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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1702.08618
Ramirez & Kaltenegger (2017)
A Volcanic Hydrogen Habitable Zone
(火山性水素によるハビタブルゾーン)
ここでは,ハビタブルゾーンの外縁付近での大気中の H2 の火山脱ガスが,我々の太陽系においてハビタブルゾーンを ~ 2.4 AU にまで広げ得ることを示す.この広い火山性水素によるハビタブルゾーン (N2-CO2-H2O-H2) は,火山からの水素ガスの供給が高層大気からの水素の散逸を補える限り維持することが出来る.
単一カラムの放射対流気候モデルを使用し,火山性水素によるハビタブルゾーンの外縁について,大気中の水素濃度が 1%から 50%までの間で計算を行った.大気上層からの大気散逸には,拡散律速 (diffusion-limited) の大気散逸を仮定した.
大気中の水素濃度が 50%の場合は,中心星のスペクトル型が M - A 型星の場合,ハビタブルゾーン外縁を維持するための恒星のフラックスは ~ 35 - 60%減少する.これに対応する軌道距離は ~ 30% - 60%の増加となる.
ハビタブルゾーンの内縁は,古典的なハビタブルゾーンに対してわずか ~ 0.1 - 4%しか動かない.これは,水素分子の温室効果は濃い水蒸気大気によって抑制されるためである.
このようなハビタブルゾーン外縁にある火山性水素大気の大気スケールハイトは大きくなるため,大気の特徴の検出可能性を大きくする.
arXiv:1702.08618
Ramirez & Kaltenegger (2017)
A Volcanic Hydrogen Habitable Zone
(火山性水素によるハビタブルゾーン)
概要
古典的なハビタブルゾーンは,恒星の周りで液体の水が岩石惑星の表面に存在することができる環状の領域を指す.一般的な N2-CO2-H2O ハビタブルゾーンの外縁は,太陽系では ~ 1.7 AU まで広がっている.この距離は,二酸化炭素による凝縮と散乱の効果が,二酸化炭素による温室効果の影響を上回る場所である.ここでは,ハビタブルゾーンの外縁付近での大気中の H2 の火山脱ガスが,我々の太陽系においてハビタブルゾーンを ~ 2.4 AU にまで広げ得ることを示す.この広い火山性水素によるハビタブルゾーン (N2-CO2-H2O-H2) は,火山からの水素ガスの供給が高層大気からの水素の散逸を補える限り維持することが出来る.
単一カラムの放射対流気候モデルを使用し,火山性水素によるハビタブルゾーンの外縁について,大気中の水素濃度が 1%から 50%までの間で計算を行った.大気上層からの大気散逸には,拡散律速 (diffusion-limited) の大気散逸を仮定した.
大気中の水素濃度が 50%の場合は,中心星のスペクトル型が M - A 型星の場合,ハビタブルゾーン外縁を維持するための恒星のフラックスは ~ 35 - 60%減少する.これに対応する軌道距離は ~ 30% - 60%の増加となる.
ハビタブルゾーンの内縁は,古典的なハビタブルゾーンに対してわずか ~ 0.1 - 4%しか動かない.これは,水素分子の温室効果は濃い水蒸気大気によって抑制されるためである.
このようなハビタブルゾーン外縁にある火山性水素大気の大気スケールハイトは大きくなるため,大気の特徴の検出可能性を大きくする.
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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1702.08775
Leleu et al. (2017)
Detection of co-orbital planets by combining transit and radial-velocity measurements
(トランジットと視線速度測定の組み合わせによる共軌道惑星の検出)
しかし,惑星系に既にトランジット惑星が 1 つ存在する場合は,その惑星のトランジット中心時刻の変化を恒星の視線速度データと組み合わせることによって,共軌道惑星を検出することが可能となる.
ここでは共軌道惑星の検出を可能にするシンプルな手法を提案する.ここで提案する手法は,軌道離心率の大きな系にも有効である.この手法は単一のパラメータ α に依存し.このパラメータは惑星の質量比 m2/m1 に比例する.ここで m1 はトランジットを起こしている惑星の質量,m2 は共軌道惑星の質量である.
