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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1801.10177
Chen et al. (2018)
An Improved Transit Measurement for a 2.4 REarth Planet Orbiting A Bright Mid-M Dwarf K2−28
(明るい中期 M 型矮星 K2-28 を公転する 2.4 地球半径惑星のトランジット測定の改善)
この惑星はサブネプチューンサイズの惑星 (2.45 地球半径) で,比較的明るい (V = 16.06,K = 10.75) 金属量が豊富な M4 矮星 K2-28 を公転している.この恒星は,質量が 0.2 太陽質量未満でトランジット惑星を持っている,わずか 7 個の恒星の 1 つである.また,惑星は GJ 1214b より僅かに小さいサイズの類似した惑星である (GJ 1214b は 2.85 地球半径,Harpsøe et al. 2013).
今回のスピッツァー宇宙望遠鏡のデータは,ケプラー K2 ミッションによって発見された時のデータが取得された 2 年後に取得されたものである.観測頻度は高く,この惑星の半径,軌道長半径,軌道周期の推定を改善した.
また,将来的なジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡 (James Webb Space Telescope, JWST) での大気の観測可能性についての議論も行った.
この惑星は,GJ 1214b 以外では二次食の検出が潜在的に可能な,唯一の小型 (3 地球半径未満) で低温 (600 K 未満) の惑星である.またこの天体は,大型望遠鏡の近赤外線での視線速度測定装置のターゲットとして適している.例えば,Hobby-Eberly Telescope にある Habitable Planet Finder (HPF) や,すばる望遠鏡の Infrared Doppler 装置などでの観測対象として適している.
また,打上げが予定されている Transiting Exoplanet Survey Satellite (TESS) のシミュレーションカタログとの比較を行い,この惑星が中期 M 型星系の代表例であることを指摘する.
最後に,2 地球半径以上の大きさの惑星を持つ中期 M 型星は,より金属量が豊富な傾向があるという,過去に指摘されていた相関についての強化された証拠を見出した.過去の指摘よりも解析に用いたサンプル数が 3 倍になったことと,今回の K2-28b の新しい観測データから判明した.
K2-28 は,0.2 太陽質量より軽い恒星の中でトランジット惑星を持っていることが分かっているわずか 7 例のうちの一つである (惑星数は合計で 16 個).
中期 M 型星のうち,2 地球半径よりも大きいサイズの惑星を持っているものは,金属量が豊富な傾向があるということが Hirano et al. (2016) によって指摘されている.Hirano et al. (2016) では,6 個の恒星,10 個の惑星という限られたサンプルに対しての解析を行っている.
ここではその解析よりも,サンプル数を 3 倍に増やして再検討を行った.
その結果,2 地球半径よりも小さい惑星を持っている場合,中心星の金属量の平均は [Fe/H] = -0.103 であった.それに対して,2 地球半径より大きい惑星を持っている場合は [Fe/H] = 0.104 であった.これは 11 σ 大きな値である.
そのため,この相関に関する強い証拠は引き続き存在する.
ただし,この傾向は観測バイアスである可能性があるという点には注意が必要である.
金属量が豊富な恒星は半径が大きいため (Mann et al. 2015),金属量豊富な恒星を公転する小さい惑星は検出しづらくなる (Buchhave et al. 2014など).
金属量との相関は,惑星の形成タイムスケールに関係している可能性がある.この場合,金属量が豊富な原始惑星系円盤はより早い段階でより重いコアを形成する事ができ,成長するコアが少量の水素ガスを降着して比較的大きな半径を持つ惑星を形成することが出来る.
arXiv:1801.10177
Chen et al. (2018)
An Improved Transit Measurement for a 2.4 REarth Planet Orbiting A Bright Mid-M Dwarf K2−28
(明るい中期 M 型矮星 K2-28 を公転する 2.4 地球半径惑星のトランジット測定の改善)
概要
K2-28b のスピッツァー宇宙望遠鏡でのトランジット観測の結果を報告する.この惑星はサブネプチューンサイズの惑星 (2.45 地球半径) で,比較的明るい (V = 16.06,K = 10.75) 金属量が豊富な M4 矮星 K2-28 を公転している.この恒星は,質量が 0.2 太陽質量未満でトランジット惑星を持っている,わずか 7 個の恒星の 1 つである.また,惑星は GJ 1214b より僅かに小さいサイズの類似した惑星である (GJ 1214b は 2.85 地球半径,Harpsøe et al. 2013).
今回のスピッツァー宇宙望遠鏡のデータは,ケプラー K2 ミッションによって発見された時のデータが取得された 2 年後に取得されたものである.観測頻度は高く,この惑星の半径,軌道長半径,軌道周期の推定を改善した.
また,将来的なジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡 (James Webb Space Telescope, JWST) での大気の観測可能性についての議論も行った.
この惑星は,GJ 1214b 以外では二次食の検出が潜在的に可能な,唯一の小型 (3 地球半径未満) で低温 (600 K 未満) の惑星である.またこの天体は,大型望遠鏡の近赤外線での視線速度測定装置のターゲットとして適している.例えば,Hobby-Eberly Telescope にある Habitable Planet Finder (HPF) や,すばる望遠鏡の Infrared Doppler 装置などでの観測対象として適している.
また,打上げが予定されている Transiting Exoplanet Survey Satellite (TESS) のシミュレーションカタログとの比較を行い,この惑星が中期 M 型星系の代表例であることを指摘する.
最後に,2 地球半径以上の大きさの惑星を持つ中期 M 型星は,より金属量が豊富な傾向があるという,過去に指摘されていた相関についての強化された証拠を見出した.過去の指摘よりも解析に用いたサンプル数が 3 倍になったことと,今回の K2-28b の新しい観測データから判明した.
K2-28 系について
K2-28b は,ケプラーの K2 ミッションでの観測データ中から検出された惑星である (Vanderburg et al. 2016).この検出は,後に統計的に確認された (Hirano et al. 2016).K2-28 は,0.2 太陽質量より軽い恒星の中でトランジット惑星を持っていることが分かっているわずか 7 例のうちの一つである (惑星数は合計で 16 個).
中期 M 型星の惑星存在頻度と金属量
K2-28 は [Fe/H] = 0.332 と金属量が豊富な恒星である (Dressing et al. 2017).中期 M 型星のうち,2 地球半径よりも大きいサイズの惑星を持っているものは,金属量が豊富な傾向があるということが Hirano et al. (2016) によって指摘されている.Hirano et al. (2016) では,6 個の恒星,10 個の惑星という限られたサンプルに対しての解析を行っている.
ここではその解析よりも,サンプル数を 3 倍に増やして再検討を行った.
その結果,2 地球半径よりも小さい惑星を持っている場合,中心星の金属量の平均は [Fe/H] = -0.103 であった.それに対して,2 地球半径より大きい惑星を持っている場合は [Fe/H] = 0.104 であった.これは 11 σ 大きな値である.
そのため,この相関に関する強い証拠は引き続き存在する.
ただし,この傾向は観測バイアスである可能性があるという点には注意が必要である.
金属量が豊富な恒星は半径が大きいため (Mann et al. 2015),金属量豊富な恒星を公転する小さい惑星は検出しづらくなる (Buchhave et al. 2014など).
金属量との相関は,惑星の形成タイムスケールに関係している可能性がある.この場合,金属量が豊富な原始惑星系円盤はより早い段階でより重いコアを形成する事ができ,成長するコアが少量の水素ガスを降着して比較的大きな半径を持つ惑星を形成することが出来る.
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天文・宇宙物理関連メモ vol.147 Hirano et al. (2015) K2惑星候補の追加観測によるスーパーアースの確認