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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1912.03794
Montet et al. (2019)
The Young Planet DS Tuc Ab has a Low Obliquity
(若い惑星きょしちょう座DS星Ab は低い傾斜角を持つ)

概要

軌道傾斜角の大きい短周期惑星系の存在は,これらの系の形成と進化に軌道散乱過程が重要な役割を果たした証拠であると考えられる.より最近の研究では,遠方を公転する伴星が原始惑星系円盤を傾け,円盤移動のような滑らかな過程を介して傾斜角の大きい惑星を形成する可能性も指摘されている.

DS Tuc Ab (きょしちょう座DS星Ab) は,4000 万歳の Tucana-Horologium アソシエーション内にある 8.138 日周期のトランジット惑星であり,現在は散逸した原始惑星系円盤と同一平面の軌道を持っていた可能性がある.そのため円盤の物理に関する理論を検証することが可能である.

ここでは,ラスカンパナス天文台 Megellan Clay 望遠鏡の Planet Finder Spectrograph を用いた Rossiter-McLaughlin 効果 (ロシター効果) の測定を行った.惑星のトランジットと恒星の活動シグナルを同時にモデリングすることで,過去に検出が報告されていた惑星の存在を確認した.

恒星活動に誘起される視線速度の変動を複数のモデルを用いて検証し,射影した惑星の軌道傾斜角が 12 ± 13 度という小さい値であることを測定した.そのためこの惑星は滑らかな円盤過程を介して形成されたことが示唆され,また原始惑星系円盤は伴星の DS Tuc B (きょしちょう座DS星B) によって大きく傾けられていなかったことを示唆する.
きょしちょう座DS星Ab は,この手法を用いて観測された中では最も若い惑星である.

きょしちょう座DS星について

きょしちょう座DS星Ab は,Transiting Exoplanet Survey Satellite (TESS) の Sector 1 の観測で 3 回のトランジットが検出された,軌道周期 8.14 日の惑星である (Benatti et al. 2019,Newton et al. 2019).半径は 5.70 地球半径である.

中心星であるきょしちょう座DS星A はスペクトル型が G6V,有効温度が 5430 K で,中心星の半径はモデル依存性があるが 0.964 太陽半径もしくは 0.872 太陽半径である.

この系は Tucana-Horologium (Tuc- Hor) アソシエーションの一員であり,このアソシエーションの年齢は 3500 万 - 4500 万歳である (Bell et al. 2015,Crumdall et al. 2019),この恒星自身は連星であり,射影距離 240 AU の位置にスペクトル型 K3V の天体 きょしちょう座DS星B を持つ.



arXiv:1912.04095
Zhou et al. (2019)
A well aligned orbit for the 45 Myr old transiting Neptune DS Tuc Ab
(4500 万歳のトランジットする海王星型惑星きょしちょう座DS星Ab の揃った軌道)

概要

DS Tuc Ab (きょしちょう座DS星Ab) の,天球に射影した恒星の自転軸と惑星の軌道軸の角度を測定した.測定は,3 つの別々のトランジット観測での Rossiter-McRaughlin 効果から行った.

その結果,惑星の軌道は恒星の赤道面によく揃っているように思われ,天球上に射影した傾斜角は 2.93 (+0.88, -0.87) 度と測定された.

トランジット惑星による恒星の吸収線の変形の他に,大きな黒点によると解釈できる変動を観測し,その角サイズは数十度と推定される.

観測はラスカンパナス天文台の 6.5 m Magellan Clay 望遠鏡の Planet Finder Spectrograph を使用した.またセロ・トロロ天文台の 1.5 m Small and Moderate Aperture Research Telescope System (SMARTS) telescope の CHIRON 装置も使用して観測を行った.


きょしちょう座DS星系は,伴星の きょしちょう座DS星B が存在する階層的三重星である.傾斜した軌道を持つ外側の伴星がある場合,速い古在相互作用によって階層的三重星内の惑星の軌道を 104-108 年のタイムスケールで近接ホットジュピターに変化させうる (Wu et al. 2007など).しかしきょしちょう座DS星B は惑星と同一平面上を公転していると思われるため,惑星軌道を古在機構を介して近接軌道に出来ない.

系の年齢が若いことと惑星の軌道が傾いていないことから,この惑星は永年的な惑星惑星相互作用のを起こした例ではないことを示唆している.

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