×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1904.02069
Arcangeli et al. (2019)
Climate of an Ultra hot Jupiter: Spectroscopic phase curve of WASP-18b with HST/WFC3
(ウルトラホットジュピターの気候:HST/WFC3 での WASP-18b の分光位相曲線)
観測結果から,この惑星の規格化した昼夜間の光度コントラストは 0.96 以上と測定された.
惑星からの円盤面で積分した昼側の放射は 964 ppm であり,これは有効温度 2894 K に対応する,また夜側の放射への上限に <32 ppm="" 1430="" k="" 3="" br="">
また位相曲線の極大は,東向きに 4.5 ± 0.5° の,小さいが有意なずれを示した.
抽出した位相曲線と位相分解したスペクトルを,3次元 Global Circulation Models と比較し,これらのいくつかのモデルによってデータが広く再現できることを示した.この比較から,惑星の大気特性へのいくつかの制約を与えた.
まず,観測された非常に非効率的な昼夜再循環を説明するためには,効率的な大気の摩擦が必要である.この摩擦は 10 ガウス程度の弱さの磁場による,ローレンツ力による摩擦である可能性がある.
次に,昼夜間の大きな温度差を説明するために大気の大きな金属量は必要ではないことを示す.実際,ウルトラホットジュピターの大気の金属量が位相曲線に与える影響は,低温な巨大ガス惑星の場合とは異なる.これは,この惑星の大気では非常に高温の化学過程がはたらくからである.
さらに,これまでのウルトラホットジュピターの分光位相曲線と比較した.比較した対象は WASP-103b である.
その結果この 2 つの惑星は,測定された特性と示唆された特性に置いて特筆すべき類似性を示すことが分かった.しかし重要な違いも見られることも分かった.例えば輝度の東方向へのずれと半径異常である.そのため,ウルトラホットジュピターは巨大ガス惑星の膨張へ寄与する,競合する理論を切り分けるのに使える可能性がある.
WASP-103b は,1.49 木星質量,1.55 木星半径,平衡温度 2508 K,軌道周期 22.2 時間の,同じくウルトラホットジュピターである.中心星の WASP-103 の有効温度は 6110 K である.
WASP-18b の昼夜間の輝度コントラストは >0.96 と大きく,WASP-103b では 0.93 である.
輝度の東方向へのオフセットはそれぞれ -4.5° と -0.3° と,違いが大きい.後者の WASP-103b ではほぼ対称な輝度分布を示すように思える.
昼側の光球の圧力は,それぞれ 0.33 bar と 0.01 bar である.
WASP-18b は半径異常は示さないが,WASP-103b は 41% の半径異常を示す.
しかし WASP-18b の昼夜間コントラストは WASP-103b よりも大きく,シンプルな描像とは一致しない.WASP-18b でのオフセットはおそらく磁場の結果であり,WASP-103b にオフセットが存在しないのは,この惑星がより弱い磁場を持っているからである可能性がある.これは後者の惑星が低質量であることからも期待される (Yadav & Thongren 2017).
WASP-103b に膨張機構が働いていない場合は 1.10 木星半径になるはずであり,観測された半径を維持するためには追加の熱源 1029 erg s-1 が必要とされる.これと同じ追加の加熱があった場合,WASP-18b は 1.3 木星半径になる (Miller et al. 2009).これは観測されている半径よりもやや大きい.
そのため,ほぼ同一の恒星を公転しているものの WASP-18b は膨張していないということになる.この違いは,例えばオーム加熱がより質量の大きい惑星の半径を膨張させるには非効率であることに由来する可能性がある.
arXiv:1904.02069
Arcangeli et al. (2019)
Climate of an Ultra hot Jupiter: Spectroscopic phase curve of WASP-18b with HST/WFC3
(ウルトラホットジュピターの気候:HST/WFC3 での WASP-18b の分光位相曲線)
概要
ウルトラホットジュピター WASP-18b の全軌道周期の分光位相曲線の解析について報告する.これは,ハッブル宇宙望遠鏡の Wide Field Camera 3 を用いて観測されたものである.観測結果から,この惑星の規格化した昼夜間の光度コントラストは 0.96 以上と測定された.
惑星からの円盤面で積分した昼側の放射は 964 ppm であり,これは有効温度 2894 K に対応する,また夜側の放射への上限に <32 ppm="" 1430="" k="" 3="" br="">
また位相曲線の極大は,東向きに 4.5 ± 0.5° の,小さいが有意なずれを示した.
抽出した位相曲線と位相分解したスペクトルを,3次元 Global Circulation Models と比較し,これらのいくつかのモデルによってデータが広く再現できることを示した.この比較から,惑星の大気特性へのいくつかの制約を与えた.
まず,観測された非常に非効率的な昼夜再循環を説明するためには,効率的な大気の摩擦が必要である.この摩擦は 10 ガウス程度の弱さの磁場による,ローレンツ力による摩擦である可能性がある.
次に,昼夜間の大きな温度差を説明するために大気の大きな金属量は必要ではないことを示す.実際,ウルトラホットジュピターの大気の金属量が位相曲線に与える影響は,低温な巨大ガス惑星の場合とは異なる.これは,この惑星の大気では非常に高温の化学過程がはたらくからである.
