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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1802.00766
Temple et al. (2018)
Discovery of WASP-174b: Doppler tomography of a near-grazing transit
(WASP-174b の発見:ほぼかすめるようなトランジットのドップラートモグラフィー)

概要

WASP-174b の,ドップラートモグラフィー (Doppler tomography) を用いた発見について報告する.

この惑星は,中心星をほぼかすめるようなトランジットを起こしている.軌道周期は 4.23 日で,中心星は光度が V = 11.9,スペクトル型は F6V,金属量は [Fe/H] = 0.09 ± 0.09 である.

恒星の自転軸と惑星の公転軸はややずれており,天球に射影した角度は 31° ± 1° と推定される.この結果は,高温の恒星まわりでは恒星の自転軸と惑星の公転軸がずれる傾向にあるという,これまでの結果と整合的である.

かすめるようなトランジットを起こしているため,惑星の半径推定は不確実であり,取りうる範囲は 0.7 - 1.7 木星半径である.また惑星質量の上限は 1.3 木星質量である.中心星の WASP-174 は,ドップラートモグラフィーを用いて惑星の存在が確認された中では,これまでで最も暗い.

ドップラートモグラフィーによる惑星の確認

表面温度が高温で高速自転する恒星は,視線速度の観測データが少ない.これは,このような恒星はスペクトル線が広く弱いため,視線速度の観測が行いづらいからである.そのため,このような恒星の周りの惑星はしばしば,ドップラートモグラフィーによってその存在が確定される.

ドップラートモグラフィーを用いて初めて発見された系外惑星は WASP-33b (Collier Cameron et al. 2010) である.その他には,XO-6b (Crouzet et al. 2017),KELT-17b (Zhou et al. 2016),KELT-9b (Gaudi et al. 2017),KELT-19Ab (Siverd et al. 2017),KELT-20b/MASCARA-2b (Lund et al. 2017,Talens et al.2017),KELT-21b (Johnson et al. 2017),HAT-P-57b (Hartman et al. 2015),HAT-P-67b (Zhou et al. 2017),ケプラー448b (Bourrier et al. 2015),WASP-167b/KELT-13b (Temple et al. 2017),MASCARA-1b (Talens et al. 2017) がある.ここでは,WASP-South トランジットサーベイで検出され,European Southern Observatory 3.6 m 望遠鏡の HAPRS 分光器を用いた観測を元に,ドップラートモグラフィーによって存在が確認された惑星について報告する.フォローアップ観測には,TRAPPIST-South 望遠鏡と SPECULOOS Southern Observatory 望遠鏡による測光観測も使用している.

パラメータ

WASP-174
等級:V = 11.9
スペクトル型:F6V
有効温度:6400 K
金属量:[Fe/H] = 0.09
質量:1.27 太陽質量
半径:1.3 太陽半径
年齢:16.5 億歳
WASP-174b
軌道周期:4.233700 日
軌道長半径:0.0555 AU
質量:1.3 木星質量未満
半径:1.2 ± 0.5 木星半径
平衡温度:1470 K

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