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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1804.03476
Pinamonti et al. (2018)
The HADES RV Programme with HARPS-N@TNG VIII. Gl15A: A multiple wide planetary system sculpted by binary interaction
(The HADES RV Programme with HARPS-N@TNG VIII.Gl 15A:伴星相互作用に形作られた広い複数惑星系)

概要

M1 矮星 Gl 15A (グリーゼ15A) の,20 年間に渡る視線速度の測定結果について報告する.HARPS-N 分光器での 5 年間の集中的な視線速度モニタリングと,HIRES/Keck を用いた視線速度測定のアーカイブデータ 15 年分と合わせて解析した.

解析の結果,ケプラー運動による視線速度シグナルの存在を確認し,過去に報告されていた軌道周期 11.44 日のスーパーアース Gl 15Ab の軌道要素を更新した.視線速度の振幅は 1.68 m/s で,最小質量は 3.03 地球質量である.

また,視線速度に見られた長周期のトレンドをモデル化することにも成功した.このシグナルは,周期がおよそ 7600 日で,視線速度の振幅は 2.5 m/s であった.これは,スーパーネプチューン質量 (最小質量 36 地球質量) の天体によるシグナルであると判明した.

一連の詳細な数値シミュレーションを用いて,遠距離を公転している伴星 Gl 15B との Lidov-Kozai 相互作用の結果として再現されると思われる,Gl 15A の惑星系の現在の軌道配置について議論を行った.力学的解析の結果を改善するために,連星系の新しい軌道解を導出し,視線速度測定と WDS カタログ中のアストロメトリのデータと合わせて解析を行った.

離心 Lidov-Kozai 解析からは,Gl 14B は Gl 14A の惑星系に強い影響を及ぼし,初期の惑星系の傾斜角が 75 - 90° の場合に,現在観測されている軌道配置と一致する軌道を再現可能であることが分かった.また,外側の惑星の離心率を,観測されている値より十分大きく増幅させることが出来る.さらに,傾斜角が 0° 周辺と 15 - 30° 周辺であった場合は,軌道不安定を起こすことが分かった.

Gl 15A 系は,距離が 3.57 pc と地球に近い複数惑星系であり,現在視線速度法で見つかっている中で最も長周期のサブジュピター質量の惑星を持っている.この系の軌道配置は,連星系における惑星系の形成及び軌道進化シナリオを調べるための,非常に重要な研究対象である.

Gl 15 系について

Gl 15A は,太陽系近傍の M1 矮星であり,短周期のスーパーアースが発見されていた (Howard et al. 2014).惑星の軌道周期は 11.44 日である.

また,スペクトル型が M3.5 の伴星 Gl 15B を持っている.この伴星は,アストロメトリ (位置天文学) によって存在が同定された (Lippincott 1972).軌道長半径は 146 AU で,軌道周期は 2600 年 である.

主な結論

Gl 15A の視線速度データの解析から,Gl 15Ab によるシグナルは明確に検出され,これを元に軌道要素などを更新した.また,最小質量の推定値は 3.03 地球質量となり,これは発見報告論文での値よりも半分ほど小さい.

さらに,Gl 15Ac の存在を同定した.この惑星は 36 地球質量,軌道周期は 21 年程度であり,木星より軽い惑星で視線速度法で発見されたものの中では最も長周期の惑星である.なお,2 番目は HD 10180h で,軌道周期はおよそ 6 年,質量は 65.74 地球質量である (Lovis et al. 2011,Kane & Galino 2014).

この離れた軌道を持つ 2 つ目の惑星の発見により,Gl 15A は複数の惑星を持つ恒星としては最も太陽系に最も近い恒星となった.距離は 3.57 pc である.

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