さらに,これまでのウルトラホットジュピターの分光位相曲線と比較した.比較した対象は WASP-103b である.
その結果この 2 つの惑星は,測定された特性と示唆された特性に置いて特筆すべき類似性を示すことが分かった.しかし重要な違いも見られることも分かった.例えば輝度の東方向へのずれと半径異常である.そのため,ウルトラホットジュピターは巨大ガス惑星の膨張へ寄与する,競合する理論を切り分けるのに使える可能性がある.
WASP-103b との比較
各惑星のパラメータの概要
WASP-18b は,10.43 木星質量,1.17 木星半径,平衡温度 2413 K,軌道周期 22.6 時間のウルトラホットジュピターである.中心星の WASP-18 の有効温度は 6400 K である.WASP-103b は,1.49 木星質量,1.55 木星半径,平衡温度 2508 K,軌道周期 22.2 時間の,同じくウルトラホットジュピターである.中心星の WASP-103 の有効温度は 6110 K である.
WASP-18b の昼夜間の輝度コントラストは >0.96 と大きく,WASP-103b では 0.93 である.
輝度の東方向へのオフセットはそれぞれ -4.5° と -0.3° と,違いが大きい.後者の WASP-103b ではほぼ対称な輝度分布を示すように思える.
昼側の光球の圧力は,それぞれ 0.33 bar と 0.01 bar である.
WASP-18b は半径異常は示さないが,WASP-103b は 41% の半径異常を示す.
大気循環の比較
惑星の大気循環について,輻射と移流のタイムスケールのバランスとしての大気循環のシンプルな描像を考えた時,WASP-18b の昼夜コントラストは WASP-103b より小さくなることが期待される.これは,輝度のオフセットはやや効率的な風駆動の循環と対応しているべきだからである.しかし WASP-18b の昼夜間コントラストは WASP-103b よりも大きく,シンプルな描像とは一致しない.WASP-18b でのオフセットはおそらく磁場の結果であり,WASP-103b にオフセットが存在しないのは,この惑星がより弱い磁場を持っているからである可能性がある.これは後者の惑星が低質量であることからも期待される (Yadav & Thongren 2017).
半径以上の有無
2 番目に重要な違いは,WASP-103b は非常に膨張しているが,WASP-18b は膨張なしの理論モデルと整合的である点である.WASP-103b に膨張機構が働いていない場合は 1.10 木星半径になるはずであり,観測された半径を維持するためには追加の熱源 1029 erg s-1 が必要とされる.これと同じ追加の加熱があった場合,WASP-18b は 1.3 木星半径になる (Miller et al. 2009).これは観測されている半径よりもやや大きい.
そのため,ほぼ同一の恒星を公転しているものの WASP-18b は膨張していないということになる.この違いは,例えばオーム加熱がより質量の大きい惑星の半径を膨張させるには非効率であることに由来する可能性がある.
PR
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1904.01573
Rickman et al. (2019)
The CORALIE survey for southern extrasolar planets XVIII. Three new massive planets and two low mass brown dwarfs at separation larger than 5 AU
(CORALIE による南天の系外惑星探査 XVIII.5 AU よりも大きな間隔にある 3 つの新しい重い惑星と 2 つの低質量褐色矮星)
ここでは,HD 181234,HD 13724,HD 25015,HD 92987,HD 50499 を公転する新しい伴星天体の発見を報告する.また,過去に発見されていた HD 50499b,HD 92788b と HD 98649b の軌道パラメータの更新についても報告する.さらに,最近検出が報告された HD 92788c の確認も行った.
新しく報告された伴星天体は,軌道周期が 15.6 - 40.4 年,質量は 2.93 - 26.77 木星質量の範囲にある.重い天体は,惑星と褐色矮星の名目上の境界付近の質量を持つ.
ここでは,5 つの新しい伴星天体の検出と,4 つの既知の系外惑星のパラメータの更新を報告する.これらのうち少なくともいくつかは,直接撮像と将来的な特徴付けの確実な観測ターゲットであることを同定した.
スペクトル型:G5
等級:V = 8.59
光度:0.80 太陽光度
有効温度:5386 K
金属量:[Fe/H] = 0.32
自転周期:50.8 日
質量:1.01 太陽質量
半径:1.05 太陽半径
年齢:63.2 億歳
軌道離心率:0.73
質量:8.37 木星質量
軌道長半径:7.52 AU
HD 181234 は 2000 年 5 月以降観測されてきた天体である.また Butler et al. (2017) では Keck/HIRES で 1999 年 6 月 - 2014 年 8 月まで 20 セットの視線速度測定が行われている..
軌道離心率 0.73 と,大きな軌道離心率を持った系である.
スペクトル型:K1V
等級:V = 8.87
光度:0.41 太陽光度
有効温度:5160 K
金属量:[Fe/H] = 0.04
自転周期:13.6 日
質量:0.86 太陽質量
半径:0.83 太陽半径
年齢:40.0 億歳
軌道離心率:0.39
質量:4.48 木星質量
軌道長半径:6.19 AU
HD 25015 は 2001 年 5 月以降観測されてきた天体である.