従って,α が統計的にゼロとは異なる値を保つ場合は,共軌道にある天体を持つ有力な候補と言える.また,共軌道惑星とは異なる惑星軌道の配置によって生み出される,検出の偽陽性の妥当性について議論する.
トロヤ群天体は,中心星の質量が m0 とした場合,(m1 + m2)/m0 ≦ 4 × 10-2 の時に安定である (Gascheau 1843).また馬蹄軌道の場合は (m1 + m2)/m0 ≦ 2 × 10-4 で安定である (Laughlin & Chambers 2002).
軌道を共有する天体の存在は太陽系では一般的で,またその存在は惑星形成モデルの自然な帰結でもある (Cresswell & Nelson 2008, 2009).しかしその検出は難しく,系外惑星系ではこれまでに発見されていない.
軌道離心率が小さい場合は,2 つの共軌道惑星によるシグナルと,単一の高軌道離心率惑星のシグナル,および 2:1 平均運動共鳴にある 2 つの惑星のシグナルが縮退することが知られている (Giuppone et al. 2012).
軌道配置が理想的な場合は,2 つの共軌道惑星が連続してトランジットするのが観測されうる.しかしこれには,天体の両方とも半径が大きく,相互軌道傾斜角が小さい必要がある.ケプラーの観測データ中に共軌道惑星を探す試みはあったが,これまでに検出されていない (Janson 2013 など).
従って,軌道配置がまとまった複数惑星系 (ケプラーで多く発見されている) では,共軌道惑星系はレアである可能性がある.例えば,共軌道惑星が同一平面にない,もしくは一方はもう片方よりずっと小さいなどという可能性がある.
惑星の軌道長半径が大きい場合,トランジットでは観測できない少なくとも一つの共軌道惑星の存在が期待出来る.共鳴角の秤動の振幅が,トランジット時刻変動 (transit timing variations, TTV) や視線速度変動によって検出された場合,共軌道天体の存在を示唆できる.この効果もこれまでに検出されていないが,秤動の振幅があまり大きくない場合や,周期が非常に長い場合は検出が難しいため,既に観測されている系に存在しないとは言い切れない.
arXiv:1702.08775
Leleu et al. (2017)
Detection of co-orbital planets by combining transit and radial-velocity measurements
(トランジットと視線速度測定の組み合わせによる共軌道惑星の検出)
概要
共軌道惑星 (co-orbital planets) は,惑星形成と進化モデルからは存在が示唆されるが,これらはまだ発見されていない.これは観測バイアスによるものだと考えられる.主要な系外惑星の検出手法では,共軌道惑星が小さいか,ラグランジュ平衡点付近にいる場合は検出が難しくなるためである.しかし,惑星系に既にトランジット惑星が 1 つ存在する場合は,その惑星のトランジット中心時刻の変化を恒星の視線速度データと組み合わせることによって,共軌道惑星を検出することが可能となる.
ここでは共軌道惑星の検出を可能にするシンプルな手法を提案する.ここで提案する手法は,軌道離心率の大きな系にも有効である.この手法は単一のパラメータ α に依存し.このパラメータは惑星の質量比 m2/m1 に比例する.ここで m1 はトランジットを起こしている惑星の質量,m2 は共軌道惑星の質量である.
従って,α が統計的にゼロとは異なる値を保つ場合は,共軌道にある天体を持つ有力な候補と言える.また,共軌道惑星とは異なる惑星軌道の配置によって生み出される,検出の偽陽性の妥当性について議論する.
共軌道惑星について
共軌道惑星は,同じ恒星の周りを同じ平均運動で公転する 2 つの惑星からなる.軌道が準円軌道の場合,お互いの軌道傾斜角の差が数十度程度であれば,安定な軌道配置はトロヤ群 (木星のトロヤ群がその一例) か,馬蹄軌道 (horseshoe,土星の衛星 Janus と Epimetheus が一例) の 2 つである.トロヤ群天体は,中心星の質量が m0 とした場合,(m1 + m2)/m0 ≦ 4 × 10-2 の時に安定である (Gascheau 1843).また馬蹄軌道の場合は (m1 + m2)/m0 ≦ 2 × 10-4 で安定である (Laughlin & Chambers 2002).
