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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1802.04718
Rein et al. (2018)
The random walk of cars and their collision probabilities with planets
(車のランダムウォークと惑星との衝突確率)
打上げられたロードスターの軌道進化は,はじめのうちは地球との近接遭遇によって決まる.打ち上げ後初めての地球との近接遭遇は 2091 年に発生する.
地球との繰り返しの近接遭遇によって軌道進化はランダムウォーク的になり,次第に他の地球型惑星や太陽との近接遭遇を起こすようになる.そのような複数回の近接遭遇を起こした後,軌道の長期間の積分結果は初期条件に大きく依存する.
初期条件に僅かな擾乱を与えた多数の数値シミュレーションの統計から,今後百万年の間の地球とロードスターの衝突確率は 6%,同じく金星との衝突確率は 2.5%と推定される.また,ロードスターの力学的な寿命は数千万年と推定される.
今後 300 万年以内の計算では,地球への衝突確率は 11% となった.また,太陽への衝突は全シミュレーションセットの中で 1 回だけ発生した.さらに,火星への物理的な衝突は発生しなかった.
先日,SpaceX がテスラ・ロードスターを宇宙空間に打ち上げる実験を行って話題になりました.この論文は,打ち上げられたテスラ・ロードスターが今後どのような軌道進化を起こし,どれくらいの確率で地球を含む様々な天体に衝突するかについてのシミュレーション結果です.
arXiv:1802.04718
Rein et al. (2018)
The random walk of cars and their collision probabilities with planets
(車のランダムウォークと惑星との衝突確率)
概要
2018 年 2 月 6 日,SpaceX がテスラ・ロードスターを火星と交差する軌道に打ち上げた.ここでは N 体シミュレーションを用いて,今後数百万年の間のこの物体の運命を計算した.計算においては,Yarkovsky 効果などの物体軌道に働く擾乱を考慮している.打上げられたロードスターの軌道進化は,はじめのうちは地球との近接遭遇によって決まる.打ち上げ後初めての地球との近接遭遇は 2091 年に発生する.
地球との繰り返しの近接遭遇によって軌道進化はランダムウォーク的になり,次第に他の地球型惑星や太陽との近接遭遇を起こすようになる.そのような複数回の近接遭遇を起こした後,軌道の長期間の積分結果は初期条件に大きく依存する.
初期条件に僅かな擾乱を与えた多数の数値シミュレーションの統計から,今後百万年の間の地球とロードスターの衝突確率は 6%,同じく金星との衝突確率は 2.5%と推定される.また,ロードスターの力学的な寿命は数千万年と推定される.
今後 300 万年以内の計算では,地球への衝突確率は 11% となった.また,太陽への衝突は全シミュレーションセットの中で 1 回だけ発生した.さらに,火星への物理的な衝突は発生しなかった.
先日,SpaceX がテスラ・ロードスターを宇宙空間に打ち上げる実験を行って話題になりました.この論文は,打ち上げられたテスラ・ロードスターが今後どのような軌道進化を起こし,どれくらいの確率で地球を含む様々な天体に衝突するかについてのシミュレーション結果です.
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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1802.03859
Mancini et al. (2018)
The GAPS Programme with HARPS-N at TNG XVII: Measurement of the Rossiter-McLaughlin effect of the transiting planetary systems HAT-P-3, HAT-P-12, HAT-P-22, WASP-39 and WASP-60
(TNG での HARPS-N を用いたGAPS プログラム XVII:トランジット惑星系 HAT-P-3,HAT-P-12,HAT-P-22,WASP-39 と WASP-60 のロシター・マクローリン効果の測定)
観測には,HARPS-N 分光器を用いた高精度視線速度測定を使用した.
上記の惑星系でのトランジット中の分光観測から,各惑星系でのロシター効果を測定し,惑星の公転面と恒星の赤道面の sky-projected angle (天球に射影した角度) を導出した.この際,恒星の大気パラメータは,等価幅比とスペクトル合成法を用いて,HAPRS-N スペクトルから特徴付けを行った.
5 個のトランジット惑星の測光パラメータは,17 セットの新しい位相曲線から再解析して導出した.これに用いたデータは中間クラスの望遠鏡での観測から得られたもので,その他の光度曲線は過去の研究で報告されているものを用いた.
