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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:2003.04856
Nugroho et al. (2020)
Searching for Thermal Inversion Agents in the Transmission Spectrum of MASCARA-2b/KELT-20b: Detection of Neutral Iron and Ionised Calcium H&K Lines
(MASCARA-2b/KELT-20b の透過スペクトル中の温度逆転要因の探査:中性鉄と電離カルシウム H&K 線の検出)

概要

惑星大気の温度逆転層を引き起こしている原因物質を探るため,KELT-20b/MASCARA-2b の透過スペクトルを解析した.データは HARPS-N を用いた 3 回のトランジットと,CARMENES での 1 回の観測によって得られたものである.

1 次元平行平板大気モデルに等温大気と太陽金属量での化学平衡を仮定して生成した分光テンプレートを用いて,恒星と地球のスペクトル線を除去してから相互相関を取った.尤度マッピングの手法を用いて,Fe I を >13σ で,Ca II H&K 線を >6σ で検出し,また過去の Fe II と Ca II IRT と Na I D の検出を確認した

Fe I のスペクトル線の波長は -3.35 km s-1 だけ惑星の静止系からずれており,強い昼夜間の風の存在を示唆している.また,今回用いた尤度マッピング技術では,惑星大気の異なる高度に起因する分子種の検出も行われた.

相互相関に用いられたスペクトル線のリストが正確であることを仮定すると,その他の温度逆転を引き起こしうる原因物質候補 (NaH, MgH, AlO, SH, CaO, VO, FeH, TiO) は検出されなかった.このことは,非化学平衡メカニズム (コールドトラップなど) が Ti と V を含んだ物質を高層大気から取り除いた可能性を示唆している.

したがって今回の結果は,この惑星は TiO/VO による可視光の吸収に関連したメカニズムでは,大気の温度逆転層を保持できないことを示している.そのため温度逆転層の存在は,Fe I や Fe II などの金属原子に由来している可能性がある.

最後に,全ての Fe I のシグナルは「二重ピーク」構造であったことを報告する.これは大気の動力学を示す兆候である可能性がある.しかし,このシグナルの由来を明確に決定するためにはさらなる調査が必要である.






arXiv:2003.04650
Stangret et al. (2020)
Detection of Fe I and Fe II in the atmosphere of MASCARA-2b using a cross-correlation method
(相互相関手法を用いた MASCARA-2b の大気中の Fe I と Fe II の検出)

概要

ウルトラホットジュピターは,中心星からの強い輻射の影響で昼側の温度が 2200 K を超えている.このような惑星は,系外惑星の高層大気の化学を透過光分光観測を用いて研究する良い対象である.

系外惑星大気による吸収の特徴は,トランジット最中の残余スペクトルのノイズの中に埋もれている.しかし大気の透過光モデルとの相互相関を行うことで,数百もの大気による吸収線の情報を復元でき,この技術により系外惑星大気のシグナルを大きく増加させることが出来る.
惑星大気の透過光の高分散スペクトルには,ロシター効果と center-to-limb variation が大きく寄与する.

ここでは,ウルトラホットジュピター MASCARA-2b/KELT-20b の大気中からの Fe I (中性鉄原子) の初検出と,Fe II (鉄イオン) の吸収特徴の確認を報告する.HARPS-N を用いた 3 回のトランジット観測から得られたスペクトルを元にしている.

検出された Fe I, II の吸収は青方偏移しており,それらの大きさは Fe I で -6.3 km s-1,Fe II は -2.8 km s-1 であり,惑星大気中の昼から夜側への風の存在を示唆している.これらの結果は,この惑星に対する過去の研究結果を確認するものである,

またこの惑星大気で検出されている数々の成分に,新たな原子種 (Fe I) が追加された.MASCARA-2b は KELT-9b と共に,現在最も特徴に富んだウルトラホットジュピターである.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:2003.04872
Lampón et al. (2020)
Modelling the He I triplet absorption at 10830 Angstroms in the atmosphere of HD 209458 b
(HD 209458b の大気中での 10830 オングストロームの He I 三重項吸収のモデル化)

概要

HD 209458b は高層大気が流出している系外惑星であり,これは主に高層大気の Lyα 線での吸収から研究されている.最近では He I 三重項の 10830 Å の吸収の高分散測定から,HD 209458b を含むいくつかの系外惑星で観測結果が報告されており,惑星から散逸する大気を探査する新しい機会となっている.