軌道を共有する天体の存在は太陽系では一般的で,またその存在は惑星形成モデルの自然な帰結でもある (Cresswell & Nelson 2008, 2009).しかしその検出は難しく,系外惑星系ではこれまでに発見されていない.
軌道離心率が小さい場合は,2 つの共軌道惑星によるシグナルと,単一の高軌道離心率惑星のシグナル,および 2:1 平均運動共鳴にある 2 つの惑星のシグナルが縮退することが知られている (Giuppone et al. 2012).
軌道配置が理想的な場合は,2 つの共軌道惑星が連続してトランジットするのが観測されうる.しかしこれには,天体の両方とも半径が大きく,相互軌道傾斜角が小さい必要がある.ケプラーの観測データ中に共軌道惑星を探す試みはあったが,これまでに検出されていない (Janson 2013 など).
従って,軌道配置がまとまった複数惑星系 (ケプラーで多く発見されている) では,共軌道惑星系はレアである可能性がある.例えば,共軌道惑星が同一平面にない,もしくは一方はもう片方よりずっと小さいなどという可能性がある.
惑星の軌道長半径が大きい場合,トランジットでは観測できない少なくとも一つの共軌道惑星の存在が期待出来る.共鳴角の秤動の振幅が,トランジット時刻変動 (transit timing variations, TTV) や視線速度変動によって検出された場合,共軌道天体の存在を示唆できる.この効果もこれまでに検出されていないが,秤動の振幅があまり大きくない場合や,周期が非常に長い場合は検出が難しいため,既に観測されている系に存在しないとは言い切れない.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1702.08252
Aizawa et al. (2017)
Towards Detection of Exoplanetary Rings Via Transit Photometry: Methodology and a Possible Candidate
(トランジット測光による系外惑星リングの検出に向けて:方法論とリング系候補)
この手法を 89 の長周期惑星候補に適用した.これらはケプラーによる測光観測データである.その結果から,環の候補イベントのパラメータについて推定し.あるいは上限を与えた.
ここでのサンプルの大部分は,環のパラメータを制限するだけの良いシグナルノイズ比を持たなかったが,6 つの系では高いシグナルノイズ比を持っていた.これらのシグナルからは,惑星がかすめるようなトランジット軌道で恒星をトランジットし,かつ傾いた環を持っていると仮定した場合,これらの天体は惑星半径の 1.5 倍よりも大きな環は持たないという結果が得られた.
さらに,環を持つと思われる光度曲線を示す,5 つの暫定的な候補系を同定した.そのうちの 4 つは近傍星の混入によるシグナルであったため取り除いた.その結果,KIC 10403228 が環を持つ惑星の候補天体として同定された.
KIC 10403228 の光度曲線へのパラメータフィットから,傾いた環を持つ土星的な惑星に対応する,2 つのあり得る解が示唆された.この光度曲線を説明するための,惑星の環以外の有り得るシナリオとしては,星周円盤 (circumstellar disk) によるものと,階層的な三重星 (hierarchical triple) によるものの 2 つが挙げられる.
要素の不定性が大きいため,これらの 3 つのうちから明確に一つ選択することは出来ない.
トランジット測光観測を,系外惑星の環を検出するためのツールとして初めて提案したのは Schneider (1999) である.
Brown et al. (2001) では,HD 209458b のまわりに環があった場合の半径の上限値の推定を行った.Barnes & Fortney (2004) は,Brown et al. (2001) の結果に,光の回折の影響が光度曲線に与える影響を含める形で改善した.その結果,土星的なリング系はケプラーの測光精度で十分検出できると主張した.
Ohta et al. (2009) では,トランジット測光観測とロシター効果の組み合わせによって,環の検出効率が上昇し,またシグナルの信憑性が向上すると指摘した.Zuluaga et al. (2015) は,トランジット測光観測から示唆されている異常に大きな半径を持つ惑星は,環を持つかもしれない惑星の候補を選定するのに使えると提案した.また,トランジットから推定された異常な恒星密度の値は,環の探査として使えるだろうと提案した.
実際のデータにおける系統的な環の探査は Heising et al. (2015) によって行われた.この論文の中では,ケプラーデータ中の軌道周期 50 日以下の 21 の短周期惑星のトランジットデータを解析し,環と思われるシグナルは検出されなかった.これは興味深い試みであるが,この検出なしという結果は驚くことではない.なぜなら,環は惑星が中心星に近いほど不安定になる傾向があるからである.加えて,Schlichting & Chang (2011) では,太陽型星まわりの場合,惑星の軌道長半径 0.1 AU 以下では環の検出は困難だと指摘している.
