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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1507.08530
Stevens et al. (2015)
Observational Signatures of Self-Destructive Civilisations
(自己破壊する文明の観測的特徴)

概要

自らを破壊する先進文明の兆候は観測可能である。
銀河系内で自己破壊した文明の数に制限を付けることは、ドレイクの方程式の最後3つの項の見積もりに対して重要である。

地球を例とし、人間が自らの技術文明を破壊するシナリオを複数考慮した。
どのシナリオにおいても、系外惑星の特徴を決定するために行われる天文観測によって検出可能であることがわかった。
いくつかのシナリオは星間距離では検出は難しいが、いくつかのシナリオは次世代の観測機器の技術を用いれば、惑星の大気組成の急激な変化から偶然検出される可能性がある。

ドレイクの方程式とフェルミのパラドックス

ドレイクの方程式

ドレイクの方程式は以下のとおり。

N = R* fg fp ne fl fi fc L

N:地球外知的文明の個数
R*:平均星形成率
fg:恒星が惑星を持っている確率
fp:惑星系が居住可能な天体を含んでいる確率
ne:各系での居住可能な天体の平均個数
fl:居住可能な天体に生命が存在する確率
fi:生命が存在する天体が文明を持っている確率
fc:発達した文明がコミュニケーションを行う確率
L:文明の典型的な寿命

フェルミのパラドックス

生命や文明にとって潜在的に居住可能な天体は明らかに存在し、またその文明が外部と光速での通信を試みたり、人間が実現している程度の探査機の速度での物理的な交流を試みるのには十分な時間があるのにも関わらず、これまでに地球外の知的文明の観測的証拠は存在しない。
これを、フェルミのパラドックス (Fermi's Paradox)と呼び、地球外生命探査 (The Search for Extraterrestrial Intelligence, SETI)における問題の一つである。

フェルミのパラドックスに対する解答

フェルミのパラドックスに対する解答として、ドレイクの方程式の最後の3つの項であるfi fc Lが小さいとするものがある。
これはしばしば "the Great Filter"と呼ばれることがあり、我々の視界から潜在的なあるいは存在する文明を取り除いているということである。

フェルミのパラドックスを説明するための、3種類の解答の分類が存在する。

(1) いわゆる"Rare Earth"と呼ばれる分類。これはドレイクの方程式におけるfiが非常に低い、ということに対応する。単細胞生物や多細胞生物は普遍的であると考えられる (すなわちfl ~ 1)が、技術文明を構築できるような後生生物はレアだとするものである (Word & Brownlee 2000, Waltham 2015)。

(2) flとfiはおそらく大きいが、fcが小さいというもの。すでに存在する文明の間では地球を避けようとする合意がなされているか、あるいは実在の本質 (the nature of reality)は宇宙におけるただ一つの文明の存在を要請する、というものである。またこの分類に属する解答はしばしば"soft"と呼ばれる。これは、銀河距離を超えて広がるのが困難な動機や振る舞いの均一性を要請するというものである。これらの解答は認識論に関するものであるため、科学的に考察することが難しい。

(3) いわゆる"Catastrophist"と呼ばれる分類であり、文明は短い寿命を持つ、つまりドレイクの方程におけるLが小さいことを要請する。隕石衝突、超新星、ガンマ線バーストなどの外的要因による破壊や、文明自身が自らを長期にわたって存続させないような固有の性質や構造上の欠陥を持っているなどの理由により、文明は脆いものであるとする考え方である。

観測的な証拠が少ないため、この3つのどれがフェルミのパラドックスの解答となりうるかは不明である。
ここでは、文明自身が自らを破壊するというシナリオを複数想定し、それが観測可能な特徴を持つかどうかについて議論する。

破壊のシナリオ

可能性のある文明の破壊のシナリオとしては以下のものがあげられる。

i) 核兵器による完全な相互確証破壊 (Mutually Assured Destruction, MAD)
ii) 人間、あるいは全ての動物、全ての真核生物、全ての生物を殺すように設計された生物学的または化学的な因子
iii) "Grey goo"のような技術的な災害 ("Grey goo"とは、ナノテクノロジーの過剰な進化によって、人間の管理を超えて自己増殖するナノロボットがねずみ算式に増殖し、人間や生物を圧倒するという"暗鬱な未来"を指す)
iv) 恒星、惑星、惑星間空間の過剰な汚染