今回の観測対象の中で,他の恒星は非常に静穏だが,この恒星だけは例外である.370.26 日程度の周期性が Hα 線に見られる.しかしスペクトル線の半値全幅などには周期性は見られなかった,そのため,地球大気のスペクトル線が混入している可能性は否定できない.
スペクトル型:G1V
等級:V = 7.21
光度:2.38 太陽光度
有効温度:6099 K
金属量:[Fe/H] = 0.38
自転周期:22.4 日
質量:1.31 太陽質量
半径:1.42 太陽半径
年齢:24.0 億歳
距離:46.34 pc
軌道離心率:0.27
質量:1.45 木星質量
軌道長半径:3.93 AU
軌道離心率:0.00
質量:2.93 木星質量
軌道長半径:9.02 AU
HD 50499b は Vogt et al. (2005) で発見されていたが,HD 50499c は今回新規発見された惑星である.外側にさらなる天体が存在することを示唆するシグナルは Vogt et al. (2005) で既に指摘されていた.その他にもシグナルの存在を指摘する報告は存在した.
今回の観測データでは,HD 50499b のパラメータは過去の報告と整合的であった.外側の惑星の全軌道周期をカバーできていないため,HD 50499c の軌道要素は不定性が大きい.
スペクトル型:G6V
等級:V = 7.31
光度:1.25 太陽光度
有効温度:5744 K
金属量:[Fe/H] = 0.27
自転周期:31.0 日
質量:1.15 太陽質量
半径:1.14 太陽半径
年齢:25.5 億歳
距離:28.83 pc
軌道離心率:0.35
質量:3.76 木星質量
軌道長半径:0.97 AU
軌道離心率:0.46
質量:3.67 木星質量
軌道長半径:10.50 AU
HD 92788 は 1999 年 3 月以降観測されてきた天体である.
HD 92788b は Fischer et al. (2001) で発見が報告されていた惑星である.HD 92788c は Wittenmyer et al. (2019) で検出報告があり,この観測で存在が確認された.
HD 92788b のパラメータは過去の報告と一致した.また HD 92788c も過去の報告と一致した.
スペクトル型:G3/G5V
等級:V = 8.00
光度:0.98 太陽光度
有効温度:5790 K
金属量:[Fe/H] = 0.05
自転周期:27.7 日
質量:1.03 太陽質量
半径:1.01 太陽半径
年齢:24.2 億歳
距離:42.19 pc
軌道離心率:0.86
質量:6.79 木星質量
軌道長半径:6.57 AU
HD 98649b は Marmier et al. (2013) で発見が報告されていた惑星である.非常に軌道離心率の大きい惑星であり,今回のパラメータは過去のものとよく一致した.
等級:V = 7.89
光度:1.14 太陽光度
有効温度:5868 K
金属量:[Fe/H] = 0.23
自転周期:20.2 日
質量:1.14 太陽質量
半径:1.07 太陽半径
年齢:7.6 億歳
軌道離心率:0.34
最小質量:26.77 木星質量
軌道長半径:12.40 AU
HD 13724 は 1999 年 8 月以降観測されてきた天体である.
年齢は 7.6 億歳と比較的若い.発見された伴星は褐色矮星候補であり,最小質量が 26.77 木星質量である.遠方軌道であり,直接撮像での観測候補である.
スペクトル型:G2/G3V
等級:V = 7.03
光度:2.55 太陽光度
有効温度:5770 K
金属量:[Fe/H] = -0.08
自転周期:26.2 日
質量:1.08 太陽質量
半径:1.58 太陽半径
年齢:77.5 億歳
軌道離心率:0.21
最小質量:16.88 木星質量
軌道長半径:9.62 AU
HD 92987 は 1999 年 1 月以降観測されてきた天体である.
発見された伴星は褐色矮星候補であり,最小質量が 16.88 木星質量である.遠方軌道であり,直接撮像での観測候補である.
arXiv:1904.01573
Rickman et al. (2019)
The CORALIE survey for southern extrasolar planets XVIII. Three new massive planets and two low mass brown dwarfs at separation larger than 5 AU
(CORALIE による南天の系外惑星探査 XVIII.5 AU よりも大きな間隔にある 3 つの新しい重い惑星と 2 つの低質量褐色矮星)
概要
1998 年から,La Silla Observatory の CORALIE 分光器を用いて南半球の 50 pc 以内の主系列星周りの惑星探査が行われてきた.観測期間が 20 年を超え,CORALIE サーベイは直接撮像の理想的な対象として選択するのに十分な質量と軌道間隔を持った長周期の惑星をデータ中に検出できるようになった.これらの巨大惑星候補の検出は,視線速度で検出された系外惑星と,直接撮像された惑星・褐色矮星の間のギャップの橋渡しを始めることを可能としている.CORALIE 分光器での長周期の精密なドップラー測定では,長周期軌道の重い惑星天体と褐色矮星の視線速度の特徴が明らかにされつつある.ここでは,HD 181234,HD 13724,HD 25015,HD 92987,HD 50499 を公転する新しい伴星天体の発見を報告する.また,過去に発見されていた HD 50499b,HD 92788b と HD 98649b の軌道パラメータの更新についても報告する.さらに,最近検出が報告された HD 92788c の確認も行った.
