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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1809.04107
Wang et al. (2018)
Dynamical Constraints on the HR 8799 Planets with GPI
(GPI による HR 8799 惑星への力学的制約)
観測結果を用いて,異なる制約レベルでの 4 つの惑星軌道モデルを評価した.その結果,各惑星が 1:2:4:8 の軌道周期尽数関係に近いと仮定することや,各惑星の軌道が同一平面上にあると仮定することは,軌道フィットの結果を悪化させないことを見出した.
また,惑星の質量を変化させて N 体シミュレーションを行って惑星の軌道配置を計算した.この計算では,この系の年齢 (4000 万年) に渡って惑星軌道は安定でなければならないという前提を加えてパラメータに制約を与えた.
その結果,惑星が同一平面上にあり,1:2:4:8 周期尽数関係にあることを仮定した場合のみ,広いパラメータで力学的に安定な軌道を再現できることを見出した.
計算から得られた惑星軌道に関する事後情報から,惑星の軌道に強い制約を与えた.また,最も外側を公転する惑星 HR 8799b が,その外側に存在するデブリ円盤の特徴を形作っていることへの応用について議論を行った.
この系の 4 惑星が現在まで安定に存在しているために,4 惑星の全てが軌道共鳴に固定されている必要はない.しかし,HR 8799d, e ペアおよび HR 8799c, d ペアは,質量がそれぞれ 6 木星質量と 7 木星質量以上の場合は,安定性の条件を満たすためにはお互いに 2 体共鳴に入っている必要があると考えられる.
さらに,力学的な制約と光度からの制約を組み合わせて惑星質量の推定を行った,ホットスタートの進化モデル (惑星が形成時により多くのエントロピーを持ち込んだというモデル) を使用し,この系の年齢を 4200 万歳 ± 500 万歳とすると,HR 8799b は 5.8 ± 0.5 木星質量,HR 8799c, d, e は 7.2 (+0.6, -0.7) 木星質量と推定される.
・軌道配置に関する 20 以上の次元空間を探査するため,MCMC 法を使用し,ベイズパラメータ推定を行った.
・HR 8799 系の 4 惑星の軌道が同一平面上にあるという仮定や,軌道周期が 1:2:4:8 の共鳴にあるという仮定は,軌道データのフィットを悪化させず,実際には良くする可能性もあることを見出した.両方の仮定を含めることでデータをフィットし,Konopacky et al. (2016) と一致する結論を得た.
・REBOUND コードを用いて N 体計算を行い,系の年齢の 4000 万年に渡って現在の時点から逆向きに時間積分し,惑星質量を変化させて安定な軌道配置を調べた.
・各惑星が同一平面軌道で 1:2:4:8 共鳴に近い軌道配置の場合,その他のあらゆる軌道配置よりも一桁ほど惑星軌道は安定である.
・惑星の軌道平面は,ハーシェルで観測されたこの恒星を取り巻くデブリ円盤の平面と同一平面上であるという仮定と整合的である.しかし SMA と ALMA で観測された円盤平面とは 16° ほどずれている.惑星 HR 8799b の軌道は,軌道が同一平面上にあると仮定した場合,この惑星がミリメートル波長でのデブリ円盤の内縁を形作っていると解釈することが出来る.
・惑星 HR 8799c, d, e が 6 木星質量以上の場合,系の安定性のためには HR 8799e は HR 8799d と共鳴に固定されている必要がある.同様に HR 8799c, d, e が 7 木星質量以上の場合は,安定性を満たすためには HR 8799d は HR 8799c と共鳴に入っていると考えられる.今回の計算では内側の 3 惑星が 1:2:4 のラプラス共鳴に入っているという安定な軌道配置を発見したものの,このような 3 体共鳴は軌道安定の必要条件というわけではなく,2 個の惑星のみが共鳴に入っている状態の安定な軌道配置も複数発見した.なお,惑星 HR 8799b が系の安定性のために共鳴に入っている必要はない.
arXiv:1809.04107
Wang et al. (2018)
Dynamical Constraints on the HR 8799 Planets with GPI
(GPI による HR 8799 惑星への力学的制約)
概要
Gemini Planet Imager (GPI) を用いて,最小で 1 ミリ秒角精度で HR 8799 系の 4 つの惑星のアストロメトリ観測を行った.観測結果を用いて,異なる制約レベルでの 4 つの惑星軌道モデルを評価した.その結果,各惑星が 1:2:4:8 の軌道周期尽数関係に近いと仮定することや,各惑星の軌道が同一平面上にあると仮定することは,軌道フィットの結果を悪化させないことを見出した.
