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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1804.11124
King et al. (2018)
The XUV environments of exoplanets from Jupiter-size to super-Earth
(木星サイズからスーパーアースまでの系外惑星の XUV 環境)
ここでは,X 線天文衛星 XMM-Newton を用いた 6 個の近傍のトランジット惑星を持っている恒星の観測を行った.いずれも,軌道周期 10 日未満の短周期惑星を持つ恒星である.恒星からの XUV 放射と惑星への輻射水準を特徴付けることが目的である.
観測できない EUV 放射を再構成するために,現在の世代の X 線観測装置の標準的なバンドに適用可能な,Solar TIMED/SEE データからの関係を導出した.
今回の観測対象のうち,WASP-80b と HD 149026b は最も高い XUV 輻射水準だが,HAT-P-11b はおそらく Ly α 波長での大気散逸の探査に最も適した候補であると予想される.これは,HAT-P-11 系が太陽系に近いことが原因である.
4 つの小さい惑星は,その他の大きな惑星と比べると,その一生の間により大きな割合の質量を失った可能性があると考えられる.また,WASP-80b の近紫外線波長でのトランジットを,XMM-Newton の Optical Monitor を用いて検出した.
これらの恒星が持つ惑星のうち,GJ 436b,GJ 3470b,HAT-P-11b はいずれも海王星サイズの惑星である.
この惑星の発見報告論文では,可視光での \(R_{\rm p}/R_{*}\) は 0.17126 と測定されている (Triaud et al. 2013),一方 Mancini et al. (2014) では 0.17058,Kirk et al. (2018) では 0.17113 と測定されている.
また Kirk et al. (2018) では,惑星の半径に可視光と近赤外に渡って大きな変動が存在する兆候が検出されたと報告している.
測定されたトランジット深さの不確実さを考えると,より高い精度に制限できる可能性のある NUV でのフォローアップ観測が望ましい.
可視光よりも浅い NUV トランジットに関しては,先例がないわけではない.地上観測では,Turner et al. (2016) によって,NUV の U バンドで WASP-1b と WASP-36b の 2 つのホットジュピターで 3.6 σ,2.6 σ の信頼度で可視光よりも浅いトランジット深さが報告されている.物理的には,NUV での浅いトランジットは,惑星が恒星の暗い領域を隠していると考えることで説明できる.この説明が成り立つためには,惑星がトランジットして書くしている恒星の領域と,その他の明るい領域でのコントラストが,可視光よりも NUV のほうが大きい必要がある.
惑星のトランジットに隠されていない領域にある白斑が,この効果を起こしうる.白斑のスペクトルモデリングでは,白斑領域とその他の領域の間の強度におけるコントラストは,恒星円盤面の縁に近い領域と同様に,可視光と赤外線よりも紫外線のほうが大きくなることが示されている (Unruh et al. 1999,Norris et al. 2017).
実際に,WASP-52b のトランジット光度曲線の特徴が恒星表面の白斑に起因するという解釈が,Kirk et al. (2016) によって行われている.
arXiv:1804.11124
King et al. (2018)
The XUV environments of exoplanets from Jupiter-size to super-Earth
(木星サイズからスーパーアースまでの系外惑星の XUV 環境)
概要
中心星に近い位置にいる惑星は,中心星からの強い高エネルギー放射にさらされる.極端紫外線 (EUV) と X 線の放射 (あわせて XUV) は,揮発性物質のエンベロープを持った惑星からの質量損失を駆動すると考えられている.ここでは,X 線天文衛星 XMM-Newton を用いた 6 個の近傍のトランジット惑星を持っている恒星の観測を行った.いずれも,軌道周期 10 日未満の短周期惑星を持つ恒星である.恒星からの XUV 放射と惑星への輻射水準を特徴付けることが目的である.
観測できない EUV 放射を再構成するために,現在の世代の X 線観測装置の標準的なバンドに適用可能な,Solar TIMED/SEE データからの関係を導出した.
今回の観測対象のうち,WASP-80b と HD 149026b は最も高い XUV 輻射水準だが,HAT-P-11b はおそらく Ly α 波長での大気散逸の探査に最も適した候補であると予想される.これは,HAT-P-11 系が太陽系に近いことが原因である.
4 つの小さい惑星は,その他の大きな惑星と比べると,その一生の間により大きな割合の質量を失った可能性があると考えられる.また,WASP-80b の近紫外線波長でのトランジットを,XMM-Newton の Optical Monitor を用いて検出した.
観測対象
今回の観測対象は,GJ 436,GJ 3479,HAT-P-11,HD 97658,HD 149026,WASP-80 の 6 個の惑星系である.これらの恒星が持つ惑星のうち,GJ 436b,GJ 3470b,HAT-P-11b はいずれも海王星サイズの惑星である.
WASP-80b の近紫外線トランジット
近紫外線トランジット結果と過去の観測との比較
近紫外線 (NUV) での WASP-80 てのトランジット結果より,\(R_{\rm p}/R_{*}\) は 0.125 (+0.029, -0.039) と測定された.これはトランジット深さが 1.6 (+0.5, -0.7) % であることに相当し,NUV での惑星半径が 0.69 (+0.16, -0.22) 木星半径であることに対応している.この惑星の発見報告論文では,可視光での \(R_{\rm p}/R_{*}\) は 0.17126 と測定されている (Triaud et al. 2013),一方 Mancini et al. (2014) では 0.17058,Kirk et al. (2018) では 0.17113 と測定されている.
また Kirk et al. (2018) では,惑星の半径に可視光と近赤外に渡って大きな変動が存在する兆候が検出されたと報告している.
NUV での浅いトランジットの可能性
今回の観測結果は過去の可視光での観測結果と整合しているが,ベストフィットのトランジット深さは可視光でのトランジット深さより 1.59 σ 浅い.これは,NUV トランジットが可視光でのトランジットより浅い兆候を示しているものであるかもしれない.測定されたトランジット深さの不確実さを考えると,より高い精度に制限できる可能性のある NUV でのフォローアップ観測が望ましい.
可視光よりも浅い NUV トランジットに関しては,先例がないわけではない.地上観測では,Turner et al. (2016) によって,NUV の U バンドで WASP-1b と WASP-36b の 2 つのホットジュピターで 3.6 σ,2.6 σ の信頼度で可視光よりも浅いトランジット深さが報告されている.物理的には,NUV での浅いトランジットは,惑星が恒星の暗い領域を隠していると考えることで説明できる.この説明が成り立つためには,惑星がトランジットして書くしている恒星の領域と,その他の明るい領域でのコントラストが,可視光よりも NUV のほうが大きい必要がある.
惑星のトランジットに隠されていない領域にある白斑が,この効果を起こしうる.白斑のスペクトルモデリングでは,白斑領域とその他の領域の間の強度におけるコントラストは,恒星円盤面の縁に近い領域と同様に,可視光と赤外線よりも紫外線のほうが大きくなることが示されている (Unruh et al. 1999,Norris et al. 2017).
実際に,WASP-52b のトランジット光度曲線の特徴が恒星表面の白斑に起因するという解釈が,Kirk et al. (2016) によって行われている.
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天文・宇宙物理関連メモ vol.625 Kirk et al. (2017) WASP-80b の透過スペクトル