新しく報告された伴星天体は,軌道周期が 15.6 - 40.4 年,質量は 2.93 - 26.77 木星質量の範囲にある.重い天体は,惑星と褐色矮星の名目上の境界付近の質量を持つ.
ここでは,5 つの新しい伴星天体の検出と,4 つの既知の系外惑星のパラメータの更新を報告する.これらのうち少なくともいくつかは,直接撮像と将来的な特徴付けの確実な観測ターゲットであることを同定した.
パラメータ
HD 181234 系
HD 181234
別名:LTT 5654,HIP 95015スペクトル型:G5
等級:V = 8.59
光度:0.80 太陽光度
有効温度:5386 K
金属量:[Fe/H] = 0.32
自転周期:50.8 日
質量:1.01 太陽質量
半径:1.05 太陽半径
年齢:63.2 億歳
HD 181234b
軌道周期:20.43 年軌道離心率:0.73
質量:8.37 木星質量
軌道長半径:7.52 AU
HD 181234 系について
HD 181234b は今回新規発見された惑星である.HD 181234 は 2000 年 5 月以降観測されてきた天体である.また Butler et al. (2017) では Keck/HIRES で 1999 年 6 月 - 2014 年 8 月まで 20 セットの視線速度測定が行われている..
軌道離心率 0.73 と,大きな軌道離心率を持った系である.
HD 25015 系
HD 25015
別名:HIP 18527スペクトル型:K1V
等級:V = 8.87
光度:0.41 太陽光度
有効温度:5160 K
金属量:[Fe/H] = 0.04
自転周期:13.6 日
質量:0.86 太陽質量
半径:0.83 太陽半径
年齢:40.0 億歳
HD 25015b
軌道周期:16.48 年軌道離心率:0.39
質量:4.48 木星質量
軌道長半径:6.19 AU
HD 25015 系について
HD 25015b は今回新規発見された惑星である.HD 25015 は 2001 年 5 月以降観測されてきた天体である.
今回の観測対象の中で,他の恒星は非常に静穏だが,この恒星だけは例外である.370.26 日程度の周期性が Hα 線に見られる.しかしスペクトル線の半値全幅などには周期性は見られなかった,そのため,地球大気のスペクトル線が混入している可能性は否定できない.
HD 50499 系
HD 50499
別名:HIP 32970スペクトル型:G1V
等級:V = 7.21
光度:2.38 太陽光度
有効温度:6099 K
金属量:[Fe/H] = 0.38
自転周期:22.4 日
質量:1.31 太陽質量
半径:1.42 太陽半径
年齢:24.0 億歳
距離:46.34 pc
HD 50499b
軌道周期:6.80 年軌道離心率:0.27
質量:1.45 木星質量
軌道長半径:3.93 AU
HD 50499c
軌道周期:23.6 年軌道離心率:0.00
質量:2.93 木星質量
軌道長半径:9.02 AU
HD 50499 系について
HD 50499 は 1999 年 1 月以降観測されてきた天体である.HD 50499b は Vogt et al. (2005) で発見されていたが,HD 50499c は今回新規発見された惑星である.外側にさらなる天体が存在することを示唆するシグナルは Vogt et al. (2005) で既に指摘されていた.その他にもシグナルの存在を指摘する報告は存在した.
今回の観測データでは,HD 50499b のパラメータは過去の報告と整合的であった.外側の惑星の全軌道周期をカバーできていないため,HD 50499c の軌道要素は不定性が大きい.
HD 92788 系
HD 92788
別名:HIP 52409スペクトル型:G6V
等級:V = 7.31
光度:1.25 太陽光度
有効温度:5744 K
金属量:[Fe/H] = 0.27
自転周期:31.0 日
質量:1.15 太陽質量
半径:1.14 太陽半径
年齢:25.5 億歳
距離:28.83 pc
HD 92788b
軌道周期:0.892 年軌道離心率:0.35
質量:3.76 木星質量
軌道長半径:0.97 AU
HD 92788c
軌道周期:31.79 年軌道離心率:0.46
質量:3.67 木星質量
軌道長半径:10.50 AU
HD 92788 系について
HD 92788c は今回新規に確認された惑星である.HD 92788 は 1999 年 3 月以降観測されてきた天体である.
HD 92788b は Fischer et al. (2001) で発見が報告されていた惑星である.HD 92788c は Wittenmyer et al. (2019) で検出報告があり,この観測で存在が確認された.
HD 92788b のパラメータは過去の報告と一致した.また HD 92788c も過去の報告と一致した.
HD 98649 系
HD 98649
別名:LTT 4199, HIP 55409スペクトル型:G3/G5V
等級:V = 8.00
光度:0.98 太陽光度
有効温度:5790 K
金属量:[Fe/H] = 0.05
自転周期:27.7 日
質量:1.03 太陽質量
半径:1.01 太陽半径
年齢:24.2 億歳
距離:42.19 pc
HD 98649b
軌道周期:16.49 年軌道離心率:0.86
質量:6.79 木星質量
軌道長半径:6.57 AU
HD 98649 系について
HD 98649 は 2003 年 2 月以降観測されてきた天体である.HD 98649b は Marmier et al. (2013) で発見が報告されていた惑星である.非常に軌道離心率の大きい惑星であり,今回のパラメータは過去のものとよく一致した.