また,惑星の質量を変化させて N 体シミュレーションを行って惑星の軌道配置を計算した.この計算では,この系の年齢 (4000 万年) に渡って惑星軌道は安定でなければならないという前提を加えてパラメータに制約を与えた.
その結果,惑星が同一平面上にあり,1:2:4:8 周期尽数関係にあることを仮定した場合のみ,広いパラメータで力学的に安定な軌道を再現できることを見出した.
計算から得られた惑星軌道に関する事後情報から,惑星の軌道に強い制約を与えた.また,最も外側を公転する惑星 HR 8799b が,その外側に存在するデブリ円盤の特徴を形作っていることへの応用について議論を行った.
この系の 4 惑星が現在まで安定に存在しているために,4 惑星の全てが軌道共鳴に固定されている必要はない.しかし,HR 8799d, e ペアおよび HR 8799c, d ペアは,質量がそれぞれ 6 木星質量と 7 木星質量以上の場合は,安定性の条件を満たすためにはお互いに 2 体共鳴に入っている必要があると考えられる.
さらに,力学的な制約と光度からの制約を組み合わせて惑星質量の推定を行った,ホットスタートの進化モデル (惑星が形成時により多くのエントロピーを持ち込んだというモデル) を使用し,この系の年齢を 4200 万歳 ± 500 万歳とすると,HR 8799b は 5.8 ± 0.5 木星質量,HR 8799c, d, e は 7.2 (+0.6, -0.7) 木星質量と推定される.
観測と解析結果の要点
・2014 年から 2016 年にかけて取得された GPI IFS データを使用し,HR 8799 のアストロメトリ観測を 1 ミリ秒角の精度で行った.・軌道配置に関する 20 以上の次元空間を探査するため,MCMC 法を使用し,ベイズパラメータ推定を行った.
・HR 8799 系の 4 惑星の軌道が同一平面上にあるという仮定や,軌道周期が 1:2:4:8 の共鳴にあるという仮定は,軌道データのフィットを悪化させず,実際には良くする可能性もあることを見出した.両方の仮定を含めることでデータをフィットし,Konopacky et al. (2016) と一致する結論を得た.
・REBOUND コードを用いて N 体計算を行い,系の年齢の 4000 万年に渡って現在の時点から逆向きに時間積分し,惑星質量を変化させて安定な軌道配置を調べた.
・各惑星が同一平面軌道で 1:2:4:8 共鳴に近い軌道配置の場合,その他のあらゆる軌道配置よりも一桁ほど惑星軌道は安定である.
・惑星の軌道平面は,ハーシェルで観測されたこの恒星を取り巻くデブリ円盤の平面と同一平面上であるという仮定と整合的である.しかし SMA と ALMA で観測された円盤平面とは 16° ほどずれている.惑星 HR 8799b の軌道は,軌道が同一平面上にあると仮定した場合,この惑星がミリメートル波長でのデブリ円盤の内縁を形作っていると解釈することが出来る.
・惑星 HR 8799c, d, e が 6 木星質量以上の場合,系の安定性のためには HR 8799e は HR 8799d と共鳴に固定されている必要がある.同様に HR 8799c, d, e が 7 木星質量以上の場合は,安定性を満たすためには HR 8799d は HR 8799c と共鳴に入っていると考えられる.今回の計算では内側の 3 惑星が 1:2:4 のラプラス共鳴に入っているという安定な軌道配置を発見したものの,このような 3 体共鳴は軌道安定の必要条件というわけではなく,2 個の惑星のみが共鳴に入っている状態の安定な軌道配置も複数発見した.なお,惑星 HR 8799b が系の安定性のために共鳴に入っている必要はない.
