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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:2001.10062
Mercer & Stamatellos (2020)
Planet formation around M dwarfs via disc instability: Fragmentation conditions and protoplanet properties
(M 矮星周りでの円盤不安定性を介した惑星形成:分裂条件と原始惑星の特性)

概要

M 型星を公転する観測された系外惑星のうち,およそ 30% は木星より重い巨大惑星である.これらは主に円盤不安定性を介して形成されたと考えられる惑星である.

ここでは M 矮星まわりでの円盤分裂の条件を調べ,円盤不安定性によって形成される惑星の特性について調査を行った.M 型矮星の原始星の円盤の流体力学シミュレーションを行い,円盤の重力分裂に必要な最小円盤質量を調査した.シミュレーションでは,異なる恒星質量,円盤半径,金属量を考慮した.またシミュレーション中では,原始惑星系円盤の質量は円盤が分裂し原始惑星が形成されるまで定常的に増加させる.

その結果,円盤の分裂が発生するためには,円盤と恒星の質量比が 0.3-0.6 である必要があることが分かった.円盤が分裂するのに必要な最小質量は,恒星質量と円盤サイズに伴い大きくなる.円盤の金属量は最小円盤分裂質量に大きく影響を及ぼさないが,金属量が高いほうが分裂は抑制される.

原始惑星は恒星から ~50 AU の距離で,数千年以内という短い時間で急速に形成され,初期は非常に高温である.これらの原始惑星の中心部は,コア降着で形成される惑星の降着衝撃波で期待されるものと同程度の温度になる (最大 12000 K).
これらの惑星の最終特性 (質量と軌道半径) は,長時間にわたる円盤と惑星の相互作用や惑星惑星相互作用で決まる.

結論としては,形成の初期段階での円盤質量が中心星の少なくとも 30% ある場合,円盤不安定性は M 型矮星の周りの巨大ガス惑星を形成するもっともらしい経路であると考えられる.M 型星まわりの重い円盤や,非常に若い M 矮星まわりの惑星の将来的な観測が,低質量星周りでの惑星形成における円盤不安定性の重要性を確立するために必要である.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:2001.09235
Chametla et al. (2020)
Capture and migration of Jupiter and Saturn in mean motion resonance in a gaseous protoplanetary disc
(ガス原始惑星系円盤内での平均運動共鳴にある木星と土星の捕獲と移動)

概要

原始太陽系星雲のようなガス円盤の中に埋もれている木星と土星の力学的な進化を,FARGO2D1D の流体力学シミュレーションを用いて研究した.惑星同士の異なる軌道間隔 \(\Delata a_{SJ}\) に対する進化を調査し,それらの惑星が平均運動共鳴に捕獲されるかどうか,および惑星のその後の移動の方向について調査した.また土星の成長の異なる段階における惑星の軌道力学の評価も行った.

その結果,初期がコンパクトな軌道配置であった場合の系の進化は.\(\Delata a_{SJ}\) の値に依存することが判明した.このことは,グランドタックモデルで提案されているような進化は,木星と土星の正確な初期の軌道と,それらの形成のタイムスケールに依存していることを示唆している.1:2 MMR への捕獲,および内側移動もしくはほぼ抑制された惑星移動が起きることが強く好まれる.

今回の結果は,この極限では,木星と土星の共鳴捕獲に伴った逆向きの惑星移動は進化のシナリオとしては低確率である可能性があり,そのため他の巨大惑星を複数持つ惑星系ではグランドタック的な進化経路を経験しているものは少ないだろうと示唆される.

太陽系形成のための理論モデル

太陽系の形成を説明するためのモデルには複数があり,一例としてニースモデルが提唱されている (Tsiganis et al. 2005).これは木星と海王星のトロヤ群のカオス的な捕獲や (Morbidelli et al. 2005),地球型惑星へのいわゆる後期重爆撃期などを説明する目的がある.このモデルは,カイパーベルトの形成の半定量的な記述や外部太陽系の永年力学についても記述している.しかしこのモデルは最初に提案されて以降,いくつかの改訂も受けていることにも注意が必要である.