HD 13724 系
HD 13724
別名:HIP 10278スペクトル型:G3/G5V等級:V = 7.89
光度:1.14 太陽光度
有効温度:5868 K
金属量:[Fe/H] = 0.23
自転周期:20.2 日
質量:1.14 太陽質量
半径:1.07 太陽半径
年齢:7.6 億歳
HD 13724b
軌道周期:40.42 年軌道離心率:0.34
最小質量:26.77 木星質量
軌道長半径:12.40 AU
HD 13724 系について
HD 13724b は今回新規発見された褐色矮星候補天体である.HD 13724 は 1999 年 8 月以降観測されてきた天体である.
年齢は 7.6 億歳と比較的若い.発見された伴星は褐色矮星候補であり,最小質量が 26.77 木星質量である.遠方軌道であり,直接撮像での観測候補である.
HD 92987 系
HD 92987
別名:HIP 52472スペクトル型:G2/G3V
等級:V = 7.03
光度:2.55 太陽光度
有効温度:5770 K
金属量:[Fe/H] = -0.08
自転周期:26.2 日
質量:1.08 太陽質量
半径:1.58 太陽半径
年齢:77.5 億歳
HD 92987b
軌道周期:28.35 年軌道離心率:0.21
最小質量:16.88 木星質量
軌道長半径:9.62 AU
HD 92987 系について
HD 92987b は今回新規発見された褐色矮星候補天体である.HD 92987 は 1999 年 1 月以降観測されてきた天体である.
発見された伴星は褐色矮星候補であり,最小質量が 16.88 木星質量である.遠方軌道であり,直接撮像での観測候補である.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1904.00522
Dunham et al. (2019)
Haumea's Shape and Composition
(ハウメアの形状と組成)
過去のハウメアの光度曲線の研究では,ハウメアは組成が一様で三軸楕円体の形状をしており,960 × 774 × 513 km のヤコビ楕円体と整合的で,バルク密度はおよそ 2600 kg m-3 であると示唆されている.
対照的に,最近のハウメアによる恒星の掩蔽の観測では,ハウメアの形状は 1161 × 852 × 523 km で,密度 1885 kg m-3 と推定されている.この結果は,ハウメアは静水圧平衡の状態にある流体ではなく,部分的に分子間力で形状が支えられている必要があることを示唆している.
これらの観測の差異を解決するためのコードを作成し,ハウメアが実際に静水圧平衡の流体であるかどうかを決定した.コードは,天体の平衡形状,密度,分化したハウメアの氷地殻の厚さを,与えた長軸 (半長軸) a と b で計算するものである.
その結果,ハウメアは静水圧平衡にある分化した三軸楕円体の流体であるという結果と整合的であった,ベストフィットの軸長は,1050 km × 840 km × 537 km である.またハウメアの平均密度は 2018 kg m-3,コアの密度は 2680 kg m-3,コアのサイズは 883 km × 723 km × 470 km と推定される.
この結果は,ハウメアの氷マントルは全体積の 17% 程度を占め,厚さは 67 - 167 km の間で差異があることに対応している.ここで示唆されたハウメアの厚い氷地殻は,ハウメアの衝突族天体は,ハウメアへの天体衝突前の氷地殻のほんの一部であることを示す.
広いパラメータ範囲において,ハウメアに対して導出されたコア密度は,現在のコアは水和ケイ酸塩で構成されていることと,おそらく過去に蛇紋石化作用が発生した可能性があることを示唆している.
ハウメアの平均半径は 720 km 程度 (Lockwood et al. 2014) から 795 km 程度 (Ortiz et al. 2017) と推定されている.反射スペクトルは,表面が 100% に近く一様に水氷で覆われていることを示唆している (Trujillo et al. 2007,Pinilla-Alonso et al. 2009).ハウメアはカイパーベルト天体の中では冥王星,マケマケに次ぐ 3 番目に明るい天体である (Brown et al. 2006).
ハウメアは,ヒイアカとナマカという 2 つの小さい衛星を持つ.この 2 つの衛星の運動から,ハウメアの質量は 4.006 × 1021 kg と推定されている (Ragozzine & Brown 2009).これは冥王星,エリス,そしておそらくはマケマケに次いで,既知のカイパーベルト天体の中では 3 番目か 4 番目に大きな質量である.
光度曲線からは自転周期は 3.91531 時間と推定されている (Lellouch et al. 2010).これはカイパーベルト天体の中で最も速い自転である (Sheppard & Jewitt 2002),また 100 km を超える天体としては太陽系の中で最も速い自転周期を持つ (Rabinowitz et al. 2006).
またハウメアは衝突族を持ち (Brown et al. 2007),環を持っている (Ortiz et al. 2017).自転が速いことと,衝突族を持つことから,ハウメアは過去に大きな衝突を経験したことが示唆される (Brown et al. 2007).衝突族のメンバーである天体群の軌道の分散に基づくと,衝突が発生したのは 30 億年前と推定される (Volk & Malhotra 2012).
ハウメアはケレスのような他の準惑星よりもずっと大きい (ケレスは半径 473 km).あるいは,衛星ディオネ (561 km),アリエル (579 km) のような,名目上は球体である衛星よりも大きい.