PR
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1809.03775
Southworth et al. (2018)
Physical properties and optical-infrared transmission spectrum of the giant planet XO-1b
(巨大惑星 XO-1b の物理的特性と可視光-赤外線透過スペクトル)
観測結果を,過去のハッブル宇宙望遠鏡の WFC3 のデータと合わせ,0.37 - 1.65 µm の波長域で惑星大気の透過スペクトルを構築した.ベストフィットモデルでは,惑星は水素分子・ヘリウム主体の大気を持ち,大気成分として水 (3.05σ の信頼度),窒素を含む分子である NH3 と HCN (1.5σ) が検出され,また部分的な雲 (1.3σ) も検出された.
今回の場合,可視光から近赤外線のデータを加えても,惑星大気に対してより精密な制約を課すことには繋がらないことを見出した.
また,今回の結果における恒星の周辺減光 (limb darkening) の効果を詳細に調査した結果,周辺減光の法則と係数の選択は得られる結果に対して重要ではないことが分かった.ただしこの結論は他の惑星系では同様ではない可能性があるため,全ての高品質データセットについて再評価するべきである.
なお,g バンドで測定した惑星半径は異常に小さい値を示したため,高いスペクトル分解能の将来観測でさらなる調査するべきである.
トランジットの時刻の測定から,この惑星の軌道暦を更新した.これを用いて,改良された恒星の潮汐クオリティファクターの下限値として \(Q’_{*}>10^{5.6}\) という値を与えた.
また,過去に存在が主張されていた,トランジット時刻の正弦波状の変動の存在は否定された.
この惑星の掩蔽 (二次食) は,Machalek et al. (2008) によってスピッツァー宇宙望遠鏡を用いて観測された.この時の観測は,スピッツァー宇宙望遠鏡の IRAC の 4 バンドで行われた.
しかし同じデータの再解析に基づき,この結果には疑問が呈されている (Gibson et al. 2011).またハッブル宇宙望遠鏡 WFC3 による新しいデータを元にした透過スペクトルの解析でも,同じく検出に疑問が呈されている (Deming et al. 2013),なお後者では透過スペクトル中に水の証拠は発見されており,同様の結論は Tsiaras et al. (2018) でも報告されている.
その他にも,トランジット光度曲線の観測,中心星の分光解析などが行われている.また惑星の軌道離心率は 0.29 未満という制約が与えられている (Madhusudhan & Winn 2009, Pont et al. 2011).さらに最近では,新しい視線速度測定から軌道離心率は 0.019 未満 (1σ の上限値) と制約が与えられている (Bonomo et al. 2017).
その結果,軌道崩壊についての上限値を与え,それを元に潮汐の Q 値に対して下限値を与えた.得られた下限値は \(Q’_{*}>10^{5.6}\) である.
またトランジット時刻の変動についても解析した.
Burke et al. (2010) では,トランジット時刻が 118.3 軌道周期 (466.3 日) で正弦曲線的に変動している可能性について報告している.
周波数スペクトルを解析した結果,報告があった周期での明確なシグナルは検出されなかった.より高周波の 0.0807 /日と 0.0802 /日では強いピークが見られたものの,これらのシグナルノイズ比は低い.そのため,トランジット時刻の変動に関しては明確な証拠は検出されないという結論となった.
その結果,昼夜境界領域での雲とヘイズの割合が 0.54 というモデルでスペクトルを最もよくフィット出来た.部分的な雲を持つ大気のモデルは一般に,1.3σ の信頼水準で,晴れた大気を持つモデルよりも良く観測データをフィットする.
また 3.05σ の信頼水準でハッブル宇宙望遠鏡 WFC3 のデータに水の存在が検出され,さらに窒素含有分子である NH3,HCN の存在の兆候が 1.5σ で検出された.なお,Na と K に関しては存在する兆候が見られなかった.
今回の g バンドでの惑星半径は,モデル透過スペクトルが予測する値より 8σ も低く,他のどの波長バンドでの惑星半径よりも小さい値となった.この違いの理由は不明である.
