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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1912.04092
Abdul-Masih et al. (2019)
No signature of the orbital motion of a putative 70 solar mass black hole in LB-1
(LB-1 の仮説上の 70 太陽質量ブラックホールの軌道運動のシグナルは存在しない)

概要

最近,Liu et al. (2019) によって LB-1 系での 68 (+11, -13) 太陽質量のブラックホールの検出が報告された.この天体は 8.2 太陽質量の B 型準巨星を持ち,78.9 日の軌道周期の分光連星系である.

このブラックホールは,コンパクト天体ではない伴星を持つ既知のあらゆる恒星質量ブラックホールよりも 2 倍以上重いものであり,その質量は重力波干渉計で検出されたブラックホール・ブラックホール合体の結果として形成されるものに近い.

一般的な,重い連星進化および恒星風とコア崩壊超新星の理論では,太陽類似の金属量の環境におけるこのような質量のブラックホールが存在することは困難である.そのため LB-1 の存在と特徴を説明するためには,より特異な形成シナリオが必要である.

ここでは,ブラックホール質量の導出に使用された観測的なシグナルが,ブラックホールからではなく,伴星である B 型星の軌道運動から生じることを示す.
結果として,観測データ中には重いブラックホールの存在を示す証拠は残らない.したがって,太陽金属量における大きな質量を持つブラックホールの形成モデルと,大質量星の進化の理論の間の食い違いも存在しないことになる.

70 太陽質量ブラックホールについて

LB-1 で発見が主張されている大きなブラックホール質量は,2 つの主要な主張に依拠している.

(i) 伴星である B 型星の軌道の特徴付けと物理的特性
(ii) ブラックホールの軌道運動の間接的測定

見えない天体が大質量であることを示すための重要な測定は,ブラックホール天体の視線速度の半振幅の大きさである.これは Hα 輝線のプロファイルの wing 部分の位置の見かけの変動の測定の結果で,この放射が見えない天体の周りの受動的な降着円盤から生成されているという仮定に基づいている.

Liu et al. ではこの変動はブラックホールの軌道運動をトレースしていると仮定している.しかしここでは,観測された視線速度の変動は,定常な Hα 輝線プロファイルに B 型星の恒星による吸収線が重ね合わせられた結果として生じたものであることを示す.

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