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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1703.09229
Schmitt et al. (2017)
A Search for Lost Planets in the Kepler Multi-planet Systems and the Discovery of the Long-period, Neptune-sized Exoplanet Kepler-150 f
(ケプラー複数惑星系での見失われた惑星の探査と長周期の海王星サイズの系外惑星ケプラー150f の発見)
ここでは,この光度曲線の “スイスチーズ化” の影響を評価するため,3 個以上の惑星が確認されている 114 個の恒星のサンプルを調査した.シミュレーションによると,トランジット惑星がトランジットのマスキングによって見失われる確率は低いが,無視できない程度の値であるという事が示唆された.軌道周期が 400 - 500 日の範囲の惑星の場合,~ 3.3%の確率でシグナルが失われる.
また,全ての惑星のトランジットをモデリングし,それぞれの星についてトランジットシグナルを差し引いた.トランジット中のデータ点を復元し,ケプラーパイプラインを用いてトランジットを差し引いた光度曲線を調べた,しかしケプラーパイプラインは,信頼性のある新しいトランジットシグナルを検出しなかった.これはケプラーパイプラインの有効性と堅牢性を示す結果である.
しかし,トランジットを差し引いた全てのデータのフォローアップの視覚的探査からは,これまで検出されていなかった海王星サイズの系外惑星 ケプラー150f が検出された.また,恐らくは偽陽性である単一のトランジット状イベントがケプラー208 で検出された.
ケプラー150f は周期が 637.2 日,大きさは 3.64 地球半径で,99.998%の確度で惑星と確認された.
arXiv:1703.09229
Schmitt et al. (2017)
A Search for Lost Planets in the Kepler Multi-planet Systems and the Discovery of the Long-period, Neptune-sized Exoplanet Kepler-150 f
(ケプラー複数惑星系での見失われた惑星の探査と長周期の海王星サイズの系外惑星ケプラー150f の発見)
概要
ケプラーによるミッションで発見された 4700 個の確定した惑星と惑星候補天体の大部分は,ケプラーパイプライン (Kepler pipeline) を通じて発見されたものである.このパイプラインでは,惑星によるトランジットのシグナルが発見されると,それらのトランジットと関連しているすべてのデータ点は除去され,”スイスチーズ状" の穴だらけの光度曲線が作られ,それがその後のさらなる別の惑星によるトランジットの探査に使用される.これらの穴は,未検出の別の惑星を検出できなくしたり,“失わせたり” することがある.ここでは,この光度曲線の “スイスチーズ化” の影響を評価するため,3 個以上の惑星が確認されている 114 個の恒星のサンプルを調査した.シミュレーションによると,トランジット惑星がトランジットのマスキングによって見失われる確率は低いが,無視できない程度の値であるという事が示唆された.軌道周期が 400 - 500 日の範囲の惑星の場合,~ 3.3%の確率でシグナルが失われる.
また,全ての惑星のトランジットをモデリングし,それぞれの星についてトランジットシグナルを差し引いた.トランジット中のデータ点を復元し,ケプラーパイプラインを用いてトランジットを差し引いた光度曲線を調べた,しかしケプラーパイプラインは,信頼性のある新しいトランジットシグナルを検出しなかった.これはケプラーパイプラインの有効性と堅牢性を示す結果である.
しかし,トランジットを差し引いた全てのデータのフォローアップの視覚的探査からは,これまで検出されていなかった海王星サイズの系外惑星 ケプラー150f が検出された.また,恐らくは偽陽性である単一のトランジット状イベントがケプラー208 で検出された.
ケプラー150f は周期が 637.2 日,大きさは 3.64 地球半径で,99.998%の確度で惑星と確認された.
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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1703.09285
Louden et al. (2017)
A precise optical transmission spectrum of the inflated exoplanet WASP-52b
(膨張した系外惑星 WASP-52b の詳細な可視光透過スペクトル)
William Herschel Telescope の auxiliary-port camera を用いて,2 回の低分散分光観測によるトランジット観測データを取得した.この観測では 4000 - 8750 Å の波長帯をカバーしている.
多波長の光度曲線の相関ノイズのモデルに対してガウシアンプロセスを用い,高精度な相対透過光スペクトルを得た.誤差のの大きさは 1 圧力スケールハイト程度のオーダーになった.