ロシター効果の測定から,惑星の公転軸と恒星の自転軸の角度は,それぞれ HAT-P-3 系で 21.2° ± 8.7°,HAT-P-12 系で -54° (+41°, -13°),HAT-P-22 系で -2.1° ± 3.0°,WASP-39 系で 0° ± 11°,WASP-60 系で -129° ± 17° と導出した.
この結果から,WASP-60b は逆行軌道を公転していることが示唆される.
また,これらの 5 惑星のロシター効果の測定が行われたのは,これが初めてである.
HAT-P-22 の恒星活動からは,この恒星の自転周期が 28.7 ± 0.4 日であることが示唆される,この値から,実際の HAT-P-22b の公転軸の傾斜角は 24° ± 18° と推定される.
また,これら 5 個のトランジット系外惑星系の物理パラメータの改訂を行い,WASP-60 系を除いて過去の研究と完全に適合する値を示した.WASP-60 については,今回の高い品質の分光観測と測光観測データに基づいて,恒星はこれまでの報告よりも重く若い性質を持ち,惑星に関してもより大きく高温であることが判明した.
arXiv:1802.03859
Mancini et al. (2018)
The GAPS Programme with HARPS-N at TNG XVII: Measurement of the Rossiter-McLaughlin effect of the transiting planetary systems HAT-P-3, HAT-P-12, HAT-P-22, WASP-39 and WASP-60
(TNG での HARPS-N を用いたGAPS プログラム XVII:トランジット惑星系 HAT-P-3,HAT-P-12,HAT-P-22,WASP-39 と WASP-60 のロシター・マクローリン効果の測定)
概要
惑星軌道と恒星の自転角運動量ベクトルの間の角度を導出し,恒星-惑星系の他の軌道パラメータと基礎物理パラメータとの間に存在する可能性がある関係性について探査を行った.ここでは,HAT-P-3, HAT-P-12, HAT-P-22, WASP-39 および WASP-60 の 5 個のトランジット惑星系に注目し,天球に射影した惑星の傾斜角を,Rossiter-McLaughlin 効果 (ロシター・マクローリン効果,ロシター効果) を用いて測定した.観測には,HARPS-N 分光器を用いた高精度視線速度測定を使用した.
上記の惑星系でのトランジット中の分光観測から,各惑星系でのロシター効果を測定し,惑星の公転面と恒星の赤道面の sky-projected angle (天球に射影した角度) を導出した.この際,恒星の大気パラメータは,等価幅比とスペクトル合成法を用いて,HAPRS-N スペクトルから特徴付けを行った.
5 個のトランジット惑星の測光パラメータは,17 セットの新しい位相曲線から再解析して導出した.これに用いたデータは中間クラスの望遠鏡での観測から得られたもので,その他の光度曲線は過去の研究で報告されているものを用いた.
ロシター効果の測定から,惑星の公転軸と恒星の自転軸の角度は,それぞれ HAT-P-3 系で 21.2° ± 8.7°,HAT-P-12 系で -54° (+41°, -13°),HAT-P-22 系で -2.1° ± 3.0°,WASP-39 系で 0° ± 11°,WASP-60 系で -129° ± 17° と導出した.
この結果から,WASP-60b は逆行軌道を公転していることが示唆される.
また,これらの 5 惑星のロシター効果の測定が行われたのは,これが初めてである.
HAT-P-22 の恒星活動からは,この恒星の自転周期が 28.7 ± 0.4 日であることが示唆される,この値から,実際の HAT-P-22b の公転軸の傾斜角は 24° ± 18° と推定される.
また,これら 5 個のトランジット系外惑星系の物理パラメータの改訂を行い,WASP-60 系を除いて過去の研究と完全に適合する値を示した.WASP-60 については,今回の高い品質の分光観測と測光観測データに基づいて,恒星はこれまでの報告よりも重く若い性質を持ち,惑星に関してもより大きく高温であることが判明した.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1802.03995
Langlois et al. (2018)
First scattered light detection of a nearly edge-on transition disk around the T Tauri star RY Lup
(おうし座T型星 RY Lup まわりのほぼエッジオンの遷移円盤の初めての散乱光検出)
おうし座T型星 (T Tauri star) である RY Lup (おおかみ座RY星) の周りにある遷移円盤は,円盤内側のダストの空洞領域と,強いシリケイトの放射特徴を示すことが分かっている.この円盤の高分解能撮像観測を用いて,非軸対称構造と表面のダスト粒子分布を含む,この円盤の幾何学構造の調査を行った.これは,この円盤の進化過程のより良い理解が目的である.