この他にも、壊滅的レベルの隕石衝突や、恒星活動に起因する絶滅、生態系の崩壊などもシナリオとして考えうるが、これらは文明の有無とは無関係にも起きうるためここでは除外する。

各破壊シナリオの特徴

核による絶滅 (Nuclear annihilation)

核兵器は、数ミリ秒にわたる特徴的なダブルピークを持った短く強烈なガンマ線放射を起こす。
これらのガンマ線の放射は、ガンマ線バーストを検出するのと同じ技術を用いて検出可能である。実際に初期のガンマ線バーストの検出は、タイムスケールとスペクトルの特徴の類似から、検出当初は核実験に由来するものだと考えられていた。

しかしガンマ線バーストは非常に強力な現象であるため遠距離でも検出可能だが、全球的な核爆発でもエネルギーはガンマ線バーストには遠く及ばない。
例として、近傍で発生したガンマ線バーストである GRB 980435 (Galama et al. 1998)は 40 Mpcの距離で発生したと考えられるが、全球的な核爆発がこのガンマ線バーストと同レベルの強度になるためには地球から 8 AUの距離で発生する必要がある

従って太陽系外での核爆発イベントを我々が検出するためには、全体で放出されるエネルギーが最低でも9桁ほど大きくなければならない。つまり、地球外知的生命が大量破壊兵器を急激に拡散させ集中して使用していなければならない。
しかし、核爆発による降下物 (fallout)の生成は、系外惑星の大気の研究から検出可能かもしれない。

降下物の見積もりをするために、核爆発が全陸地面積 (~ 1.5 × 108km2)で等しく発生したと仮定する。陸地の1平方キロメートルあたり 25 kt (1011 J)のエネルギーが解放されることに対応する。またこのエネルギーは、セミパラチンスク核実験場 (Semipalatinsk Test Site)での核実験と同程度のオーダーである。
この実験場周辺での放射線曝露の研究から、(核爆発そのものによる被曝ではなく)降下物による放射線被曝は、初めのうちは 1000 マイクログレイ/時間程度であり、100日程度で周囲と同程度にまで落ちた。

また、過去に探査機からもしくは地上望遠鏡から、金星と火星の夜間のかすかな大気光の検出に成功したことがあるため、系外惑星の大気光の観測も可能であるかもしれない。
核戦争による大気中の電子密度の1桁の増加は、大気光の明るさの1桁の増加をもたらしうる (Melendez-Alvira et al. 1999)。
可視光における地球類似惑星の大気光で一番明るいものは、558 nm(緑色)の酸素のラインである。これは全球的な核戦争によって増加され、最大で 1400レイリーにまで増加すると考えられている (Greer et al.1986)。

核爆発によってばらまかれた物質による惑星大気の化学組成への影響も検出できる可能性がある。
例えばオゾン層の破壊現象があり、紫外線での透過スペクトルの変化からオゾン層の急激な破壊が検出できる。

全球的な核戦争は、ガンマ線のフラッシュや、その後の紫外線・可視光線での大気光、オゾンの減少などの観測的特徴を起こす。しかし全球的な核戦争の影響は、これらの観測的特徴を隠すという効果も持つ。
地上での核兵器の爆発は大量のダストの生成を引き起こす。空中での爆発の場合はそれは起きないが、それでも大量の粒子を生成する。
核戦争によって生成された成層圏中のエアロゾルは数年にわたって留まるため、大気の光学的深さは数年間にわたって数倍程度になると考えられる。

ある系外惑星の大気を観測した際は地球のようにほぼ透明であり、次に観測した時に光学的に厚くなっていた場合は、ダストを大量生成するイベントが発生していた可能性がある。しかしそのようなイベントは、巨大な隕石衝突のような文明の関係ない事象でも引き起こされる (これ自体も興味深い現象ではあるが)。
また、それまでにその惑星の大気が観測されていなかった場合は、単にその惑星は大量のダストが存在する大気を持っているだけだという可能性もある。
核爆発による大気組成の変化であるということを示すためには、惑星近傍からの微少なガンマ線や高エネルギー放射の検出があると良い。

生物戦争・細菌戦争 (Biological warfare)

