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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1512.02003
Jontof-Hutter et al. (2015)
Robust TTV Mass Measurements: Ten Kepler Exoplanets between 3 and 8 Earth Masses with Diverse Densities and Incident Fluxes
(TTVによる精密な質量測定:様々な密度と日射フラックスの 3 - 8地球質量の間の 10個のケプラー系外惑星)

概要

ケプラーによるトランジット時刻変動 (transit timing variation, TTV)データより、8つの複数惑星系での惑星の力学的質量を測定した。

解析を行って導出した 18の惑星の質量のうち、10の惑星質量が正確性のテストをパスした。これらの惑星は、ケプラー26 (KOI-250), ケプラー29 (KOI-738), ケプラー60 (KOI-2086), ケプラー105 (KOI-115), ケプラー307 (KOI-1576)の中にある惑星である。これらのうち、ケプラー105cの平均密度は地球と似た組成の場合の密度と整合的なものである。

その他の系でも強い TTVシグナルが検出された。しかしそれらの解析から推測された質量は外れ値に敏感であるか、独立して測定したトランジット時刻と整合的な解が見つからなかった。これらの惑星は、ケプラー49 (KOI-248), ケプラー57 (KOI-1270), ケプラー105 (KOI-115), ケプラー177 (KOI-523)の中にある惑星である。ケプラー177cの質量の上限値は、この惑星の平均密度が非常に低く 0.1 g cm-3であることを示唆する。

多くのケースでは、TTVからの軌道の復元における情報の縮退によって軌道離心率には強い制限はかけられない。解析したサンプル中の惑星の 5組のペアでは、永年相互作用が、惑星が取りうる軌道離心率の値の広い範囲における近点の一致を示唆する。またケプラー60の 3つの惑星では、ラプラス共鳴的な解を得た。しかし、秤動を起こしていない解もトランジット時刻のデータと合致する。

6つの惑星系においてこれまでより正確な中心星のパラメータの決定を行った。これにより惑星の密度の制限がかけられる。これらの系外惑星を、質量-半径図上にプロットした結果、海王星より小さい程度の惑星は幅広い平均密度を取り得ることが分かった。また、観測された平均密度の範囲の広さは、中心星から受け取る日射フラックスと反相関の関係にあることも分かった。

議論

今回解析を行った惑星の質量は、~ 3 - 8地球質量の範囲である。これらのサイズは 1.31 - 3.35地球半径の間の値を取るため、密度では一桁以上の差がある。これらを質量-半径図 (mass-radius diagram)上にプロットした。これらの惑星の中心星は、0.54太陽質量 (ケプラー26)から 1.04太陽質量 (ケプラー60)までの間にあるため、中心星の特性も大きなばらつきがある。

今回解析を行って密度を求めた惑星の中で最も高密のものはケプラー105cであり、地球のような岩石主体の密度と整合的である。この惑星は、純粋な岩石から成る場合よりも高密 (鉄コアを持つ)なスーパーアースの一員である。このような惑星は、これまでに知られている中では CoRoT-7b、HD 219134b、ケプラー10b、ケプラー20b、ケプラー36b、ケプラー78b、ケプラー89b、ケプラー93b、ケプラー99b、ケプラー138c、ケプラー406b、WASP-47cがある。

また、惑星質量が 30地球質量以下、半径が 1地球半径以上の惑星の、サイズと日射量の比較を行った。日射量が地球の 300倍を超えるような場合は半径のばらつき (すなわち密度のばらつき)が小さくなり、純粋な岩石を想定した場合に期待される半径 (Rrock)に近い値をとる。日射量が地球の 300倍より少ない場合は半径のばらつきが大きくなり、1Rrock - 6Rrock程度の広い範囲にばらついていることが分かった。したがって、スーパーアースの平均密度の分散は中心星から受ける日射強度と強い反相関の関係にある

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