ここでは,HD 209458b の大気散逸が発生している領域のよりよい理解を目的とした研究を行う.大気の熱圏の球対称 1 次元流体モデルを開発し,中性ヘリウム原子の三重項状態のポピュレーションを導出するための非局所的熱力学モデルと合わせた.さらに,高分散輻射輸送計算で He 三重項の合成スペクトルを計算した.大気パラメータの情報の復元を行うため,測定された吸収スペクトルと比較を行った.

その結果,測定されたスペクトルからは,[H]/[H+] の遷移が発生する高度は 1.2-1.9 惑星半径であることが示唆される.また,2.9 惑星半径以上の高度では水素はほとんど完全に電離していると予想される.また X 線と極端紫外線の吸収は,有効半径 1.16-1.30 惑星半径で発生しており,He I 三重項の密度の極大は 1.04-1.60 惑星半径であることが示された.さらに,平均した分子量は 0.61-0.73 g mol-1 と制約された.

熱圏の H/He 比は 90/10 より大きく,もっともらしい値はおよそ 98/2 である.また質量放出率と温度の一対一対応関係も与えた.エネルギー律速散逸に基づき,また大気の加熱効率が 0.1-0.2 であると仮定すると,質量放出率は 0.42-1.00 × 1011 g s-1,対応する温度は 7125 - 8125 K となる.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:2003.04877
Komacek et al. (2020)
Re-inflation of warm and hot Jupiters
(ウォームジュピターとホットジュピターの再膨張)

概要

トランジットする高温な巨大ガス惑星の多くに見られる半径異常は,惑星科学における基礎的な問題である.最近報告されている,主系列を離れた後の恒星を公転するウォームジュピターの再膨張の検出と,主星が主系列の進化の段階におけるホットジュピターの再膨張の検出から,ホットジュピターの半径異常のモデルに制約をかけることが出来る.

ここでは,ガス惑星の再膨張を説明する進化モデルを提示し,注入される熱の深さと強度の変化が,主系列でのホットジュピターの再膨張と主系列後のウォームジュピターの再膨張の両方にどのように影響を及ぼすかを決定した.

その結果,ホットジュピターを再膨張させるためには,惑星の冷却を抑制するのに必要な場合よりも深い位置での加熱が必要であることを見出し,また再膨張の時間スケールは加熱率と深さの増加に伴って減少することを見出した.

惑星内部での加熱率と加熱が発生する深さの間には強い縮退があり,浅い位置での強い加熱と深い位置での弱い加熱は,どちらも主系列のホットジュピターの再膨張の説明となることを見出した.

この加熱率と深さの縮退は,中心星が主系列を離れた後のウォームジュピターの再膨張では破れる可能性がある.これは再膨張が主系列後の時間スケールの範囲内で急速に発生する必要があるためである.また,観測から示唆されている加熱率の恒星フラックスへの依存性は,ウォームジュピターとホットジュピター両方の再膨張を説明可能である.

TESS は主系列段階後の恒星を公転するウォームジュピターを多く発見することが期待されており,巨大惑星の半径異常を引き起こしているメカニズムを制約するのを助けるだろう.

ホットジュピターの膨張半径

膨張半径問題

多くのトランジットするホットジュピターは,一般的な進化モデルから予測されるよりも大きな半径を持っており,これは系外惑星科学における重要な未解決問題になっている.これを説明するために多数の仮説が提案されている.例えば,潮汐機構によるもの,ホットジュピター内での微小物理過程の修正によるもの,恒星から入射するフラックスが駆動する流体力学的な機構,オーム散逸などである.