ここで使用した全ての透過スペクトルモデルにおいて,赤外線バンドで予測される惑星半径を下回る可視光バンドでの惑星半径を示すものは存在しなかった.そのため,g バンドでの惑星半径が異常に小さい現象を理論的に説明するのが困難である.
また,観測的にもこれを説明することは困難である.
このパスバンドでの 2 つの光度曲線は高精度でお互いによく一致しており,またこのような影響は過去の観測では見られていない.
さらに,惑星大気か恒星大気の時間変動も原因になるとは考えにくい.これは,g バンドの光度曲線は,z バンドと,u か r バンドのどちらかと同時に取得されているからである.
ただし g バンドでの異常に小さい惑星半径は,観測的にも理論的にも説明が困難であり,この波長域における非常に高い分解能での観測で今後調査する必要がある.
arXiv:1809.03775
Southworth et al. (2018)
Physical properties and optical-infrared transmission spectrum of the giant planet XO-1b
(巨大惑星 XO-1b の物理的特性と可視光-赤外線透過スペクトル)
概要
XO-1 惑星系の 4 回のトランジットを高精度で観測した.観測波長は,u, g, r, 赤方偏移した Hα,I, z の各フィルターを使用した.これらを用いて,物理的特性,軌道暦,大気透過スペクトルを全ての可視光波長領域でカバーした.観測結果を,過去のハッブル宇宙望遠鏡の WFC3 のデータと合わせ,0.37 - 1.65 µm の波長域で惑星大気の透過スペクトルを構築した.ベストフィットモデルでは,惑星は水素分子・ヘリウム主体の大気を持ち,大気成分として水 (3.05σ の信頼度),窒素を含む分子である NH3 と HCN (1.5σ) が検出され,また部分的な雲 (1.3σ) も検出された.
今回の場合,可視光から近赤外線のデータを加えても,惑星大気に対してより精密な制約を課すことには繋がらないことを見出した.
また,今回の結果における恒星の周辺減光 (limb darkening) の効果を詳細に調査した結果,周辺減光の法則と係数の選択は得られる結果に対して重要ではないことが分かった.ただしこの結論は他の惑星系では同様ではない可能性があるため,全ての高品質データセットについて再評価するべきである.
なお,g バンドで測定した惑星半径は異常に小さい値を示したため,高いスペクトル分解能の将来観測でさらなる調査するべきである.
トランジットの時刻の測定から,この惑星の軌道暦を更新した.これを用いて,改良された恒星の潮汐クオリティファクターの下限値として \(Q’_{*}>10^{5.6}\) という値を与えた.
また,過去に存在が主張されていた,トランジット時刻の正弦波状の変動の存在は否定された.
XO-1 系について
発見と観測
XO-1b は,トランジット惑星としては 11 番目に発見された系外惑星である (McCullough et al. 2006).0.92 木星質量,1.21 木星半径を持ち,1.04 太陽質量,0.94 太陽半径の G1V 星を 3.94 日周期で公転している (Southworth 2010).この惑星の掩蔽 (二次食) は,Machalek et al. (2008) によってスピッツァー宇宙望遠鏡を用いて観測された.この時の観測は,スピッツァー宇宙望遠鏡の IRAC の 4 バンドで行われた.
大気成分に関する観測
Tinetti et al. (2010) とBurke et al. (2010) では,ハッブル宇宙望遠鏡の NICMOS を用いてこの惑星の大気透過スペクトルを取得した.そのスペクトル中から,大気中に水,メタン,二酸化炭素分子が存在する証拠を発見した.しかし同じデータの再解析に基づき,この結果には疑問が呈されている (Gibson et al. 2011).またハッブル宇宙望遠鏡 WFC3 による新しいデータを元にした透過スペクトルの解析でも,同じく検出に疑問が呈されている (Deming et al. 2013),なお後者では透過スペクトル中に水の証拠は発見されており,同様の結論は Tsiaras et al. (2018) でも報告されている.