他の例として,いわゆる「グランドタック」シナリオ (Walsh et al. 2011) が提唱されている.これは内部太陽系のいくつかの特性を説明することを目的としたモデルである.
このモデルでは,木星は原始惑星系円盤にガスが豊富に存在する段階で,太陽から 3.5 AU 程度のスノーライン周辺で形成されたと考える (Ciesla & Cuzzi 2006).この場所は主に氷の凝結によって固体の表面密度が増加する場所であり,巨大惑星を形成する場所として好ましい条件であると考えられている.

このシナリオでは,木星が円盤からの急速なガスの降着を終えた段階で土星はまだ成長途中であり,現在の 30% の質量に到達しており太陽から 4.5 AU の位置にいたと仮定している.土星がガス降着の段階を終えて最終質量 (95 地球質量) に到達する一方で,土星は木星よりも速く円盤の内側へ移動し,その後木星との 3:2 平均運動共鳴の場所に到達する.この進化の途中において,木星は 1.5 AU の距離に到達し,土星の質量は 60 地球質量程度に達している.その後土星と木星の軌道は共鳴配置に固定される.

グランドタックシナリオでは,共鳴への捕獲によって木星と土星の外側への移動が駆動され,2:3 共鳴への固定は維持されると考えている.2 × 105 年程度にわたって惑星は円盤内を外側へ移動し,比較的新しい時期に形成された天王星と海王星 (それぞれ 6, 8 AU の位置) に接近し,それらも同じく共鳴に捕獲されて太陽から離れる方向に押し出される.惑星の外側移動は円盤のガスが散逸するにつれて停止し,太陽系はコンパクトな複数の共鳴配置になる.太陽系の現在の軌道配置を形作る最終段階には,微惑星の残りの円盤と外側の惑星の相互作用が関わっており,現在の配置に至るカオス的で急速な外側移動が発生した.

木星が他の惑星やあるいは微惑星の重い円盤と相互作用を起こさない場合,惑星は円盤にギャップを開け,木星は円盤の潮汐トルクによって中心星の方向へと移動する.これは古典的なタイプ II 移動と呼ばれるものである (Lin & Papaloizou 1993など).ギャップを形成する惑星の研究は多く行われているが,いずれも惑星は内側へ移動すると予測している.

しかし円盤内に他の惑星が存在した場合,円盤中の重い惑星の力学的な進化は変化する.このような重力的相互作用は,木星の移動を減速したり,停止させたり,あるいは反対方向に移動させたりする場合すらある.

グランドタックモデルは,Masset & Snellgrove (2001) の研究に着想を得ている.その研究では木星と土星はそれぞれ 5.2, 10.4 AU が初期位置であり,円盤のスケールハイトは h = 0.04,ガスの面密度は一定,ガスの粘性は一定で乱流のパラメータは α = 10-3 (\(\nu\propto\alpha h^{2}\)) という条件を想定している.

Morbidelli & Crida (2007) は異なる円盤パラメータの下で計算を行い,h と ν を変更した.その結果,νが 10-6 程度,h ~ 0.03 の場合,木星と土星が外側に移動しうることを発見した.これらのパラメータでは,木星と土星は 3:2 平均運動共鳴に捕獲される.
しかしいくつかの粘性とスケールハイトの組み合わせでは,木星と土星が共鳴に捕獲された後に,準静的な (非常にゆっくりな) 進化を示すものもある.これは,内側と外側の惑星の質量比が 3 より小さい時に発生する.

Zhang & Zhou (2010) では面密度分布の影響を調査した.ここでは νと h は固定で,\(\Sigma\left(r\right)\propto r^{-\beta}\) として,\(\beta\) を変化させた.\(\beta\) が 0-1 のときは,収束する惑星移動の速度が軌道共鳴を破るには遅すぎるため,木星と土星は 2:1 平均運動共鳴に捕獲される.\(\beta > 4/3\) のときは 3:2 平均運動共鳴に捕獲される.

興味深いことに,土星のギャップは木星の潮汐摂動の影響を受けるため,土星は内側にも外側にも移動しうる.外側移動は \(\beta \geq 4/3\),内側移動は \(\beta \leq 4/3\) の時に発生する.

その他にも,様々な研究が行われている.
  • 惑星への降着は,2 惑星の質量比を変えることによって外側移動を非活発化させる.また,内側円盤の枯渇も移動に関係している可能性がある.典型的な円盤の条件では,木星と土星は 2:1 平均運動共鳴に捕獲される可能性が高い (D’Angelo & Marzari 2012).
  • 木星と土星は,1 AU でのガス面密度が 1800 g cm-2 以下の場合は 2:1 共鳴に捕獲される,αが 10-4<>/sup より小さい低粘性円盤で,円盤のアスペクト比が 0.02 程度と小さい場合,2 惑星は外側に移動する (Pierens et al. 2014).

