇宙望遠鏡による測光トランジット時刻測定の組み合わせから導出されている.この値の不定性は 30%から 100%近くであり,また軌道周期 18.8 日の最も外側の惑星である TRAPPIST-1h は質量が測定されていない.
ここでは K2 ミッションで得られた 73.6 日の測光観測のデータから,トランジット時刻の測定を行った.この解析で,系の全ての惑星の軌道パラメータを改善した.また,内側の 6 つの惑星の軌道離心率の上限を大きく改善した.内側の 6 惑星について,軌道離心率は e < 0.02 という制約が与えられた.
また各惑星の質量は,TRAPPIST-1b, c, d, e, f, g, h はそれぞれ,0.79 ± 0.27,1.63 ± 0.63,0.33 ± 0.15,0.24+0.56−0.24,0.36 ± 0.12,0.566 ± 0.038,0.086 ± 0.084 地球質量である.
arXiv:1704.04290
Wang et al. (2017)
Updated Masses for the TRAPPIST-1 Planets
(TRAPPIST-1 の惑星の質量のアップデート)
概要
太陽系近傍にある超低温矮星 TRAPPIST-1 系での,7 つの低質量でおおよそ地球サイズのトランジット惑星の検出は,最近の系外惑星の発見の中でも最も重要なもののうちの一つである.しかし,惑星のトランジット時刻変動 (transit timing variation, TTV) から得られているそれぞれの惑星の質量はあまりよく制約されていない.発見報告論文で報告されている質量は,地上望遠鏡による観測とスピッツァー宇宙望遠鏡による測光トランジット時刻測定の組み合わせから導出されている.この値の不定性は 30%から 100%近くであり,また軌道周期 18.8 日の最も外側の惑星である TRAPPIST-1h は質量が測定されていない.
ここでは K2 ミッションで得られた 73.6 日の測光観測のデータから,トランジット時刻の測定を行った.この解析で,系の全ての惑星の軌道パラメータを改善した.また,内側の 6 つの惑星の軌道離心率の上限を大きく改善した.内側の 6 惑星について,軌道離心率は e < 0.02 という制約が与えられた.
また各惑星の質量は,TRAPPIST-1b, c, d, e, f, g, h はそれぞれ,0.79 ± 0.27,1.63 ± 0.63,0.33 ± 0.15,0.24+0.56−0.24,0.36 ± 0.12,0.566 ± 0.038,0.086 ± 0.084 地球質量である.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1704.04197
Rogers & McElwaine (2017)
The hottest hot Jupiters may host Atmospheric Dynamos
(最も高温のホットジュピターは大気ダイナモを持つだろう)
ここでは,3 次元の磁気流体力学シミュレーションと解析的な結果を用いて,ダイナモがホットジュピターの薄い安定に成層した大気の中で維持されうることを再現した.このダイナモは,存在が推定されている深い領域でのダイナモとは独立のものである.
この大気ダイナモ (atmospheric dynamo) は,主星から受ける強い非対称的な加熱に起因する,電気伝導度の変化によって維持される.大気ダイナモの存在は惑星表面の磁場強度を増加させ,全体の惑星磁場の構造を変化させる.また,恒星と惑星の磁気的な相互作用にも影響を与えうる.
arXiv:1704.04197
Rogers & McElwaine (2017)
The hottest hot Jupiters may host Atmospheric Dynamos
(最も高温のホットジュピターは大気ダイナモを持つだろう)
概要
ホットジュピターは,極端な環境下における惑星の進化と大気の力学を調べる良い研究対象である.ここでは,3 次元の磁気流体力学シミュレーションと解析的な結果を用いて,ダイナモがホットジュピターの薄い安定に成層した大気の中で維持されうることを再現した.このダイナモは,存在が推定されている深い領域でのダイナモとは独立のものである.
この大気ダイナモ (atmospheric dynamo) は,主星から受ける強い非対称的な加熱に起因する,電気伝導度の変化によって維持される.大気ダイナモの存在は惑星表面の磁場強度を増加させ,全体の惑星磁場の構造を変化させる.また,恒星と惑星の磁気的な相互作用にも影響を与えうる.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1704.03136
Angelo et al. (2017)
Kepler-1649b: An Exo-Venus in the Solar Neighborhood
(ケプラー1649b:太陽近傍の系外金星)
天文学における大きな焦点は,これらの系外惑星のどれが地球に似た特性を持っていると思われ,またどれが地上観測および将来の宇宙空間からのサーベイでのフォローアップに適しているかを決定することである.また,生命の兆候を探すため,惑星の大気を調査するのが究極の目標である.
金星のような大気はこれらのサーベイでも特に興味深い対象である.地球と金星は似たサイズと密度を持つが,地球と金星の大気における大きな差異の要因は未だに明らかではない.地球と金星に似た惑星を研究することにより,既知の系外惑星における生命存在可能性の限界と生命の可能性を明らかにすることが出来る.
ここでは,ケプラー1649b の発見と確認を報告する.これは太陽系近傍の M5V 星を公転する地球サイズの惑星であり,この惑星が中心星から受けるフラックスは金星が受けている日射と近い.
ケプラー1649b のような惑星は,次世代の宇宙空間からの観測での大気と生命存在可能性を探査する最有力候補になりうる.