その他にも,トランジット光度曲線の観測,中心星の分光解析などが行われている.また惑星の軌道離心率は 0.29 未満という制約が与えられている (Madhusudhan & Winn 2009, Pont et al. 2011).さらに最近では,新しい視線速度測定から軌道離心率は 0.019 未満 (1σ の上限値) と制約が与えられている (Bonomo et al. 2017).
観測結果
トランジット時刻解析
過去の観測データと合わせ,この惑星の軌道崩壊について解析を行った.その結果,軌道崩壊についての上限値を与え,それを元に潮汐の Q 値に対して下限値を与えた.得られた下限値は \(Q’_{*}>10^{5.6}\) である.
またトランジット時刻の変動についても解析した.
Burke et al. (2010) では,トランジット時刻が 118.3 軌道周期 (466.3 日) で正弦曲線的に変動している可能性について報告している.
周波数スペクトルを解析した結果,報告があった周期での明確なシグナルは検出されなかった.より高周波の 0.0807 /日と 0.0802 /日では強いピークが見られたものの,これらのシグナルノイズ比は低い.そのため,トランジット時刻の変動に関しては明確な証拠は検出されないという結論となった.
可視光・近赤外線透過スペクトル
過去の観測結果も合わせて,この惑星大気の透過スペクトルを構築して結果を解釈した.スペクトルについては,部分的な雲を持つ大気のモデルでフィッティングを行った.その結果,昼夜境界領域での雲とヘイズの割合が 0.54 というモデルでスペクトルを最もよくフィット出来た.部分的な雲を持つ大気のモデルは一般に,1.3σ の信頼水準で,晴れた大気を持つモデルよりも良く観測データをフィットする.
また 3.05σ の信頼水準でハッブル宇宙望遠鏡 WFC3 のデータに水の存在が検出され,さらに窒素含有分子である NH3,HCN の存在の兆候が 1.5σ で検出された.なお,Na と K に関しては存在する兆候が見られなかった.
g バンドでの異常に小さい半径
ベストフィットモデルは,今回 g バンドで測定された惑星半径を説明できない.今回の g バンドでの惑星半径は,モデル透過スペクトルが予測する値より 8σ も低く,他のどの波長バンドでの惑星半径よりも小さい値となった.この違いの理由は不明である.
ここで使用した全ての透過スペクトルモデルにおいて,赤外線バンドで予測される惑星半径を下回る可視光バンドでの惑星半径を示すものは存在しなかった.そのため,g バンドでの惑星半径が異常に小さい現象を理論的に説明するのが困難である.
また,観測的にもこれを説明することは困難である.
このパスバンドでの 2 つの光度曲線は高精度でお互いによく一致しており,またこのような影響は過去の観測では見られていない.
さらに,惑星大気か恒星大気の時間変動も原因になるとは考えにくい.これは,g バンドの光度曲線は,z バンドと,u か r バンドのどちらかと同時に取得されているからである.
結論
結果として,XO-1b の大気は,水素・ヘリウムが主成分であり,成分として水蒸気を含み,低信頼水準ではあるが部分的な雲と窒素含有分子を含む大気モデルによって再現できる.ただし g バンドでの異常に小さい惑星半径は,観測的にも理論的にも説明が困難であり,この波長域における非常に高い分解能での観測で今後調査する必要がある.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1809.01968
Livingston et al. (2018)
EPIC 211964830: A transiting multi-planet system in the Praesepe open cluster
(EPIC 211964830:プレセペ散開星団中の複数トランジット惑星系)
中心星の EPIC 211964830 は M2 矮星であり,中間的な年齢 (6 - 8 億歳) の散開星団であるプレセペ星団に所属している恒星である (プレセペ星団は,Beehive Cluster, M44, NGC 2632 としても知られる星団).
ケプラー K2 ミッションの Campaign 16 で得られたデータから発見された.
惑星はそれぞれ 5.8 日と 19.7 日周期,2.2,2.7 地球半径,平衡温度 496,331 K であり,2 つの温暖なサブネプチューン惑星を持つ系である.
