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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1712.03986
Mroz & Poleski (2017)
Can gravitational microlensing detect extragalactic exoplanets? Self-lensing models of the Small Magellanic Cloud
(重力マイクロレンズ法は銀河系外惑星を検出できるか?小マゼラン雲の自己レンズモデル)

概要

小マゼラン雲 (Small Magellanic Cloud, SMC) 内の古典的セファイド型変光星や RR Lyrae 星 (こと座RR型変光星) の 3 次元分布を用いて,SMC 内における若い恒星と古い恒星の密度分布のモデル化を行った.

また,このモデルを用いて SMC におけるマイクロレンズの自己レンズを起こす光学的深さの推定を行ったところ,観測とよく一致した.

この銀河における全てのマイクロレンズイベントが,SMC の自己レンズ作用によって起こされると仮定すると,SMC 中の恒星の総質量は 1.0 × 109 太陽質量と推定できる.

また,将来の大規模サーベイ,例えば Large Synoptic Survey Telescope (LSST) などでの検出が期待されるイベントレートの計算を行った.その結果,SMC において年間に最大で数十件のマイクロレンズイベントが検出可能であると推定される.

SMC 内での惑星の存在頻度が銀河系のものと同じであるとすると,仮に LSST のサーベイにおける SMC の観測戦略を大きく変更した場合は,サーベイの間にいくつかの銀河系外惑星が検出可能であると考えられる.従って,LSST 資源への比較的小さい投資を行うことによって,銀河系外の系外惑星のポピュレーションについてのユニークな探査を行うことが出来る.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1712.04042
Petigura et al. (2017)
The California-Kepler Survey. IV. Metal-rich Stars Host a Greater Diversity of Planets
(カリフォルニア・ケプラーサーベイ IV.金属豊富星はより多様性に富んだ惑星を持つ)

概要

ケプラーによって発見された惑星に関する過去の研究では,惑星の存在頻度を,惑星の半径と軌道周期の関数と考えた研究をしてきた.ここでは惑星の存在頻度を,恒星の金属量,惑星の半径,軌道周期の関数として提案する.この研究には, California-Kepler Survey (CKS) によって取得されたデータを使用した.

解析の結果,恒星の金属量 \(M\) は,全てではないが一部の種類の惑星の存在頻度と相関があり,また惑星サイズ・軌道周期との相関も示すことが分かった


惑星の存在頻度と恒星の金属量の相関について,\(df\propto 10^{\beta M}dM\) の形でモデル化を行った.ここで \(\beta\) は,この相関の強さを表すパラメータである.

惑星半径が 1.0 - 1.7 地球半径で軌道周期が 10 - 100 日の温暖なスーパーアースでは,両者の間には相関は見られず,\(\beta\) = -0.3 (± 0.2) であった.そのため温暖なスーパーアースは,円盤の金属量が乏しい場合であっても,高い効率で形成されるタイプの惑星である可能性がある.

より大きいサイズの惑星,あるいはより短周期の惑星の存在頻度は恒星の金属量と相関しており,この相関は軌道周期の減少と惑星サイズの増大に伴って大きくなる.
ホットジュピターの場合は恒星の金属量と強い相関を示し,\(\beta\) = +3.4 (+0.9, -0.8) であった.

ホットジュピターは希少な存在であり,太陽型星の周りでは存在頻度が 0.57 (+0.14, -0.12) % である.一方で,ホットジュピターは軌道周期-惑星半径平面上に "島" 状のグループを形成しており,その周囲はさらに低い存在頻度の "海" で囲まれている.このことは,他の惑星とは異なる形成過程を経たことを示唆するものである.
原始惑星系円盤の金属量が大きい場合,最も大きい岩石のコアの質量を増加させるか,あるいはそれが集積するスピードを増加させる可能性がある.これによって 1.7 地球半径よりも大きい惑星の生成を増加させる可能性がある.

中心星の高い金属量と短周期惑星の関係性は,惑星の内側への移動を促進させる円盤の密度構造や,惑星同士の高頻度の散乱が起きた過去を反映している可能性がある.

背景

恒星の金属量と惑星の存在頻度

中心星の金属量は,惑星を形成した原始惑星系円盤や,原始星雲における金属量を反映していると考えられる.

金属量が豊富な原始惑星系円盤では,固体成分の面密度が大きくなることが予想される.惑星系正論におけるコア降着理論の文脈では,金属量が豊富な円盤は,金属量が少ない円盤よりも地球型惑星や巨大ガス惑星のコアの形成が効率的であることが期待される (Lissauer 1995, Pollack et al. 1996).

