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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1803.05238
Suzuki et al. (2018)
A Likely Detection of a Two-Planet System in a Low Magnification Microlensing Event
(低増光マイクロレンズイベント中の 2 惑星系の検出候補)

概要

重力マイクロレンズイベント OGLE-2014-BLG-1722 の解析結果について報告する.

このイベントは 2 つの短期間のアノマリーを示す.光度曲線のベストフィットモデルからは,2 つのアノマリーは 2 つの惑星質量天体で説明できる.二番目のアノマリーについては,ソース天体が連星だとするモデルでも説明できるが,3.1 σ で暫定的に否定される.

2 惑星モデルの場合,惑星 OGLE-2014-BLG-1722Lb は,中心星との質量比 4.5 × 10-4,アインシュタイン半径で規格化した射影距離は 0.753 である.
二番目のアノマリーの惑星 OGLE-2014-BLG-1722Lc は,中心星との質量比 7.0 × 10-4 である.なおこちらに関しては,射影距離は 2 つの解が縮退し,0.84 もしくは 1.37 である.

残念ながらこのマイクロレンズイベントは,明確な有限ソース効果とマイクロレンズ視差効果を見せなかったため,レンズ系の物理パラメータをベイズ解析で推定した.その結果,b と c の質量はそれぞれ 56 (+51, -33) 地球質量,85 (+86, -51) 地球質量と推定された.
中心星は晩期型星で 0.40 (+0.36, -0.24) 太陽質量,距離は 6.4 (+1.3, -1.8) kpcである.

各惑星の中心星からの射影距離は,b が 1.5 ± 0.6 AU,c は 1.7 (+0.7, -0.6) AU あるいは 2.7 (+1.1, -1.0) AU である.

もし 2 惑星モデルが正しい場合,この系は重力マイクロレンズ法で発見された 3 番目の複数惑星系であり,また低増光率イベントで検出された初めての複数惑星系である.

重力マイクロレンズでの複数惑星系

これまでに重力マイクロレンズ法を用いて発見されている複数惑星系はわずか 2 例である.重力マイクロレンズ法全体では 49 例の系外惑星が発見されているため,重力マイクロレンズ惑星のうち複数惑星系の割合は 4.1% である.

初めて重力マイクロレンズで検出された複数惑星系 OGLE-2006-BLG-109L は,木星軌道の半分程度を公転する木星型惑星と,土星の半分程度の軌道を公転する土星型の惑星を持つ系である.中心星の質量は太陽の半分程度である (Gaudi et al. 2008,Bennett et al. 2010).

2 番目は OGLE-2012-BLG-0026L (Han et al. 2013) で,木星より軽い惑星と土星より軽い惑星を持つ系である.中心星はおおむね太陽質量である (Beaulier et al. 2016).

上記の 2 イベントは,どちらも高増光率イベントである.また系の質量は,確実な視差効果の測定と,高角度分解能の撮像観測から推定されている.

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