×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1709.10398
Ciardi et al. (2017)
K2-nnnA~b: A Binary System in the Hyades Cluster Hosting a Neptune-Sized Planet
(K2-nnnAb:海王星サイズ惑星を持つヒアデス星団中の連星系)
中心星は連星系の中にあり,K5V 星と M7/8V 星が射影距離で 40 AU 離れた位置に存在している.惑星は主星である K5V 星を軌道周期 17.3 日で公転している,トランジット継続時間は 3 時間である.
主星は明るく (V = 11.2, J = 9.1),視線速度法による精密な測定のための良い対象である.
K2-nnnAb (※K2 としての番号が未確定のため暫定的にこの表記としている) は,散開星団の中の連星系に発見された,初めての海王星サイズ惑星である.
ヒアデス星団は太陽に最も近い星団であり,年齡は 625 - 750 Myr である.観測はケプラーの K2 ミッションの Champaign 13 にて行われた.
年齡:625 - 750 Myr
スペクトル型:K5V
有効温度:4364 K
金属量:[Fe/H] = 0.15
質量:0.71 太陽質量
半径:0.71 太陽半径
光度:0.164 太陽光度
軌道長半径:0.11728 AU
半径:3.03 地球半径
日射量:地球の日射量の 11.9 倍
arXiv:1709.10328
Mann et al. (2017)
Zodiacal Exoplanets in Time (ZEIT) VI: a three-planet system in the Hyades cluster including an Earth-sized planet
(Zodiacal Exoplanets in Time (ZEIT) VI:地球サイズ惑星を含むヒアデス星団中の 3 惑星系)
ここでは,ヒアデス星団 (~ 800 Myr) 中の晩期 K 型星 EPIC 247589423 をトランジットする,3 つの惑星の検出について報告する.ケプラーの K2 ミッションで得られた光度曲線から発見された.
今回発見された惑星の中で最も小さいものは半径が地球と同程度の 0.99 地球半径であり,知られている系外惑星のうち,若い恒星を公転する中では数少ない地球サイズの惑星である.
残りの 2 つは大きく,おそらくミニネプチューンとスーパーアースであり,半径はそれぞれ 2.91 地球半径と 1.45 地球半径であった.これらの惑星から予測される視線速度シグナルは 0.4 - 2 m/s の範囲であり,現在の視線速度の測定精度で検出可能である.
中心星は明るく (V = 11.2),若い恒星としては比較的恒星の活動度が小さい (2 - 6 mmag) ため,精密な視線速度観測を行うことができる若い散開星団中の天体であある.そのため,これらの惑星の質量を測定することによって,「若い惑星は古い惑星に比べて密度が小さくなる」という先行研究での主張を検証する事ができるだろう.
この事は,若い惑星は密度が小さいことを示唆している.しかしその原因と,小さい密度を持つ惑星の割合はあまり分かっていない.しかし,観測結果を説明するために必要とされる質量放出の量がこの説明を複雑にする.例えば K2-25b の半径は 4 地球半径であり,ケプラーによって発見されている近接軌道を持つ惑星は,全て 2 地球半径以下である (Dressing & Charbonneau 2013, Gaidos et al. 2016).
K2-25 の年齡が ~ 800 Myr であることを考えると,予想される質量放出率は中心星からの高エネルギーフラックスから期待される値よりも大きく (Lopez et al. 2012),比較的明るい恒星の周りで観測されている値よりも大きくなってしまう (Linsky et al. 2010など).
自転周期:15.0 日
スペクトル型:K 5.5
金属量:[Fe/H] = 0.15
有効温度:4499 K
質量:0.74 太陽質量
半径:0.66 太陽半径
光度:0.163 太陽光度
軌道離心率:0.10
半径:0.99 地球半径
平衡温度:553 K
軌道離心率:0.13
半径:2.91 地球半径
平衡温度:425 K
軌道離心率:0.14
半径:1.45 地球半径
平衡温度:373 K
※平衡温度の推定の際,アルベドは 0.3 を仮定している.
同じ天体における惑星の新規発見の報告です.Ciardi et al. (2017) の方では惑星は 1 つしか検出されていませんが,Mann et al. (2017) では 3 つの惑星を検出しています.
arXiv:1709.10398
Ciardi et al. (2017)
K2-nnnA~b: A Binary System in the Hyades Cluster Hosting a Neptune-Sized Planet
(K2-nnnAb:海王星サイズ惑星を持つヒアデス星団中の連星系)
概要
ヒアデス星団 (Hyades Cluster) 中に,海王星サイズの惑星 (3.0 地球半径) を発見した.中心星は連星系の中にあり,K5V 星と M7/8V 星が射影距離で 40 AU 離れた位置に存在している.惑星は主星である K5V 星を軌道周期 17.3 日で公転している,トランジット継続時間は 3 時間である.
主星は明るく (V = 11.2, J = 9.1),視線速度法による精密な測定のための良い対象である.
