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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1701.00917
Ohno & Okuzumi (2017)
A Condensation-Coalescence Cloud Model for Exoplanetary Atmospheres: Formulation and Test Applications to Terrestrial and Jovian Clouds
(系外惑星大気の凝縮・合体雲モデル:定式化および地球と木星の雲への試験的応用)
ここでは,凝縮と合体の両方の微視的物理を考慮した新しい雲モデルを提案する.
このモデルでは,与えられた物理パラメータのセットでの上昇流中における,雲のサイズ・密度と雨粒子の鉛直分布を与える.物理パラメータには,上昇流の速度と雲凝結核 (cloud condensation nuclei, CCN) の数密度を含む.
このモデルで得られる結果を,地球における貿易風の積雲の観測と.木星のアンモニア氷の雲の観測と比較した.
貿易風の積雲においては,凝縮と合体の両方を含んだモデルの場合は観測と整合的な予測を与えるが,凝縮のみのモデルでは雲粒子の質量密度を最大で 1 桁過大評価する.木星のアンモニア雲の場合,凝縮-合体モデルは,上昇流の速度と CCN の数密度を,湿潤対流シミュレーションとガリレオプローブの測定の両方と整合的になるように設定した場合,ボイジャーの観測から示唆される粒子の有効半径,雲の光学的厚み,雲の幾何学的厚みを同時に再現する.
これらの結果は,凝縮粒子の合体は地球の水の雲だけではなく,木星の氷の雲でも重要である事を示唆する.このモデルは,系外惑星大気中での力学・組成・核生成過程が,系外惑星の雲の鉛直方向の広がりと光学的な厚みに対して,雲の微細物理を介してどのように影響を与えるかの理解に重要である.
arXiv:1701.00917
Ohno & Okuzumi (2017)
A Condensation-Coalescence Cloud Model for Exoplanetary Atmospheres: Formulation and Test Applications to Terrestrial and Jovian Clouds
(系外惑星大気の凝縮・合体雲モデル:定式化および地球と木星の雲への試験的応用)
概要
多くのトランジットする系外惑星は特徴のない大気の透過スペクトルを示し,これは高高度に雲が存在することを示唆する.このような高高度の雲が形成されるような大気の状態を理解するには,現実的な雲モデルが必要である.ここでは,凝縮と合体の両方の微視的物理を考慮した新しい雲モデルを提案する.
このモデルでは,与えられた物理パラメータのセットでの上昇流中における,雲のサイズ・密度と雨粒子の鉛直分布を与える.物理パラメータには,上昇流の速度と雲凝結核 (cloud condensation nuclei, CCN) の数密度を含む.
このモデルで得られる結果を,地球における貿易風の積雲の観測と.木星のアンモニア氷の雲の観測と比較した.
貿易風の積雲においては,凝縮と合体の両方を含んだモデルの場合は観測と整合的な予測を与えるが,凝縮のみのモデルでは雲粒子の質量密度を最大で 1 桁過大評価する.木星のアンモニア雲の場合,凝縮-合体モデルは,上昇流の速度と CCN の数密度を,湿潤対流シミュレーションとガリレオプローブの測定の両方と整合的になるように設定した場合,ボイジャーの観測から示唆される粒子の有効半径,雲の光学的厚み,雲の幾何学的厚みを同時に再現する.
これらの結果は,凝縮粒子の合体は地球の水の雲だけではなく,木星の氷の雲でも重要である事を示唆する.このモデルは,系外惑星大気中での力学・組成・核生成過程が,系外惑星の雲の鉛直方向の広がりと光学的な厚みに対して,雲の微細物理を介してどのように影響を与えるかの理解に重要である.
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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1701.00990
Marin et al. (2017)
Computation of the transmitted and polarized scattered fluxes by the exoplanet HD 189733b in X-rays
(X線における系外惑星 HD 189733b による透過フラックスおよび偏光散乱フラックスの計算)
その結果,惑星は広がった蒸発する大気を持っているものの,0.7 keV (XMM-Newton での 0.25 - 2 keV エネルギーバンドで検出される光子の平均エネルギー) でのHD 189733b の X 線吸収半径は,水素とヘリウム原子 (イオンを含む) の大気の場合は惑星半径の ~ 1.01 倍程度となり,惑星のトランジット中心時刻から ± 46 分での幾何学的に厚く光学的に薄いコロナでの最大深さは ~ 2.1%となると推定された.
また,0.25 - 2 keV エネルギーバンドでの最大深さは,トランジット中心から ± 47 分で最大でも ~ 1.6%であるという結果になった.
金属の存在度への依存性は小さく,金属を大気に加えたとしても密度-温度分布は大きく変化はしない.
HD 189733b の X 線での直接検出については,系外惑星大気によるフラックスの総量は軌道位相にともなって変化し,主星よりも 3 - 5 桁小さいあたりで値が変化する.加えて,HD 189733b に起因する直線偏光度は < 0.003%であり,この最大値は惑星が最大離角の場合に得られる.