計算設定

惑星重力のソフトニング長は ε = 0.7 H0 (H0 は r = r0 でのスケールハイトで,今は r0 = 5.2 AU).また 0.5 H0 での結果も比較する.

土星の質量は 1.8 × 10-4 太陽質量 (現在の 2/3) に固定する.

惑星に働くトルクは,ヒル半径以内の距離のものはカットオフする.

二次元計算では計算範囲は 0.26 - 8.65 AU,等間隔のメッシュ分割で 512*384 とする.一次元計算での計算範囲は 0.026-36.4 AU とする.

面密度は半径の -1/2 乗で分布させる (\(\beta=1/2\)).r0 = 5.2 AU での非摂動面密度は 2.25 × 10-5 太陽質量/AU2 とし,これは 200 g cm-2 に対応する.

円盤は局所等温を仮定し,円盤のアスペクト比は 0.05 に固定する.また円盤の粘性は α = 10-3 (10-2 もテストケースとして計算)

結果

グランドタックシナリオに基づいた初期条件では,木星は既に形成されており,1.5 AU の距離に移動する.その段階で土星は現在の質量の 2/3 に到達しているとする (runs 1-10).土星はスノーラインの周辺かすぐ外に位置する.土星の初期位置は,1:2 と 2:3 共鳴の位置を含む範囲で変化させた (いくつかは 1:2 共鳴より内側に土星の初期位置がある).

最初の 2200 年は惑星軌道を固定した (r0 で 200 周程度させる),その後 50000 年かそれ以上は惑星の移動を許す設定とする.最初の方に移動を止めているのは,円盤ギャップ形成の時間を確保するためである.

共鳴に捕獲された位置と計算終了時の木星の位置が 5% 違えば,木星は移動したと判断する,その向きによって内側か外側移動かを判断する.それ未満の移動量であれば停止 (stalled) と判断する.

初期の移動フェーズ

モデル 1 (土星 2.0 AU,つまり \(\Delata a_{SJ}\) = 0.5 AU) では,木星と土星は 2:3 平均運動共鳴に捕獲され,外側移動する.モデル 4 (土星 3.0 AU, \(\Delata a_{SJ}\) = 1.5 AU) とモデル 7 (土星 4.5 AU, \(\Delata a_{SJ}\) = 3.0 AU) は,土星が 1:2 平均運動共鳴の外側の位置から開始し,木星に接近してこの共鳴に捕獲される.

土星の移動は type I 移動だと考えられるので,総トルクはリンドブラッドと共回転トルクで,type I 移動の式から推定した.type I の計算では,軌道移動速度は type I がモデルより大きいか同程度なので,木星と共鳴に入る前に暴走的な移動は経験していないと示唆される.

結果として,土星が木星との 1:2 平均運動共鳴の外側で形成された場合,木星には type I 惑星移動の速度で接近する.この場合,土星の動径方向の移動速度が遅いため,土星は 1:2 平均運動共鳴に捕獲される.結果として,木星・土星ペアの移動はほぼ停止か,内側移動を継続することになる.

ギャップ形成の影響

木星と土星の距離が近い場合,土星が形成する円盤のギャップは,木星の深いギャップと被っている.モデル 1 と 3 では両惑星は既に共鳴に入っている一方,距離が離れたモデル 4 と 7 では共鳴捕獲はそれより遅い.モデル 4 (間隔 1.5 AU) では両惑星のギャップは離れているが,土星が引き起こした円盤内側の波は木星が開けたギャップ領域にまで広がっており,局所的な密度上昇を起こす.モデル 7 (間隔 3.0 AU) では土星の距離はさらに遠い.

木星のギャップは基本的には土星の潮汐場からは影響を受けておらず,逆も同様である.両惑星の進化は,それぞれの天体がガス円盤と相互作用することで発生する.

軌道間隔の影響

土星の軌道進化が早いため,木星の初期軌道は重要ではない.しかし円盤の面密度が低い場合は,相対的な移動速度が減少するため進化が異なる可能性がある.

