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日々の感想などどうでもよいことを書き連ねるためだけのブログ。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1803.06776
Ren et al. (2018)
A Decade of MWC 758 Disk Images: Where Are the Spiral-Arm-Driving Planets?
(MWC 758 円盤画像の 10 年:渦状腕を駆動する惑星はどこにいるか?)

概要

いくつかの原始惑星系円盤の散乱光による撮像観測からは,円盤注の大規模な渦状腕の存在が明らかになっている.理論モデルは,そのような渦状腕は共回転する巨大惑星によって駆動されることが示唆されている.

MWC 758 の円盤中に見られる渦状腕の回転を 10 年のタイムスケールで観測することで,渦状腕を駆動しているであろう擾乱天体の位置に関する,力学的な制約を与えることが可能となる.ここでは,2005 年のハッブル宇宙望遠鏡 NICMOS での観測結果の再処理と,2017 年の新しい Keck/NIRC2 L’ バンドでの観測結果を提供する.

NICMOS の観測のアーカイブデータ中には,MWC 758 の円盤中にある 2 つのよく知られた渦状腕が見られた.Very Large Telescope/SPHERE の追加データを用いて共同解析を行った結果,2 つの主要な渦状腕のパターンの速度は,3σ の信頼度で 1 年あたり 0°.6 (+3°.3, -0°.6) 動いていると推定される

2 つの渦状腕が,ほぼ円軌道にいる擾乱天体によって誘起されているとすると,擾乱天体のベストフィットの軌道は,軌道長半径が 89 au (0”.59) となった.軌道長半径の 3σ の下限値は 30 au (0”.20) である.この発見は,2 つの主要な渦状腕を引き起こす惑星の位置に関する,数値シミュレーションからの予測と整合的である.

背景

円盤中の渦状腕

近赤外線での円盤観測によって,円盤中の渦状腕構造の存在が明らかになっている.

円盤中の渦状腕の形成機構としては,十分な質量を持った円盤 (Kratter & Lodato 2016) の場合に発生する重力不安定 (Lodato & Rice 2005,Dong et al. 2015),伴星と円盤との相互作用 (Dong et al. 2015など) が提案されている.渦状腕が観測されている円盤の多くは重力不安定を引き起こすほど重くないと思われるため (Andrews et al. 2011など),後者のシナリオがもっともらしいと考えられる.

予想される伴星天体を観測するための直接撮像観測が,幾つかの渦状腕を持つ天体に対して行われている.惑星形成モデルとして hot start (※注釈:形成時に大量のエントロピーを持ち込み,高温な惑星として進化を開始する状態) を考えると (Baraffe et al. 2015など),数木星質量かそれ以下の惑星質量の天体以外の,重い伴星の存在は否定される (Maire et al. 2017など).

円盤中の伴星によって駆動される渦状腕は,その駆動源である天体と共回転する.そのため,渦状腕のパターンの速度や軌道周期を測定することで,その伴星天体の軌道長半径を制約することが出来る (Lomax et al. 2016など).

MWC 758

MWC 758 は Herbig Ae star (ハービッグ Ae 星) と呼ばれる種類の天体であり,距離は 151 pc (Gaia Collaboration et al. 2016),推定年齢は 350 万 ± 200 万歳 (Meeus et al. 2012),~ 2.0 太陽質量である.なお質量は,この天体の有効温度として 7580 K,光度として 19.6 太陽光度 (van der Marel et al. 2016) を仮定して,前主系列段階の進化トラック (Siess et al. 2000) から導出している.また Gaia による観測からの新しい距離推定結果を用いて,恒星の光度をスケールし直した後の値を用いている.

この天体周りの円盤の傾斜角は小さく,~ 20° 程度である (Isella et al. 2010).
すばる望遠鏡の HiCIAO を用いた観測で,2 つの目立った 180° 回転対称な渦状腕が初めて発見された (Grady et al. 2013)その後,VLT/SPHERE の観測で渦状腕の詳細な特徴付けが行われた (Benisty et al. 2015),また,Keck/NIRC2 での最近の観測によって,3 番目の腕と点源候補が ~0”.11 (17 au) の位置に報告されている (Reggiani et al. 2017).Dong et al. (2016) の数値シミュレーションでは,どちらの渦状腕も,中心星から ~ 0”6 の位置の数木星質量の惑星で再現することが出来ると示唆されている.

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