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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1803.02858
Yu et al. (2018)
Two warm, low-density sub-Jovian planets orbiting bright stars in K2 campaigns 13 and 14
(K2 Campaign 13 と 14 中の明るい恒星を公転する 2 つの暖かく低密度のサブジュピター惑星)

概要

明るい恒星をトランジットする惑星 2 個の発見を報告する.ケプラー K2 ミッションの Campaign 14 期間中のデータから HD 89345b (EPIC 248777106b) を,Campaign 13 期間中のデータから HD 286123b (EPIC 247098361b) を,それぞれ発見した.
両方の恒星は G 型星であり,片方は主系列段階の終わりかその付近にあり,もう片方は主系列段階のちょうど半分を超えた段階である.

HD 89345 は温暖なサブサターン惑星 HD 89345b を持ち,この惑星は巨大氷惑星と巨大ガス惑星の境界に近い質量を持つ.
HD 286123b は木星サイズの低質量惑星で,やや偏心した軌道を公転している.

これらの惑星は 50 - 70 億歳とやや進化した主系列星の周りを公転しており,軌道周期は 10 日より長い.そのため,ガス惑星の進化と移動,場合によっては惑星半径の再膨張の研究対象として興味深い.

どちらの惑星も,惑星が膨張した半径を持つような恒星輻射の経験的な閾値の日射量に近い値で寿命の大部分を過ごしているが,どちらも半径膨張の兆候は見られない.そのためこれらの惑星系は,惑星半径の膨張が顕著になり始めるレジームを探査し,惑星膨張モデルを制約するのに有用である.

さらに,中心星が明るいことと,惑星の大気スケールハイトが大きいことから,これらの惑星系はトランジット分光観測の対象として非常に好ましいターゲットである.今後の観測からは,惑星大気と,おそらくはホットジュピターを膨張させる物理メカニズムへの示唆が与えられる可能性がある.

パラメータ

HD 89345 系

HD 89345
別名:EPIC 248777106
等級:V = 9.376
質量:1.225 太陽質量
半径:1.659 太陽半径
有効温度:5609 K
金属量:[Fe/H] = 0.440
光度:2.45 太陽光度
距離:126.6 pc
HD 89345b
軌道長半径:0.1086 AU
軌道周期:11.81433 日
質量:0.103 木星質量
半径:0.616 木星半径
軌道離心率:0.25
平均密度:0.55 g cm-3
平衡温度:1059 K
HD 89345 系について
この恒星質量の場合,ゼロ年齢の主系列星では F6V - F7V のスペクトル型になる (Pecaut & Mamajek 2013),しかし実際には有効温度と色はスペクトル型 G5V - G6V と近い.さらに 1.66 太陽半径という大きさは,この質量の恒星のゼロ年齢主系列星での値より大きい.
このことから,この恒星は中心部の水素を使い切ってしまったか,あるいは残りわずかであり,現在は主系列を離れて巨星分枝に向かって進化している最中であることが示唆される.

HD 286123 系

HD 286123
別名:EPIC 247098361
等級:V = 9.822
質量:1.062 太陽質量
半径:1.252 太陽半径
有効温度:5855 K
金属量:[Fe/H] = 0.058
光度:1.66 太陽光度
距離:133.1 pc
HD 286123b
軌道長半径:0.0998 AU
軌道周期:11.168453 日
質量:0.408 木星質量
半径:1.080 木星半径
軌道離心率:0.268
平均密度:0.400 g cm-3
平衡温度:999 K
HD 286123 系について
恒星の質量から予想されるスペクトル型は,おおむね G1V である.実際のこの恒星の有効温度と色はそれと整合的である.また恒星半径と光度は,この質量の恒星のゼロ年齢主系列星のものと比較すると,やや大きいもののおおむね一致する.

なお,HD 286123b の発見は,Brahm et al. (2018) でも報告されている.

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