グランドタックモデルでは,木星と土星の 2 惑星が共鳴に入った後に外側に動く必要がある.このような進化は,土星の質量が 2 × 10-4 太陽質量以上の時に,土星が木星との 1:2 平均運動共鳴に近いかそれより内側にいる時に発生する可能性がある.実際,これらの状況では 2 惑星の軌道移動は収束性であり,2:3 平均運動共鳴に捕獲される可能性がある.

代わりに,もし土星が 1:2 共鳴の外側にいる場合,惑星はその共鳴に捕獲される可能性が非常に高く,外側移動は起きにくい.

モデル 1 は初期の段階で 3:2 共鳴に近い位置にある (間隔 0.5 AU).軌道が近いため,木星のギャップ周辺の領域 (軌道の外側) は土星の潮汐場に影響を受ける.土星が 2:3 平均運動共鳴を横切るとき,円盤によって木星にはたらく外側の負のリンドブラッドトルクが土星のギャップの存在によって弱められ (密度が低くなるためトルクが減少する),内側の正のリンドブラッドトルクが全体のトルクのバランスを変化させ,内側の惑星を (したがって惑星ペアも) 外側へ移動させる.この状況は間隔 0.73 AU のモデル 2 も同様である.

モデル 3 (間隔 1.0 AU) では,土星は 1:2 平均運動共鳴のすぐ近くから始まるが,土星が共鳴を通過する際,木星と土星のギャップのオーバーラップが発生しない.移動速度は共鳴からの強制に打ち勝つのに十分なほど速く,そのため土星は 2:3 共鳴に到達するまで内側移動を続ける.

原理的には,もし内側の惑星の移動が外側の惑星よりもずっと遅く,外側の惑星が type I 軌道移動の速度で動いているのであれば,共鳴捕獲を決めるのは共鳴を交差した際の軌道半径である.これは,外側惑星の相対的な移動速度は,べき乗則の円盤を仮定すると惑星の位置 rp に依存し,ここでのシミュレーションでは rp に比例するからである.

もし木星の初期軌道がモデル 4-9 のように同じであり,しかし土星の初期軌道長半径が増加する場合 (4-9 で 3-5.2 AU まで変化),1:2 平均運動共鳴を通過する場所はより短い軌道長半径になる.これは木星の内側移動が原因である.その結果,初期の軌道間隔が大きくなると,土星が木星との 1:2 平均運動共鳴を通過する際の相対速度は小さくなる.モデル 4 ではこの共鳴に捕獲されているため,他のモデルでもこの共鳴に捕獲されるはずである (他のモデルは共鳴接近時の相対速度がさらに小さいため).計算結果はそれに一致する.

注意点としては,もし外側惑星が type III 移動の状態にある場合 (例えばガス密度がずっと大きい場合),結果は異なり,軌道間隔が大きくなるにつれて相対的な軌道移動速度は大きくなる.

モデル 4-9 では共鳴捕獲後の振る舞いは他の要素に依存する.例えば,円盤内での潮汐に誘起された密度擾乱や,共鳴を通過した時の半径の違いなどである.モデル 4-6 では木星に働くトルクはバランスしており,軌道移動は小さい (共鳴捕獲後の移動が 5% 未満の stalled に分類).他のケースでは合計のトルクは負であり内側移動が継続する.

モデル 10 は惑星軌道の間隔はモデル 6 と同じ 2.5 AU で,木星の初期位置が 2 AU である.そのためモデル 6 と比べると共鳴を通過するのはより遠方となる.そのため共鳴での相対移動速度は大きい.しかし土星が 1:2 平均運動共鳴を通過する際に共鳴に固定される.
共鳴ペアが進化するに伴って軌道離心率が共に上昇し,振動サイクルを起こす.平均的には木星は離心率 0.25,土星は 0.15 となるが,しかし木星の離心率振動が増加すると土星も上昇する.その後木星の離心率は 0.3 程度まで上昇し,土星は 0.5 程度に到達.その後土星は木星との 1:2 共鳴を通過し,2:3 に固定されるまで内側に移動する.この共鳴配置では木星の離心率は減衰するが,土星は計算の最後まで 0.1 にとどまる.

1-10 の結果をもとにすると,土星が木星との 2:3 平均運動共鳴に捕獲されるというシナリオは,惑星がコンパクトな配置で始まった場合はもっともらしい結果となる.つまり,土星が 1:2 平均運動共鳴より内側で,質量が現在の 2/3 程度で始まった場合は,土星と木星は 2:3 の平均運動共鳴に捕獲されうる.