生物戦争は、自然に存在する、あるいは人工的に加工されたバクテリアやウイルス、あるいはその他の生物学的因子によって病気や死をもたらすものである。
自然に存在する病原体の場合は地球全体の人口に対する影響は限定的である。人口が減少すれば新たな幹線は減少し、感染はいずれ終息するため、破壊は自己抑制される。
しかし人工的に加工されたり創りだされたりした因子の場合は、文明を絶滅へ追いやる可能性がある。

嫌気生物の活動はバイオマスを死に追いやり、その際に生成物の一種としてメタンチオールを放出する。これはスペクトル的に検出可能で、また非生物的には生成されない。
細胞の乾燥質量は ~50%が炭素であり、人間のトータルのバイオマスは 5.6 × 1011 kgとなる。
細胞の硫黄含有量は 0.3 - 1%であるため、メタンチオールを生成可能な硫黄の最大量は 5.6 × 109 kgである。
Pilcher (2003)によると 10%の硫黄がメタンチオール生成に使われるので、メタンチオール生成量は ~ 108 kgとなる。

メタンチオールは大気中で短いタイムスケールで分解されてしまうため、人間だけではなく全生物が死滅した場合を考えても検出できるレベルには達しない可能性がある。
しかし分解の結果として生成されるエタンは増加するため、メタンチオールの生成率が高い場合はエタンの特徴が検出できるかもしれない。

その他の分解生成物としてはメタン、アンモニア、二酸化炭素などがある。地球的なバイオテロで最も確実なbiosignature gasはメタンである。
人間のみが影響を受ける場合、メタン・エタン双方の特徴は短時間しか現れないため、検出するためにはまさにその瞬間を観測している必要がある。
ウイルスなどが種の壁を超え生物の絶滅を引き起こす場合は、検出はより容易となる。

"Grey Goo"による破壊

ナノテクノロジーの過剰な発展によって、自己複製を行うナノマシンが人間の制御を超えて自己複製し、生物圏を崩壊させ生命を絶滅に追いやるというものが "grey goo"シナリオである。
これは事故か管理の不行き届き、あるいは自己複製体が生物を殺害するために設計されている場合の意図的な攻撃によってもたらされる。

Freitas (2000)による自己複製体の分類としては、地上で活動するタイプの"grey goo"、化学独立栄養自己複製体の"grey lichen"、海中で活動するタイプの"grey olankton"、空中で活動するタイプの"grey dust"がある。

Grey gooイベントで期待される観測的特徴は何だろうか?
例えば同じサイズの微少な自己複製体の"ダスト"が大量に生成され、大気や表層の観測的特徴として現れるということが考えられる。

中心星の汚染

一般的には中心星の汚染 (pillution of host star)といった場合の"汚染"は、惑星やデブリの中心星への降着を指す。
しかし文明が廃棄物を中心星に廃棄することで恒星が汚染されるということも可能である。
恒星の対流層が深くない場合は、恒星の汚染はスペクトルの特徴として観測されるかもしれない。

どの程度恒星を汚染すれば惑星の居住可能性に影響があるかは全く不明である。
ISON彗星が太陽に接近した際の観測からは、恒星活動やコロナ質量放出には影響を及ぼさなかった (Ferrin 2014)。ただし彗星と(例えば)放射性廃棄物のコンテナは大きく異なる。

しかし、もし恒星の表面対流層が深くなった結果として恒星の有効温度が低下した場合は、光度は同じだとしてもハビタブルゾーンの境界は外側へ移動する(Kopparapu et al 2013)。その場合は、sこれまでハビタブルゾーン内だった惑星が生命を維持するのには寒冷すぎる環境になる可能性がある。

核分裂による副産物の存在度が異常に高い恒星があり、そこにハビタブルゾーンの外縁に非常に近いが外側に位置する惑星がある場合は、死んだ文明がある候補としては良い。しかしそのような証拠は全く決定的ではない。

惑星の汚染

系外惑星大気中の人工的な汚染物質の検出は、SETIの新しいアイデアの一つでもある。
例えば地球の大気中のフロン (クロロフルオロカーボン, CFC)は地球の産業活動の特徴である。
ジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡は、地球のCFCレベルの10倍の大気を持つ地球型系外惑星を検出可能であるとされている(Lin et al. 2014)。