金属量:[Fe/H] = -0.15
質量:0.219 太陽質量
半径:0.252 太陽半径
半径:1.08 地球半径
軌道長半径:0.0514 AU
日射量:地球が受ける日射量の 2.30 倍
arXiv:1704.03136
Angelo et al. (2017)
Kepler-1649b: An Exo-Venus in the Solar Neighborhood
(ケプラー1649b:太陽近傍の系外金星)
概要
ケプラーによる系外惑星の検出を通じて,地球サイズの惑星は一般的であることが明らかになり,多くの惑星が中心星のハビタブルゾーンの中やその近傍を公転していることが分かっている.天文学における大きな焦点は,これらの系外惑星のどれが地球に似た特性を持っていると思われ,またどれが地上観測および将来の宇宙空間からのサーベイでのフォローアップに適しているかを決定することである.また,生命の兆候を探すため,惑星の大気を調査するのが究極の目標である.
金星のような大気はこれらのサーベイでも特に興味深い対象である.地球と金星は似たサイズと密度を持つが,地球と金星の大気における大きな差異の要因は未だに明らかではない.地球と金星に似た惑星を研究することにより,既知の系外惑星における生命存在可能性の限界と生命の可能性を明らかにすることが出来る.
ここでは,ケプラー1649b の発見と確認を報告する.これは太陽系近傍の M5V 星を公転する地球サイズの惑星であり,この惑星が中心星から受けるフラックスは金星が受けている日射と近い.
ケプラー1649b のような惑星は,次世代の宇宙空間からの観測での大気と生命存在可能性を探査する最有力候補になりうる.
パラメータ
ケプラー1649
有効温度:3240 K金属量:[Fe/H] = -0.15
質量:0.219 太陽質量
半径:0.252 太陽半径
ケプラー1649b
軌道周期:8.689090 日半径:1.08 地球半径
軌道長半径:0.0514 AU
日射量:地球が受ける日射量の 2.30 倍
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1704.02326
Ngo et al. (2017)
No difference in orbital parameters of RV-detected giant planets between 0.1-5 au in single vs multi-stellar systems
(0.1 - 5 AU の間にある視線速度で検出された惑星の軌道要素は単一恒星系と複数恒星系で違いは無い)
このサーベイはこの種の観測の中では最も大きいものであり,これまでに 8 個の連星系の存在を確認し,さらに 3 つの三重星系を確認している.この中には,3 つの新しい複数恒星系 (HD 30856,HD 86081,HD 207832) と,共通の固有運動が新しく確認された 3 つの複数恒星系を含む.
これらの系と,過去の研究で惑星を持つことが視線速度法によって分かっている複数恒星系 7 個を合わせ,単一の恒星系と複数恒星系における,軌道長半径 0.1 - 5 AU の範囲の惑星の軌道の特徴がそれぞれ異なるかどうかについて調べた.
その結果,これらの系において恒星の伴星が惑星の特徴に影響を与えるかどうかについて明確な証拠は発見されなかった.
これらの系では,観測された恒星の伴星は,より遠い場所にいる惑星の軌道要素には影響を及ぼす可能性がある.しかし現在の我々の視線速度観測では,5 AU 以遠の惑星の質量と軌道要素に関しては弱い制約しか得られていない.
これらの系における長周期視線速度の詳細な特徴付けを行う今後の努力を支援するため,これら 144 系の観測データを公開する.また,巨大惑星を持つ階層的三重星系 (hierarchical triple) 6 つの 4 年間のアストロメトリ観測から,これらの系における軌道運動を特徴づけるために恒星の伴星の軌道をフィットした.その結果,二番目の伴星と三番目の伴星の軌道平面は,6 つの系のうち 4 つの系で,edge-on 軌道とは非整合的であった.
arXiv:1704.02326
Ngo et al. (2017)
No difference in orbital parameters of RV-detected giant planets between 0.1-5 au in single vs multi-stellar systems
(0.1 - 5 AU の間にある視線速度で検出された惑星の軌道要素は単一恒星系と複数恒星系で違いは無い)
概要
視線速度法で巨大惑星が検出されている 144 の系の周りで,Keck/NIRC2 による伴星の撮像サーベイ研究を行った.これは,恒星が持つ伴星が惑星の軌道要素に影響を及ぼすかどうかを究明することが主目的である.このサーベイはこの種の観測の中では最も大きいものであり,これまでに 8 個の連星系の存在を確認し,さらに 3 つの三重星系を確認している.この中には,3 つの新しい複数恒星系 (HD 30856,HD 86081,HD 207832) と,共通の固有運動が新しく確認された 3 つの複数恒星系を含む.
これらの系と,過去の研究で惑星を持つことが視線速度法によって分かっている複数恒星系 7 個を合わせ,単一の恒星系と複数恒星系における,軌道長半径 0.1 - 5 AU の範囲の惑星の軌道の特徴がそれぞれ異なるかどうかについて調べた.
その結果,これらの系において恒星の伴星が惑星の特徴に影響を与えるかどうかについて明確な証拠は発見されなかった.
これらの系では,観測された恒星の伴星は,より遠い場所にいる惑星の軌道要素には影響を及ぼす可能性がある.しかし現在の我々の視線速度観測では,5 AU 以遠の惑星の質量と軌道要素に関しては弱い制約しか得られていない.
これらの系における長周期視線速度の詳細な特徴付けを行う今後の努力を支援するため,これら 144 系の観測データを公開する.また,巨大惑星を持つ階層的三重星系 (hierarchical triple) 6 つの 4 年間のアストロメトリ観測から,これらの系における軌道運動を特徴づけるために恒星の伴星の軌道をフィットした.その結果,二番目の伴星と三番目の伴星の軌道平面は,6 つの系のうち 4 つの系で,edge-on 軌道とは非整合的であった.
天文・宇宙物理関連メモ vol.389 Gillon et al. (2017) TRAPPIST-1 まわりの 7 つの惑星の発見