中心星の EPIC 211964830 と同じ質量を持つ散在星 (星団に属していない恒星) まわりの既知の惑星と比較した場合,今回発見された惑星は,過去のいくつかの星団内の惑星が持つような,大きく膨張した半径は持っていない.
EPIC 211964830 系は,星団内にあり複数のトランジット惑星が存在することが知られている惑星系としては 2 番目発見である.
この系は複数惑星系における光蒸発の理論を検証するのに適している.また,現在の近赤外分光器でのフォローアップ観測によって,惑星の質量を測定することが出来るだろう.これにより,光蒸発が終わったと思われる直後の,小さな半径を持つ惑星の平均密度と組成の情報を得ることが期待される.
スピッツァー宇宙望遠鏡や大きな地上望遠鏡を用いた近赤外でのトランジットのフォローアップ観測から,惑星半径の推定を改善し,これらの興味深い惑星のさらなる特徴付けが可能だろう.
金属量:[Fe/H] = -0.013
質量:0.496 太陽質量
半径:0.473 太陽半径
距離:187.0 pc
自転周期:21.8 日
半径:2.231 地球半径
平衡温度:496 K
軌道長半径:0.05023 AU
半径:2.668 地球半径
平衡温度:331 K
軌道長半径:0.11283 AU
平衡温度は,ボンドアルベドとして 0.3 を仮定している.
arXiv:1809.01968
Livingston et al. (2018)
EPIC 211964830: A transiting multi-planet system in the Praesepe open cluster
(EPIC 211964830:プレセペ散開星団中の複数トランジット惑星系)
概要
EPIC 211964830 まわりの 2 つのトランジット惑星の発見を報告する.中心星の EPIC 211964830 は M2 矮星であり,中間的な年齢 (6 - 8 億歳) の散開星団であるプレセペ星団に所属している恒星である (プレセペ星団は,Beehive Cluster, M44, NGC 2632 としても知られる星団).
ケプラー K2 ミッションの Campaign 16 で得られたデータから発見された.
惑星はそれぞれ 5.8 日と 19.7 日周期,2.2,2.7 地球半径,平衡温度 496,331 K であり,2 つの温暖なサブネプチューン惑星を持つ系である.
中心星の EPIC 211964830 と同じ質量を持つ散在星 (星団に属していない恒星) まわりの既知の惑星と比較した場合,今回発見された惑星は,過去のいくつかの星団内の惑星が持つような,大きく膨張した半径は持っていない.
EPIC 211964830 系は,星団内にあり複数のトランジット惑星が存在することが知られている惑星系としては 2 番目発見である.
この系は複数惑星系における光蒸発の理論を検証するのに適している.また,現在の近赤外分光器でのフォローアップ観測によって,惑星の質量を測定することが出来るだろう.これにより,光蒸発が終わったと思われる直後の,小さな半径を持つ惑星の平均密度と組成の情報を得ることが期待される.
スピッツァー宇宙望遠鏡や大きな地上望遠鏡を用いた近赤外でのトランジットのフォローアップ観測から,惑星半径の推定を改善し,これらの興味深い惑星のさらなる特徴付けが可能だろう.
パラメータ
EPIC 211964830
有効温度:3660 K金属量:[Fe/H] = -0.013
質量:0.496 太陽質量
半径:0.473 太陽半径
距離:187.0 pc
自転周期:21.8 日
EPIC 211964830b
軌道周期:5.840002 日半径:2.231 地球半径
平衡温度:496 K
軌道長半径:0.05023 AU
EPIC 211964830c
軌道周期:19.660302 日半径:2.668 地球半径
平衡温度:331 K
軌道長半径:0.11283 AU
平衡温度は,ボンドアルベドとして 0.3 を仮定している.
EPIC 211964830 系の特徴
今回発見された惑星は,膨張した半径は示さない (参考:K2-25, Mann et al. 2016,K2-95,Obermeier et al. 2016).しかし,これらの惑星の中心星は今回の中心星よりも軽い.質量が大きな中心星を公転する惑星の半径は,ヒアデス星団でもプレセペ星団でも膨張度合いは小さいように思われる.論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1809.02046
Borisov et al. (2018)
(121514) 1999 UJ7: A primitive, slow-rotating Martian Trojan
((121514) 1999 UJ7:始原的な,低速自転の火星トロヤ天体)
この天体の可視光での反射スペクトルと測光データを取得し,分光学的な結果をいくつかの分類クラスおよびサブクラスの天体のスペクトルと比較した.また光度曲線を取得して解析し,小惑星の自転周期を決定した.
