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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1507.05658
Charnoz & Michaut (2015)
Evolution of the protolunar disk: dynamics, cooling timescale and implantation of volatiles onto the Earth
(原始月円盤の進化:ダイナミクス、冷却タイムスケールと、揮発性物質の地球への降着)

概要

月は、地球への最後の巨大衝突 (giant impact)によって作られた原始月円盤 (protolunar disk)から形成されたと考えられている。
原始月円盤は高温のため、円盤中の物質が月に取り込まれるまでの"熱化学反応器"としてはたらく。
物質の液化や等方的進化などの未解決の問題は円盤の進化に重要である。しかし、円盤の寿命や力学、熱力学は不明である。

ここでは、原始月円盤の粘性進化の数値計算を行う。
1次元計算で、長時間の進化を追う。また蒸気と凝縮物の二相は垂直方向に成層していると考える。
計算では、円盤中での粘性加熱、輻射冷却、物質の相転移、重力不安定を考慮する。月の降着による形成はここでは考慮しない。

気体、液体、固体相での粘性が円盤の進化を決める。

計算の結果以下のような特徴が得られた。

(1) 蒸気は、円盤形成後 ~ 10年のうちに液体相となる。
(2) 円盤質量の大部分は内側へ降着し、半径 1 - 1.7地球半径の間に高温でコンパクトな液体の円盤を形成する。この領域は液相が重力的に安定であり、また蓄積も可能である。
(3) 最終的に円盤は 103 - 105年のうちに固化する。


円盤中の粘性加熱は計算期間中輻射冷却とバランスすることはなかった。

ガス相の粘性度が異常に高い場合は、例えば磁気回転不安定性などの機構によって円盤内の揮発性成分の大部分は地球に落下し、円盤には難揮発性成分が濃集する。
これは、揮発性物質に乏しい月の形成を助ける。この計算に結果によると、月に欠乏している揮発性物質は、落下してきて地球に存在する。

円盤の冷却タイムスケールは、惑星と円盤の同位体平衡 (isotopic equillibration)のためには十分長いだろう。
しかし、複数相の構造の複雑さのせいで、円盤の物理には大きな不定性がある。

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