ここでは,環を持つ系外惑星候補天体の選定として,長周期の系外惑星を選択している.
arXiv:1702.08252
Aizawa et al. (2017)
Towards Detection of Exoplanetary Rings Via Transit Photometry: Methodology and a Possible Candidate
(トランジット測光による系外惑星リングの検出に向けて:方法論とリング系候補)
概要
長周期惑星のトランジット測光観測を通じた,系外惑星リングの系統的探索の方法論について提案する.この方法論は環を持つ惑星の光度曲線を計算するために発展させた詳細な積分スキームに基づく.この手法を 89 の長周期惑星候補に適用した.これらはケプラーによる測光観測データである.その結果から,環の候補イベントのパラメータについて推定し.あるいは上限を与えた.
ここでのサンプルの大部分は,環のパラメータを制限するだけの良いシグナルノイズ比を持たなかったが,6 つの系では高いシグナルノイズ比を持っていた.これらのシグナルからは,惑星がかすめるようなトランジット軌道で恒星をトランジットし,かつ傾いた環を持っていると仮定した場合,これらの天体は惑星半径の 1.5 倍よりも大きな環は持たないという結果が得られた.
さらに,環を持つと思われる光度曲線を示す,5 つの暫定的な候補系を同定した.そのうちの 4 つは近傍星の混入によるシグナルであったため取り除いた.その結果,KIC 10403228 が環を持つ惑星の候補天体として同定された.
KIC 10403228 の光度曲線へのパラメータフィットから,傾いた環を持つ土星的な惑星に対応する,2 つのあり得る解が示唆された.この光度曲線を説明するための,惑星の環以外の有り得るシナリオとしては,星周円盤 (circumstellar disk) によるものと,階層的な三重星 (hierarchical triple) によるものの 2 つが挙げられる.
要素の不定性が大きいため,これらの 3 つのうちから明確に一つ選択することは出来ない.
系外惑星の環
これまでに,巨大な周惑星リング (circumplanetary ring) が,J1407b の周りに検出されている (Kenworthy & Mamajek 2015).しかしこれは半径が ~ 1 AU であり,ここで注目する土星の環のような構造とは大きく異なる.トランジット測光観測を,系外惑星の環を検出するためのツールとして初めて提案したのは Schneider (1999) である.
Brown et al. (2001) では,HD 209458b のまわりに環があった場合の半径の上限値の推定を行った.Barnes & Fortney (2004) は,Brown et al. (2001) の結果に,光の回折の影響が光度曲線に与える影響を含める形で改善した.その結果,土星的なリング系はケプラーの測光精度で十分検出できると主張した.
Ohta et al. (2009) では,トランジット測光観測とロシター効果の組み合わせによって,環の検出効率が上昇し,またシグナルの信憑性が向上すると指摘した.Zuluaga et al. (2015) は,トランジット測光観測から示唆されている異常に大きな半径を持つ惑星は,環を持つかもしれない惑星の候補を選定するのに使えると提案した.また,トランジットから推定された異常な恒星密度の値は,環の探査として使えるだろうと提案した.
実際のデータにおける系統的な環の探査は Heising et al. (2015) によって行われた.この論文の中では,ケプラーデータ中の軌道周期 50 日以下の 21 の短周期惑星のトランジットデータを解析し,環と思われるシグナルは検出されなかった.これは興味深い試みであるが,この検出なしという結果は驚くことではない.なぜなら,環は惑星が中心星に近いほど不安定になる傾向があるからである.加えて,Schlichting & Chang (2011) では,太陽型星まわりの場合,惑星の軌道長半径 0.1 AU 以下では環の検出は困難だと指摘している.
ここでは,環を持つ系外惑星候補天体の選定として,長周期の系外惑星を選択している.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1702.07414
Brown & Butler (2017)
The density of mid-sized Kuiper belt objects from ALMA thermal observations
(ALMA による熱的観測による中間サイズカイパーベルト天体の密度)
ALMA (Atacama Large Millimeter Array) の大口径によって,外部太陽系の天体からの熱放射のより正確な測定と,密度測定の大幅な改善が可能となる.
