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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1801.02658
Rafikov et al. (2018)
1I/2017 'Oumuamua-like Interstellar Asteroids as Possible Messengers from the Dead Stars
(死んだ恒星からの使者の可能性としてのオウムアムア的な恒星間小惑星)

概要

初めての恒星間小惑星 1I/2017 ‘Oumuamua (オウムアムア) の発見は,その起源に関していくつもの謎を投げかけた.オウムアムアの観測から,恒星間小惑星の多くは彗星活動が欠如しており,これはオウムアムアが難揮発性の組成であることを示唆している.

ここでは,オウムアムア状の恒星間天体は揮発しにくい小惑星 (小惑星や準惑星など) の,白色矮星による潮汐破壊イベント (tidal disruption events, TDEs) に起源を持つという可能性について調査した.このアイデアは,白色矮星の分光観測からは金属に汚染されたものが存在するという観測事実によっても支持される.これまでの白色矮星の観測は,白色矮星に降着する物質は揮発性物質に乏しい組成が主要である事を示唆している.


ここでは,現実的な惑星系 (103 km 以上の小惑星と,海王星〜土星質量惑星のような重い擾乱天体を含む系) での TDEs は,最大で惑星質量の 30%を星間空間に放出できることを示す.

白色矮星のロッシュ圏内で破壊された小惑星の破片の収束した鉛直運動によって引き起こされる衝突破壊は,オウムアムアと同様の 0.1 - 1 km サイズの破片を生成する.このような恒星間天体のサイズ分布は,他の形成シナリオで予想される,重い天体がより多くなるという分布とは大きく異なるもとになる.このサイズ分布は,それぞれの白色矮星系は TDEs を介して難揮発性物質 ~ 0.3 地球質量を系外に放出する必要があることを示唆している.

この描像は,白色矮星まわりの惑星系の現実的なモデルを用いて観測バイアスを考慮すると,白色矮星の金属汚染の観測と整合的であると考えられる.

恒星間天体の大部分が白色矮星起源だとすると,恒星間天体は年老いた力学的に熱い銀河のポピュレーションと類似した運動学的特徴を示すはずである.ここでは,オウムアムアのゆっくりとした銀河運動を統計的なばらつきであると解釈する.個々の TDEs に伴う恒星間天体の放出は非常に非等方的であり,空間密度には大きな変動が生じる.

また,ここでは恒星間天体のその他の形成シナリオについても検証を行った.白色矮星まわりの重い惑星による直接放出と,超新星爆発による放出である.これらのシナリオでは,オウムアムア的な恒星間天体を説明するのは難しい.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1801.02814
Enriquez et al. (2018)
Breakthrough Listen Observations of 1I/'Oumuamua with the GBT
(GBT でのオウムアムアの Breakthrough Listen 観測)

概要

2017 年 10 月 18 日に,Pan-STARRS サーベイによって双曲線軌道にある天体が発見された.後に 1I/2017 U1 や オウムアムアと命名されたその天体は,さらなる観測から恒星間に起源を持つことが示唆されている,

この天体は彗星のようなコマを持たず,形状は他の既知の小惑星と比べて非常に細長いことが分かっている (Meech et al. 2017).


もし進化した地球外文明が存在した場合,探査やコミュニケーションを目的として,他の天体に探査機を送るかもしれないという可能性が,これまで長い間提案されてきた (Bracewell 1960,Freitas 1980,Rose & Wright2004,Gertz 2016).

このような恒星間探査機は,電波の波長で動作しているであろう通信技術を備えている可能性が高い.Breakthrough Listen プログラム (Worden et al. 2017) は,Robert C. Byrd Green Bank Telescope (GBT,グリーンバンク望遠鏡) を用いて,地球外文明による人工的な電波放射の検出や,あるいはそれへの制約を与えるため,オウムアムアをターゲットとした電波観測を実施した.ここでは,その暫定的な結果について報告する.