しかしハウメアの反射光の光度曲線は非常に大きな極大と極小の振幅があり,2005 年には等級の振幅が 0.28 等級分 (Rabinowitz et al. 2006),2007 年には 0.29 (Lacerda et al. 2008),2009 年には 0.32 (Lockwood et al. 2014) であることが分かっている.ハウメアの表面のスペクトルは一様であるため,このような極端な明るさの変化は,表面の模様の変化ではなく観測者から見た時の断面積の違いのみによると考えられる.
ヤコビ楕円体では天体の軸比は b/a = 0.806,そしてハウメアの自転周期を考えると,密度は 2580 kg m-3 である必要があり,また c/a = 0.520 となるはずである.長軸を a = 960 km とすると,b = 774 km,c = 499 km となる.ここから推定される質量 (4π/3)abcρ は,観測されているハウメアの質量に一致する.そのため平均半径は 718 km ということになる.さらに,ハウメアの断面積からは表面アルベドは pV = 0.71 - 0.84 と示唆され (Rabinowitz et al. 2016など),これは水氷からなる表面を持つことと整合的である.
ハウメアの表面が氷であることと,密度が 2580 kg m-3 であることを同時に説明するためには,ハウメアの内部の密度が 2600 kg m-3 に近い必要がある,一方で,表面は非常に薄い氷の層を持つ.この構造は,ハウメアが過去に巨大衝突を経験し,氷マントルをはぎ取られたことを示唆している.
arXiv:1904.00522
Dunham et al. (2019)
Haumea's Shape and Composition
(ハウメアの形状と組成)
概要
高速で自転する分化した天体の平衡形状を計算し,準惑星ハウメアの形状と構造と組成を決定した.過去のハウメアの光度曲線の研究では,ハウメアは組成が一様で三軸楕円体の形状をしており,960 × 774 × 513 km のヤコビ楕円体と整合的で,バルク密度はおよそ 2600 kg m-3 であると示唆されている.
対照的に,最近のハウメアによる恒星の掩蔽の観測では,ハウメアの形状は 1161 × 852 × 523 km で,密度 1885 kg m-3 と推定されている.この結果は,ハウメアは静水圧平衡の状態にある流体ではなく,部分的に分子間力で形状が支えられている必要があることを示唆している.
これらの観測の差異を解決するためのコードを作成し,ハウメアが実際に静水圧平衡の流体であるかどうかを決定した.コードは,天体の平衡形状,密度,分化したハウメアの氷地殻の厚さを,与えた長軸 (半長軸) a と b で計算するものである.
その結果,ハウメアは静水圧平衡にある分化した三軸楕円体の流体であるという結果と整合的であった,ベストフィットの軸長は,1050 km × 840 km × 537 km である.またハウメアの平均密度は 2018 kg m-3,コアの密度は 2680 kg m-3,コアのサイズは 883 km × 723 km × 470 km と推定される.
この結果は,ハウメアの氷マントルは全体積の 17% 程度を占め,厚さは 67 - 167 km の間で差異があることに対応している.ここで示唆されたハウメアの厚い氷地殻は,ハウメアの衝突族天体は,ハウメアへの天体衝突前の氷地殻のほんの一部であることを示す.
広いパラメータ範囲において,ハウメアに対して導出されたコア密度は,現在のコアは水和ケイ酸塩で構成されていることと,おそらく過去に蛇紋石化作用が発生した可能性があることを示唆している.
ハウメアについて
ハウメアの主要な特性
ハウメアは冥王星軌道以遠を公転しているカイパーベルト天体で,軌道長半径は 43.2 AU である,現在は遠日点距離 51.5 AU の付近にいるが,等級は比較的明るく V = 17.3 である.これは,ハウメアのサイズが大きいことと,表面が反射率の高い氷から成っていることが要因である.ハウメアの平均半径は 720 km 程度 (Lockwood et al. 2014) から 795 km 程度 (Ortiz et al. 2017) と推定されている.反射スペクトルは,表面が 100% に近く一様に水氷で覆われていることを示唆している (Trujillo et al. 2007,Pinilla-Alonso et al. 2009).ハウメアはカイパーベルト天体の中では冥王星,マケマケに次ぐ 3 番目に明るい天体である (Brown et al. 2006).
ハウメアは,ヒイアカとナマカという 2 つの小さい衛星を持つ.この 2 つの衛星の運動から,ハウメアの質量は 4.006 × 1021 kg と推定されている (Ragozzine & Brown 2009).これは冥王星,エリス,そしておそらくはマケマケに次いで,既知のカイパーベルト天体の中では 3 番目か 4 番目に大きな質量である.
自転特性と過去の天体衝突
天体サイズが大きいものの,ハウメアの自転は速い.光度曲線からは自転周期は 3.91531 時間と推定されている (Lellouch et al. 2010).これはカイパーベルト天体の中で最も速い自転である (Sheppard & Jewitt 2002),また 100 km を超える天体としては太陽系の中で最も速い自転周期を持つ (Rabinowitz et al. 2006).
またハウメアは衝突族を持ち (Brown et al. 2007),環を持っている (Ortiz et al. 2017).自転が速いことと,衝突族を持つことから,ハウメアは過去に大きな衝突を経験したことが示唆される (Brown et al. 2007).衝突族のメンバーである天体群の軌道の分散に基づくと,衝突が発生したのは 30 億年前と推定される (Volk & Malhotra 2012).
