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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1802.10445
Humphries & Nayakshin (2018)
Changes in the metallicity of gas giant planets due to pebble accretion
(ペブル降着による巨大ガス惑星の金属量の変化)
もし円盤の輻射冷却が効率的な場合,円盤中にある惑星はガスとペブルを速く降着し,円盤にギャップを開け,一般に重い褐色矮星へと成長する.冷却率が小さく冷却が非効率的な場合,円盤ガスは惑星に降着するには高温すぎるが,惑星へのペブル降着は継続し,惑星は内側へと速く移動する.
また,惑星からの輻射フィードバックは,惑星へのガス降着を抑える傾向がある.
今回のシミュレーション結果からは,ダスト粒子が降着することによるガス惑星の金属量の増加は,惑星の最終質量と逆相関の関係になることが予想される.これは太陽系の巨大惑星の組成に関して観測されている傾向と一致する.しかし観測結果を説明するためには,ダスト質量のうち 30 - 50% は大きな粒子の状態にいる必要がある.
1 木星質量のオーダーの質量を持つ惑星は,重い円盤中にいる場合は,100 AU からは I 型惑星移動によって ~ 104 年のタイムスケールで移動する.これは惑星質量と反比例する.この結果は,重力不安定で形成された惑星は一般に内側へ速く移動を起こすことが期待されると指摘した Baruteau et al. (2011) の結果と一致する.
今回のシミュレーションでは,円盤の非効率的なガス冷却率と移動する惑星からの輻射フィードバックは,ガス降着を抑える効果として縮退してはたらく.ガス冷却率が大きく冷却が効率的な場合,惑星は暴走ガス降着フェーズに入り,急速に褐色矮星へと進化する.一方で非効率的な冷却をする円盤中で惑星からのフィードバックを考慮した場合,惑星へのガス降着は抑制され,惑星は初期の木星質量程度のまま保たれる.
一方でダスト粒子に関しては,ダスト粒子のストークス数が 0.1 - 100 の範囲の場合は,惑星へのガス降着が強く抑制された場合でもダスト粒子は効率的に降着する.これらの降着した粒子は,ガス流が惑星に重力的に束縛されるようになるには高温すぎる状態であっても,惑星のヒル球に流れ込んだガスと分離して運動できる.
また,ガス惑星の金属量の増加は,惑星質量と反相関することを見出した.低質量の惑星は,より重い惑星と比べて金属量が大きな値になる.この結果は,円盤内側で観測されるガス惑星の質量-金属量の負の相関を,重力不安定惑星でも再現することを可能にするかもしれない.
arXiv:1802.10445
Humphries & Nayakshin (2018)
Changes in the metallicity of gas giant planets due to pebble accretion
(ペブル降着による巨大ガス惑星の金属量の変化)
概要
重い原始惑星系円盤に埋め込まれている巨大ガス惑星への,ガスとダスト粒子の降着を研究するため,数値シミュレーションを実行した.その結果は,円盤の冷却率,惑星質量,ダスト粒子サイズ,惑星からの輻射フィードバックに依存することを発見した.もし円盤の輻射冷却が効率的な場合,円盤中にある惑星はガスとペブルを速く降着し,円盤にギャップを開け,一般に重い褐色矮星へと成長する.冷却率が小さく冷却が非効率的な場合,円盤ガスは惑星に降着するには高温すぎるが,惑星へのペブル降着は継続し,惑星は内側へと速く移動する.
また,惑星からの輻射フィードバックは,惑星へのガス降着を抑える傾向がある.
今回のシミュレーション結果からは,ダスト粒子が降着することによるガス惑星の金属量の増加は,惑星の最終質量と逆相関の関係になることが予想される.これは太陽系の巨大惑星の組成に関して観測されている傾向と一致する.しかし観測結果を説明するためには,ダスト質量のうち 30 - 50% は大きな粒子の状態にいる必要がある.
主な結果
三次元 smoothed-particle hydrodynamics (SPH) シミュレーションを用いて,円盤中を移動するガス惑星へ降着する,ガスとダストの相対的な割合を計算した.1 木星質量のオーダーの質量を持つ惑星は,重い円盤中にいる場合は,100 AU からは I 型惑星移動によって ~ 104 年のタイムスケールで移動する.これは惑星質量と反比例する.この結果は,重力不安定で形成された惑星は一般に内側へ速く移動を起こすことが期待されると指摘した Baruteau et al. (2011) の結果と一致する.