ホットジュピターの半径分布の研究からは,半径異常は平衡温度が 1000 K を超える巨大ガス惑星のみで発生することが分かっている.また,膨張の度合いは中心星からの入射フラックスとの相関が見られる.結果として,ホットジュピターを膨張させているメカニズムは,主星からの入射フラックスに直接結びついていると考えられる.

最近では Thorngren & Fortney (2018) によって,熱として惑星内部に注入される輻射の割合は,平衡温度が中間的な 1600 K 程度で極大になり,それより高温側でも低温側でも,惑星内部に注入されるエネルギーの割合は低下することが示された.

半径の再膨張

Lopez & Fortney (2016) は,ウォームジュピターは中心星の進化に伴ってその平衡温度が 1000 K の閾値を超えるようになると,惑星の深部に十分な熱が注入されるために半径が再膨張すると予測した.
最近のケプラー K2 ミッションによるウォームジュピターの観測では,主系列段階から進化した恒星を公転するウォームジュピターの中で,半径が再膨張した可能性のある天体が 3 つ発見されている (Grunblatt et al. 2016, 2017, 2019).これらの惑星は 1.3-1.45 木星半径と大きく膨張しており,惑星に入射する中心星の輻射のうち 0.03% が惑星の非常に中心部に注入された場合に説明可能であるとされている (Grunblatt et al. 2017).

Hartman et al. (2016) では,中心星が主系列の進化の段階で明るくなることによってホットジュピターが再膨張することを指摘した.主系列段階での再膨張を起こすためには,惑星内部への熱の注入が必要である.これは,内部の冷却を遅くするだけのメカニズムでは,時間とともに惑星の半径が大きくなることはないためである.

Thorngren et al. (2020) では,232 個のホットジュピターのベイズ解析から,惑星半径と fractional age (主系列星の寿命で規格化した年齢) に相関がある兆候が指摘されている.

半径の再膨張の可否

Lopez & Fortney (2016) では,熱が惑星の中心部に注入される限定的なケースでのみ半径の再膨張が可能であるとした.しかし,ここの散逸機構に関する加熱分布を使用した研究では,浅い位置での加熱がホットジュピターを再膨張させることが出来るかについて,異なる意見が存在する.
Batygin et al. (2011) は,惑星内部でのオーム散逸はホットジュピターを再膨張させられると指摘した.一方で Wu & Lithwick (2013) と Ginzburg & Sari (2016) は,オーム散逸による加熱は半径の収縮を遅らせるだけであり,大きな再膨張は起こさないと指摘した.これは,加熱によって惑星は加熱水準から下方に再膨張し,惑星内部を加熱するための注入される熱のタイムスケールは加熱深さに反比例するためである.

オーム加熱の場合,Ginzburg & Sari (2016) では再膨張のタイムスケールは ~30 Gyr であり,冷却のタイムスケール ~1 Gyr よりずっと長いことが指摘されている.Batygin と Wu & Lithwick の数値モデルの違いは,Batygin は惑星半径の増加に伴う入射光の増加を含んでいるのに対し,Wu & Lithwick は含んでいないという点である.

入射エネルギーが惑星内部のエネルギー注入に変換される割合が固定値である場合,惑星半径が増加すると惑星内部に注入される熱も増加することになる.ここでは,惑星半径,入射エネルギー,加熱率の間にこのフィードバックを含めることで,惑星半径の再膨張を増幅できることを示す.