木星と土星が 2:3 平均運動共鳴に捕獲されると,惑星ペアは外側に移動する.そうではない場合,つまり土星が木星より離れた位置で形成された場合,1:2 平均運動共鳴に捕獲され,軌道移動は内側へ続くか,抑制される.

土星の質量の軌道移動と共鳴捕獲への影響

初期の土星質量を現在の土星質量にした場合,惑星は外側移動を起こす.
モデル 1b は予想通り,モデル 1 と同じ結果となる.しかし土星質量を変えただけのモデル 4b と 7b では,4 と 7 では内側移動が継続するか移動が停止するという結果だったのに対し,外側移動を起こした.4b では土星が木星に接近する速度が速く,2:3 共鳴に捕獲される.モデル 4 では,土星のギャップは木星にかかる外側リンドブラッドトルクを抑制して,木星の合計トルクはほぼ 0 となり stalled になる.しかし 4b ではギャップのオーバーラップが大きくなり,外側リンドブラッドトルクをより強く抑制する,そのため惑星ペアを外向きに移動させる.

モデル 7 と 7b の違いも同じである.この場合も土星の移動速度は type I 移動の範囲内だが,7 と 7b では後者のほうが 4 倍速い.そのため 1:2 平均運動共鳴の強制を超えることができ,その次の 1 次の共鳴である 2:3 に捕獲される.

モデル 4b と 7b の結果は,木星との共鳴に捕獲される前の土星の降着の歴史を調べるのが重要であることを示す.

また木星への降着の影響についても調査した.
両惑星への降着が及ぼす影響については,Masset & Snellgrove (2001),Morbidelli & Crida (2007) で 2 次元計算で調査されている.その結果,移動の速さと方向には強い影響を及ぼさないと結論付けられている.両研究では降着モデルは Kley (1999) を使用している.

降着は典型的に 3 次元的な現象であるため,土星への降着は高精度 3 次元流体力学計算から導出される (Bodenheimer et al. 2013).ここでは円盤律速の降着率.つまり惑星が達成できる最大の維持された降着を仮定する.

降着あり計算では,土星の初期質量は 1.8 × 10-4 太陽質量とし,惑星の移動を開始させてから降着も開始させる.この質量では土星は暴走降着段階に入っている可能性があるが,降着率は周囲の円盤の供給率には必ずしも (まだ) 制限されていない.そのためここではガス降着率を過大評価し,惑星の成長タイムスケールを過小評価している可能性がある.だが,成長のこの段階で,収縮は質量倍加時間を ~1000 年程度に決定する可能性がある.なお木星への降着は無視する.

この計算状況では土星が現在の質量に到達するまでには 600 年程度が必要であり,その段階で降着が停止すると仮定している.しかし実際には土星は成長を続けるはずである.その場合,内側へのガスの降着を減らし,木星の成長を止め,円盤散逸などの阻害効果が土星への降着を止めない限り,木星よりも大きくなりうる.

ここでの仮定では,土星の質量が成長していることはモデル 4a と 7a の軌道進化には大きな影響を及ぼさず,質量を固定したモデルと同様になる.全体としては,この研究の範囲内では,共鳴捕獲への影響は,土星が移動を開始した際のギャップ形成などの円盤条件のほうが,土星が 現在の 2/3 倍の質量から現在の値まで質量成長する歴史よりも重要であることが示唆される.

土星がより形成の早い段階で移動を開始した場合,つまりより低質量の時に移動開始した場合,相対的な移動速度が遅いため,1:2 共鳴を通過できる可能性は低い.この場合,1:2 平均運動共鳴に近い位置かそれより内側から開始することは助けにならない.なぜならば,その場合の計算においても共鳴捕獲後の惑星ペアの動きは内向きになるためである (D’Angelo & Marzari 2012).

結論

木星と土星がまず内側移動し,その後外側移動に転じるという進化は,初期の両惑星の軌道間隔に依存する.特に,多くの場合では 2 惑星は 1:2 平均運動共鳴に捕獲され,その場合内側移動を継続するか惑星移動が停止する.外側移動を起こすためには 2:3 平均運動共鳴に捕獲される必要があり,そのためには 1:2 平均運動共鳴に近い位置かそれよりも内側という,コンパクトな軌道配置からの計算開始が必要でる.