今回のシミュレーションでは,円盤の非効率的なガス冷却率と移動する惑星からの輻射フィードバックは,ガス降着を抑える効果として縮退してはたらく.ガス冷却率が大きく冷却が効率的な場合,惑星は暴走ガス降着フェーズに入り,急速に褐色矮星へと進化する.一方で非効率的な冷却をする円盤中で惑星からのフィードバックを考慮した場合,惑星へのガス降着は抑制され,惑星は初期の木星質量程度のまま保たれる.
一方でダスト粒子に関しては,ダスト粒子のストークス数が 0.1 - 100 の範囲の場合は,惑星へのガス降着が強く抑制された場合でもダスト粒子は効率的に降着する.これらの降着した粒子は,ガス流が惑星に重力的に束縛されるようになるには高温すぎる状態であっても,惑星のヒル球に流れ込んだガスと分離して運動できる.
また,ガス惑星の金属量の増加は,惑星質量と反相関することを見出した.低質量の惑星は,より重い惑星と比べて金属量が大きな値になる.この結果は,円盤内側で観測されるガス惑星の質量-金属量の負の相関を,重力不安定惑星でも再現することを可能にするかもしれない.
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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1802.09563
Albrow et al. (2018)
OGLE-2016-BLG-1266: A Probable Brown-Dwarf/Planet Binary at the Deuterium Fusion Limit
(OGLE-2016-BLG-1266:重水素燃焼限界にある褐色矮星/惑星連星候補)
このイベントのマイクロレンズ視差を測定することが出来た.その結果を用いて,連星は 12.0 木星質量 と 15.7 木星質量の,重い木星型惑星と褐色矮星のペアであると判明した.
この連星は,銀河円盤中の 3.08 kpc の距離に位置している.主星と伴星の射影距離は 0.43 AU である.
また,マイクロレンズ光度曲線のフィッティングでの別の解についても議論する.
その解は,2.0 kpc の距離にある,8 木星質量 + 6 木星質量の連星モデルと,6.2 kpc の距離にある 90 木星質量 + 70 木星質量の連星モデルである.ただしこれらの解の尤度は上述の解よりもずっと低く,それぞれ 3σ と 5σ で不利であるが,完全には否定できない.
将来の直接撮像観測で,90 木星質量 + 70 木星質量の連星モデルである可能性がどのように検証可能か (あるいは否定できるか) についても議論を行った,もしこのモデルであった場合,次世代望遠鏡と装置によって直接検出することが可能である.
arXiv:1802.09563
Albrow et al. (2018)
OGLE-2016-BLG-1266: A Probable Brown-Dwarf/Planet Binary at the Deuterium Fusion Limit
(OGLE-2016-BLG-1266:重水素燃焼限界にある褐色矮星/惑星連星候補)
概要
重力マイクロレンズを用いた,非常に低質量の連星系の発見を報告する.このマイクロレンズイベントは,地上観測と,地球を追いかける軌道にあるスピッツァー宇宙望遠鏡からの観測両方によって検出された,このイベントのマイクロレンズ視差を測定することが出来た.その結果を用いて,連星は 12.0 木星質量 と 15.7 木星質量の,重い木星型惑星と褐色矮星のペアであると判明した.
この連星は,銀河円盤中の 3.08 kpc の距離に位置している.主星と伴星の射影距離は 0.43 AU である.
また,マイクロレンズ光度曲線のフィッティングでの別の解についても議論する.
その解は,2.0 kpc の距離にある,8 木星質量 + 6 木星質量の連星モデルと,6.2 kpc の距離にある 90 木星質量 + 70 木星質量の連星モデルである.ただしこれらの解の尤度は上述の解よりもずっと低く,それぞれ 3σ と 5σ で不利であるが,完全には否定できない.
将来の直接撮像観測で,90 木星質量 + 70 木星質量の連星モデルである可能性がどのように検証可能か (あるいは否定できるか) についても議論を行った,もしこのモデルであった場合,次世代望遠鏡と装置によって直接検出することが可能である.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1802.09812
Farr et al. (2018)
Aldebaran b's temperate past uncovered in planet search data
(惑星探査データで判明したアルデバランb の温暖な過去)
ここでは,Gaussian Process-based Continuous Auto-Regressive Moving Average (CARMA) モデルを用いて,過去の観測データには恒星自身の音響振動の兆候も含まれていることを示す.またこの兆候を,さらに特化した地上からの分光観測と,宇宙空間からのケプラーを用いた測光データから確認した.