ハウメアはケレスのような他の準惑星よりもずっと大きい (ケレスは半径 473 km).あるいは,衛星ディオネ (561 km),アリエル (579 km) のような,名目上は球体である衛星よりも大きい.
しかしハウメアの反射光の光度曲線は非常に大きな極大と極小の振幅があり,2005 年には等級の振幅が 0.28 等級分 (Rabinowitz et al. 2006),2007 年には 0.29 (Lacerda et al. 2008),2009 年には 0.32 (Lockwood et al. 2014) であることが分かっている.ハウメアの表面のスペクトルは一様であるため,このような極端な明るさの変化は,表面の模様の変化ではなく観測者から見た時の断面積の違いのみによると考えられる.
ハウメアの形状と内部構造
自転が速いことから,ハウメアはヤコビ楕円体と呼ばれる特別な形状をしていると推定される.これは,ある閾値よりも速く自転をする,静水圧平衡にあるシアー無しの流体が取ると考えられ得る平衡形状の分類である (Chandrasekhar 1969, 1987).ヤコビ楕円体では天体の軸比は b/a = 0.806,そしてハウメアの自転周期を考えると,密度は 2580 kg m-3 である必要があり,また c/a = 0.520 となるはずである.長軸を a = 960 km とすると,b = 774 km,c = 499 km となる.ここから推定される質量 (4π/3)abcρ は,観測されているハウメアの質量に一致する.そのため平均半径は 718 km ということになる.さらに,ハウメアの断面積からは表面アルベドは pV = 0.71 - 0.84 と示唆され (Rabinowitz et al. 2016など),これは水氷からなる表面を持つことと整合的である.
ハウメアの表面が氷であることと,密度が 2580 kg m-3 であることを同時に説明するためには,ハウメアの内部の密度が 2600 kg m-3 に近い必要がある,一方で,表面は非常に薄い氷の層を持つ.この構造は,ハウメアが過去に巨大衝突を経験し,氷マントルをはぎ取られたことを示唆している.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1904.00651
Heller et al. (2019)
The Transit Least Squares Survey - I. Discovery and validation of an Earth-sized planet in the four-planet system K2-32 near the 1:2:5:7 resonance
(The Transit Least Squares Survey - I.1:2:5:7 共鳴に近い 4 惑星系 K2-32 における地球サイズ惑星の発見と実証)
今回の概念実証論文では,これまで見逃されてきた小さい惑星のトランジットを,TLS がどのように発見するかを実証する.
ケプラーの K2 ミッションで得られたデータを EVEREST を用いてトレンド除去した,K2-32 (EPIC 205071984) の光度曲線を使用した,K2-32 は 3 つのトランジット惑星が発見されている恒星である.
TLS を用いた解析では,これらの既知の海王星サイズ惑星 K2-32b, d, c を反復研究中に検出し,さらに新しいトランジットも検出した.これはシグナル検出効率 (signal detection efficiency, SDE) が SDETLS = 26.1 と高く,周期は 4.34882 日であった.
ここでは,この新しく検出されたシグナルは K2-32 の K2SFF 光度曲線中でも TLS で検出可能 (SDETLS = 13.2) であることを示す.こちらの光度曲線は,系統のトレンドの除去が最適ではないものである.しかしシグナルは,過去の研究のように K2SFF 光度曲線中で BLS を用いて探査した場合は,一般的な検出閾値より低くなる (SDETLS = 8.9).
emcee ソフトウェアを用いたマルコフ連鎖モンテカルロ法のサンプリングでは,新しい惑星候補は 1.01 地球半径と推定される.この惑星候補の軌道位相で折りたたんだトランジット光度曲線を vespa を用いて解析し,偽陽性確率は 3.1 × 10-3 と推定した.またこの系が複数惑星系であることを考慮すると,偽陽性確率は < 3.1 × 10-4 と推定され,今回検出された K2-32e は惑星であることを実証した.
今回の発見により,K2-32 は 4 つの惑星を 1:2:5:7 の平均運動共鳴鎖に非常に近い関係で持つ系であることが判明した.K2-32e と b の 1:2 平均運動共鳴の軌道周期からのずれは,ケプラーで発見されたトランジット複数惑星系のサンプルと非常によく一致し,K2-32e が惑星由来のシグナルであることをさらに補強する.
TLS は,ケプラーと K2 データから,地球サイズとさらに小さい惑星のさらに多くのトランジットを検出できるだろう.
arXiv:1904.00651
Heller et al. (2019)
The Transit Least Squares Survey - I. Discovery and validation of an Earth-sized planet in the four-planet system K2-32 near the 1:2:5:7 resonance
(The Transit Least Squares Survey - I.1:2:5:7 共鳴に近い 4 惑星系 K2-32 における地球サイズ惑星の発見と実証)
概要
Transit Least Square (TLS) アルゴリズムを,初めて新しいトランジット系外惑星探査に応用した.TLS は Box Least Square (BLS) アルゴリズムの後継として開発されてきたものであり,BLS は周期的なトランジットの検出の一般的なツールとして用いられてきたものである.今回の概念実証論文では,これまで見逃されてきた小さい惑星のトランジットを,TLS がどのように発見するかを実証する.