CFCの存在を示すシグナルの寿命は 10 - 105年に渡るため、重度にCFCに汚染された系外惑星は長期間にわたって観測可能である。
さらに、複数種類のCFCの特徴を捉えることで、生成の化学的な年代の情報も知ることができる可能性がある。
例えば、短寿命のCFCの検出は活発な生成を表し、すなわち活発な文明の存在を示唆する。
対して、長寿命のCFCの強い特徴があるにも関わらず短寿命のCFCの特徴が欠落している場合は、a) 絶滅した産業文明 もしくは b) CFC生産を止めて生き延びた産業文明 の存在を示唆する。

惑星軌道環境の汚染

これまでに多数の人工物が地球周辺に打ち上げられてきた。
デブリの数は増え続けており、ある段階でデブリ同士の衝突が新たなデブリの生成を指数関数的に引き起こすという、いわゆるケスラーシンドロームの危険性が指摘されている。

仮に文明が崩壊した場合、軌道上の大きな構造物がデブリなどの衝突を回避する能力が低下し、物体の密度が低い状態でケスラーシンドロームが実現される可能性がある。また崩壊していない場合でも、悪意のある活動によって低軌道の環境が破壊されるおそれがある。

デブリがリング上の構造となって光学的な深さが十分になった場合は、トランジット時の特徴として観測できる可能性がある。

デブリによるリングの形成とその検出が、死んだ文明の絶対的な証拠となるか?という点については議論の余地がある。
著しく不利な状態ではあるが、人工衛星システムや一般的な宇宙空間へのアクセスが不可能な状態でも文明は存続するだろうと言うことはできる。

惑星の完全な破壊

最後に、文明が惑星質量の大部分、あるいは全ての質量を重力から解放するほどの大量のエネルギーを利用できるようになるということは有り得ないことではない。
このような技術が悪用され、惑星の大部分を破壊したり、全てを破壊するという可能性はある。
(ダイソン球で得る程度のエネルギーが必要)

地球の結合エネルギーは 1039 ergのオーダーである。ガンマ線バーストのエネルギーよりは遥かに小さいものの、太陽光度よりはやや強い。
破壊のイベントは、核爆発イベントよりも強いガンマ線の特徴が期待され、またその他の天文的な爆発現象と似た残光が観測できるかもしれない。

また、惑星の破壊によって中心星周りにデブリの円盤が形成されると考えられるが、これは観測可能であると考えられる。
しかしそれが惑星破壊イベント起源かどうかは不明瞭である。

検出可能性とタイムスケールのまとめ

・核による絶滅
検出手法:ガンマ線、トランジット分光観測
活動している文明の痕跡:検出可
絶滅した文明の痕跡:検出可
検出のタイムスケール:0 - 5年
ガンマ線のフラッシュ(ただし極めて弱い)、大気光の増加や、大気の光学的厚みの著しい変化

・バイオテロ事象
検出手法:トランジット分光観測
活動している文明の痕跡:検出可
絶滅した文明の痕跡:検出可
検出のタイムスケール:1 - 30年
生物学的に生成される化合物とその分解によって生成される物質の検出

・Grey goo
検出手法:トランジット分光観測、トランジット測光観測
活動している文明の痕跡:検出不可
絶滅した文明の痕跡:検出可
検出のタイムスケール:1000年以上
ナノマシンの、均質で同サイズの"ダスト"としての光学特性を検出

・中心星の汚染
検出手法:星震学、元素存在度観測
活動している文明の痕跡:検出可
絶滅した文明の痕跡:検出可
検出のタイムスケール:100000年以上 (恒星の表面対流に依存)
放射性廃棄物などの汚染物質の表面組成からの検出と、汚染による対流層の変化の星震学による検出

・惑星の汚染
検出手法:トランジット分光観測 (赤外線)
活動している文明の痕跡:検出可
絶滅した文明の痕跡:検出可
検出のタイムスケール:10 - 100000年
CFCなどの大気汚染物質の検出

・惑星軌道の汚染 (ケスラーシンドローム)
検出手法:トランジット分光観測、トランジット測光観測
活動している文明の痕跡:検出可
絶滅した文明の痕跡:検出可
検出のタイムスケール:100000年以内
人工的なデブリによって形成されたリングの検出