上記の予想が本当ならば,金属量豊富な恒星は巨大ガス惑星や地球型惑星をより多く持っているはずである.この予測は中心星の金属量 [Fe/H] と,惑星の存在頻度の相関を調べることで検証されてきた.

最初に発見された系外惑星 4 つは金属量豊富な恒星を回っており,これを元に金属量豊富な恒星は金属量豊富な原始惑星系円盤を持ち,惑星形成が効率的であるとする説が提案された (Gonzalez 1997).ドップラー法での系外惑星の検出数が数百に増えた後の研究では,木星質量の惑星は太陽より大きな金属量を持つ恒星の周りに多いことが報告されている (Santos et al. 2004など).
しかしドップラー法でより低質量の惑星が発見されるようになると,惑星の存在頻度と中心星の金属量の相関は弱くなることが指摘されている (Sousa et al. 2008など).

ケプラー惑星における相関の研究

ケプラーの主要ミッションでは,最小で水星程度のサイズの惑星まで合計 4000 個以上の惑星候補を検出している.

これまでの研究では金属量と惑星質量との相関を見ていたものの,ケプラーを元にした研究では主に金属量と惑星サイズの相関を調べている.これは,いくらかのケプラー惑星は視線速度やトランジット時刻変動の測定によって質量が決定されているが,大部分のケプラー惑星は質量は不明のままであるためである.

Buchhave et al. (2012) では,226 個の惑星を持つ 152 個の中心星を観測し,4 地球半径よりも大きい惑星を持つ恒星は金属量豊富だが,それより小さい惑星を持つ恒星の場合は金属量の値の範囲は広いことを報告している.
この研究は後に,サンプル数が 600 個の惑星を持つ 405 個の恒星に拡張され,3 つの異なる恒星の金属量分布の存在が発見されている (Buchhave et al. 2014).これによると,1.7 地球半径と 3.9 地球半径に分布の変化があるとしている.

これとは対照的に,Schlaufman (2015) では 1.7 地球半径前後で異なる金属量分布が存在するという証拠は発見されず,また Buchhave et al. (2014) での分析における統計的妥当性について幾つかの懸念を指摘している.


トランジット惑星の視線速度質量測定からは,少なくとも短周期惑星 (軌道周期 20 日程度未満) では,1.7 地球半径より小さい惑星の全体の密度は岩石組成の惑星の場合と整合的であることが分かっている (Weiss & Marcy 2014など).そのため 1.7 地球半径より小さい惑星の存在頻度と恒星の金属量の相関の度合いは特に興味深い対象である.

この点については,過去の研究との不一致が存在する.
Wang & Fischer (2015) は 1.7 地球半径より小さい惑星の存在頻度は,金属量が [Fe/H] > 0 dex の恒星の周りでは,[Fe/H] < 0 dex の恒星よりも 1.72 倍大きいと報告した.対照的に Buchhave & Latham (2015) は,1.7 地球半径より小さい惑星を持つ恒星における金属量の違いを示す証拠は無いと報告した.
ケプラーで発見された惑星とその中心星の金属量研究における長年の限界は,ケプラーで観測された対象の中には信頼性の高い金属量の測定がなかったことである.また,ケプラーの観測対象までの距離は典型的には地球から ~ 1 kpc であり,この距離にある恒星が地球近傍の恒星と類似した性質を持つかどうかは明確でない.

Howard et al. (2012) では,ケプラーのデータ中におけるホットジュピターの存在頻度を 0.4 ± 0.1%と測定した.これは,太陽近傍星まわりでの存在頻度 1.2 ± 0.4% (Wright et al. 2012) のおよそ 40% であり,ケプラーで観測された対象の中に金属量が豊富な星が少ないことが,ホットジュピターの極めて低い存在頻度を説明するの有り得る可能性の一つとしている.

しかし Large Sky Area Multi-Object Fibre Spectroscopic Tele-scope (LAMOST) などの観測では,ケプラーのフィールド星は平均的に太陽近傍星よりも高い金属量を持つことが分かっている.
Dong et al. (2014) によると,12000 個のケプラーのフィールド星の金属量の平均は [Fe/H] = -0.04 dex である.Guo et al. (2017) でも 610 個のケプラーフィールド星の観測から,太陽に近い平均金属量 [Fe/H] = -0.04 を報告している.そのため,金属量の違いはホットジュピターの存在頻度の違いを説明できない.LAMOST のデータからは他にも様々なことが判明している.
Mulders et al. (2016) では,665 個の惑星候補のサンプルの解析から,高温の小さい惑星 (軌道周期 10 日未満,4 地球半径未満) の惑星の存在頻度は,金属量が太陽より少ない場合よりも,金属量が太陽より多い方が 3 倍ほど高いことが指摘されている.Dong et al. (2017) でも同様の傾向を報告しており,また高温の海王星サイズの惑星は典型的には単独で存在することも指摘している.

