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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1512.02998
Llama & Shkolnik (2015)
Transiting the Sun II: The impact of stellar activity on Lyman-α transits
(太陽のトランジットII:ライマンアルファ線でのトランジットにおける恒星活動の影響)

概要

太陽の高エネルギーにおける観測は、恒星活動が存在する中心星をトランジットする系外惑星の特徴を精密に測定するための我々の能力の限界を測る良い機会を与えてくれる。ここでは、惑星・恒星の半径比 Rp/R* の測定における恒星の活動度の影響を見積もるため、NASAの SDO/EVEでの太陽のライマンアルファ線観測データに合わせ、ホットジュピターが太陽をトランジットした場合のデモンストレーションを行った

その結果、シミュレーションのうち 75%では設定した値と合致する正しい半径比を得た。しかし光度曲線に短周期の大きい変動が存在する場合は半径比を間違えることがある。模擬観測から得られた半径比の最大値は、設定した値よりも 50%大きい物であった。これは、観測から報告されているライマンアルファ線での大きな半径比と比較すると十分小さいものである。従って、太陽と同程度の活動度を示す恒星周りの場合、恒星活動単体ではライマンアルファ線での深いトランジットの原因とは成り得ない

同様のシミュレーションを、トランジットを起こさない場合についても行った。その結果、恒星活動はかに座55番星bのライマンアルファ線でのトランジットを模倣するような変動は起こさなかった。そのため、かに座55番星bは部分的に中心星をトランジットする外気圏を持つというこれまでの結果を補強する結果となった

さらに、太陽のライマンアルファ線での活動を人工的に強めたモデルを作り、さらに活動的な恒星のトランジットについても調査した。その場合、半径は最大で設定した値の 3倍程度となった。この値も、HD 189733や GJ 436においてライマンアルファ線で観測されている深いトランジットよりも十分小さい値であった。そのため、これらの惑星は大きな外気圏を持ち、おそらくは散逸する大気の彗星の尾状の構造のトランジットが起きているというこれまでの解釈を支持する。

研究背景

恒星からのライマンアルファ線 (121.6 nm, 遠紫外線)は惑星の高層大気によく吸収されるため、系外惑星の広がった高層大気の存在を探る手段となり得る。ハッブル宇宙望遠鏡の STISでの観測では、太陽型星を公転するホットジュピター HD 209458bにおける深いライマンアルファ線でのトランジットが観測されている (Vidal-Madjar et al. 2003, 2004, Linsky et al. 2010, Ben-Jaffel & Sona hosseini 2010)。また K1型星を公転する HD 189733bでの検出例もある (Lecavelier des Etangs et al. 2010, 2012, Bourrier et al. 2013)。

Ehrenreich et al. (2012)は、暖かい木星型惑星かに座55番星bの広がった外気圏のライマンアルファ線でのトランジットを報告した。この惑星は可視光線でのトランジットは報告されておらず、広がった惑星の外気圏が恒星をかすめるようにトランジットしてライマンアルファ線で観測されたと考えられている。さらに、M型星をまわるホットネプチューン GJ 436bのライマンアルファ線での深いトランジットも観測されている (Ehrenreich et al. 2015)。

強い輻射を受けているホットジュピター WASP-12bの近紫外線での観測では、可視光でのトランジットより 3倍ほど深いトランジットが得られている (Fossati et al. 2010, Haswell et al. 2012)。このトランジットは非対称の光度曲線を示し、惑星による食の始まりは可視光よりも早かったものの、食の終わりは可視光と同時であった。ここで観測していた波長は Mg II線に対応しており、この大きな吸収は重元素が待機中に存在することを示している、しかし早い食の始まりは、惑星の前方にある磁気圏のバウショックによるものである可能性もある (Vidotto et al. 2010, Llama et al. 2011)。

HD 189733bの観測では、2010年4月の観測ではライマンアルファ線でのトランジットが見られなかったのに対し、2011年9月の観測では深いトランジット (可視光での 10倍程度)が見られている (Lecavelier des Etangs et al. 2012)。このような大きな変動は、惑星の外気圏の大きな変動によるものだと示唆されている。

しかし惑星大気による変動以外にも、恒星活動がトランジット深さに影響を及ぼす可能性もある。例えば恒星の活動領域を惑星が遮った場合は、惑星と恒星の半径比を過大評価する場合がある。ここでは、太陽の観測結果を元に、活動的な恒星をホットジュピターがトランジットした場合の模擬観測結果をシミュレーションし、惑星と恒星の半径比がどう変化して見えるかを評価する。

恒星活動によって半径比を間違えうるのは何故?

恒星の表面の明るさは一様であるとは限らない。例として太陽の場合は、短波超領域では磁気的な活動領域 (黒点が存在する場合が多い)は、恒星面上に広がった明るいパッチとして観測される。そのため、その部分の手前を惑星が通過した場合は、可視光とは逆の効果が発生する。つまり、トランジット中に惑星によって恒星面上の特に (短波長放射が)明るい領域が隠されると、その分減光が大きくなるため、惑星と恒星の半径比を本来より大きく見積もってしまうことになる。逆に、X線や紫外線で明るい領域を隠していない場合は、減光が小さくなるためトランジットが浅くなる (Llama & Shkolnik 2015)。

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