ここでは,新しい 4 天体の熱的な観測から,天体の直径測定の改善の可能性について探った.これらの 4 天体は衛星を持っている天体である (※注釈:そのため精度良く天体の質量が決定できる).
その結果,ミリ波での有効放射の影響によって,ミリメートル波長のデータを天体直径の測定に直接使うのは難しく,従ってその天体の体積の測定に直接使うのも難しいことが判明した.加えて,モデルの不定性の影響も考慮すると,外部太陽系の電波観測での天体のサイズにおける真の不定性は,これまでに別の波長帯で観測された結果よりも大きくなる.
そのため,天体サイズ測定の精度向上のためには,詳細な掩蔽時の測定が必要であると考えられる.
2002 UX25 の直径は 742 (+76, -109) km,Orcus (オルクス) は 1075 (+121, -156) km,Salacia (サラキア) は 900 (+95, -140) km,Quaoar (クワオアー) は 1057 (+107, 168) km となった.ALMA データのみを用いた直径推定であるこれらの値は,スピッツァー宇宙望遠鏡やハーシェルの観測による直径推定値の 1 σ 以内に入っているが,不定性はそれよりも 2 - 3 倍大きい.
セカンドチェックとして,Charon (カロン,冥王星の衛星) の直径も観測から推定した.Charon に関しては,840 µm の波長の観測で 7.0 mJy という結果が得られている (Butler et al. 2015).ALMA のみの観測結果に,天体表面の放射率として 0.685 を仮定した.この値は,上記の 4 つの KBO の平均値である.
その結果,Charon の推定直径は 1355 ± 110 km で,より正確に測定された値である 1212 ± 6 km の 1.3 σ (Stern et al. 2015) であった.従って,この手法では密度にさらなる制限を与えられるほどの精密な測定は出来ないことが判明した.
精密な直径測定,および密度推定にもっとも有望なのは,衛星を持った中間サイズのカイパーベルト天体の,掩蔽観測データを得ることだろう.
arXiv:1702.07414
Brown & Butler (2017)
The density of mid-sized Kuiper belt objects from ALMA thermal observations
(ALMA による熱的観測による中間サイズカイパーベルト天体の密度)
概要
中間サイズのカイパーベルト天体 (Kuiper belt objects, KBO) の密度は,外部太陽系の天体の集まりを理解する上で重要な制限である.中間サイズのカイパーベルト天体は,今のところ起源が説明されていない「平均密度が水よりも低い最も小さいカイパーベルト天体」と「岩石成分を多く含む最も大きい天体」の間の遷移を理解するのに重要な研究対象である.しかし,これらの天体の直径の不定性のため,この遷移の図示は難しい.天体の直径の不定性は体積の,つまり平均密度の不定性にも繋がる.ALMA (Atacama Large Millimeter Array) の大口径によって,外部太陽系の天体からの熱放射のより正確な測定と,密度測定の大幅な改善が可能となる.
ここでは,新しい 4 天体の熱的な観測から,天体の直径測定の改善の可能性について探った.これらの 4 天体は衛星を持っている天体である (※注釈:そのため精度良く天体の質量が決定できる).
その結果,ミリ波での有効放射の影響によって,ミリメートル波長のデータを天体直径の測定に直接使うのは難しく,従ってその天体の体積の測定に直接使うのも難しいことが判明した.加えて,モデルの不定性の影響も考慮すると,外部太陽系の電波観測での天体のサイズにおける真の不定性は,これまでに別の波長帯で観測された結果よりも大きくなる.
そのため,天体サイズ測定の精度向上のためには,詳細な掩蔽時の測定が必要であると考えられる.
主な結果と結論
ALMA の観測データから,天体からの熱放射を MCMC (マルコフチェーンモンテカルロ法) でフィッティングして直径を求めた.2002 UX25 の直径は 742 (+76, -109) km,Orcus (オルクス) は 1075 (+121, -156) km,Salacia (サラキア) は 900 (+95, -140) km,Quaoar (クワオアー) は 1057 (+107, 168) km となった.ALMA データのみを用いた直径推定であるこれらの値は,スピッツァー宇宙望遠鏡やハーシェルの観測による直径推定値の 1 σ 以内に入っているが,不定性はそれよりも 2 - 3 倍大きい.