これらの音響振動の周波数から,アルデバランの質量を 1.15 ± 0.07 太陽質量と推定した.この推定質量を元にすると,アルデバランの主系列段階の寿命の一部において,このアルデバランb は地球と同程度の日射を受けていたことが示唆される.
今回用いた,まばらで不規則にサンプリングされた天体物理観測データに対する解析アプローチは,アーカイブデータ中にある数千もの恒星の星震測定 (asteroseismic measurement) を解明する可能性がある.
最も最初に確認された系外惑星はホットジュピター 51 Peg b (ペガスス座51番星b) だが (Mayor & Queloz 1995),この発見よりも前に,Hatzes & Cochran (1993) はポルックス (Pollux, β Gem) に視線速度の変動があることを報告している.この変動は,後に惑星によるものである事が確認された (Hatzes et al. 2006,Han et al. 2008).
また Hatzes & Cochran (1993) は,アークトゥルス (Arxturus, α Boo) とアルデバランにも視線速度の変動が存在する事を報告している,アークトゥルスのシグナルが惑星由来かどうかについては未確認である.しかしアルデバランのシグナルに関しては,Hatzes & Cochran (1998) によるさらなる研究の後,Hatzes et al. (2015) は周期 629.96 日の惑星質量の伴星,アルデバランb の視線速度法での検出を報告した.
ここでは,過去の視線速度データの再解析を行い,惑星による視線速度変動のシグナルを確認するだけでなく,アルデバラン自身の音響振動による変動をを初めて検出した.またその結果を用いて星震学的手法により,アルデバランの質量推定と過去の進化過程,およびそれに伴うアルデバランb の日射量の進化を明らかにした.
arXiv:1802.09812
Farr et al. (2018)
Aldebaran b's temperate past uncovered in planet search data
(惑星探査データで判明したアルデバランb の温暖な過去)
概要
太陽系近傍の赤色巨星アルデバランは,長年に渡る地上からの分光視線速度測定から,ガス惑星アルデバランb を持つことが知られている.ここでは,Gaussian Process-based Continuous Auto-Regressive Moving Average (CARMA) モデルを用いて,過去の観測データには恒星自身の音響振動の兆候も含まれていることを示す.またこの兆候を,さらに特化した地上からの分光観測と,宇宙空間からのケプラーを用いた測光データから確認した.
これらの音響振動の周波数から,アルデバランの質量を 1.15 ± 0.07 太陽質量と推定した.この推定質量を元にすると,アルデバランの主系列段階の寿命の一部において,このアルデバランb は地球と同程度の日射を受けていたことが示唆される.
今回用いた,まばらで不規則にサンプリングされた天体物理観測データに対する解析アプローチは,アーカイブデータ中にある数千もの恒星の星震測定 (asteroseismic measurement) を解明する可能性がある.
アルデバランとアルデバランb
アルデバラン (α Tauri,おうし座アルファ星) は,よく知られた一等星の赤色巨星である.この恒星は,視線速度法によって系外惑星候補が検出された,最も初期の恒星の一つである.最も最初に確認された系外惑星はホットジュピター 51 Peg b (ペガスス座51番星b) だが (Mayor & Queloz 1995),この発見よりも前に,Hatzes & Cochran (1993) はポルックス (Pollux, β Gem) に視線速度の変動があることを報告している.この変動は,後に惑星によるものである事が確認された (Hatzes et al. 2006,Han et al. 2008).
また Hatzes & Cochran (1993) は,アークトゥルス (Arxturus, α Boo) とアルデバランにも視線速度の変動が存在する事を報告している,アークトゥルスのシグナルが惑星由来かどうかについては未確認である.しかしアルデバランのシグナルに関しては,Hatzes & Cochran (1998) によるさらなる研究の後,Hatzes et al. (2015) は周期 629.96 日の惑星質量の伴星,アルデバランb の視線速度法での検出を報告した.
