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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:2002.11422
Akinsanmi et al. (2020)
Can planetary rings explain the extremely low density of HIP 41378f?
(惑星の環は HIP 41378f の非常に低い密度を説明できるか?)

概要

トランジットする惑星の周りに環が存在した場合,惑星の大きさを過大評価させ,惑星の質量が分かっている場合にその密度を過小評価させる原因となる.ここでは,異常に低密度 (~0.09 g cm-3) の惑星 HIP 41378f は,厚い周惑星リングの影響で低密度に見えている可能性があることを示す.

ケプラー K2 ミッションで得られたデータと,ここでの環を持つ惑星モデルの比較から,HIP 41378f が環を持つ惑星であるというシナリオは,環を持たず惑星単独であるシナリオと同程度の統計的な証拠を示すことが分かった.

環を持つ惑星だと考えた場合,惑星の密度はより大きく ~1.23 g cm-3 となり,これは天王星と類似した値である.環は惑星半径の 1.05 - 2.59 倍の距離に広がっており,天球から 25° 程度傾いていると推定される.
この惑星の環の有無を確認するためには,将来の高精度のトランジット観測が必要である.

スーパーパフ惑星と環

近年,異常に低密度な系外惑星が発見されている.例えば,ケプラー51b, c, d やケプラー79b などは,0.1 g cm-3 未満の密度を持つ.しかしこれらの惑星は中心星が暗く,観測データのシグナルノイズ比が低いため,トランジットシグナル中に環を探すのには適していない.

明るい恒星 HIP 41378 は,ケプラーの K2 ミッションの Campaign 5, 18 の期間に観測された.この恒星は少なくとも 5 つのトランジット惑星を持つことが判明している (Vanderburg et al. 2016).
特に HIP 41378f は 542 日周期で 12 ± 3 地球質量である (Santerne et al. 2019).トランジット観測から導出された半径が 9.2 ± 0.1 地球半径であることから,この惑星の密度は ~0.09 g cm-3 と異常に低密度である.

HIP 41378f は長周期惑星で,軌道長半径は ~1.4 AU である.中心星から離れているため,恒星からの潮汐力の影響は弱い.そのため惑星のヒル圏は大きく,環を持ち,その構造や配置も多様性を持ちうる.また軌道離心率はほぼ 0 であり,恒星からの潮汐的な影響は一定であることも,安定な環を持ちうる要因のひとつである.

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