さらに,この円盤に接続している可能性のある伴星候補についての調査も行った.
Very Large Telescope (VLT) の SPHERE の極限補償光学装置を用いて,近赤外線での高コントラスト・高角度分解能の直接撮像データを取得した.この装置の目的は,直接撮像を通じて惑星とその形成環境を検出・特徴付けすることによって,惑星形成過程を研究することである.
この恒星まわりの円盤の偏光撮像観測を IRDIS (観測波長 1.6 µm) で行い,IRDIS デュアルバンド撮像カメラと IFS スペクトロイメージャ (0.9 - 1.3 µm) を同時に用いることで,強度画像を取得した.その結果,この恒星まわりのほぼ edge-on (円盤を縁の方向から見ている状態) の星周円盤の散乱光を初めて分解した.円盤が検出されたのは,中心星から投影距離 100 au の範囲である.
円盤の形状とその鋭い構造は,0.9 - 1.6 µm の範囲の波長で明確に検出可能である.観測された特徴は,円盤内に存在する渦状腕と解釈することが出来る.この解釈は,詳細な数値シミュレーションによっても支持される.さらに,これらの構造は円盤と相互作用を起こしている一つの惑星によって生み出されることを再現した.
また,おそらくは背景天体だと思われるいくつかの点源も検出した.
arXiv:1802.03995
Langlois et al. (2018)
First scattered light detection of a nearly edge-on transition disk around the T Tauri star RY Lup
(おうし座T型星 RY Lup まわりのほぼエッジオンの遷移円盤の初めての散乱光検出)
概要
遷移円盤 (transition disk) は進行中の惑星形成の場だと考えられており,円盤のダストとガスの分布は,円盤内に埋め込まれた惑星のシグナルとなる可能性がある.おうし座T型星 (T Tauri star) である RY Lup (おおかみ座RY星) の周りにある遷移円盤は,円盤内側のダストの空洞領域と,強いシリケイトの放射特徴を示すことが分かっている.この円盤の高分解能撮像観測を用いて,非軸対称構造と表面のダスト粒子分布を含む,この円盤の幾何学構造の調査を行った.これは,この円盤の進化過程のより良い理解が目的である.
さらに,この円盤に接続している可能性のある伴星候補についての調査も行った.
Very Large Telescope (VLT) の SPHERE の極限補償光学装置を用いて,近赤外線での高コントラスト・高角度分解能の直接撮像データを取得した.この装置の目的は,直接撮像を通じて惑星とその形成環境を検出・特徴付けすることによって,惑星形成過程を研究することである.
この恒星まわりの円盤の偏光撮像観測を IRDIS (観測波長 1.6 µm) で行い,IRDIS デュアルバンド撮像カメラと IFS スペクトロイメージャ (0.9 - 1.3 µm) を同時に用いることで,強度画像を取得した.その結果,この恒星まわりのほぼ edge-on (円盤を縁の方向から見ている状態) の星周円盤の散乱光を初めて分解した.円盤が検出されたのは,中心星から投影距離 100 au の範囲である.
円盤の形状とその鋭い構造は,0.9 - 1.6 µm の範囲の波長で明確に検出可能である.観測された特徴は,円盤内に存在する渦状腕と解釈することが出来る.この解釈は,詳細な数値シミュレーションによっても支持される.さらに,これらの構造は円盤と相互作用を起こしている一つの惑星によって生み出されることを再現した.
また,おそらくは背景天体だと思われるいくつかの点源も検出した.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1802.03047
Mendonça et al. (2018)
Revisiting the Phase Curves of WASP-43b: Confronting Reanalyzed Spitzer Data with Cloudy Atmospheres
(WASP-43b の位相曲線の再検討:再解析したスピッツァーデータの雲あり大気との直面)
まず観測的な観点から,3.6 µm,4,5 µm 波長のスピッツァー宇宙望遠鏡で得られた位相曲線の再解析を行った.
改善された解析手法によって,ピクセル間の感度に起因する残差の赤いノイズを除去した.この赤いノイズはこの惑星の夜側からのフラックスを過大評価してしまう原因となるものであり,ノイズを除去することにより,理論と観測データの間の対立を緩和することが出来る.
次に理論的な観点から,この惑星の雲無し大気と雲あり大気のそれぞれのモデルを,Global Circulation Model (GCM) である THOR を用いて構築した.THOR は,惑星大気についての非静的オイラー方程式を解くものである (一般に GCM は静水圧平衡の基礎方程式を解く).