ここでは,過去の視線速度データの再解析を行い,惑星による視線速度変動のシグナルを確認するだけでなく,アルデバラン自身の音響振動による変動をを初めて検出した.またその結果を用いて星震学的手法により,アルデバランの質量推定と過去の進化過程,およびそれに伴うアルデバランb の日射量の進化を明らかにした.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1802.09557
Prieto-Arranz et al. (2018)
Mass determination of the 1:3:5 near-resonant planets transiting GJ 9827 (K2-135)
(GJ 9827 (K2-135) をトランジットする 1:3:5 共鳴に近い惑星の質量決定)
GJ 9827 (K2-135) は,最近 3 つのトランジットする小さい惑星が狭い範囲に存在することが発見された惑星系である.この系の検出と特徴付けは,Niraula et al. (2017) と Rodriguez et al. (2018) で行われた.別の名称として EPIC 246389858 がある.
ここでは K2 ミッションでの測光観測データと,FIES, HARPS, HARPS-N 分光器を用いた高精度視線速度観測を合わせて,この惑星系のパラメータを更新した,また,3 惑星の質量を導出した.
GJ 9827b (K2-135b) は 3.74 地球質量,1.62 地球半径,平均密度 4.81 g cm-3,GJ 9827c (K2-135c) は 1.47 地球質量,1.27 地球半径,3.87 g cm-3,GJ 9827d (K2-135d) は 2.38 地球質量,2.09 地球半径,1.42 g cm-3 であった.
今回の測定により,この系はすべての惑星の質量が 30% よりも良い制度で測定されている,数少ない惑星系の一つとなった.
これらの惑星の質量はスーパーアースとミニネプチューンの境界質量に近いため,研究対象として興味深い系である.また,これらの 3 惑星の推定組成は,どれもが類似したコア・大気組成で形成されたとするシナリオと整合的である.
さらに,GJ 9827b と c は形成後に大気エンベロープを失った一方で,GJ 9827d は受ける輻射がずっと低いため,現在まで大量の大気を保持しているという可能性についての考察を行った.
arXiv:1802.09557
Prieto-Arranz et al. (2018)
Mass determination of the 1:3:5 near-resonant planets transiting GJ 9827 (K2-135)
(GJ 9827 (K2-135) をトランジットする 1:3:5 共鳴に近い惑星の質量決定)
概要
複数惑星系は,全ての惑星が同じ初期条件のもとで形成されているため,惑星形成モデルを検証するための良い研究対象である.明るい恒星をトランジットする系は,その研究に対して重要な役割を果たす.それはトランジット観測や視線速度測定によって,惑星質量,惑星半径,平均密度を正確に測定することが出来るからである,GJ 9827 (K2-135) は,最近 3 つのトランジットする小さい惑星が狭い範囲に存在することが発見された惑星系である.この系の検出と特徴付けは,Niraula et al. (2017) と Rodriguez et al. (2018) で行われた.別の名称として EPIC 246389858 がある.
ここでは K2 ミッションでの測光観測データと,FIES, HARPS, HARPS-N 分光器を用いた高精度視線速度観測を合わせて,この惑星系のパラメータを更新した,また,3 惑星の質量を導出した.
GJ 9827b (K2-135b) は 3.74 地球質量,1.62 地球半径,平均密度 4.81 g cm-3,GJ 9827c (K2-135c) は 1.47 地球質量,1.27 地球半径,3.87 g cm-3,GJ 9827d (K2-135d) は 2.38 地球質量,2.09 地球半径,1.42 g cm-3 であった.
今回の測定により,この系はすべての惑星の質量が 30% よりも良い制度で測定されている,数少ない惑星系の一つとなった.
これらの惑星の質量はスーパーアースとミニネプチューンの境界質量に近いため,研究対象として興味深い系である.また,これらの 3 惑星の推定組成は,どれもが類似したコア・大気組成で形成されたとするシナリオと整合的である.
さらに,GJ 9827b と c は形成後に大気エンベロープを失った一方で,GJ 9827d は受ける輻射がずっと低いため,現在まで大量の大気を保持しているという可能性についての考察を行った.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1802.09602
Kopparapu et al. (2018)
Exoplanet Classification and Yield Estimates for Direct Imaging Missions
(直接撮像ミッションに向けた系外惑星の分類と収量推定)
ここでは,系外惑星をサイズと恒星からの入射フラックスに基いて,異なるカテゴリーに区別するための分類手法を提案する.これは,今後の直接撮像ミッションで観測される事が期待される系外惑星の数を推定することが目的である.
今回考える系外惑星の分類の境界は,惑星大気中の異なる圧力・温度における,既知のガスと凝縮物の化学的な振る舞いを元に計算することができる.
ここではまず最初に,閃亜鉛鉱 ZnS,水,二酸化炭素,メタンの凝縮曲線に着目する.惑星大気中でこれらの化学種が凝縮する順番は,異なる惑星の種類の境界を決める.
