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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1908.08754
Sánchez-López et al. (2019)
Water vapor detection in the transmission spectra of HD 209458 b with the CARMENES NIR channel
(CARMENES 近赤外チャンネルでの HD 209458b の透過スペクトルからの水蒸気の検出)

概要

ホットジュピター HD 209458b の大気中からの水蒸気の検出と,近赤外線での多バンド観測について報告する.観測には CARMENES を使用した.

惑星大気中の水蒸気の吸収線は,惑星がトランジットを起こしている最中の視線速度の大きな変化により,ドップラーシフトを起こす.このシフトの大きさは数十 km s-1 になる一方で,地球由来のスペクトル,および恒星のスペクトルは準静的であると考えられる.このシフトの利点を生かして,解析ツールの SYSREM を用いて地球と恒星のスペクトル線を除去した.
得られた残差のスペクトルは惑星の分子による数千のシグナルを含み,これらはノイズレベルを下回る.

惑星の大気吸収のモデルと残差スペクトルの相互相関から,これらのスペクトル線の情報を復元した.その結果,シグナルノイズ比が 6.4 の相互相関シグナルを発見し,HD 209458b の大気中に水蒸気が存在することを明らかにした.

検出されたシグナルの合計の青方偏位は -5.2 km s-1 であり,大きなエラーバーがあるものの,ホットジュピターの昼夜境界における昼側から夜側への風の検出であると考えられる

また,多バンドでの水蒸気の検出も報告する.0.96-1.06 µm の波長域での水の吸収を S/N = 5.8 で検出し,また 1.06-1.26 µm バンドでも検出の兆候が得られ,こちらは S/N = 2.8 であった.
1.26-1.62 µm の波長帯では明確な惑星による吸収シグナルは見られなかった.

0.96-1.06 µm のバンドで有意な水のシグナルが検出されたのはこれが初めてである.また,これまでの水の検出が報告されている波長としてはもっとも長波長である
より強い水の吸収シグナルが期待される 1.15-1.4 µm での検出が決定的なものではなかった原因は,おそらく観測条件が好ましくなかったことが原因である.

0.96-1.06 µm での水が HD 209458b では検出され,HD 189733b では困難であることは,後者ではエアロゾルによる強い消散があることを支持する.

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