忍者ブログ
日々の感想などどうでもよいことを書き連ねるためだけのブログ。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1511.00135
Ginzburg & Sari (2015)
Extended Heat Deposition in Hot Jupiters: Application to Ohmic Heating
(ホットジュピター内での広がった領域での加熱:オーム加熱への応用)

概要

多くの短周期巨大ガス惑星は、理論的に予想されるよりも大きな半径を持つ。これに対する1つの説明は、これらのホットジュピターの大気深くで何らかの加熱があるというものである。ここでは、エネルギーを惑星の光球面から内部不覚に注入する "extended source"について議論する。

過去の研究では局所化された点源の熱源のモデルであったが、これを一般化する。エネルギー注入の分布を、光学的深さでのべき法則でモデル化した。その結果、冷却率が、惑星の対流領域に注入される熱を下回った時に、熱進化と半径の収縮は止められるということが分かった。惑星が平衡状態になる前の冷却の減速は、加熱源が惑星中心まで広がっていない時のみ可能である。

このモデルを、オーム加熱モデルに適用した。その結果、惑星の平衡温度が 1500 - 2500 Kの場合、1.5木星半径程度のものは説明可能である。しかし、さらに大きな半径を持つホットジュピターに関しては説明出来ない

また、オーム加熱が効いている膨張したホットジュピターは、既に平衡状態にあり、これ以上収縮しないことを示した
オーム加熱は惑星の収縮を止めることができるが再膨張させることは出来ないとした Wu & Lithwick (2013)の内容を受け、オーム加熱が冷たいガス惑星を再膨張させるタイムスケールを計算した。結果、再膨張は可能であるが、再膨張のタイムスケールは冷却時間よりも 30倍程度長くなる。

ホットジュピターの膨張半径について

理論的には、誕生から ~ 1Gyr程度経過したガス惑星は、1.0木星半径程度になる(Burrows et al. 1997)。しかし観測では ~ 2木星半径程度のものも発見されている(Baraffe et al. 2010など)。中心星からの強い輻射がある場合は惑星の冷却が遅くなるため、同じ年齢では半径が大きくなる。例として、平衡温度が 1500 Kの場合は半径が 1.3木星半径となる(Burrows et al 2007など)。しかしそれでも観測値を説明することが出来ない。

この半径の異常を説明するための説として、以下の様なものが提案されている。

- 冷却を遅らせる効果
・大気の大きなオパシティ (Burrows et al. 2007)
・対流の抑制による冷却の遅れ (Chabrier & Baraffe 2007, Leconte & Chabrier 2012)

- 惑星内部への熱の注入
・潮汐散逸 (Bodenheimer et al. 2001, 2003, Gu et al. 2003など)
・熱潮汐 (Arras & Socrates 2009a, b, 2010, Socrates 2013)
・オーム加熱 (Batygin & Stevenson 2010, Perna et al. 2010, 2012, Batygin et al. 2011, Huang & Cumming 2012, Rauscher & Menou 2013, Wu & Lithwick 2013, Rogers & Showman 2014)
・乱流撹拌 (Youdin & Mitchell 2010)
・大気循環の運動エネルギーの散逸 (Guillot & Showman 2002, Showman & Guillot 2002)

惑星内部への熱の注入

ここでは、熱源をべき乗則で分布させて与える。光学的深さのべき乗で熱源が分布していると仮定して計算を行う。熱源の分布は、何らかのカットオフを持つか、あるいは中心まで継続する。ここではオーム加熱による熱の注入を想定しているが、この場合はカットオフが存在するだろうと考えられる (Appendixに詳細あり)。

結果

加熱率 (惑星が恒星から受け取るエネルギーとの比較)として 3%を与えた解析的モデルでは、Wu & Lithwick (2013)の結果をよく再現した。両者の違いは、Wu & Lithwick (2013)では加熱が発生している領域が浅いことと、風がある層の深さと温度との関係を無視していることから来ている。

しかし、加熱率がどの場所でも一定であるという仮定はオーム散逸では良くないと考えられる(Menou 2012)。そのため、加熱率が変化するモデルも考慮した。その結果、表面温度が 1500 Kより高い場合に、1.5木星半径での平衡状態が実現された。この結果は、観測結果の一部を説明するものである。しかしこれより大きな半径を説明することは出来ない。

ここでの計算は、惑星質量を 1.0木星質量程度に限定している。密度は M/R^3に比例、つまり質量に比例すると考えると、~ 0.4木星質量では ~ 1.8木星半径になると外挿できる。しかし観測されている ~ 2.0木星半径を持つ惑星の質量は 0.8木星質量よりも重いため、やはりこのモデルでの予言を超えてしまう。

拍手[0回]

PR

コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:
   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

Pass:
秘密: 管理者にだけ表示
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL

この記事へのトラックバック