得られたスペクトルを様々なモデル大気に対してフィットを試みたが,スペクトル領域全体で十分な一致を見せるものは発見されなかった.
観測した波長範囲の大部分である,4000 - 7750 Å ではスペクトルは平坦であり,これは 0.1 mbar の高度での光学的に厚く灰色の雲層の存在によって説明できる,しかし 7750 Å 以上の波長帯ではトランジットはやや深く,雲層の存在とは非整合である.この波長帯での特徴について,明確な機器の系統による影響は発見出来なかった.そのため,この不透明度は未知の別の吸収源によるものだと考えられる.
arXiv:1703.09285
Louden et al. (2017)
A precise optical transmission spectrum of the inflated exoplanet WASP-52b
(膨張した系外惑星 WASP-52b の詳細な可視光透過スペクトル)
概要
WASP-52b の詳細な可視光での透過光スペクトルを測定した結果を報告する.この惑星は大きく膨張したホットジュピターで,平衡温度 1300 K である.William Herschel Telescope の auxiliary-port camera を用いて,2 回の低分散分光観測によるトランジット観測データを取得した.この観測では 4000 - 8750 Å の波長帯をカバーしている.
多波長の光度曲線の相関ノイズのモデルに対してガウシアンプロセスを用い,高精度な相対透過光スペクトルを得た.誤差のの大きさは 1 圧力スケールハイト程度のオーダーになった.
得られたスペクトルを様々なモデル大気に対してフィットを試みたが,スペクトル領域全体で十分な一致を見せるものは発見されなかった.
観測した波長範囲の大部分である,4000 - 7750 Å ではスペクトルは平坦であり,これは 0.1 mbar の高度での光学的に厚く灰色の雲層の存在によって説明できる,しかし 7750 Å 以上の波長帯ではトランジットはやや深く,雲層の存在とは非整合である.この波長帯での特徴について,明確な機器の系統による影響は発見出来なかった.そのため,この不透明度は未知の別の吸収源によるものだと考えられる.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1703.09543
Wilson Cauley et al. (2017)
A decade of Hα transits for HD 189733 b: stellar activity versus absorption in the extended atmosphere
(HD 189733b の Hα トランジットの 10 年:恒星活動か広がった大気による吸収か)
ここでは,7 回の Hα 線でのトランジットを解析した.データは La Silla の 3.6 m 望遠鏡の HARPS と,Keck I の HIRES を用いて取得した.解析に用いたのは,2006 - 2015 年までの 9 年間の間に取得されたデータである.Hα 線の惑星大気透過光シグナルを,恒星の活動度の関数として解析した.恒星の活動度は,Ca II H 線と K 線の規格化されたコアフラックスから測定した.
解析の結果,トランジットごとに Hα 線の透過スペクトルの強度が大きな変動を示しているのを発見した.しかし,Hα 線のトランジット時のシグナルの強度と, Ca II core emission の間には明確な関連性は確認されなかった.ただし,Hα 線で最も深い吸収を示したトランジットは,恒星が最も活動的な時に発生していた.
ここではトランジット時のコントラスト効果のシミュレーションを行い,観測されたスペクトル線の強度を再現するためには,惑星は一貫して非常に強い白斑とプラージュの放射領域のある緯度をトランジットしている必要があるという事を指摘する.また,測定された速度中心と惑星の自転のモデルについて調べ,small line profile velocities は惑星の高層大気が持つ大きな速度によるものだと指摘する.
全体としては,測定された Hα 線のシグナルは惑星の広がった大気によるものだとするのがもっともらしいが,HD 189733 のような活発な恒星の活動領域に関する更なる理解が必要である.
arXiv:1703.09543
Wilson Cauley et al. (2017)
A decade of Hα transits for HD 189733 b: stellar activity versus absorption in the extended atmosphere
(HD 189733b の Hα トランジットの 10 年:恒星活動か広がった大気による吸収か)
概要
HD 189733b は,中心星の明るさと惑星による大きなトランジット深さのため,これまでで最もよく研究されている系外惑星の一つである.これまでに,可視光での高分散トランジット分光観測が高頻度で行われている.ここでは,7 回の Hα 線でのトランジットを解析した.データは La Silla の 3.6 m 望遠鏡の HARPS と,Keck I の HIRES を用いて取得した.解析に用いたのは,2006 - 2015 年までの 9 年間の間に取得されたデータである.Hα 線の惑星大気透過光シグナルを,恒星の活動度の関数として解析した.恒星の活動度は,Ca II H 線と K 線の規格化されたコアフラックスから測定した.