大まかには,惑星はサイズに応じて,rocky (岩石惑星,0.5 - 1.0 地球半径),super-Earths (スーパーアース,1.0 - 1.75 地球半径),sub-Neptunes (サブネプチューン,1.75 - 3.5 地球半径),sub-Jovians (サブジュピター,3.5 - 6.0 地球半径),Jovians (木星型,6 - 14.3 地球半径) に分割される.また,恒星からの入射フラックスによって,’hot’, ‘warm’, ‘cold’ に分類される.その後,NASA の Exoplanet Program Analysis Group’s Science Analysis Group-13 (SAG-13) の結果を使用して,これらの分類内での系外惑星の存在頻度を計算する.
これらの惑星存在頻度の見積もりは,異なる口径の望遠鏡を用いた直接撮像ミッションで予想される結果を推定するために使用される.
スーパーアースとサブネプチューンの境界は,Fulton et al. (2017) によって定義された,軌道周期 100 日以内の惑星の,軌道周期と惑星半径の分布におけるギャップに基いて定めたものである.また,海王星サイズ惑星の上限 (6 地球半径) は,Fulton et al. (2017) での半径分布の極大に相当する.
木星型の上限 (14.3 地球半径) は,褐色矮星と巨大ガス惑星の遷移に対応した値である (Chen & Lipping 2017).
arXiv:1802.09602
Kopparapu et al. (2018)
Exoplanet Classification and Yield Estimates for Direct Imaging Missions
(直接撮像ミッションに向けた系外惑星の分類と収量推定)
概要
現在計画が進行している,将来の NASA のコンセプトミッションでは,系外惑星の大きな多様性が発見されることが期待されている.例えば,Habitable Exoplanet Imaging Mission (HabEx) や,Large Ultra-Violet Optical Infra Red (LUVOIR) Surveyor などがそのミッションの例である.ここでは,系外惑星をサイズと恒星からの入射フラックスに基いて,異なるカテゴリーに区別するための分類手法を提案する.これは,今後の直接撮像ミッションで観測される事が期待される系外惑星の数を推定することが目的である.
今回考える系外惑星の分類の境界は,惑星大気中の異なる圧力・温度における,既知のガスと凝縮物の化学的な振る舞いを元に計算することができる.
ここではまず最初に,閃亜鉛鉱 ZnS,水,二酸化炭素,メタンの凝縮曲線に着目する.惑星大気中でこれらの化学種が凝縮する順番は,異なる惑星の種類の境界を決める.
大まかには,惑星はサイズに応じて,rocky (岩石惑星,0.5 - 1.0 地球半径),super-Earths (スーパーアース,1.0 - 1.75 地球半径),sub-Neptunes (サブネプチューン,1.75 - 3.5 地球半径),sub-Jovians (サブジュピター,3.5 - 6.0 地球半径),Jovians (木星型,6 - 14.3 地球半径) に分割される.また,恒星からの入射フラックスによって,’hot’, ‘warm’, ‘cold’ に分類される.その後,NASA の Exoplanet Program Analysis Group’s Science Analysis Group-13 (SAG-13) の結果を使用して,これらの分類内での系外惑星の存在頻度を計算する.
これらの惑星存在頻度の見積もりは,異なる口径の望遠鏡を用いた直接撮像ミッションで予想される結果を推定するために使用される.
各境界について
岩石惑星の下限値とした 0.5 地球半径は,ハビタブルゾーン内の惑星が大気を保つのに十分な重力を持たない半径に対応している (Zahnle & Catling 2017).つまり,これよりも小さい半径を持つ惑星は軽いため,ハビタブルゾーン内において十分な大気を保つことが出来ない.スーパーアースとサブネプチューンの境界は,Fulton et al. (2017) によって定義された,軌道周期 100 日以内の惑星の,軌道周期と惑星半径の分布におけるギャップに基いて定めたものである.また,海王星サイズ惑星の上限 (6 地球半径) は,Fulton et al. (2017) での半径分布の極大に相当する.
木星型の上限 (14.3 地球半径) は,褐色矮星と巨大ガス惑星の遷移に対応した値である (Chen & Lipping 2017).
天文・宇宙物理関連メモ vol.579 Niraula et al. (2017) および Rodriguez et al. (2017) 近傍の恒星 GJ 9827 まわりでの 3 つのスーパーアースの発見