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日々の感想などどうでもよいことを書き連ねるためだけのブログ。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1803.04543
Morris et al. (2018)
Possible Bright Starspots on TRAPPIST-1
(TRAPPIST-1 上の明るい領域の可能性)

概要

M8V 星の TRAPPIST-1 は,7 個のおおむね地球サイズの惑星を持っており,系外惑星の特徴付けの良い対象天体である.

ケプラーの K2 Campaign 12 期間の TRAPPIST-1 の観測では,可視光で自転による変調と思われる 3.3 日周期の変動が検出された,しかし,この変動はスピッツァー宇宙望遠鏡の 4.5 µm 波長では明確に検出されなかった.もし検出された自転変調が黒点によるものである場合,永続的に暗い黒点が存在しているという可能性は,スピッツァー宇宙望遠鏡では光度曲線中に測光変動が存在しなかったことから,除外することができる.

ここでは,ケプラーとスピッツァー宇宙望遠鏡の光度曲線の双方と整合的な,TRAPPIST-1 の光球にある明るい領域が引き起こす自転変調の測光モデルを構築した.その結果,領域の典型的なサイズが恒星半径の 0.004 倍程度,領域の温度が 5300 K 程度の明るい点が 3 つ存在するというモデルが,もっとも尤度が大きいモデルとなった.

また,最も明るい領域が観測者の方を向いている時に,大きなフレアがしばしば観測されることを発見した,これは,明るい領域の位置とフレアイベントに相関があることを示唆している.さらにこれらのフレアは,領域の輝度が増加している段階で起きやすい可能性がある.このことは,検出されている 3.3 日の周期は自転によるシグナルではなく,活動領域の特徴的なタイムスケールである可能性を示唆している.

背景

TRAPPIST-1 の変動の検出

TRAPPIST-1 は,少なくとも 7 個の地球サイズの惑星を持つ (Gillon et al. 2016, 2017).

この恒星は,スピッツァー宇宙望遠鏡の IRAC-2 で 4.5 µm 波長で 20 日に渡って観測された (Gillon et al. 2017,Delrez et al. 2018).またその 76 日後に,NASA の宇宙機であるケプラーを用いた,K2 Campaign 12 の観測期間でさらに 79 日に渡って観測された (Luger et al. 2017).

K2 の観測では,3.3 日周期の準周期的な変動が検出された (Luger et al. 2017,Delrez et al. 2018).これは,恒星表面にある黒点が自転により見え隠れすることによる,恒星の自転シグナルと解釈されている (Vida et al. 2017).

暗いスポットか明るいスポットか?

恒星の自転による変調をモデル化する上での問題点の一つは,光度曲線をフィッティングする際,恒星の表面に明るいスポットが複数個ある場合,あるいは暗いスポットが複数個ある場合を考えても,よくフィット出来てしまうという点である.
この縮退は,しばしば “zebra effect” として言及される (Pettersen et al. 1992).すなわち,恒星はいくつかの暗い点を持つ明るい星なのか,あるいはいくつかの明るい点を持った暗い星なのか,という問題である.

恒星黒点は一般に周囲より暗い.これは,その部分の磁気圧が熱的な圧力とバランスするためである.
しかしある恒星は,大部分は暗く,いくつかの明るい領域が存在する場合がある.例えば T Tauri star の LkCa 4 はその一例である (Gully-Santiago et al. 2017).LkCa 4 の近赤外分光観測からは,この天体が非均一な恒星大気を持つことが明らかになっている.表面の 80% が 2800 K,20% が 4000 K の領域となっている.

現在のゼーマンドップラー撮像は恒星磁場の大規模な構造に最も敏感であるため,完全対流状態の恒星に存在する小さいスケールの磁場構造は,一般にはっきりとは分かっていない.

TRAPPIST-1 の自転と変動

TRAPPIST-1 の輝度変化を解釈する際の困難な点は,観測されている周期性が完全に自転に起因しているかどうかである.

Reiners & Basri (2010) では,自転速度が 6 ± 2 km/s と推定されている.一方で,3.3 日の周期を自転による変動だとすると,自転速度の最大値は 1.8 km/s であることが予測される.TRAPPIST-1 の黒点は時間とともに進化すると考えられるため,3.3 日周期の周期性を長期間モニタリングし,周期性が時間的に安定しているかどうかを判断する必要がある.

恒星のスポットを研究する別の意義としては,惑星のトランジット最中のスポットの掩蔽を評価するというものがある.これは HAT-P-11 で詳細に研究されている (Morris et al. 2017).

現在のところ,ケプラーでもスピッツァー宇宙望遠鏡でも,トランジット中の惑星がスポットを掩蔽したことを示すシグナルは報告されていない (Delrez et al. 2018).このことは,もし自転変調の原因がスポットであるなら,それらは惑星が通過する弦の外側に存在しているか,あるいはスポットの占める領域が惑星の大きさよりも小さくなければいけないことを意味している.

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