その結果,この天体の可視光のスペクトルは青い波長の領域では負の傾きを持つことが分かり.また広く深い吸収特徴を 0.65 µm 周辺で示すことが分かった.スペクトルの全体的な構造から,この天体は C-complex に属する天体であることが示唆される.
測光データの振る舞いは非常に複雑であった.
光度曲線中には,主要な変動周期として 1.936 日周期のシグナルが存在する.しかしこれは測光データの一つのみのサブセットを用いて導出された周期である.この小惑星は非主軸回転状態にある可能性があるが,今回の観測期間内では決定的な結論を導くには不十分なデータしか得られなかった.
観測されたスペクトルの吸収はより広く深いが,この特徴はいくつかの Ch 型小惑星によって示される 0.7 µm のスペクトルの特徴と整合的である可能性がある.この特徴は,天体表面に含水鉱物が存在する兆候だと解釈できる.
始原的な性質を持つ可能性があるこの天体の組成は,かつて太陽系のスノーラインの外側で形成され,その後太陽系の内側領域に到達した,揮発性物質が豊富な天体が示すであろう組成と整合的である.
arXiv:1809.02046
Borisov et al. (2018)
(121514) 1999 UJ7: A primitive, slow-rotating Martian Trojan
((121514) 1999 UJ7:始原的な,低速自転の火星トロヤ天体)
概要
(121514) 1999 UJ7 の起源と表面組成についての調査を行った.この天体は,これまでに知られている唯一の L4 ラグランジュ点にある火星トロヤ小惑星である.この天体の可視光での反射スペクトルと測光データを取得し,分光学的な結果をいくつかの分類クラスおよびサブクラスの天体のスペクトルと比較した.また光度曲線を取得して解析し,小惑星の自転周期を決定した.
その結果,この天体の可視光のスペクトルは青い波長の領域では負の傾きを持つことが分かり.また広く深い吸収特徴を 0.65 µm 周辺で示すことが分かった.スペクトルの全体的な構造から,この天体は C-complex に属する天体であることが示唆される.
測光データの振る舞いは非常に複雑であった.
光度曲線中には,主要な変動周期として 1.936 日周期のシグナルが存在する.しかしこれは測光データの一つのみのサブセットを用いて導出された周期である.この小惑星は非主軸回転状態にある可能性があるが,今回の観測期間内では決定的な結論を導くには不十分なデータしか得られなかった.
観測されたスペクトルの吸収はより広く深いが,この特徴はいくつかの Ch 型小惑星によって示される 0.7 µm のスペクトルの特徴と整合的である可能性がある.この特徴は,天体表面に含水鉱物が存在する兆候だと解釈できる.
始原的な性質を持つ可能性があるこの天体の組成は,かつて太陽系のスノーラインの外側で形成され,その後太陽系の内側領域に到達した,揮発性物質が豊富な天体が示すであろう組成と整合的である.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1809.00572
Fletcher et al. (2018)
A Hexagon in Saturn's Northern Stratosphere Surrounding the Emerging Summertime Polar Vortex
(新たに発生した夏季の極渦に囲まれた土星北半球成層圏の六角形)
土星探査機 Cassini (カッシーニ) による土星の長期的な観測から,North Polar Stratospheric Vortex (北極の成層圏中の渦,NPSV) の形成を赤外線分光観測で追うことが可能となった.この領域では,ミリバールの圧力領域で,温度の上昇と炭化水素存在度の上昇が起きていることが観測されている.
ここでは,土星の両半球の成層圏における渦の形成と散逸のタイムスケールに制約を与えた.
NPSV は,カッシーニの観測期間の終わりまで (土星北極の夏至の直後) の間,北半球における春の後期に形成された.しかし,南半球の夏季の間に明らかになった,南極領域での温度と組成のコントラストはまだ検出されなかった.