観測結果

2017 年 12 月 に,GBT で 8 時間の初期観測を行った.観測に用いたのは,L バンド (1.1 - 1.9 GHz),S バンド (1.73 - 2.6 GHz),C バンド (4 - 8 GHz),X バンド (8 - 11.6 GHz) である.

現在までの暫定的な解析結果では,どの自転位相においてもオウムアムアからの電波放射は検出されなかった

オウムアムアが遅延した脱ガスを行う枯渇した彗星である可能性 (※注釈:近日点通過から遅れて彗星活動を行う可能性) を念頭に置いて,ヒドロキシル放射の 1612 - 1720 MHz の間の 4 つの遷移についても探査を行った.その結果,この波長でもいかなる放射も検出されなかった,この結果は,この天体が小惑星的な組成であることと整合的である.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1801.02821
Do et al. (2018)
Interstellar Interlopers: Number Density and Origins of 'Oumuamua-like Objects
(恒星間放浪者:オウムアムア状天体の数密度と起源)

概要

Pan-STARRS サーベイによる,1I/2017 U1 (オウムアムア) に類似した恒星間天体を検出する能力についての推算を行った.

アップデートした検出断面積を用いると,オウムアムア状の天体の恒星間空間における個数密度は,1 立方天文単位に 0.2 個と推測される.この値は質量密度にすると,1 立方パーセクあたり 4 地球質量となる.この値は,全ての構成が寄与していない限り到達できない値である.

惑星が形成されている最中に恒星系内側からの物質が外部に放出されたとしても,このような数密度を達成することはできない.
ただし,中心星が主系列の段階を終えた後にその恒星系のオールトの雲は周囲へ放出され,観測されているような個数密度を実現するのに十分な物質を供給する可能性があることに注意が必要である.

上記の説の問題点は,オールトの雲の天体は氷が主成分だが,オウムアムアは乾燥した天体であり,天体の地殻の形成メカニズムが必要であるという点である.

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arXiv:1801.01909
Winter et al. (2018)
Particles co-orbital to Janus and Epimetheus: a firefly planetary ring
(ヤヌスとエピメテウスと共軌道の粒子:ホタル的な惑星の環)

概要

土星探査機カッシーニによる観測によって,土星の共軌道衛星 (co-orbital satellite) であるヤヌスとエピメテウスと軌道を共有している,ユニークな環が発見された.画像解析から,これは連続したリングであることが分かった.リングの幅は過去に報告されていたより 30 - 50%大きい.

またこのリングは,ホタルのように振る舞うことも確認された.
リングは時々しか観測することができず,カッシーニ・リング・太陽の三者が非常に大きな位相角で特定の幾何学的配置にあるときのみ観測することが出来る.それ以外の場合は,カッシーニのカメラでは見えない ‘in the dark’ の状態にある.

数値シミュレーションからは,この環の粒子の寿命 (環に留まっていられる時間) は非常に短く,数十年に満たないことが示された.したがって環の粒子は絶えず供給されている必要がある.ここでは,ヤヌスとエピメテウスの表面への微小隕石衝突による粒子生成モデルを用いて,環の存在と,その ‘ホタル’ のような挙動の再現を試みた.

カッシーニによる環の発見

カッシーニの観測によって,ヤヌスとエピメテウスの軌道の領域を占めているリングが発見された (Porco et al. 2006).ヤヌスとエピメテウスは,同程度の質量を持った太陽系内で唯一の共軌道系であることが知られている (Dermott & Murray 1981; Harrington & Seidelmann 1981; Synnott et al.1981; Yoder et al. 1983; Treffenst ̈adt et al. 2015).この 2 つの衛星は,馬蹄状軌道 (horseshoe orbit) で同じ平均軌道を共有している.これらとさらに同じ軌道を共有している環の発見により,これらの系はより複雑であることが判明した.

この環の性質についてはこれまで疑問点が存在した.これは完全な環なのか,あるいは部分的なアーク状構造なのか?環はどの程度のサイズなのか?環の半径方向の分布は?
これらの疑問点について,ここではヤヌスとエピメテウスの重力,および太陽放射圧を考慮して数値シミュレーションを行い,環の粒子の寿命について研究した.

