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日々の感想などどうでもよいことを書き連ねるためだけのブログ。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1908.06998
Hamer & Schlaufman (2019)
Hot Jupiters are Destroyed by Tides While Their Host Stars are on the Main Sequence
(ホットジュピターはその主星が主系列の間に潮汐で破壊される)

概要

低温の巨大惑星はしばしばゼロではない値の離心率を持っているが,ホットジュピターの短周期で円形の軌道は,これらの惑星は中心星との潮汐相互作用によって軌道エネルギーと角運動量を失っていることを示唆している.しかし,ホットジュピターの軌道崩壊はこれまでに明確には観測されていない.

ここでは,Gaia Data Release 2 の位置天文測定データを用いて,ホットジュピターを持つ恒星は,ホットジュピターを持たない類似の恒星と比較して銀河速度分散が小さい事を見出した
銀河内での恒星の速度分散はその年齢と相関している.そのためこの観測は,ホットジュピターを持つ恒星の集団は,平均的にはホットジュピターを持たない散在星の集団よりも若いことを示唆している

この観測結果に対する最良の説明は,ホットジュピターは潮汐相互作用によって中心星が主系列の間に落下してしまうというものである.この場合,観測を説明するためには,改良された恒星の潮汐クオリティーファクター \(Q’_{*}\) の典型的な値に対して,太陽型星の場合は \(Q’_{*} \lesssim 7\) であることを要求する.

ホットジュピターの軌道崩壊

これまでの観測的研究

ホットジュピターの大部分は円軌道であり,短周期の惑星では潮汐相互作用が重要であることを示唆している.大部分のホットジュピターは軌道崩壊に対して形式上は不安定であるが (Levrard et al. 2009),落下のライムスケールは中心星の主系列の寿命よりも長くなりうる.そのため,ホットジュピターが中心星の主系列段階を生き延びるか否かは不確定である.

多くの観測グループが様々な惑星系において,長期的な軌道周期の減少の測定という形で惑星軌道の潮汐減衰の直接的な証拠を探査しているが,明確な潮汐減衰の証拠は発見されていない (Maciejewski et al. 2016など).ほとんどのホットジュピター系では,線形の天体暦からのずれは見られていない.この場合,潮汐散逸効率への弱い上限値しか導出することができない.

一方で,WASP-12 と WASP-4 系では惑星の線形の天体暦からのずれが観測されているが,潮汐散逸以外の原因による長期的な軌道周期の減少である可能性は完全には否定されていない.


別のグループによる,潮汐崩壊の統計的な証拠の探査も行われている.
例えば,近接巨大惑星の軌道長半径分布において,潮汐崩壊によって分布が切り取られた証拠があるという議論が存在する (Jackson et al. 2009など).

さらに,ホットジュピターが潮汐崩壊を経験した系では,ホットジュピターが持っていた軌道角運動量は,中心星の自転角運動量に輸送されるはずである.McQuillan et al. (2013) は,高速自転星周りでは近接巨大惑星が欠乏していることを発見したが,Teitler & K ̈onigl (2014) ではこれはその角運動量の輸送の効果によるものだとした.
また Schlaufman & Winn (2013) では,主系列星が進化すると,時間の経過とともにホットジュピターの存在頻度が減少する事を示した.

年齢推定

これまでに様々な努力が行われているものの,ホットジュピターの主星の年齢を正確に推定するのが難しいという困難点がある.もっとも,孤立して存在している恒星の正確な年齢を推定することは,天文学で最も困難なものの一つである.

正確で精密な絶対年代を計算するのは依然として難しいが,相対的な年齢の精密な推定に関しては重要な進展が見られる.
銀河内での恒星の集団の速度分散は年齢との相関があり,速度分散を比較することで恒星の集団同士の相対年齢が明らかになる.

もし潮汐散逸が効率的で,ホットジュピターは中心星が主系列にいる間に潮汐破壊されるのであれば,ホットジュピターを持つ恒星は同様の散在星と比較して若いはずである.代わりに潮汐散逸が非効率的な場合は,ホットジュピターは中心星が準巨星になるまで生き残るため,ホットジュピターを持つ恒星と持たない恒星の速度分散は類似するはずである.

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