解析の結果,トランジットごとに Hα 線の透過スペクトルの強度が大きな変動を示しているのを発見した.しかし,Hα 線のトランジット時のシグナルの強度と, Ca II core emission の間には明確な関連性は確認されなかった.ただし,Hα 線で最も深い吸収を示したトランジットは,恒星が最も活動的な時に発生していた.
ここではトランジット時のコントラスト効果のシミュレーションを行い,観測されたスペクトル線の強度を再現するためには,惑星は一貫して非常に強い白斑とプラージュの放射領域のある緯度をトランジットしている必要があるという事を指摘する.また,測定された速度中心と惑星の自転のモデルについて調べ,small line profile velocities は惑星の高層大気が持つ大きな速度によるものだと指摘する.
全体としては,測定された Hα 線のシグナルは惑星の広がった大気によるものだとするのがもっともらしいが,HD 189733 のような活発な恒星の活動領域に関する更なる理解が必要である.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1703.08548
Shvartzvald et al. (2017)
An Earth-mass Planet in a 1-AU Orbit around a Brown Dwarf
(褐色矮星を 1 AU の軌道で公転する地球質量の惑星)
この惑星は地球質量に近く (1.32 (+0.41, -0.28) 地球質量),中心星からの距離は 1.11 AU である.中心星は 0.072 太陽質量の超低温矮星であり,おそらくは褐色矮星である.これはマイクロレンズ惑星の中では最も低質量なものである.この系までの距離は 4.20 kpc と推定された.
この惑星は,銀河バルジそのものではなく,銀河円盤の中にある銀河バルジ中におけるスピッツァー宇宙望遠鏡の “Galactic distribution” 惑星の中の 3 番目のケースであり,惑星の分布の偏りの存在をほのめかす結果となった.
これまでの,重力マイクロレンズによる惑星の発見,超低温矮星 TRAPPIST-1 まわりの 7 個の地球サイズ惑星の発見,若い褐色矮星周りの円盤の検出,および今回の結果からは,超低温矮星の周りのこのような惑星は一般的であることが示唆される.そのため今回の結果は,低質量の原始惑星系円盤の下限における褐色矮星と惑星系の両方の形成にヒントを与える可能性がある.
arXiv:1703.08548
Shvartzvald et al. (2017)
An Earth-mass Planet in a 1-AU Orbit around a Brown Dwarf
(褐色矮星を 1 AU の軌道で公転する地球質量の惑星)
概要
スピッツァー宇宙望遠鏡と地上からの KMTNet による重力マイクロレンズ観測を組み合わせ,系外惑星 OGLE-2016-BLG-1195Lb を検出した.この惑星は地球質量に近く (1.32 (+0.41, -0.28) 地球質量),中心星からの距離は 1.11 AU である.中心星は 0.072 太陽質量の超低温矮星であり,おそらくは褐色矮星である.これはマイクロレンズ惑星の中では最も低質量なものである.この系までの距離は 4.20 kpc と推定された.
この惑星は,銀河バルジそのものではなく,銀河円盤の中にある銀河バルジ中におけるスピッツァー宇宙望遠鏡の “Galactic distribution” 惑星の中の 3 番目のケースであり,惑星の分布の偏りの存在をほのめかす結果となった.
これまでの,重力マイクロレンズによる惑星の発見,超低温矮星 TRAPPIST-1 まわりの 7 個の地球サイズ惑星の発見,若い褐色矮星周りの円盤の検出,および今回の結果からは,超低温矮星の周りのこのような惑星は一般的であることが示唆される.そのため今回の結果は,低質量の原始惑星系円盤の下限における褐色矮星と惑星系の両方の形成にヒントを与える可能性がある.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1703.08639
Bond et al. (2017)
The Lowest Mass Ratio Planetary Microlens: OGLE 2016-BLG-1195Lb
(最も質量比の小さい惑星のマイクロレンズ:OGLE 2016-BLG-1195Lb)
惑星によるシグナルの継続時間は ~ 2.5 時間であった.また,測定された惑星質量と中心星の質量比は 4.2 ± 0.7 × 10-5 であった.また,レンズ系は,0.2 太陽質量の恒星を公転し,中心星から ~ 2 AU と離れた軌道を持つ,冷たい ~ 3 地球質量の惑星系と推定される.また,この系までの距離は 7.1 kpc である.
