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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1902.04268
Galanti et al. (2019)
Saturn's deep atmospheric flows revealed by the Cassini Grand Finale gravity measurements
(カッシーニ・グランドフィナーレ重力測定によって明らかになった土星の深層大気流)

概要

土星の帯状風が雲の下のどれくらいの深さまで存在しているかは,長い間にわたって謎だった.これは大気力学の重要な問題というだけではなく,内部の密度構造,組成,磁場とコア質量という観点からも重要な問題である.

カッシーニのグランドフィナーレ重力実験では,この疑問に初めて回答を与えることができる.この測定では,惑星の重力のハーモニクスは剛体の密度構造だけではなくその流れ場によっても影響を受けるという前提で.広い範囲の剛体の内部モデルと随伴する熱的風バランスを用いて,雲が存在する高度とそれよりも下部での最適な流れ構造を計算するというものである.

その結果,帯状風の深さがおよそ 8800 km にまで広がっているとした場合,観測された風とほぼ一致する風の分布で,カッシーニで測定された重力モーメントが説明可能である事が判明した.今回得られたこの解は,角運動量保存の観点からも一致し,また磁気流体力学的な制約とも整合するものである.

土星の帯状風

土星の雲層の下が静穏なのか,あるいは強い帯状風が存在するのかは,長い間にわたって未解決の問題だった.
雲が存在する層での帯状風はカッシーニによる測定でよく分かっており,速度が 400 m s-1 に達する帯状風が赤道領域の広い範囲で測定されており,また高緯度領域ではいくつかの狭いジェットがあることが分かっている (Garcia-Melendo et al. 2011).

この流れは南北の半球の大部分で対称的であり,中緯度から高緯度では小さい非対称性成分が見られる.

しかし,上部対流圏と中部対流圏で観測されている風の強さの変動を除くと,雲層より下での大気の流れの性質についてはほとんど分かっていない.惑星内部を探るためには,惑星の重力場の精密な測定から導かれる重力モーメントの情報が必要である.カッシーニの観測では,典型的な内部の剛体モデルから予測される重力モーメントとは異なる結果が得られた.

ガス惑星内部での大気の流れは,角運動量の制限を考えると自転軸に平行に揃っていることが期待されるが,その流れが雲がある高度で観測されている風でよく表されているかは明確ではない.
まず,雲が存在する層での風の感度は ± 20 m s-1 である.二番目に,大気の上層と中層での風には最大 ± 100 m s-1 の速度差がある.ただしこれは赤道付近での速度差であり,中緯度ではその差は ± 20 m s-1 になる.
そのため重力的なシグナルに対応する深さ (数千 km 程度) での流れは,雲がある高度で観測される風の流れとは異なる可能性がある.

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