新しく形成された NPSV は,北緯 78° 付近にある,大きくなった成層圏温度勾配の中に束縛されている.出現した境界は六角形であり,土星の極領域にある長寿命の六角形構造の形成に関与しているロスビー波は,土星の雲の 300 km 上空の成層圏温度に影響を与える可能性が示唆される.
なおこの六角形構造は,かつては対流圏に閉じ込められている存在だと考えられていた.
土星の自転軸傾斜角は 26.7° であり,季節によって,日光に照らされている側の極は地球から観測可能になる.この期間の観測は,巨大惑星の極域環境を形作る力学,化学,雲形成とオーロラ過程の相互作用の理解の一助となる.
土星の対流圏は雲層の 200 - 300 km ほど上空にあり,幅広く温かい極渦の成長と散逸が季節的に見られる.ここでの季節性とは土星の公転周期によるものであるため,30 年程度のタイムスケールを持つ.
極渦は,夏に強く,冬には弱いという特徴を示す.これらの渦は極から 15° ほど離れた緯度に広がっている.これらは強い緯度方向の温度勾配に束縛されており,対流圏にある季節依存性のないコンパクトな極域のサイクロンとは独立して存在している.
arXiv:1809.00572
Fletcher et al. (2018)
A Hexagon in Saturn's Northern Stratosphere Surrounding the Emerging Summertime Polar Vortex
(新たに発生した夏季の極渦に囲まれた土星北半球成層圏の六角形)
概要
土星の極域の成層圏には ~ 75° の緯度から極方向に広がる,幅広く温かい渦が存在する.この渦は,夏季には最も強く,冬季には存在しないという,季節的な成長と散逸を示すことが分かっている.土星探査機 Cassini (カッシーニ) による土星の長期的な観測から,North Polar Stratospheric Vortex (北極の成層圏中の渦,NPSV) の形成を赤外線分光観測で追うことが可能となった.この領域では,ミリバールの圧力領域で,温度の上昇と炭化水素存在度の上昇が起きていることが観測されている.
ここでは,土星の両半球の成層圏における渦の形成と散逸のタイムスケールに制約を与えた.
NPSV は,カッシーニの観測期間の終わりまで (土星北極の夏至の直後) の間,北半球における春の後期に形成された.しかし,南半球の夏季の間に明らかになった,南極領域での温度と組成のコントラストはまだ検出されなかった.
新しく形成された NPSV は,北緯 78° 付近にある,大きくなった成層圏温度勾配の中に束縛されている.出現した境界は六角形であり,土星の極領域にある長寿命の六角形構造の形成に関与しているロスビー波は,土星の雲の 300 km 上空の成層圏温度に影響を与える可能性が示唆される.
なおこの六角形構造は,かつては対流圏に閉じ込められている存在だと考えられていた.
土星の極渦について
極渦は,地球型惑星やガス惑星における,惑星スケールでの大気循環の重要な特徴である.例えば,木星の乱流的な極域環境,天王星の季節性の極冠,海王星の温暖な南極の渦などがその例である.土星の自転軸傾斜角は 26.7° であり,季節によって,日光に照らされている側の極は地球から観測可能になる.この期間の観測は,巨大惑星の極域環境を形作る力学,化学,雲形成とオーロラ過程の相互作用の理解の一助となる.
土星の対流圏は雲層の 200 - 300 km ほど上空にあり,幅広く温かい極渦の成長と散逸が季節的に見られる.ここでの季節性とは土星の公転周期によるものであるため,30 年程度のタイムスケールを持つ.
極渦は,夏に強く,冬には弱いという特徴を示す.これらの渦は極から 15° ほど離れた緯度に広がっている.これらは強い緯度方向の温度勾配に束縛されており,対流圏にある季節依存性のないコンパクトな極域のサイクロンとは独立して存在している.
天文・宇宙物理関連メモ vol.305 Obermeier et al. (2016) プレセペ星団中の初めてのトランジット惑星 K2-95b の発見