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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1707.08563
Teachey et al. (2017)
HEK VI: On the Dearth of Galilean Analogs in Kepler and the Exomoon Candidate Kepler-1625b I
(HEK VI:ケプラーでのガリレオ衛星類似の欠乏と系外衛星候補ケプラー1625b I)

概要

ケプラーの惑星候補天体の 284 個について,位相で折り畳んだトランジット光度曲線を用いて,系外衛星 (exomoon) の存在を探査した.ここで探査対象とした惑星は,サイズが地球から木星の範囲,軌道長半径が ~ 0.1 - 1.0 AU の間に存在するものであり,いわゆる “温暖 (warm)” な惑星である.

このデータの解析の結果,木星のガリレオ衛星に類似した衛星系が存在する頻度は,284 個の KOI 天体に対して 95%信頼区間で < 0.38 であった.また,68.3 %信頼区間では 0.16 (+0.13, -0.10) である.衛星が一つ存在すると仮定したモデルで衛星のサイズと軌道半径を変えた場合,スーパーイオ (~ 0.5 地球半径の衛星の通称) が 5 - 10 惑星半径の軌道長半径で公転しているものが多い傾向を示唆する.

しかしこの領域でのベイスファクターは 2 程度であり,現段階ではこれは存在の兆候以上のものではないことを強調しておく.今回分析したサンプル中には,衛星の存在を示す強いシグナルは発見されなかった

温暖な惑星の周りにおいてガリレオ衛星に類似した衛星系の存在頻度が低いことは,系外衛星形成モデルへの強い制約を与える.

最後に,ケプラー1628b-i の系外衛星候補の兆候について報告する.この系外衛星候補は,ハッブル宇宙望遠鏡で今後観測される予定である.

系外衛星について

衛星形成過程

木星のガリレオ衛星サイズの衛星 (~ 0.2 - 0.4 地球半径) は,一般に様々な方法で形成できると考えられている.

木星の規則衛星については,原始惑星系円盤中での惑星形成と同様に,周惑星円盤 (circumplanetary disk) の中で形成されたと考えられる (Canup & Ward 2002).この形成過程では,規則衛星の累積質量は中心星の 10-4 のオーダーが上限だと予想されている (Canup & Ward 2006).

より大きな質量比を持つ衛星,例えば地球の月の場合は,太陽系形成の初期数百万年の間に起きた,破壊的な衝突から形成された (Ida et al. 1997など).

最後に,海王星の逆行衛星トリトンは,連星交換機構を通じて海王星に捕獲されたという仮説がある (Agnor & Hamilton 2006).

これらの仮説を合わせると,ガリレオ衛星サイズの衛星は太陽系では少なくとも 3 つの独立した経路で形成しうる.

系外衛星の検出

衛星は系外惑星の周りにも存在することが期待される.しかしガリレオ衛星サイズの衛星の検出は,多くの理由により困難である.

まず初めに検出感度の問題がある.
0.2 - 0.4 地球半径の衛星が太陽型星をトランジットする時のトランジット深さは 3 - 13 ppm となる.この値は,ケプラーで達成可能な典型的な感度より低い.

2 番目に,シグナルが現れる場所の変動が挙げられる.
衛星のシグナルはほぼ確実に,中心の惑星に対して各時期に異なる位置に発見されるはずであり,ある時は惑星のトランジットの前に,ある時は後に,それぞれ惑星からの射影距離が異なる場所に見える (Kipping 2011).

3 番目に,複数衛星によるシグナルの消失がある.
一つの惑星の周りに複数の衛星が存在する場合,衛星が存在することによる惑星のトランジット時刻の変動のシグナル (Sartoretti & Schneider 1999) や,トランジット継続時間変動 (Kipping 2009) のシグナルを消してしまうことがある.

4 番目に,観測機会の少なさがある.
衛星を持つと思われる惑星は軌道周期が長いという性質より (※注釈:短周期の惑星は恒星に近すぎるため衛星を持ちにくい),惑星のトランジットは比較的頻度が低く,観測できるタイミングが限られる.

このような系外衛星探査の困難さはあるが,Hunt for Exomoons with Kepler (HEK) プロジェクトが行われており,これまでに ~ 60 個の系外惑星の光力学的なベイズフィットが行われている (Kipping et al. 2012など).

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