結果

環の構造

カッシーニの画像の測光解析から,画像のほとんどにおいて環は経度方向に大きく広がっていることが判明した.これらの画像のうち 3 枚を組み合わせることで,ほぼ完全な環でありアーク構造のセットではないことが分かった.

また,経度方向に輝度の大きな変化は見られなかった.そのため環は連続的で滑らかな構造をしていると結論付けた.
環の幅は,過去の報告よりおよそ 50%大きいものになった (Porco et al. 2006).

環の粒子シミュレーションと粒子の寿命

カッシーニの画像では,環が観測できていたのは位相角が大きいときのみであった.このことは,環は主にミクロンサイズの粒子で構成されていることを示唆している.

この環の粒子の寿命のシミュレーションを行った.その結果,わずか数十年の間に,粒子はヤヌスかエピメテウスに衝突してしまう事が分かった.そのため環の粒子の寿命は非常に短く,環の粒子は継続的に供給されている必要があることが示唆される.

ここでは環への粒子の供給源として,ヤヌスとエピメテウスへの微小隕石の衝突を考慮した.衝突で生成される粒子は,サイズが大きくなるに連れて,生成率がべき乗則に従って減少する.しかしその一方で粒子の平均寿命はサイズに大きく依存せず 15 年程度で一定である.
この 2 つによって,環の定常状態の質量が推定できる.この定常状態の環の光学的深さは,主に半径が 1 - 4 µm の粒子からの寄与によると判明した.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1801.02341
Bitsch et al. (2018)
The pebble isolation mass --- scaling law and implications for the formation of super-Earths and gas giants
(ペブル孤立質量ースケーリング則とスーパーアースと巨大惑星の形成への影響)

概要

ペブル集積 (pebble accretion) による惑星のコアの成長は,ペブル孤立質量 (pebble isolation mass) に達した段階で停止する.これは,惑星コアが原始惑星系円盤の圧力極大を生み出し,内側へ流れていくペブルが惑星コアの軌道の外側で捕獲されることによって発生する.

ペブル孤立質量の値は,形成される惑星の最終的な質量を決めるのに重要である.
もしペブル孤立質量が非常に小さければ,惑星コアへのガス降着は長引き,惑星は大部分が固体の組成からなる,数地球質量の重さに留まる.ペブル孤立質量が大きい値の場合は,惑星は原始惑星系円盤からガスを降着することで巨大ガス惑星に成長することが出来る.

過去の研究では,ペブル孤立質量のスケーリング則を円盤のアスペクト比の三乗で決めていた.ここではこれまでの測定を拡張し,原始惑星系円盤のすべての関連パラメータに対してペブル孤立質量の依存性を調べた.


ここでは,ペブル孤立質量を測定するために,三次元流体力学シミュレーションを使用した.この結果を元に,局所的な円盤構造と乱流粘性パラメータ α に対する依存性を表したシンプルなスケーリング則を導出した.

ストークス数が < 0.005 のガスと結合して運動する小さいペブルの場合,コア質量がペブル孤立質量に達した際に形成される部分的なギャップを通過して流れることができる.しかし惑星コア質量が増加するに従って,圧力極大を通過できるペブル粒子のサイズはさらに小さくなる.
しかし粒子の乱流拡散は,背景の粘性の強さとペブルサイズに依存して,ペブル孤立質量を 2 倍に増加させる可能性がある.

最後に,進化する原始惑星系円盤内での惑星の成長と移動経路を数値的に積分することで,惑星系の形成におけるペブル孤立質量の新しいスケーリング則の応用について調べる.ペブル孤立質量に対する α 粘性の依存性を無視したモデルと比較すると,この影響を含む今回のモデルは,巨大惑星のコア質量を大きくする.その結果形成されると考えられる大きなコア質量は,太陽系の巨大惑星のコア質量の推定値と類似している.

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