今回のモデルの中では,モデル 7 が最もグランドタックモデルでの仮定に近い条件である.
グランドタックシナリオでは,木星は 3.5 AU から 1.5 AU へと type II 移動を 105 年程度続けている.その間,土星は 4.5 AU で 30 地球質量から 60 地球質量まで成長し,内側へ移動を開始する.モデル 7 の円盤は双方の要求と一致する.

グランドタックで行われているように,土星の成長は突然減速し停止することを仮定すると,モデル 7 はすべての必要な要件を再現する.しかし,土星が木星との 1:2 平均運動共鳴の位置に到達するとその共鳴に捕獲され,惑星ペアは内側移動を継続する.
モデル 5-9 はモデル 7 のバリエーションであり,どれも 1:2 平均運動共鳴に捕獲され,惑星ペアは外向きに移動しない.

モデル 1-4 は,土星が 30 から 60 地球質量に成長している間にいくらかの惑星移動を必要とする (なおかつ木星に近付きすぎないことが必要).しかし,これらの 2:3 平均運動共鳴での軌道の固定とその後の外側移動を起こすのは,土星は既に形成された木星との 1:2 平均運動共鳴の位置に近いかそれよりも内側で,なおかつ最終質量の 2/3 の質量で開始している場合のみである.

モデル 10 のような別の初期条件はより変わった軌道の振る舞いをみせるが,太陽系形成の有効な選択肢とはなり得ないだろう.これは 2 惑星の軌道離心率が上昇し,その結果小惑星帯の天体を破壊し枯渇させてしまうからである.また,土星の軌道離心率が現在の値にまで減衰するかどうかも不明である.

また土星が既に形成された状態から移動を開始した場合 (b のモデル) も検証し,さらに土星が移動を開始した際に円盤律速の質量降着を適用した場合 (a のモデル) も考慮した.ただし木星の値は常に最終値 (現在の質量) に固定した.降着しているモデルは通常のモデルと同様の振る舞いだったが,最終質量にしたモデルは 2:3 共鳴に入り逆向きに移動する.しかし,より重い土星による重力的な擾乱のため,小惑星帯が破壊されうる.

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arXiv:2001.09283
Vazan & Sari (2020)
On the aspect ratio of Oumuamua: less elongated shape for irregular surface properties
(オウムアムアのアスペクト比について:不規則な表面特性をもつ細長くない形状)

概要

恒星間天体オウムアムアの光度曲線の変動が大きいことは,オウムアムアの形状と関連している可能性がある.すなわち,最も長い軸と最も短い軸の比 (アスペクト比) が関連している可能性がある.

いくつかの手法による推定では,オウムアムアのアスペクト比は異常に細長いことが示唆されている.さらに,そのような極端な光度曲線になるためには,オウムアムアの自転軸の向きは観測者に対して垂直である必要があるが,これは確率的には可能性が低い.

しかし,恒星間天体であるオウムアムアは,我々が知る太陽系内の天体のものとは異なる表面特徴を持っている可能性がある.そのためここでは,小惑星的なモデルから表面特性に関するパラメータ空間を拡張し,それがオウムアムアの光度曲線に及ぼす影響を調査した.

4 つのモデルに対して,回転する楕円体形状の天体における光の反射を計算した.それぞれ,ランバート反射,鏡面反射,単一散乱の拡散と後方散乱である.その後,天体のアスペクト比の関数として,観測されたものより大きな光度曲線が得られる可能性を計算した.ここで,自転軸の配置は等方的であることを仮定した.

その結果,ランバート反射と鏡面反射のモデルでは,オウムアムアの細長さは極端な値ではなくなることを見出した.その結果として,自転軸の方向が未知である場合,観測されたオウムアムアの光度曲線の比となる確率は,これらのモデルのほうが高くなる.

ここでは,異なる表面の反射特性がオウムアムアの極端な形状の代替説になることを示す.オウムアムアの形状が極端に細長くない場合,複雑な形成シナリオや極端なアルベドの違いを仮定する必要がなくなる.ここで示唆しているものは理想的な楕円体形状で理想的な反射手法のものであるが,今回の結果は導出されたアスペクト比に対する表面特性の重要性を強調するものである.