セカンドチェックとして,Charon (カロン,冥王星の衛星) の直径も観測から推定した.Charon に関しては,840 µm の波長の観測で 7.0 mJy という結果が得られている (Butler et al. 2015).ALMA のみの観測結果に,天体表面の放射率として 0.685 を仮定した.この値は,上記の 4 つの KBO の平均値である.
その結果,Charon の推定直径は 1355 ± 110 km で,より正確に測定された値である 1212 ± 6 km の 1.3 σ (Stern et al. 2015) であった.従って,この手法では密度にさらなる制限を与えられるほどの精密な測定は出来ないことが判明した.
精密な直径測定,および密度推定にもっとも有望なのは,衛星を持った中間サイズのカイパーベルト天体の,掩蔽観測データを得ることだろう.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
TRAPPIST-1 まわりの 7 個の惑星発見のニュースがありましたが,7 個のうち 2 個は 2016 年に既に発見報告がされていました.その論文をついでにメモ.
2017 年の 7 惑星発見の記事はこちら.
天文・宇宙物理関連メモ vol.389 Gillon et al. (2017) TRAPPIST-1 まわりの 7 つの惑星の発見
arXiv:1605.07211
Gillon et al. (2016)
Temperate Earth-sized planets transiting a nearby ultracool dwarf star
(近傍の超低温矮星をトランジットする温暖な地球サイズ惑星)
惑星形成のコア降着モデルによると,これら超低温矮星のような低質量の恒星の周りに出来る小さく軽いの原始惑星系円盤では,多数個の,しかし現時点では未検出の地球型惑星が形成されると考えられる.これらの惑星は,金属が豊富な水星サイズの惑星から,より "快適" な揮発性成分に富んだ地球サイズの惑星まで幅広い環境であると考えられる.
ここでは,12 pc の距離にある超低温矮星 TRAPPIST-1 の周りの,3 個の地球サイズのトランジット惑星の検出を報告する.内側の 2 惑星はそれぞれ地球の 4 倍と 2 倍の日射を受けている.そのため中心星のハビタブルゾーンの内縁に近い位置にある.
3 番目の惑星に関しては,考えられる軌道要素の解が 11 個あって軌道が確定していないが,もっともらしい解の場合は,日射量は地球が受けるものより低い値となる.
中心星の赤外線での光度が明るいことと,中心星のサイズが木星に近いことを考えると,この系の状態をフォローアップ観測で特徴づけられる可能性がある.
距離:12.1 ± 0.4 pc
光度:0.000525 太陽光度
質量:0.080 太陽質量
半径:0.117 太陽半径
平均密度:50.3 太陽密度
有効温度:2550 K
金属量:[Fe/H] = 0.04
自転周期:1.40 日
年齢:> 500 Myr
軌道長半径:0.01111 AU
半径:1.113 ± 0.044 地球半径
日射量:地球の日射量の 4.25 倍
平衡温度:400 K (ボンドアルベドが 0.00 の場合),285 K (0.75 の場合)
軌道長半径:0.01522 AU
半径:1.049 ± 0.060 地球半径
日射量:地球の日射量の 2.26 倍
平衡温度:342 K (ボンドアルベドが 0.00 の場合),242 K (0.75 の場合)
軌道周期の解は,4.551, 5.200, 8.090, 9.101, 10.401, 12.135, 14.561, 18.202, 24.270, 36.408, 72.820 日.もっともらしいのは 18.202 日.
取りうる平衡温度は,ボンドアルベドが 0.00 で 110 - 280 K,0.75 で 75 - 200 K.
この発見のうち,TRAPPIST-1b, c の 2 つは後の Gillon et al. (2017) で重ねて存在が確認されました.しかし TRAPPIST-1d は Gillon et al. (2017) ではここでのパラメータでは確認されず,ここでの TRAPPIST-1d の存在はいったん否定され,改めて TRAPPIST-1d を異なるパラメータで発見,さらに TRAPPIST-1e, f, g, h を発見したということになっています.