その結果,雲無し大気のモデルの場合,惑星の昼側からの放射スペクトルをよく再現することが分かった.多位相での放射スペクトルは,雲層の存在は夜側半球に限定されており,有限の雲頂圧力を持つという制約を与える.
多波長での位相曲線は,今回の雲あり大気モデルと自然に整合する.ただし,4.5 µm での位相曲線を除く.4.5 µm での位相曲線を再現するためには,惑星大気中に一酸化炭素が多く存在している必要がある.
将来のジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡で得られるであろう,高い波長分解能での多位相放射スペクトルと,可視光での反射光の位相曲線によって,おそらくはこの惑星の雲の特徴にさらなる制限をかけることが出来るだろう.
この惑星は,ハッブル宇宙望遠鏡での位相曲線観測の主要なターゲットである.
Stevenson et al. (2014) によるこの惑星の多波長での位相曲線の観測から,大気の二次元の情報が得られた.
その他の観測からもこの惑星の大気の様々な特徴が明らかにされている.例えば,昼側から夜側への熱の再分配効率は低いこと,昼側の大気中には温度逆転層が見られないこと,あるいは大気中の水の存在度への制約などである (Gillon et al. 2012,Wang et al. 2013,Blecic et al. 2014,Kreidberg et al. 2014,Stevenson et al. 2014).
最近,スピッツァー宇宙望遠鏡による 3.6 µm,4.5 µm 波長での位相曲線が得られている (Stevenson et al. 2017).その観測では,3.6 µm での 2 つの位相曲線に大きな違いがあることが報告されている.具体的には,2 番目の位相曲線の軌道位相が ~ 0.6 の時に,深いシグナルが存在していることが分かった.
大気中の雲の存在が,この理論と観測の食い違いの原因として言及されている (Kataria et al. 2015,Stevenson et al. 2017),しかしその詳細は不明であった.
arXiv:1802.03047
Mendonça et al. (2018)
Revisiting the Phase Curves of WASP-43b: Confronting Reanalyzed Spitzer Data with Cloudy Atmospheres
(WASP-43b の位相曲線の再検討:再解析したスピッツァーデータの雲あり大気との直面)
概要
最近のハッブル宇宙望遠鏡とスピッツァー宇宙望遠鏡での観測で得られた,短周期ホットジュピター WASP-43b の位相曲線は,観測データと理論の対立について検証するための良い対象であるまず観測的な観点から,3.6 µm,4,5 µm 波長のスピッツァー宇宙望遠鏡で得られた位相曲線の再解析を行った.
改善された解析手法によって,ピクセル間の感度に起因する残差の赤いノイズを除去した.この赤いノイズはこの惑星の夜側からのフラックスを過大評価してしまう原因となるものであり,ノイズを除去することにより,理論と観測データの間の対立を緩和することが出来る.
次に理論的な観点から,この惑星の雲無し大気と雲あり大気のそれぞれのモデルを,Global Circulation Model (GCM) である THOR を用いて構築した.THOR は,惑星大気についての非静的オイラー方程式を解くものである (一般に GCM は静水圧平衡の基礎方程式を解く).
その結果,雲無し大気のモデルの場合,惑星の昼側からの放射スペクトルをよく再現することが分かった.多位相での放射スペクトルは,雲層の存在は夜側半球に限定されており,有限の雲頂圧力を持つという制約を与える.
多波長での位相曲線は,今回の雲あり大気モデルと自然に整合する.ただし,4.5 µm での位相曲線を除く.4.5 µm での位相曲線を再現するためには,惑星大気中に一酸化炭素が多く存在している必要がある.
将来のジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡で得られるであろう,高い波長分解能での多位相放射スペクトルと,可視光での反射光の位相曲線によって,おそらくはこの惑星の雲の特徴にさらなる制限をかけることが出来るだろう.
WASP-43b について
WASP-43b は木星の 2 倍の質量を持ち,半径は同程度である.スペクトル型 K7 の中心星 WASP-43 を,19.2 時間で公転している (Gillon et al. 2012).この惑星は,ハッブル宇宙望遠鏡での位相曲線観測の主要なターゲットである.
Stevenson et al. (2014) によるこの惑星の多波長での位相曲線の観測から,大気の二次元の情報が得られた.