K2-nnnAb (※K2 としての番号が未確定のため暫定的にこの表記としている) は,散開星団の中の連星系に発見された,初めての海王星サイズ惑星である.
ヒアデス星団は太陽に最も近い星団であり,年齡は 625 - 750 Myr である.観測はケプラーの K2 ミッションの Champaign 13 にて行われた.
パラメータ
EPIC 247589423
距離:50 - 60 pc年齡:625 - 750 Myr
スペクトル型:K5V
有効温度:4364 K
金属量:[Fe/H] = 0.15
質量:0.71 太陽質量
半径:0.71 太陽半径
光度:0.164 太陽光度
K2-nnnAb
軌道周期:17.3077 日軌道長半径:0.11728 AU
半径:3.03 地球半径
日射量:地球の日射量の 11.9 倍
arXiv:1709.10328
Mann et al. (2017)
Zodiacal Exoplanets in Time (ZEIT) VI: a three-planet system in the Hyades cluster including an Earth-sized planet
(Zodiacal Exoplanets in Time (ZEIT) VI:地球サイズ惑星を含むヒアデス星団中の 3 惑星系)
概要
若い星団中の惑星は,惑星系の進化を調べる上で重要な存在である.ここでは,ヒアデス星団 (~ 800 Myr) 中の晩期 K 型星 EPIC 247589423 をトランジットする,3 つの惑星の検出について報告する.ケプラーの K2 ミッションで得られた光度曲線から発見された.
今回発見された惑星の中で最も小さいものは半径が地球と同程度の 0.99 地球半径であり,知られている系外惑星のうち,若い恒星を公転する中では数少ない地球サイズの惑星である.
残りの 2 つは大きく,おそらくミニネプチューンとスーパーアースであり,半径はそれぞれ 2.91 地球半径と 1.45 地球半径であった.これらの惑星から予測される視線速度シグナルは 0.4 - 2 m/s の範囲であり,現在の視線速度の測定精度で検出可能である.
中心星は明るく (V = 11.2),若い恒星としては比較的恒星の活動度が小さい (2 - 6 mmag) ため,精密な視線速度観測を行うことができる若い散開星団中の天体であある.そのため,これらの惑星の質量を測定することによって,「若い惑星は古い惑星に比べて密度が小さくなる」という先行研究での主張を検証する事ができるだろう.
若い惑星の密度
これまでに発見されている若い惑星のうち 3 つ (K2-25b, K2-33b, K2-95b) は,似た質量の恒星 (< 0.6 太陽質量) の周りを公転し,同程度の軌道周期を持つ惑星と比較すると有意に大きな半径を持つことが分かっている (Obermeier et al. 2016, Pepper et al. 2017など).この事は,若い惑星は密度が小さいことを示唆している.しかしその原因と,小さい密度を持つ惑星の割合はあまり分かっていない.しかし,観測結果を説明するために必要とされる質量放出の量がこの説明を複雑にする.例えば K2-25b の半径は 4 地球半径であり,ケプラーによって発見されている近接軌道を持つ惑星は,全て 2 地球半径以下である (Dressing & Charbonneau 2013, Gaidos et al. 2016).
K2-25 の年齡が ~ 800 Myr であることを考えると,予想される質量放出率は中心星からの高エネルギーフラックスから期待される値よりも大きく (Lopez et al. 2012),比較的明るい恒星の周りで観測されている値よりも大きくなってしまう (Linsky et al. 2010など).
パラメータ
EPIC 247589423
距離:59.4 ± 2.8 pc (運動学的な推定に基づくもの),63 ± 10 pc (測光学的な推定に基づくもの)自転周期:15.0 日
スペクトル型:K 5.5
金属量:[Fe/H] = 0.15
有効温度:4499 K
質量:0.74 太陽質量
半径:0.66 太陽半径
光度:0.163 太陽光度
EPIC 247589423b
軌道周期:7.975292 日軌道離心率:0.10
半径:0.99 地球半径
平衡温度:553 K
EPIC 247589423c
軌道周期:17.307137 日軌道離心率:0.13
半径:2.91 地球半径
平衡温度:425 K
EPIC 247589423d
軌道周期:25.575065 日軌道離心率:0.14
半径:1.45 地球半径
平衡温度:373 K
※平衡温度の推定の際,アルベドは 0.3 を仮定している.
同じ天体における惑星の新規発見の報告です.Ciardi et al. (2017) の方では惑星は 1 つしか検出されていませんが,Mann et al. (2017) では 3 つの惑星を検出しています.
PR
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
天文・宇宙物理関連メモ vol.305 Obermeier et al. (2016) プレセペ星団中の初めてのトランジット惑星 K2-95b の発見
天文・宇宙物理関連メモ vol.436 Pepper et al. (2017) プレセペ星団中の恒星 JS 183 でのトランジット惑星の発見