TRAPPIST-1 まわりの 7 個の惑星発見のニュースがありましたが,7 個のうち 2 個は 2016 年に既に発見報告がされていました.その論文をついでにメモ.
2017 年の 7 惑星発見の記事はこちら.
天文・宇宙物理関連メモ vol.389 Gillon et al. (2017) TRAPPIST-1 まわりの 7 つの惑星の発見
arXiv:1605.07211
Gillon et al. (2016)
Temperate Earth-sized planets transiting a nearby ultracool dwarf star
(近傍の超低温矮星をトランジットする温暖な地球サイズ惑星)
概要
有効温度が 2700 K よりも低い恒星は,’ultracool dwarfs’ (超低温矮星) と呼ばれる.極めて低質量の恒星だけではなく,褐色矮星 (水素核融合を維持できるほどの質量がない準恒星状天体) もこの異質のグループに含まれる.このような天体は,太陽近傍にある天体の 15%を占める.惑星形成のコア降着モデルによると,これら超低温矮星のような低質量の恒星の周りに出来る小さく軽いの原始惑星系円盤では,多数個の,しかし現時点では未検出の地球型惑星が形成されると考えられる.これらの惑星は,金属が豊富な水星サイズの惑星から,より "快適" な揮発性成分に富んだ地球サイズの惑星まで幅広い環境であると考えられる.
ここでは,12 pc の距離にある超低温矮星 TRAPPIST-1 の周りの,3 個の地球サイズのトランジット惑星の検出を報告する.内側の 2 惑星はそれぞれ地球の 4 倍と 2 倍の日射を受けている.そのため中心星のハビタブルゾーンの内縁に近い位置にある.
3 番目の惑星に関しては,考えられる軌道要素の解が 11 個あって軌道が確定していないが,もっともらしい解の場合は,日射量は地球が受けるものより低い値となる.
中心星の赤外線での光度が明るいことと,中心星のサイズが木星に近いことを考えると,この系の状態をフォローアップ観測で特徴づけられる可能性がある.
パラメータ
TRAPPIST 望遠鏡によって観測された,TRAPPIST-1 のまわりでの惑星の発見事例である.この星はスペクトル型が M 8.0 であり,三角視差から,太陽系からの距離が 12.0 ± 0.4 pc.推定年齢は 500 Myr 以上である.TRAPPIST-1
等級:V=18.80距離:12.1 ± 0.4 pc
光度:0.000525 太陽光度
質量:0.080 太陽質量
半径:0.117 太陽半径
平均密度:50.3 太陽密度
有効温度:2550 K
金属量:[Fe/H] = 0.04
自転周期:1.40 日
年齢:> 500 Myr
TRAPPIST-1b
軌道周期:1.510848 日軌道長半径:0.01111 AU
半径:1.113 ± 0.044 地球半径
日射量:地球の日射量の 4.25 倍
平衡温度:400 K (ボンドアルベドが 0.00 の場合),285 K (0.75 の場合)
TRAPPIST-1c
軌道周期:2.421848 日軌道長半径:0.01522 AU
半径:1.049 ± 0.060 地球半径
日射量:地球の日射量の 2.26 倍
平衡温度:342 K (ボンドアルベドが 0.00 の場合),242 K (0.75 の場合)
TRAPPIST-1d
半径:1.168 ± 0.068 地球半径軌道周期の解は,4.551, 5.200, 8.090, 9.101, 10.401, 12.135, 14.561, 18.202, 24.270, 36.408, 72.820 日.もっともらしいのは 18.202 日.
取りうる平衡温度は,ボンドアルベドが 0.00 で 110 - 280 K,0.75 で 75 - 200 K.
この発見のうち,TRAPPIST-1b, c の 2 つは後の Gillon et al. (2017) で重ねて存在が確認されました.しかし TRAPPIST-1d は Gillon et al. (2017) ではここでのパラメータでは確認されず,ここでの TRAPPIST-1d の存在はいったん否定され,改めて TRAPPIST-1d を異なるパラメータで発見,さらに TRAPPIST-1e, f, g, h を発見したということになっています.
Co-orbital planets は定訳がありませんが,"co-orbital" を "共軌道" と訳すことがあることから,ひとまず「共軌道惑星」としました.軌道共有惑星,なども良いかもしれません.