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日々の感想などどうでもよいことを書き連ねるためだけのブログ。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1804.07137
Kitzmann et al. (2018)
The Peculiar Atmospheric Chemistry of KELT-9b
(KELT-9b の特殊な大気化学)

概要

非常に高温のホットジュピター KELT-9b の大気温度は,ガス惑星の温度と恒星の大気温度の間にまたがっており,したがって大気化学の伝統的な異なるレジーム (惑星大気化学と恒星大気化学) の間にまたがっている.

中心星 KELT-9 から強い紫外線フラックスを受けているにも関わらず,光化学運動学計算を用いることで,KELT-9b の観測可能な範囲の大気は化学平衡に近いと予想される.そのためこの惑星のスペクトルの理論的な解釈は大幅に単純化することができる.

惑星大気の透過光分光観測で探査されている領域の圧力が低いため,水の存在度は大気の縁の方向に向かって温度に依存して数桁変化すると予測される.そのため大気中の水は敏感な温度計として使用できる.

一酸化炭素は,多くの大気モデルにおいて大気の主要な分子であると予測され,水と並行して分析した場合は大気中の金属量の強固な診断法となる.その他の全ての候補分子 (アセチレン,アンモニア,二酸化炭素,シアン化水素,メタン) は,太陽金属量のもとでは subdominant であると予想されるが,酸素原子,鉄とマグネシウムの相対量は 10000 分の 1 と予想される.

中性の鉄原子は,可視光と近赤外でのスペクトル線の forest として観測されると予想される,そのためこの惑星は,HAPRS-N や CARMENES などの装置を用いた,地上からの高分散分光観測の対象として適している.

また,将来のハッブル宇宙望遠鏡やジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡,CHEOPS での観測の期待についても議論を行う.

背景

KELT-9b は,スペクトル型が A/B の恒星を公転するホットジュピターとしては初めての発見例である.

惑星の平衡温度は 4000 K を超え,z’ バンドで測定した輝度温度は 4600 K である (Gaudi et al. 2017).これまでの観測的な傾向に基づくと,この惑星の大気は雲を持たないと予想される.
Bell & Cowan (2018) は,この惑星の昼と夜側の境界領域は,水素原子と水素分子が遷移する境界と一致する可能性を指摘している.このことは,水素原子から水素分子を形成する際に伴う潜熱が,昼夜間の熱の再分配効率を変化させる可能性があることを示唆している.KELT-9b は WASP-33b よりも 700 倍強い紫外線放射を受けているものの,KELT-9b の大気は化学平衡に近い状態を保持していることが期待される.これは,観測できる範囲の大気の温度が非常に高いためである.化学平衡にある大気は,原子と分子の存在度が温度,圧力と元素存在度のみで決まるため,解釈が容易になる.このため大気中の化学反応は,全球的ではなく局所的な問題として取り扱うことが出来る.

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