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日々の感想などどうでもよいことを書き連ねるためだけのブログ。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1804.03006
Hueso et al. (2018)
Small impacts on the giant planet Jupiter
(巨大惑星木星への小さい衝突)

概要

過去 8 年間のアマチュア天文家による木星のビデオ観測では,継続時間が 1 - 2 秒の閃光が 5 回検出されている.これらのうち最初の 3 回は,2010 年 6 月 3 日,2010 年 8 月 20 日,2012 年 9 月 10 日に発生した.

これらの光度曲線のこれまでの解析では,この閃光は直径が 5 - 20 m の天体の衝突によって発生したと推定されている (推定サイズは衝突した天体の密度によって変わる).衝突によって解放されるエネルギーは,チェリャビンスク隕石クラスの火球に相当する.

最も最近の閃光は 2016 年 3 月 17 日,2017 年 5 月 26 日に検出された,ここでは,この 2 回の閃光を解析する.これらの閃光を発生させた天体の質量・大きさと共に,衝突に伴うエネルギーの特徴付けも行った.

このような小天体が木星に衝突する頻度を推定することにより,惑星への衝突の合計フラックスの推定を改善する事が出来る.これは,木星の高層大気で検出される,木星外部由来の分子種の存在量と比較することが出来る.

検出された閃光の光度曲線を抽出し,それぞれのビデオ観測の較正を行った後に,衝突天体の質量およびサイズを計算した.過去数年に渡る木星のアマチュア観測の数を時間の関数として調査することで,これらの衝突検出の統計を解釈することが出来る.

木星に衝突する小天体 (5 - 20 m かそれ以上) の累積フラックスは低いと予測され,衝突頻度は 1 年あたり 10 - 65 回と推定される.そのうち地球から衝突が観測できる可能性があるのは僅かな割合であり,完全なサーベイを行った場合でも 1 年に 4 - 25 回である.また,来年はより多くの衝突が発見されるだろうと予測される.これは,多くのアマチュア天文家がいると思われる,北半球からの観測条件が来年は良くなるためである.

閃光を発生させているサイズの小天体は,木星外部由来の分子種と木星成層圏のダストの存在に対してはほとんど寄与しない.惑星間空間から惑星に降り注ぐダスト粒子の連続的なフラックスに比べると非常に小さい.

木星の閃光現象

2010 年 6 月 3 日,オーストラリアの Anthony Wesley とフィリピンの Christopher Go が,木星での閃光を検出した.数日以内に Very Large Telescope とハッブル宇宙望遠鏡で観測を行ったが,それらの観測では閃光の検出は無かった.

閃光の光度曲線の解析から,8 - 13 m サイズの小天体の木星大気への突入と,それに伴う巨大な火球が原因であると推定された (Hueso et al. 2010).

2 ヶ月後の 2010 年 8 月 20 日,日本のアマチュア天文家 Masayuki Tachikawa が閃光を検出した.これは後に Kazuo Aoki と Masayuki Ishimaru によっても確認された.

さらに 2 年後の 2012 年 9 月 10 日に,ウィスコンシンの Dan Petersenfrom Racine も閃光を検出した.

今回解析を行ったのは,2016 年 3 月 17 日にオーストリアの Gerrit Kernbauer によって検出された閃光と,2017 年 5 月 26 日にフランス・コルシカの Sauveur Pedranghelu によって検出された閃光である.

解析

小天体の大気への突入速度を木星の脱出速度に近い 60 km s-1 とし,小天体の密度を 2.0 - 0.25 g cm-3 と仮定した.

2017 年 5 月の衝突は,2016 年 3 月の衝突より 4.5 倍エネルギーが小さいものであった.推定された運動エネルギーが 32 - 405 キロトンであり,これはチェリャビンスク隕石のものと近い.

チェリャビンスク隕石では 450 キロトンのエネルギーが解放されたと考えられている (Brown et al. 2013).またツングースカの衝突イベントより一桁小さい.ツングースカの衝突では 5000 - 15000 キロトンのエネルギーが解放されたと推定されている (Boslough & Crawford 2008).
また,シューメーカー・レヴィ第 9 彗星の木星への衝突よりも 1 - 3 万倍小さい.シューメーカー・レヴィ第 9 彗星の衝突では,300000 キロトンのエネルギーが解放されたと推定されている (Boslough & Crawford 1997).

また衝突した小天体の推定質量は,2016 年 3 月が 403 - 805 トン,2017 年 5 月が 75 - 130 トンである.

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