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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1803.07875
Fletcher et al. (2018)
Disruption of Saturn's Quasi-Periodic Equatorial Oscillation by the Great Northern Storm
(巨大な北半球の嵐による土星の赤道準周期振動の破壊)

概要

太陽系全体の惑星の観測からは,地球だけが周期的な大気循環を保持しているわけではないことが明らかになっている.

地球,木星,土星の赤道領域の中層大気は,全て似たような現象を起こしている.それは,はっきりとした複数年周期でゆっくりと下方に伝播する,帯状の (東西方向の) 風の体系である.地球における Quasi-Biennial Oscillation (QBO,準 2 年周期振動,成層圏下部で観測される平均周期 28 ヶ月の振動) は,地球の気候システムにおける最も規則的で反復的な循環の 1 つである.

しかし最近の研究によると,この規則性は赤道から離れた領域で発生した事象によって壊される可能性があることが指摘されている.これは atmospheric teleconnection (大気のテレコネクション,遠隔相関,遠隔結合) として知られている現象の例である.


ここでは,およそ 15 年周期の土星の赤道の Quasi-Periodic Oscillation (QPO,準周期振動) も,劇的に乱されていることを報告する.

2010 年 12 月に土星の北半球の中緯度領域で激しい春の嵐が発生し,北緯 40° の成層圏に 3 年間持続する巨大な熱い渦を生み出した.この渦から遠く離れた,赤道域全体に渡る 0.5 - 5 mbar の領域で 10 K の劇的な冷却が発生していることがカッシーニによるの温度測定によって明らかにされている.この影響で,通常の QPO のパターンが乱されて中層大気の風構造が大きな影響を受けており,北半球の嵐によって生成された波からの赤道の風システムへの西向きの運動量注入が起きていることが示唆されている.

従って土星でも地球と同様に,中緯度での気象活動は熱帯での規則的な大気循環に大きな影響を与え,波が巨大惑星の中層大気を形成する現象の間に働く水平方向のテレコネクションをもたらすことが明らかになった.

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