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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1712.01035
Maldonado et al. (2017)
On the chemical fingerprints of hot Jupiter planets formation
(ホットジュピター惑星形成の化学的痕跡について)

概要

小さな軌道周期 (10 日未満) を持つ木星型惑星 (ホットジュピター) の存在を説明するための現在のパラダイムは,これらの惑星は原始惑星系円盤のスノーラインより遠いところで形成され,その後内側に軌道移動を起こしたというものである.しかしこのパラダイムに対しては,最近研究されているその場形成シナリオ (現在の軌道における形成) の可能性という反論が存在する.

ここでは,ホットジュピターを持つ恒星と,より遠距離に巨大ガス惑星を持つ恒星との間に,異なる形成過程と関連した化学的な特異性があるかどうかを調べた.恒星の化学的な性質は,恒星の高分散エシェルスペクトルの解析に基づいた方法論を用いる.

惑星を持つ 88 個の恒星に対して,恒星のパラメータと,C, O,Na, Mg, Al, Si, S, Ca, Sc, Ti, V, Cr, Mn, Co, Ni, Cu, Zn のそれぞれの元素の存在度を導出した.さらにこれらのサンプルを,ホットジュピター (軌道長半径が 0.1 au 未満のもの) を持つものと,より低温な木星型惑星 (0.1 au 以上) を持つものの 2 つのグループに分割した.その上で,この 2 つのサブサンプルの間の,恒星の金属量と惑星の存在度の間にある傾向を比較した.

その結果,ホットジュピターを持つ恒星は,より低温な木星型惑星を持つ恒星に比べて高い金属量を示すことが判明した.また,より低温な木星型惑星を持つ恒星は,アルファ元素の存在度が大きいという傾向が得られた.
一方で,鉄のピーク,揮発性元素や C/O,Mg/Si 比を考慮した場合,存在度の違いは見られなかった.

低温な木星型惑星を持つ恒星と,ホットジュピターを持つ恒星,それぞれの累積分布を比較する統計的検定に対応する p 値は,金属量が 0.20,アルファ元素の存在度が < 0.01,鉄のピークが 0.81,揮発性物質は 0.16 であった.

また,これまでの研究でも示唆されていた,遠く離れた惑星ほど惑星質量が大きく,また軌道離心率が大きいという傾向を,今回の解析でも確認した.ただし,ホットジュピターを持つ恒星と低温な木星型惑星を持つ恒星の,年齢とスペクトル型の違いは存在度の比較に影響を及ぼす可能性があり,注意が必要である.


結論としては,惑星質量・軌道周期・軌道離心率・恒星の金属量の分布の違いは,ホットジュピターと低温な木星型惑星の形成過程が異なる可能性を示唆するものである.低温な木星型惑星を持つ恒星がわずかに大きなアルファ元素の存在度を示すことは,巨大ガス惑星の形成を可能にする低い金属量を補うものである可能性がある.

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