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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1908.08585
Mayo et al. (2019)
An 11 Earth-Mass, Long-Period Sub-Neptune Orbiting a Sun-like Star
(太陽類似星を公転する 11 地球質量の長周期サブネプチューン)

概要

これまでに数千個もの系外惑星が検出され特徴付けられているが,観測バイアスのため質量が測定されている長周期の低質量惑星は少なく,このような惑星への我々の理解も遅れている.ここでは長周期の系外惑星ケプラー538b の質量推定と特徴付けについて報告する.

この惑星は,等級が V = 11.27 の太陽型星ケプラー538 を公転しており,中心星は 0.892 太陽質量,0.8717 太陽半径である.ケプラー538b は 2.215 地球半径のサブネプチューン惑星で,軌道周期は 81.73778 日である.この惑星はケプラー538 系内で知られている唯一の惑星である.

Keck I 望遠鏡に設置されている HIRES と,TNG の HARPS-N を用いた観測で,視線速度を収集した.また,ガウス過程で恒星活動を特徴付けた.

ケプラーによる測光観測データと視線速度の半値全幅観測を同時にモデリングし,視線速度の半振幅を 1.68 m s-1 と測定した.ここから,惑星質量は 10.6 地球質量と推定される.

ケプラー538b は,視線速度法で質量が測定されている軌道周期 50 日以上の惑星の中では最も小さい.惑星は水の氷を主成分とするかなりの量の氷成分と,岩石・金属,および少量の気体から構成されていると考えられる.

この論文で使用されているような洗練されたモデル化技術と,将来の超高分散かつ安定性の高い分光器を用いた観測で,これらのあまり理解が進んでいないパラメータ領域にある系外惑星の質量を測定できることが期待される.これにより,惑星の組成と輻射フラックスの間の関係,および岩石惑星からガス惑星への遷移が惑星の平衡温度にどう依存するかを理解する手助けになるだろう.

パラメータ

ケプラー538b は Morton et al. (2016) によって初めて存在が実証された惑星である.
この系内でこれまでに存在が知られているのはケプラー538b の一つのみである.117.76 日周期の 2 番目のトランジット惑星候補も報告されているが,この実在には大きな疑問符が付いている.
ケプラー538
有効温度:5547 K
金属量:[Fe/H] = -0.15
半径:0.8717 太陽半径
質量:0.892 太陽質量
距離:156.66 pc
年齢:53 億歳
ケプラー538b
軌道周期:81.73778 日
軌道離心率:0.041
半径:2.215 地球半径
質量:10.6 地球質量
密度:5.4 g cm-3
日射量:地球の 2.99 倍
平衡温度:380 K (アルベド 0.3 を仮定した場合),350 K (0.5 の場合)

2 つ目の惑星の可能性について

ケプラーカタログの初期のいくつかの版には,ケプラー538 系には 117.76 日周期の弱いトランジットシグナルがあり,K00365.02 という惑星候補として登録されていた.しかし初期のカタログの 1 つは,これを偽陽性として記録している (Mullally et al. 2015),また最終的なカタログでは,その周期での候補の検出は見られないとしている (Thompson et al. 2018).

NASA の系外惑星カタログでは,この惑星候補は 0.62 地球半径だと報告されている.純粋な鉄の組成を仮定した場合の上限質量は 0.37 地球質量であり,この質量は HARPS-N などのいかなる検出器の検出限界未満である.

しかし厳密性のため 2 惑星モデルでの観測結果のフィッティングも実行した.その結果,今回の解析結果において 2 番目の惑星候補の影響は無視できると結論付けた.

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