・惑星の完全な破壊
検出手法:デブリ円盤の撮像 (赤外線)
活動している文明の痕跡:検出可
絶滅した文明の痕跡:検出可
検出のタイムスケール:100000年以内
惑星の破壊によって中心星まわりに形成されるデブリ円盤の観測






この論文は宇宙生物学に関する雑誌 (the International Journal of Astrobiology)に投稿され受理されたものということですが、宇宙生物学、何でもアリだな!!!と言いたくなるような内容の論文です。

系外惑星における、自らを破壊する文明は観測可能か?という内容で、様々な文明の崩壊案(?)がシナリオとして提示され、その観測的特徴と観測のタイムスケールが示されています。

結果として、シナリオによっては観測が難しい物や、他の事象との区別が困難という物もありますが、観測可能であるものもあるとのこと。

それにしても、一番最後のシナリオの惑星の完全破壊ってのは、デススターみたいなイベントってことでしょうかね。

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1507.08532
Motalebi et al. (2015)
The HARPS-N Rocky Planet Search I. HD219134b: A transiting rocky planet in a multi-planet system at 6.5 pc from the Sun
(HARPS-NでのRocky Planet Search 1. HD 219134b:複数惑星系でのトランジット岩石惑星)

概要

等級が 5.5と明るく、太陽系からの距離が 6.5 pcと近距離に存在する HD 219134の周りに、視線速度法を用いて4つの低質量惑星を発見した。
観測は、Telescopio Nazionale Galileo in La PalmaのHARPS-Nによる"Rocky Planet Search"プロジェクトによって行われた。
今回の発見は、このプロジェクトでの最初の成果である。

もっとも内側の惑星は、軌道周期が 3.0937日、軌道長半径 0.0382 AUの準円軌道である。
スピッツァー宇宙望遠鏡を用いてこの惑星のトランジット観測にも成功した。
現段階で、HD219134bは太陽系から最も近いトランジット惑星である。

視線速度変動は 2.33 m s-1であり、トランジット深さは 359 ppmである。
これは、4.46地球質量、 1.606地球半径に対応する。
また平均密度は 5.89 g cm-3であり、岩石惑星であることを示唆する結果である。

惑星系データ

中心星データ

中心星HD 219134は等級が 5.57であり、K3V型の星である。
0.265太陽光度、0.778太陽半径、0.78太陽質量、有効温度は 4699 K、金属量は [Fe/H] = 0.11 dexである、
また、恒星の活動から推定した自転周期は 42.3日である。

惑星データ

一番内側の惑星がHD 219134bである。
詳細なパラメータは上述。

その外側の惑星はHD 219134cであり、最小質量が 2.67地球質量、準円軌道で 6.765日で0.064 AUの軌道を公転している。

さらに外側にはHD 219134dがあり、最小質量が 8.7地球質量、軌道周期は 46.78日、軌道長半径は 0.234 AUである。
軌道離心率は 0.32でやや楕円軌道である。
なおこの惑星は中心星の自転周期の推定である 42.3日と近くなっている。しかし恒星活動との相関は検出されず、惑星によるシグナルであると考えられる。

一番外側を公転するのがHD 219134eで、62地球質量、軌道周期は 1190日、軌道長半径は 2.14 AUである。
離心率は 0.27とこちらもやや楕円軌道である。

議論

力学的安定性

GENGAコード (Grimm & Stadel 2014)を用いたN体計算を行い、系の安定性について考察した。
計算には4次のエルミート法を用いている。

ほぼ同一平面に存在すると仮定し、またトランジット観測からは傾斜角は ~5°つけている。
計算の結果、最も外側の惑星が 106回公転する間は安定であることがわかった。

より一般的な、一般相対論や潮汐力による解析については将来の課題である。

HD 219134bの組成

HD 219134bは太陽系から最も近い距離にあるトランジット惑星である。
平均密度は 5.89 ± 1.17 g cm-3であり、1.606地球半径の惑星が地球と同じ組成だったとした場合の 6.90g cm-3になると予測されており、無矛盾な結果となった。