ケプラーの K2 ミッションで得られたデータを EVEREST を用いてトレンド除去した,K2-32 (EPIC 205071984) の光度曲線を使用した,K2-32 は 3 つのトランジット惑星が発見されている恒星である.
TLS を用いた解析では,これらの既知の海王星サイズ惑星 K2-32b, d, c を反復研究中に検出し,さらに新しいトランジットも検出した.これはシグナル検出効率 (signal detection efficiency, SDE) が SDETLS = 26.1 と高く,周期は 4.34882 日であった.
ここでは,この新しく検出されたシグナルは K2-32 の K2SFF 光度曲線中でも TLS で検出可能 (SDETLS = 13.2) であることを示す.こちらの光度曲線は,系統のトレンドの除去が最適ではないものである.しかしシグナルは,過去の研究のように K2SFF 光度曲線中で BLS を用いて探査した場合は,一般的な検出閾値より低くなる (SDETLS = 8.9).
emcee ソフトウェアを用いたマルコフ連鎖モンテカルロ法のサンプリングでは,新しい惑星候補は 1.01 地球半径と推定される.この惑星候補の軌道位相で折りたたんだトランジット光度曲線を vespa を用いて解析し,偽陽性確率は 3.1 × 10-3 と推定した.またこの系が複数惑星系であることを考慮すると,偽陽性確率は < 3.1 × 10-4 と推定され,今回検出された K2-32e は惑星であることを実証した.
今回の発見により,K2-32 は 4 つの惑星を 1:2:5:7 の平均運動共鳴鎖に非常に近い関係で持つ系であることが判明した.K2-32e と b の 1:2 平均運動共鳴の軌道周期からのずれは,ケプラーで発見されたトランジット複数惑星系のサンプルと非常によく一致し,K2-32e が惑星由来のシグナルであることをさらに補強する.
TLS は,ケプラーと K2 データから,地球サイズとさらに小さい惑星のさらに多くのトランジットを検出できるだろう.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1903.12183
Lothringer & Barman (2019)
The Influence of Host Star Spectral Type on Ultra-Hot Jupiter Atmospheres
(ウルトラホットジュピター大気における主星のスペクトル型の影響)
ここでは異なるスペクトル型の恒星からの輻射に対して,どのようにウルトラホットジュピターの惑星の大気が応答するかを評価した.その結果,ウルトラホットジュピターは中心星のスペクトル型に敏感な温度逆転層を持つことを見出した.
温度逆転層での温度の傾きと温度範囲の両方は,中心星の有効温度の上昇に伴って大きくなる.これは,短波長の放射の吸収が増加することと,低い圧力によるものである.
高温の恒星を公転するウルトラホットジュピターでの急激な温度逆転層は,低温の恒星の周りでの同様の惑星と比較して大きな熱解離と電離をもたらす.結果として H- による大気の不透明度が増加し,大気による吸収の特徴が抑えられたトランジットスペクトルを生み出す要因となる.
しかし放射スペクトルでは,輝度温度に大きなコントラストが生じる.この特徴は二次食の観測と高分散分光観測の両方で検出可能だろう.また,恒星大気中での局所熱力学平衡からのずれが惑星の高層大気中の原子金属によって引き起こされる加熱の度合いに影響を及ぼす.
さらに,ウルトラホットジュピター大気での異なる不透明度の源による加熱の重要性を定量化した.
arXiv:1903.12183
Lothringer & Barman (2019)
The Influence of Host Star Spectral Type on Ultra-Hot Jupiter Atmospheres
(ウルトラホットジュピター大気における主星のスペクトル型の影響)
概要
ウルトラホットジュピターは,平衡温度が 2000 K から 4000 K を超える,最も強く輻射を受ける巨大ガス惑星である.ウルトラホットジュピターは,その高い温度,膨張した半径,短い軌道周期のため特徴付けに適しているが,これらの惑星の光球は分子に対して原子やイオンがより多く濃集しているため,惑星としては典型的ではない.ここでは異なるスペクトル型の恒星からの輻射に対して,どのようにウルトラホットジュピターの惑星の大気が応答するかを評価した.その結果,ウルトラホットジュピターは中心星のスペクトル型に敏感な温度逆転層を持つことを見出した.
温度逆転層での温度の傾きと温度範囲の両方は,中心星の有効温度の上昇に伴って大きくなる.これは,短波長の放射の吸収が増加することと,低い圧力によるものである.
高温の恒星を公転するウルトラホットジュピターでの急激な温度逆転層は,低温の恒星の周りでの同様の惑星と比較して大きな熱解離と電離をもたらす.結果として H- による大気の不透明度が増加し,大気による吸収の特徴が抑えられたトランジットスペクトルを生み出す要因となる.
しかし放射スペクトルでは,輝度温度に大きなコントラストが生じる.この特徴は二次食の観測と高分散分光観測の両方で検出可能だろう.また,恒星大気中での局所熱力学平衡からのずれが惑星の高層大気中の原子金属によって引き起こされる加熱の度合いに影響を及ぼす.
さらに,ウルトラホットジュピター大気での異なる不透明度の源による加熱の重要性を定量化した.