結果

ここではケプラーのサンプルの解析を行った.その結果,海王星より大きい惑星は金属豊富星周りで発見されやすいのに対し,海王星より小さい惑星を持つ恒星の金属量は範囲が幅広いことが分かった.

1.0 - 1.7 地球半径サイズのスーパーアースに対しては,軌道周期が 1 - 10 日の範囲の場合は,恒星の金属量と惑星の存在頻度は正の相関が見られる.しかし軌道周期が 10 - 100 日の範囲では相関が見られなかった.

対照的に,1.7 - 4.0 地球半径のサブネプチューンサイズの存在頻度は,軌道周期が 1 - 100 日の範囲まで相関が見られた.

海王星より大きい惑星の場合は,海王星より小さい惑星に比べて一桁希少であるため,金属量との相関を探るのはより難しくなる.しかし,木星サイズ (8.0 - 24.0 地球半径) とサブサターンサイズ (4.0 - 8.0 地球半径) の両方で,恒星の金属量と惑星の存在頻度との強い相関が見られた.

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arXiv:1712.04069
Lora et al. (2017)
Atmospheric circulation, chemistry, and infrared spectra of Titan-like exoplanets around different stellar types
(異なる型の恒星周りのタイタン類似系外惑星の大気循環,化学,赤外線スペクトル)

概要

近年の,より小さく低温な系外惑星の発見により,ヘイズに飛んだ大気を持つ地球型惑星の示す特性について考慮する必要が増している.

太陽系においては,ヘイズ大気の典型例は土星の衛星タイタンであり,タイタン大気は銀河系内の多数の惑星の代表例であるかもしれない.そのような惑星を特徴づけるために,タイタンに類似した系外惑星大気を模したシミュレーションを行った.ただし,中心星は G, K, M 型のそれぞれを考慮した.

大気の general circulation (大循環) モデルと光化学モデルを用いて,異なる恒星スペクトルのもとでのタイタン的な惑星の大気循環と化学的特性について調べた.ここでは,惑星が受ける輻射はタイタンと同様のものを仮定した.

シミュレーションの結果,大気ヘイズによる可視光の強い吸収の影響で,晩期型星が放射するより長波長の放射は,惑星大気中により等温な成層圏を生成し,ミリバール程度の圧力領域でより強い子午面温度勾配を生み出し,より深く強い帯状風を生み出すことが分かった.

全てのケースで,惑星の大気は強くスーパーローテーションするという結果になった.
しかし,子午面循環セルはより赤い恒星光 (晩期型のスペクトル) のもとでは弱くなる.

炭化水素とニトリル種の光化学反応は,恒星のスペクトルによって変化する.この反応では,FUV (遠紫外線) と NUV (近紫外線) のフラックス比が重要である.

今回の結果は,柱ヘイズ生成率は 3 種類のスペクトル型の恒星のもとでは類似していることを,暫定的に示唆している.そのため,多くの恒星の周りで大気の特性はタイタンに似たものを示すと考えられる.

全体としては,タイタン的な系外惑星の大気循環と化学的特性は,中心星のスペクトル型の違いに対して比較的鈍感であることが分かった.

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arXiv:1712.04324
Henning et al. (2017)
HATS-50b through HATS-53b: four transiting hot Jupiters orbiting G-type stars discovered by the HATSouth survey
(HATS-50b から HATS-53b:HATSouth サーベイで発見された G 型星を公転する 4 個のトランジットホットジュピター)

概要

HATS-50b から HATS-53b までの,4 つの近接トランジット系外惑星の発見を報告する.これらの惑星は,自動化された望遠鏡の三大陸にわたるネットワークである HATSouth を用いて発見された.

今回発見された 4 つの新しい系外惑星は,いずれも G 型矮星を公転するホットジュピターである.

HATS-53 は多くの物理特性が太陽と似ているが,他の 3 つの恒星は太陽よりも金属量が豊富な特徴を持ち,大きく重い恒星である.

HATS-50b, 51b, 53b は平均密度が低く,類似した軌道周期を持っている.一方で HATS-52b は他の 3 惑星よりも高密度であり,軌道周期はより短い.HATS-52b は中心星からの強い輻射を受けているため,平衡温度も 1834 K と高い.