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arXiv:2001.08757
Veras et al. (2020)
Constraining planet formation around 6M⊙-8M⊙ stars
(6-8 太陽質量の恒星周りでの惑星形成の制約)

概要

O, B 型星の周りに惑星の存在を同定することは本質的に難しい.惑星を持っていることが分かっている恒星の中で,最も重いのはわずか 3 太陽質量である.しかし,中心星が白色矮星に進化する過程を生き延びた惑星系の存在は,白色矮星の光球にある痕跡量の金属や,星周ダスト・ガス円盤,および惑星の破片のトランジットによって検出されている.これらの特徴は,コア崩壊を起こす境界である 8 太陽質量までの質量を持つ中心星での,惑星形成の効率を探査するのに用いることができる.

ここでは,惑星や小惑星が中心星の白色矮星の段階まで生き残るために,6-8 太陽質量の恒星の周りでどこに存在している必要があるかについての限界を調査した.この質量範囲の恒星周りでは,地球型惑星と巨大惑星が無傷でいるためには,それぞれ中心星からおよそ 3 au と 6 au の距離が必要である.

これらの系では,ラブルパイル状の小惑星は巨星分枝の輻射の YORP 効果による回転加速の影響で破壊されうる.半径が 10, 1.0, 0.1 km のものはそれぞれ,数十,数百,数千 au 以内で破壊される.

これらの境界値は,白色矮星大気における金属汚染の先駆体の性質を識別するのに役立つ.最も大きな質量の白色矮星となる恒星周りでの惑星形成は可能であり,そのためこれらの系における惑星形成の研究と,高質量の白色矮星の分光解析を行うことを提案する.

背景

系外惑星に関する様々な探査では,惑星,小惑星,彗星や天体破片などを含む,小天体の発見が報告されている.中心星は,褐色矮星や,M 型から B 型までの主系列星,準巨星,赤色巨星分枝,白色矮星,パルサーなど多岐にわたる.しかし現時点では,O 型星,漸近巨星分枝星,ブラックホールの周りでは,惑星の確実な検出は報告されていない.

2019 年 11 月 21 日の時点で,NASA Exoplanet Archive の “confirmed” (確認済み) に登録されている 4099 個の惑星の中で,中心星の質量が 10% 以内の精度でよく制約されているもので質量が最も大きいのは o UMa b (おおぐま座オミクロン星b) であり,中心星のおおぐま座オミクロン星は 3.09 太陽質量である (Sato et al. 2012).3.0 太陽質量の検出のカットオフは鋭いものではなく,恒星質量の関数としての発見個数の減少を反映している.

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arXiv:2001.08834
Nielsen et al. (2020)
Mass determinations of the three mini-Neptunes transiting TOI-125
(TOI-125 をトランジットする 3 つのミニネプチューンの質量決定)

概要

Transiting Exoplanet Survey Satellite (TESS) は現在,明るい恒星周りのトランジットする小さい惑星の全天サーベイを行っている.TESS のサーベイの初年度に,海王星よりも小さい惑星 50 個の密度を測定するという主要な科学目標を達成するという着実な進展があった.初年度は TESS の観測は南天の黄道半球にフォーカスしており,その発見の中には TOI-125 を公転する 3 個のミニネプチューンの発見もあった (Quinn et al. 2019).

ここでは,HARPS による視線速度観測から,TOI-125b, c, d の質量を精密に測定した.
TOI-125b は軌道周期が 4.65 日で,2.726 地球半径.9.50 地球質量であり,TOI-125c と 2:1 の平均運動共鳴に近い.TOI-125c は軌道周期 9.15 日で,2.759 地球半径と b と近い半径を持ち,質量は 6.63 地球質量と,3 惑星の中ではもっとも低密度である.TOI-125d は軌道周期 19.98 日,2.93 地球半径,13,6 地球質量である.
TOI-125b, d の離心率は異常に高く,それぞれ 0.19 と 0.17 である.

今回の解析では,2 つの低シグナルノイズ比の惑星候補 2 つの質量の上限値も与えた.
惑星候補 TOI-125.04 は,1.36 地球半径,軌道周期 0.53 日で,質量の上限値は 2σ で 1.6 地球質量である.TOI-125.05 は,4.2 地球半径,軌道周期 13.28 日で,質量の上限値は 2.7 地球質量であるため,実在する惑星である可能性は低い.

また確認されている 3 惑星の内部構造や,系の安定性や構造などについても議論.

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