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arXiv:1507.07967
Matsakos & Königl (2015)
A hot Jupiter for breakfast? --- Early stellar ingestion of planets may be common
(朝食としてのホットジュピター 初期の恒星による惑星の飲み込みは一般的である)

概要

惑星形成と進化のモデルでは、円盤内で巨大惑星は効率的に形成され、それらは円盤内を内縁に向かって速い惑星移動を起こし、その時点での質量が木製程度以下なら内縁の半径にとどまることが予測されている。

ここでは、円盤内縁まで到達した惑星は潮汐相互作用によって、~1 Gyr程度で中心星に飲み込まれることを示す。
さらに、太陽型星の場合は、惑星の公転軸と恒星の自転軸の角度が初期に大きく違っていたとしても、惑星の飲み込み後には恒星の自転軸を惑星の公転軸の向きに近づける可能性について議論する。

初めから恒星の自転軸と惑星の公転軸が揃っていない場合、中心星の有効温度が 6250 K程度より高温な場合は軸が揃わない。
これは、太陽型星とは異なり、中心星の自転角運動量は典型的には惑星の軌道角運動量より大きいからである。
中心星の自転角運動量が大きい理由は、非効率なmagnetic brakingと、慣性モーメントの大きさに起因する。

この効果は離れた惑星でも発生するが、潮汐相互作用は距離が遠くなるに従って急激に減少するので弱くなる。

もし ~50%程度の系がホットジュピターを持っていた場合、このシナリオは以下の観測的な特徴を説明することができる可能性がある。
(1) 惑星質量や公転周期とに関わりなく、低温度星周りの惑星公転軸と恒星の自転軸はよく揃っている
(2) 高温度星まわりに公転軸と恒星の自転軸がずれている惑星が存在すること
(3) 逆行軌道を持つホットジュピターの現在の上限
(4) 恒星の自転周期とホットジュピター質量の逆相関関係





"A hot Jupiter for breakfast?"
という、なんとも言えないタイトル。

内容は、円盤内縁まで落ちてきたガス惑星が潮汐で中心星に落ち、各種傾斜角が変化にも影響があるというお話でした。








arXiv:1507.07933
Forbes (2015)
Curveballs in protoplanetary disks - the effect of the Magnus force on planet formation
(原始惑星系円盤におけるカーブボール:マグヌス効果が惑星に与える影響)

概要

自転する微惑星は、原始惑星系円盤内で、ガスに対する相対速度に対して垂直な方向に流体力学的な力を受ける。
ここでは、層流の原始惑星系円盤内での解析的な議論と、各粒子に対する運動方程式の数値積分を行った。

特にメートルサイズの粒子に注目する。
このサイズの粒子は、1 AUの距離からは ~100年のオーダーで中心星に落下してしまうと考えられてきた。
流体力学的な効果を考慮すると、数ファクター分円盤内部での寿命が延びることが判明した。

また、オーダー 10 cmより大きい粒子に関しては、円盤内側ではマグヌス力による速度が、重力不安定による微惑星形成を妨げる。
ストリーミング不安定性での最大線型成長モードはマグヌス力による拡散の効果を入れても成長するが、マグヌス効果が非線形進化にどう影響するかについては今後の課題である。





原始惑星系円盤中でのカーブボール!!!
これまたすごいタイトルです。こんなタイトルの論文もアリなんですね

マグヌス力、しばしば変化球が変化する原因としてあげられるマグヌス効果として有名です。
今回はその効果が微惑星に対してどのくらい寄与するのかという内容です。

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arXiv:1507.08256
Petigura et al. (2015)
Two Transiting Earth-size Planets Near Resonance Orbiting a Nearby Cool Star
(低音度星周りの共鳴に近い2つの地球サイズトランジット惑星)

概要

EPIC-206011691の周りに2つの小さい惑星を検出した
中心星のEPIC-206011691は、等級が 9.4、スペクトルタイプが M0の矮星で、太陽系からの距離は 65 pcである。
これらの惑星は、NASAのケプラー宇宙望遠鏡を用いたK2 missionのキャンペーン3で観測された。

中心星と惑星の半径比はそれぞれ 2.60%、3.15%である。
中心星を近赤外線でフォローアップ観測して中心星の特徴を決定した。
その結果、中心星の有効温度は 4043 K、金属量は [Fe/H] = -0.11 dex、0.60太陽半径、 0.64太陽質量、 0.086太陽光度であることが判明した。年齢は 1 Gyr以上である。