HATS-50 は,HATS-50b 以外にも別の天体によると思われるトランジットの特徴が暫定的に検出されている.これは,惑星であるとすると質量の上限値が 0.16 木星質量の超短周期ホットスーパーネプチューンであると考えられる,この候補天体については,将来的な TESS による測光観測で確定させることが出来るだろう.

パラメータ

HATS-50 系

HATS-50
有効温度:5990 K
金属量:[Fe/H] = 0.300
等級:V = 14.033
質量:1.168 太陽質量
半径:1.117 太陽半径
光度:1.39 太陽光度
年齢:1.2 Gyr (12 億歳)
距離:717 pc
HATS-50b
軌道周期:3.8297015 日
質量:0.39 木星質量
半径:1.130 木星半径
平均密度:0.33 g cm-3
軌道長半径:0.05046 AU
平衡温度:1348 K

HATS-51 系

HATS-51
有効温度:5758 K
金属量:[Fe/H] = 0.300
等級:V = 12.471
質量:1.187 太陽質量
半径:1.44 太陽半径
光度:2.04 太陽光度
年齢:4.74 Gyr (47.4 億歳)
距離:478 pc
HATS-51b
軌道周期:3.3488702 日
質量:0.768 木星質量
半径:1.41 木星半径
平均密度:0.34 g cm-3
軌道長半径:0.04639 AU
平衡温度:1553 K

HATS-52 系

HATS-52
有効温度:6010 K
金属量:[Fe/H] = 0.22
等級:V = 13.669
質量:1.111 太陽質量
半径:1.046 太陽半径
光度:1.17 太陽光度
年齢:1.2 Gyr (12 億歳)
距離:631 pc
HATS-52b
軌道周期:1.36665436 日
質量:2.24 木星質量
半径:1.382 木星半径
平均密度:1.06 g cm-3
軌道長半径:0.02498 AU
平衡温度:1834 K

HATS-53 系

HATS-53
有効温度:5644 K
金属量:[Fe/H] = 0.010
等級:V = 13.790
質量:0.964 太陽質量
半径:1.101 太陽半径
光度:1.11 太陽光度
年齢:9.0 Gyr (90 億歳)
年齢:613 pc
HATS-53b
軌道周期:3.8537768 日
質量:0.595 木星質量
半径:1.340 木星半径
平均密度:0.303 g cm-3
軌道長半径:0.04753 AU
平衡温度:1312 K
HATS-53 系について
この他に,HATS-50c が存在する可能性がある.

トランジット状のシグナルが惑星によるものとすると,0.77 日周期である.
視線速度の残差には変動が検出されなかったため,これより惑星質量の上限は 0.16 木星質量と推定される.

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arXiv:1712.04409
Domokos et al. (2017)
Explaining the elongated shape of 'Oumuamua by the Eikonal abrasion model
(アイコナール摩耗モデルによるオウムアムアの細長い形状の説明)

概要

太陽系外起源の天体 1I/2017 U1 (オウムアムア) は,測光観測の結果から,前例のない形状をしていることが判明している.例えば,Meech et al. (2017) ではこの天体の軸比は 1/10 であると報告されている.

ここでは,大量の非常に小さい粒子による原始小惑星の摩耗 (abrasion) によって,最終的にそのような細長い形状の天体を形成しうることを示す
この結果を予測するモデル (Eikonal 方程式と呼ばれる) は,Domokos et al. (2009) で既に示唆されており,その中では摩耗は小惑星の形状の進化において重要な役割を果たすことが示されている.



小惑星同士で発生するような破壊的な衝突では,平均的な軸比が 2:√2:1 となる破片が生成される (Ryan 2000など).この軸比の値には状況に応じて変動があるものの,オウムアムアの値である 1:10 に近い極端な比率は観測されていない.そのため,オウムアムアが衝突破壊によって生じる原始的な破片である可能性は非常に低い.

衝突破壊によって発生した初期の破片は,その後非破壊的な衝突を介して進化する.その結果は,破片と衝突体の質量比によって決まる.これらの衝突進化の中には合体も含むが,合体では軸比が 1:3 を超えるような形状の説明は難しい.

質量の比が大きいもの同士の衝突や,質量比が中間的である場合の衝突は,曲率が駆動する摩耗を引き起こし,天体を丸くする傾向傾向にある (Domokos et al. 2014).一方で,質量比が大きく高速の衝突体による低エネルギーの衝突の場合は反対の結果となり,小惑星を球形から遠ざけるような形状の進化が発生する

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