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日々の感想などどうでもよいことを書き連ねるためだけのブログ。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1509.02323
Kuhn et al. (2015)
KELT-10b: The First Transiting Exoplanet from the KELT-South Survey -- A Hot Sub-Jupiter Transiting a V = 10.7 Early G-Star
(KELT-10b:KELT-Southサーベイによる初めてのトランジット惑星 10.7等級のG型星をトランジットする高温のサブジュピター)

概要

新しい系外惑星KELT-10bを発見した。
この系外惑星は、KELT-South望遠鏡での初めての系外惑星の検出である。

KELT-10bは木星より軽く (sub-Jupiter)、大きく膨張した惑星である。
トランジット深さは 1.4%で、惑星のアルベドを0と仮定し、惑星での熱の再分配が極めて効率良く行われていると仮定すると、平衡温度は 1377 Kという高温になる。
推定日射量は 0.817 × 109 erg s-1 cm-2であり、これはホットジュピターが膨張半径を持つようになる日射量の閾値よりも十分大きな値である

中心星KELT-10の進化モデルからは、惑星KELT-10bは現在の準巨星のフェーズを生き残ることが出来ず、~ 1 Gyr程度のうちに飲み込まれてしまうことが予想される。

中心星は大型望遠鏡で観測できる程度の比較的明るい恒星であり、また南天における視等級が11等未満の (11等級よりも明るい)恒星におけるトランジット惑星を持つ中では、3番目に大きなトランジット深さを持つ系である。
そのため、将来の惑星大気の特徴付けが期待される。

地上トランジット観測

これまでに、地上観測におけるトランジット法では、150個以上の系外惑星が発見されている。
地上観測でのトランジットによる系外惑星探査プロジェクトには、HATNet、HATSouth、SuperWASP、WASP-South、XO、TrESなどが成功例として挙げられる。
しかし南天の観測においては、視等級 11未満でのトランジット惑星は 25天体しか発見されていない。

KELT (The Kilodegree Extremely Little Telescope)プロジェクトでは、The Kilodegree Extremely Little Telescope - South (KELT-South)による南天での地上観測からのトランジット惑星探査が始まっている(Pepper et al. 2012)。

今回は、そのKELT-Southによる初めての惑星発見報告である。

KELT-10系のパラメータ

・KELT-10
質量:1.112太陽質量
半径:1.209太陽半径
光度:1.65太陽光度
有効温度:5948 K
金属量:[Fe/H] = 0.09 dex

KELT-10b
軌道周期:4.166285日
軌道長半径:0.05250 AU
質量:0.679木星質量
半径:1.399木星半径
有効温度:1377 K (アルベドが0, 効率的な熱の再分配を仮定した場合)

また、軌道は円軌道が最も観測を再現するパラメータである。

議論

膨張半径を持つホットジュピター

ホットジュピターの中には、理論的な熱進化モデルで予測されるよりも大きく膨張した半径を持ったものが発見されている。

これらの膨張半径を持つホットジュピターについて、膨張半径を持つための経験的な日射量の閾値は、~2 × 108 erg s-1 cm-2である(Demory & Seager 2011など)。
観測からの推定ではKELT-10bへの日射量は0.817 × 109 erg s-1 cm-2であり、閾値よりも十分に大きい。
従って、日射量と膨張半径の経験的な関係からは、膨張半径を持っている事は驚くべきことではない。

(閾値については、観測からの経験的な値であるため、物理的な理由付けが出来ているわけではない。膨張半径の理由については諸説あり未解決問題である。)

恒星進化との関連

中心星のKELT-10は、ヘルツシュプルングギャップを超えて赤色巨星分枝へ進化する最中の恒星である。
そのため恒星の表面は徐々に惑星に接近している段階である。

このような状況では、惑星への日射量も上昇し、また潮汐的な影響も増加すると考えられる。
恒星進化と膨張半径
現在の日射量は、膨張半径を持つための経験的な閾値を超えている。
しかし日射量は現在増えている最中であるため、過去も超えていたかどうかは自明ではない。
仮に最近閾値を超えただけであれば、膨張半径を説明するための異なる機構による、異なるタイムスケールでの変化を検証するための試験台となり得る。
これは、中心星の膨張による効果と、膨張に伴う潮汐力の変化によって軌道が内側へ進化する事による両方の効果を考える必要がある。

恒星進化モデルとの組み合わせの結果、KELT-10bの日射量は、KELT-10が主系列の間は恒星のQ値によらず閾値を超えていたと結論付けることが出来る。
惑星軌道の潮汐進化
また恒星が膨張することによって潮汐相互作用の大きさも変わる。
KELT-10bの軌道長半径は中心星の進化によって急激に減少し、今後短時間で恒星に落下してしまうことが示唆された。
ただし、Q値が大きい時を除く。log Q = 7 の時などは軌道進化が遅く、潮汐での飲み込みは発生しないと考えられる。

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