今回発見されたこの惑星は,質量比が 10-4 を下回る 6 番目のマイクロレンズ惑星である.これまでの質量比が 10-4 を下回る例は,OGLE-2013-BLG- 0341LBb,OGLE 2005–BLG–390Lb (Beaulieu et al. 2006),OGLE 2005–BLG–169Lb (Gould et al. 2006, Bennett et al. 2015, Batista et al. 2015),OGLE-2007-BLG-368Lb (Sumi et al. 2010),MOA 2009–BLG-266Lb (Muraki et al. 2011) がある.
惑星と中心星の質量比は事実上全てのマイクロレンズイベントで測定されるため,マイクロレンズで探査された惑星系は,質量比の観点から統計的な性質について記述可能である.
最近の MOA サーベイの 2007 - 2012 年のデータを統計的に解析した結果,質量比の関数のべき乗則が途中で変化していることが示唆されている (Suzuki et al. 2016).質量比が 3 × 10-5 より小さい惑星が発見されていないため,このべき乗則の変化が起きていると思われる ~ 6.7 × 10-5 の詳細な位置はいくぶんか不明瞭なものになっている.今回発見された惑星はこの質量比に近い値を持つが,べき乗則の変化には制約を与えることはできなかった.
arXiv:1703.08639
Bond et al. (2017)
The Lowest Mass Ratio Planetary Microlens: OGLE 2016-BLG-1195Lb
(最も質量比の小さい惑星のマイクロレンズ:OGLE 2016-BLG-1195Lb)
概要
OGLE 2016–BLG–1195 の重力マイクロレンズイベントの光度曲線の観測から,重力マイクロレンズで発見された中で最も質量比の小さい系外惑星の発見を報告する.この惑星は,単一のマイクロレンズ現象からの小さいずれとして検出された.惑星によるシグナルの継続時間は ~ 2.5 時間であった.また,測定された惑星質量と中心星の質量比は 4.2 ± 0.7 × 10-5 であった.また,レンズ系は,0.2 太陽質量の恒星を公転し,中心星から ~ 2 AU と離れた軌道を持つ,冷たい ~ 3 地球質量の惑星系と推定される.また,この系までの距離は 7.1 kpc である.
議論
今回検出された惑星 OGLE 2016–BLG–1195b の中心星に対する質量比は,これまでにマイクロレンズで発見された惑星の中では最も小さい値である.その他にこれに近い小さな質量比を持つものは,連星系の中の惑星 OGLE-2013-BLG- 0341L である (Gould et al. 2014).ただしこれは,Gould et al. (2014) のシグナルの解釈として,周連星惑星ではなく,遠距離の連星モデルを仮定した場合である.今回発見されたこの惑星は,質量比が 10-4 を下回る 6 番目のマイクロレンズ惑星である.これまでの質量比が 10-4 を下回る例は,OGLE-2013-BLG- 0341LBb,OGLE 2005–BLG–390Lb (Beaulieu et al. 2006),OGLE 2005–BLG–169Lb (Gould et al. 2006, Bennett et al. 2015, Batista et al. 2015),OGLE-2007-BLG-368Lb (Sumi et al. 2010),MOA 2009–BLG-266Lb (Muraki et al. 2011) がある.
惑星と中心星の質量比は事実上全てのマイクロレンズイベントで測定されるため,マイクロレンズで探査された惑星系は,質量比の観点から統計的な性質について記述可能である.
最近の MOA サーベイの 2007 - 2012 年のデータを統計的に解析した結果,質量比の関数のべき乗則が途中で変化していることが示唆されている (Suzuki et al. 2016).質量比が 3 × 10-5 より小さい惑星が発見されていないため,このべき乗則の変化が起きていると思われる ~ 6.7 × 10-5 の詳細な位置はいくぶんか不明瞭なものになっている.今回発見された惑星はこの質量比に近い値を持つが,べき乗則の変化には制約を与えることはできなかった.