その他の観測からもこの惑星の大気の様々な特徴が明らかにされている.例えば,昼側から夜側への熱の再分配効率は低いこと,昼側の大気中には温度逆転層が見られないこと,あるいは大気中の水の存在度への制約などである (Gillon et al. 2012,Wang et al. 2013,Blecic et al. 2014,Kreidberg et al. 2014,Stevenson et al. 2014).
最近,スピッツァー宇宙望遠鏡による 3.6 µm,4.5 µm 波長での位相曲線が得られている (Stevenson et al. 2017).その観測では,3.6 µm での 2 つの位相曲線に大きな違いがあることが報告されている.具体的には,2 番目の位相曲線の軌道位相が ~ 0.6 の時に,深いシグナルが存在していることが分かった.
大気中の雲の存在が,この理論と観測の食い違いの原因として言及されている (Kataria et al. 2015,Stevenson et al. 2017),しかしその詳細は不明であった.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1802.02582
Udalski et al. (2018)
OGLE-2017-BLG-1434Lb: Eighth q < 1 * 10^-4 Mass-Ratio Microlens Planet Confirms Turnover in Planet Mass-Ratio Function
(OGLE-2017-BLG-1434Lb:8 番目の q < 1 × 10-4 質量比マイクロレンズ惑星が惑星の質量-頻度関数のターンオーバーを裏付ける)
惑星の中心星からの射影距離は 1.18 AU で,これはこの系のスノーラインの 1.9 倍の距離に相当する.
この系は,マイクロレンズで発見された系外惑星としては非常に近距離にあり,距離は 0.86 kpc である.
レンズ天体とソース天体の相対視差の値は大きく,1.0 mas であった,そのためマイクロレンズ視差をよく測定することができ,これによりパラメータの詳細な測定が可能となった.
OGLE-2017-BLG-1434Lb は,惑星と恒星の質量比 \(q\) が 1 × 10-4 よりも小さい 8 番目の惑星である.
ここでは,新しい惑星検出感度メソッドを適用し,この 8 個のうち 7 個に対して惑星の質量比関数を導出した.
その結果,\(dN_d\ln q\propto q^{p}\) で,\(p=1.05^{+0.78}_{-0.68}\) となった.この結果は,Suzuki et al. (2016) で発見された質量関数における “turnover” (分布の折れ曲がり) の存在を確認するものである.質量比 ~ 2 × 10^-4 より大きい場合は符号が逆で -0.93 程度となる.この結果を,Suzuki et al. (2016) の結果と合わせて解析すると,\(p=0.73^{+0.42}_{-0.34}\) となる.
arXiv:1802.02582
Udalski et al. (2018)
OGLE-2017-BLG-1434Lb: Eighth q < 1 * 10^-4 Mass-Ratio Microlens Planet Confirms Turnover in Planet Mass-Ratio Function
(OGLE-2017-BLG-1434Lb:8 番目の q < 1 × 10-4 質量比マイクロレンズ惑星が惑星の質量-頻度関数のターンオーバーを裏付ける)
概要
低質量 (0.23 太陽質量) の恒星を公転する低温のスーパーアース惑星 (4.4 地球質量) の,重力マイクロレンズ法による発見を報告する.発見された惑星は OGLE-2017-BLG-1434Lb である.惑星の中心星からの射影距離は 1.18 AU で,これはこの系のスノーラインの 1.9 倍の距離に相当する.
この系は,マイクロレンズで発見された系外惑星としては非常に近距離にあり,距離は 0.86 kpc である.
レンズ天体とソース天体の相対視差の値は大きく,1.0 mas であった,そのためマイクロレンズ視差をよく測定することができ,これによりパラメータの詳細な測定が可能となった.
OGLE-2017-BLG-1434Lb は,惑星と恒星の質量比 \(q\) が 1 × 10-4 よりも小さい 8 番目の惑星である.
ここでは,新しい惑星検出感度メソッドを適用し,この 8 個のうち 7 個に対して惑星の質量比関数を導出した.
その結果,\(dN_d\ln q\propto q^{p}\) で,\(p=1.05^{+0.78}_{-0.68}\) となった.この結果は,Suzuki et al. (2016) で発見された質量関数における “turnover” (分布の折れ曲がり) の存在を確認するものである.質量比 ~ 2 × 10^-4 より大きい場合は符号が逆で -0.93 程度となる.この結果を,Suzuki et al. (2016) の結果と合わせて解析すると,\(p=0.73^{+0.42}_{-0.34}\) となる.
天文・宇宙物理関連メモ vol.296 Stevenson et al. (2016) WASP-43b の赤外線観測と大気組成