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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1510.08575
Zhou et al. (2015)
A high obliquity orbit for the hot-Jupiter HATS-14b transiting a 5400K star
(5400 Kの恒星をトランジットするホットジュピターHATS-14bの高軌道傾斜角の軌道)

概要

HATS-14bの公転軸と、中心星HATS-14の自転軸のずれを測定し、大きくずれていることが判明した。両者のずれは 76°である。
HATS-14bは、金属量が豊富な、有効温度が 5400 KのG型星を 2.8日周期の短周期で公転する惑星である。この系のロシター効果を、Keck望遠鏡のHIRESを用いて測定し、恒星の自転軸と惑星の公転軸のずれを測定した。

これまでに恒星自転軸・惑星公転軸のずれ (spin-orbit misalignment)の観測が行われた複数のホットジュピターでの傾向からは、ホットジュピターは潮汐力によって中心星の自転軸を変化させることが示唆されている。その効率は、中心星のスペクトル型と惑星の軌道周期に依存する。この枠組みでは、HATS-14bのように、表面対流層を持つ恒星回りの短周期惑星は中心星の自転軸を変えるため、恒星の自転軸と惑星の公転軸は揃うはずである。しかしこの惑星はその傾向から大きく外れており、潮汐で傾斜角を揃わせるという機構の有効性についての疑問を投げかける存在である可能性がある。

Spin-orbit misalignmentについて

これまでにロシター効果によって、spin-orbit misalignmentが測定されている。太陽系の惑星の公転軸 (公転面に垂直な軸)は、太陽の自転軸とおおむね平行である。すなわち、惑星はおおむね太陽の赤道面上に近い軌道面を持っている。しかし系外惑星の特にホットジュピターの中には、惑星の公転面と中心星の自転軸が大きくずれているものが発見されており、ほぼ 90度という大きな角度を持つものや、場合によっては完全に逆行しているものもある。

観測される軸のずれは、初めからその値であったとは限らない。これまでの観測から、表面に輻射層を持つ高温の恒星の周りでは、自転軸と公転軸のずれの値は分散が大きくなることが分かっている (Winn et al. 2010)。しかし表面対流層を持つより低温の恒星の周りでは、両者の軸は揃う傾向にある。このことは、表面対流層を持つ恒星は自転軸の向きが惑星によって変えられるため、軸が揃いやすい傾向にあることを示す (Lai et al. 2012, Valsecchi & Rasio 2014)。また、観測された軸のずれの分布は、系の潮汐散逸のタイムスケールと関連があるということが指摘されている (Albrecht et al. 2012)。

しかし今回の HATS-14bは表面に輻射層を持つ恒星の周りを公転している、つまり恒星の自転軸と惑星の公転軸は揃っていると予想されるが、実際はそうはなっていなかった。そのため、傾向から外れていると言える。

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