忍者ブログ
日々の感想などどうでもよいことを書き連ねるためだけのブログ。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1511.07456
Sallum et al. (2015)
Accreting Protoplanets in the LkCa 15 Transition Disk
(LkCa 15遷移円盤中の降着中の原始惑星)

概要

これまでに 1900個あまりの系外惑星が発見されているが、形成途中の段階にあるものは発見されていない。遷移円盤 (transitional disk, 内側が消失している原始惑星系円盤)は、ガスの惑星への降着によってよく説明することができ、惑星形成の研究に関する天然の実験室と言える。幾つかの遷移円盤では、若い惑星による非対称な構造や、LkCa 15で見られるような、円盤の空洞部分における赤外線源の検出が見られている。しかし惑星への降着が起きている直接的な検出はこれまでには成功していない。

ここでは、LkCa 15のまわりの遷移円盤の空洞の内部を補償光学を用いて観測した。2009 - 2015年までの長期間にわたる精密な測定の結果、ケプラー軌道にある複数の天体の存在が示唆された。

また最も内側にある LkCa 15bからは Hαの放射が直接検出された。これは ~ 10000 Kの高温のガスが、降着している惑星のポテンシャルの井戸の中へ落下していることを証明するものである。

観測

Large Binocular Telescope (LBT)で、Ksバンド (2.16 μm)、K'バンド (3.9 μm)での観測を行い、LkCa 15b, cの2つを両方のバンドで検出した。また、L'バンドのみで暗い3つ目の LkCa 15dを検出した。LkCa dは b, cに比べて非常に暗く、また Ksバンドでは検出されなかったため、ここでは主に b, cに着目する。

また、Magellan Adaptive Optics System (MagAO)で、Hα (655.8 nm)の観測を行った結果、LkCa bを検出した。この検出は LBTで観測された位置と整合的なものである。

LkCa 15bは cより動きが速く、長期間の観測から、bは 14.7 ± 2.1 AU、cは 18.6 ± 2.5 AUの位置にあると推定される。両天体の軌道が安定に存在するためには、b, cは共に < 5 - 10木星質量である必要がある。この場合、5木星質量を上回れるのは両者が 2:1平均運動共鳴に入っている場合のみである。
また、中心星、b, c, dの4体のシミュレーションを行って安定性の確認をした。その結果、3惑星は 0.5木星質量以下であることが必要である。LkCa 15dが軽い場合は、b, cがより重くても安定である。

また、観測された放射の特徴から、惑星形成の "hot-start" のモデルは除外される。






LkCa 15は若い天体で、周囲に円盤を持ち、原始惑星と思われる天体も直接撮像で発見されています。今回は、原始惑星にガスが降着している事を示す放射を直接検出することに成功し、まさに形成している段階の惑星を初めて直接観測することが出来たという観測結果です。

なお LkCaというのは天体のカタログの名称で、Lick observatory, Calciumから取られています。
これはリック天文台の望遠鏡を用いてカルシウムの輝線を発する天体を同定してカタログ化したもの (Herbig et al. 1986)であり、天文台の名称と観測に用いたカルシウム輝線から LkCaという符号が取られています。そのカタログの中の 15番目の天体が LkCa 15ということです。
なお、LkCa の部分は "リックカルシウム" と発音するのが一般的のようです。

拍手[0回]

PR

コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:
   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

Pass:
秘密: 管理者にだけ表示
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL

この記事へのトラックバック