結論

  1. 進化が数十億年進んだ後のガス惑星を再膨張させるためには,惑星の冷却を加熱によって遅らせて同じ半径にする場合よりも深い位置での加熱を必要とする.これは,再膨張は加熱されている層から下方向にゆっくりと惑星内部を加熱する必要があり,加熱が深くなければ中心の温度に大きな影響を及ぼすことができないためである.結果として,再膨張後の半径は加熱深さと加熱率が大きくなるほど大きくなり,最大の膨張のためには中心での加熱が必要である.
  2. 注入される加熱率と深さの間には強い縮退があり,中心星の主系列の間におけるホットジュピターの再膨張の解釈を複雑にする.結果として,中心星のフラックスの 0.1% を惑星の非常に中心部で注入するのと,1% 以上を ~103 bar の深さに注入するのでは,主系列段階での再膨張をどちらも説明可能である.
  3. この縮退は,主系列後の恒星まわりでのウォームジュピターの再膨張の際に破れる可能性がある.主系列段階後の恒星周りの再膨張したウォームジュピターは,惑星中心部での弱い加熱か,浅い部分での強い加熱の両方で説明可能である.しかし主系列段階後の再膨張は深い加熱でより急速に発生し,浅い加熱は主系列星の進化の後期段階にわたる再膨張では説明できない.TESS によって得られる見込みの主系列段階後の恒星周りでの再膨張したウォームジュピターのサンプルが増え,恒星の年齢の精密な測定と合わせることで,膨張を起こしている加熱源の深さを決定できる.
  4. 熱が惑星の中心部に注入される場合,ホットジュピターに見られる入射フラックスに対する加熱率の依存性は,主系列での再膨張も主系列後の再膨張も説明可能である.加熱率は入射フラックスに単調に依存している必要はない.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:2003.01140
Nowak et al. (2020)
The CARMENES search for exoplanets around M dwarfs. Two planets on the opposite sides of the radius gap transiting the nearby M dwarf LP 729-54
(CARMENES による M 矮星周りの系外惑星探査.近傍の M 矮星 LP 729-54 をトランジットする半径ギャップの反対側に位置する 2 つの惑星)

概要

Transiting Exoplanet Survey Satellite (TESS) で観測された 2 つのトランジット惑星の発見と特徴付けについて報告する.惑星が発見されたのは,22 pc と近傍に位置する,明るい (J~9 mag) M3.5 矮星 LP 729-54 (TOI-732) である.

検出されたどちらの惑星もこの恒星に伴っているものであることを,地上からの測光観測と,CARMENES による精密な視線速度観測からの質量測定から確認した.CARMENES の分光観測から,中心星は中期 M 型星であり,有効温度 3360 K など特性を決定した.

惑星 LP 729-54b は,軌道周期 0.77 日の超短周期惑星で,1.35 地球半径,2.34 地球質量,平均密度は 5.24 g cm-3 である.地球サイズで,岩石組成の地球型惑星である.
外側を公転している LP 729-54c は軌道周期 12.25 日,2.42 地球半径,6.29 地球質量,密度 2.45 g cm-3 である.この惑星は高密度なサブネプチューンの一員である.

今回発見された 2 つの惑星は,半径ギャップ (系外惑星の発見数が少ない惑星半径の範囲) のそれぞれ反対側に位置している.そのためこの系は,惑星形成,進化と大気モデルの検証を行うための良い観測対象である.特に,LP 729-54c はジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡での大気研究の理想的な対象である.

パラメータ

LP 729–54
別名:G 162–44,TOI-732,TIC 36724087
スペクトル型:M3.5V
距離:22.00 pc
有効温度:3360 K
金属量:[Fe/H] = 0.09
光度:0.0167 太陽光度
半径:0.382 太陽半径
質量:0.379 太陽質量
LP 729–54b
軌道周期:0.768377 日
軌道離心率:0.064
半径:1.35 地球半径
質量:2.34 地球質量
密度:5.24 g cm-3
軌道長半径:0.01203 au
平衡温度:1000 K
日射量:地球の 116 倍
LP 729–54c
軌道周期:12.252131 日
軌道離心率:0.115
半径:2.42 地球半径
質量:6.29 地球質量
密度:2.45 g cm-3
軌道長半径:0.0762 au
平衡温度:397 K
日射量:地球の 2.88 倍






arXiv:2003.01136
Cloutier et al. (2020)
A pair of TESS planets spanning the radius valley around the nearby mid-M dwarf LTT 3780
(近傍の中期 M 矮星 LTT 3780 周りの半径の谷にまたがる 2 つの TESS 惑星)

概要

近傍の中期 M 型星をトランジットする 2 つの惑星の確認について報告する.惑星が発見された恒星は LTT 3780 (別名 TIC 36724087, TOI-732) である.