中心星の半径と半径比から、惑星の半径はそれぞれ 1.59地球半径、1.92地球半径と判明した。
この値は、高密度の岩石主体の惑星と、低密度の惑星+分厚いエンベロープの領域にまたがるものである。

2つの惑星の周期はそれぞれ 9.33414日、15.50120日であり、比が 1.6624と、5:3平均運動共鳴に近い値になっている。
この惑星のTTVは地上の望遠鏡で検出可能だろう。

惑星は内側がEPIC-206011691b、外側がEPIC-206011691cで、軌道長半径はそれぞれ 0.0731 AU、0.1026 AUであり、表面の平衡温度の推定値は 500 Kと 420 Kである。










arXiv:1507.08070
Gloria et al. (2015)
Using the chromatic Rossiter-McLaughlin effect to probe the broadband signature in the optical transmission spectrum of HD 189733b
(有色のロシター効果を用いたHD 189733bの透過スペクトル中の広帯域の特徴の探査)

概要

有色のロシター効果を用いてHD 189733bのトランジット観測から待機中でのレイリー散乱を測定した。
結果、広帯域の透過スペクトルの特徴を効果的に測定可能であることが判明した。

ロシター効果の振幅は惑星の実効的なサイズに依存する。大気の寄与という観点からは、これは観測の波長による。

ここでは、 400-700 nmのHARPSデータを解析した。
視線速度のtime seriesを、白色光と、 50 nm幅の6つのビンに分割して解析した。

結果、2.5σで透過スペクトルにスロープを検出した。
これがレイリー散乱起源によるもので、恒星活動によるものではないとすると、温度は 2300 Kとなり、先行研究と矛盾しない結果となった。

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arXiv:1507.07449
de la Fuente Marcos & de la Fuente Marcos (2015)
Asteroid 2015 DB216: a recurring co-orbital companion to Uranus
(小惑星 2015 DB216:天王星の同一軌道上の天体)

概要

新しく発見された小惑星 2015 DB216は、天王星に非常に近い軌道を持ち、1:1の軌道共鳴をする天体である。
この小惑星の、過去と未来の力学的状態を調べるために、N体計算を行った。

計算の結果、2015 DB216は一時的に天王星との軌道共鳴に捕獲された天体であるということが判明した。このような天体は 2015 DB216で4例目である。

2015 DB216の軌道は不安定だが、繰り返し同じ軌道を公転する状態になる天体である。
現在は対称な馬蹄形軌道 (horseshoe orbit)を取っており、10 kyr程度はこの状態が続く。しかし天王星とのco-orbital zoneには数百万年の間留まる。

その他のco-orbital asteroids

天王星のco-orbital asteroidには、

・83982 Crantor (2002 GO9)
・2010 EU65
・2011 QF99


がある。
2010 EU65については、観測期間の問題から、"候補"としておくのが妥当かもしれない。

83982 Crantorと2010 EU65は、馬蹄形軌道を取る小惑星、2011 QF99は天王星のL4ラグランジュ点に存在する小惑星である。









arXiv:1507.06982
Kerr et al. (2015)
Limits on Planet Formation Around Young Pulsars and Implications for Supernova Fallback Disks
(若いパルサー周りでの惑星形成への制限と超新星フォールバック円盤への影響)

概要

151個の若い活動的なパルサーを観測した。
可視光のトランジットタイミングよりも2桁小さい質量の天体まで感度があるが、観測によってパルサー惑星は発見されなかった。

古いパルサーに関して、水星程度のパルサー惑星の存在可能性は全サンプルのうち1/3で排除された。
また、0.4地球質量以上で周期が1年未満のパルサー惑星の存在可能性については、 95%で排除された。

パルサー惑星が超新星後のフォールバック物質で形成される円盤内で形成されるのであれば、この観測結果は以下のような制限があることを示唆する。
それは、そのような円盤は形成されない、形成される円盤は 0.1 AU未満の範囲に限定される、円盤は破壊される、あるいはパルサー惑星はよりゆっくりと (2 Myr以上)形成される、というものである。





つまりパルサー惑星はレアである可能性がある、ということのよう。

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