2 つの惑星は TESS によって候補天体として検出され,地上からの測光フォローアップ観測,分光観測,高分解能の撮像観測から惑星であることが確認された.軌道周期は 0.77 日と 12.25 日,半径は 1.33 地球半径と 2.30 地球半径である.

2 つの惑星は,低質量の恒星周りの惑星の周期-惑星半径空間での半径の谷の両側に位置している.

HARPS と HARPS-N による 55 セットの精密な視線速度測定から,惑星質量はそれぞれ 3.12 地球質量と 8.5 地球質量と測定された.LTT 3780b は組成が地球類似である一方,LTT 3780c は水素・ヘリウムエンベロープを持つと推定される.
惑星質量は,光蒸発モデルとコア駆動質量放出モデルのどちらからの予測とも整合的である.

パラメータ

LTT 3780
別名:LP 729-54, TIC 36724087, TOI-732
スペクトル型:M4V
有効温度:3331 K
金属量:[Fe/H] = 0.28
半径:0.374 太陽半径
質量:0.401 太陽質量
自転周期:104 日
LTT 3780b
軌道周期:0.768448 日
半径:1.332 地球半径
質量:3.12 地球質量
密度:7.3 g cm-3
軌道長半径:0.01211 AU
日射量:地球の 106 倍
平衡温度:892 K (ボンドアルベド 0.0 を仮定)
LTT 3780c
軌道周期:12.2519 日
軌道離心率:0.19
半径:2.30 地球半径
質量:8.5 地球質量
密度:3.9 g cm-3
軌道長半径:0.07673 AU
日射量:地球の 2.63 倍
平衡温度:353 K (ボンドアルベド 0.0 を仮定)

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arXiv:2003.01224
Hofgartner et al. (2020)
Photometry of Kuiper Belt Object (486958) Arrokoth from New Horizons LORRI
(ニューホライズンズ LORRI によるカイパーベルト天体アロコスの測光)

概要

2019 年 1 月1 日に,ニューホライズンズが古典的カイパーベルト天体の (486958) Arrokoth (2014 MU69,アロコス) をフライバイした.この天体は,おそらくは探査機で探査された中では最も始原的な天体である.

観測結果から,アロコスの I/F が解析された.アロコスの幾何アルベドは,波長 550 nm で pV = 0.21 (+0.05, -0.04),610 nm では ~0.24 であった.
アロコスの幾何アルベドは,幾何アルベドが電波観測の結果に熱モデルをフィットすることで決定されている他の冷たい古典的カイパーベルト天体の中間値よりは大きいものの,それらの値の分布とは整合的である.そのためアロコスの幾何アルベドからは,この天体が冷たい古典的カイパーベルト天体の一員であるという,軌道及びスペクトル的な証拠が得られた.

アロコスの正反射率のマップと,半球アルベドのデータも提供する.アロコス表面の正反射率は場所によって違いがあり,610 nm では ~0.10 - 0.40 で,おおむねガウス分布に従う.アロコスの最も暗い領域と最も明るい領域は,地形的なくぼみと対応している.

アロコスの形状は二葉形状 (bilobe) であり,ふたつのローブは似た正反射率分布を持つ.どちらもガウス分布に近く,610 nm に極大を持ち,値は ~0.10 - 0.40 の範囲で,2 つのローブは同時に形成され一緒に進化したとする考えと整合的な結果である.アロコスの半球アルベドは入射角と場所の双方で大きく変化し,平均は 610 nm で 0.063 ± 0.015.ボンドアルベドは 610 nm で 0.062 ± 0.015 である.

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