このことから,軌道位相に伴う X 線フラックスの変動と,散乱による偏光の変動は,現在の X 線検出の装置では検出できない事が示唆される.
arXiv:1701.00990
Marin et al. (2017)
Computation of the transmitted and polarized scattered fluxes by the exoplanet HD 189733b in X-rays
(X線における系外惑星 HD 189733b による透過フラックスおよび偏光散乱フラックスの計算)
概要
これまでに数千個の系外惑星が検出されているが,X 線でトランジットが検出されていると思われるものは HD 189733A のみである.この波長域での系外惑星の検出を難しくしているのは何か?これに答えるために,モンテカルロ輻射輸送シミュレーションを行い,HD 189733b で影響を受ける X 線フラックスの量を推定した.その結果,惑星は広がった蒸発する大気を持っているものの,0.7 keV (XMM-Newton での 0.25 - 2 keV エネルギーバンドで検出される光子の平均エネルギー) でのHD 189733b の X 線吸収半径は,水素とヘリウム原子 (イオンを含む) の大気の場合は惑星半径の ~ 1.01 倍程度となり,惑星のトランジット中心時刻から ± 46 分での幾何学的に厚く光学的に薄いコロナでの最大深さは ~ 2.1%となると推定された.
また,0.25 - 2 keV エネルギーバンドでの最大深さは,トランジット中心から ± 47 分で最大でも ~ 1.6%であるという結果になった.
金属の存在度への依存性は小さく,金属を大気に加えたとしても密度-温度分布は大きく変化はしない.
HD 189733b の X 線での直接検出については,系外惑星大気によるフラックスの総量は軌道位相にともなって変化し,主星よりも 3 - 5 桁小さいあたりで値が変化する.加えて,HD 189733b に起因する直線偏光度は < 0.003%であり,この最大値は惑星が最大離角の場合に得られる.
このことから,軌道位相に伴う X 線フラックスの変動と,散乱による偏光の変動は,現在の X 線検出の装置では検出できない事が示唆される.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1701.00318
Gao et al. (2017)
Sulfur Hazes in Giant Exoplanet Atmospheres: Impacts on Reflected Light Spectra
(巨大系外惑星大気中の硫黄のヘイズ:反射光スペクトルへの影響)
ここでは,これまでに実証されている,輻射・対流モデル,雲モデルとアルベドモデルの組み合わせを用いて,そのようなヘイズの存在が系外惑星の幾何学的アルベドスペクトルにどのような影響を与えるかを調べた.また NASA の計画である宇宙望遠鏡 WFIRST (Wide Field Infrared Survey Telescope) での直接撮像の結果にどのような影響を及ぼすかについても調べた.
木星質量の惑星の場合,H2S の光化学的破壊によって,大気圧が 100 - 0.1 mbar の間の領域で S8 が ~ 1 ppmv 生成し,S8 の蒸気の過飽和に依存した量の硫黄のヘイズを生成する.
晴れた大気の場合は 0.5 - 1 µm の波長域で分子の吸収によって暗く見えるようになるのに対して,硫黄のヘイズが存在する場合は,散乱の影響によりアルベドは ~ 0.7 程度にまで上昇する.これは,0.4 µm より短い波長域ではヘイズによる強い吸収によりアルベドは < 0.1 となり,晴れた大気ではレイリー散乱によってアルベドが高くなることと比べると対照的である.
結果として,惑星の色は青からオレンジへシフトする.
また,硫黄のヘイズが存在することにより,大気組成を決定するのに有用であるメタンや水の分子によるスペクトルの特徴は隠される.
WFIRST による観測で,そのようなヘイズの検出は可能である.しかし,硫黄のヘイズ・水氷・KCl/ZnS の雲を識別するためには 0.4 µm より短い波長での観測が必要であり,これは WFIRST の範囲を超える.
arXiv:1701.00318
Gao et al. (2017)
Sulfur Hazes in Giant Exoplanet Atmospheres: Impacts on Reflected Light Spectra
(巨大系外惑星大気中の硫黄のヘイズ:反射光スペクトルへの影響)
概要
巨大系外惑星の大気の中では,H2S の光分解の影響により,硫黄のヘイズ (haze, もや) が発生するであろうということが最近の研究によって示されている.ここでは,これまでに実証されている,輻射・対流モデル,雲モデルとアルベドモデルの組み合わせを用いて,そのようなヘイズの存在が系外惑星の幾何学的アルベドスペクトルにどのような影響を与えるかを調べた.また NASA の計画である宇宙望遠鏡 WFIRST (Wide Field Infrared Survey Telescope) での直接撮像の結果にどのような影響を及ぼすかについても調べた.
木星質量の惑星の場合,H2S の光化学的破壊によって,大気圧が 100 - 0.1 mbar の間の領域で S8 が ~ 1 ppmv 生成し,S8 の蒸気の過飽和に依存した量の硫黄のヘイズを生成する.
晴れた大気の場合は 0.5 - 1 µm の波長域で分子の吸収によって暗く見えるようになるのに対して,硫黄のヘイズが存在する場合は,散乱の影響によりアルベドは ~ 0.7 程度にまで上昇する.これは,0.4 µm より短い波長域ではヘイズによる強い吸収によりアルベドは < 0.1 となり,晴れた大気ではレイリー散乱によってアルベドが高くなることと比べると対照的である.
結果として,惑星の色は青からオレンジへシフトする.
また,硫黄のヘイズが存在することにより,大気組成を決定するのに有用であるメタンや水の分子によるスペクトルの特徴は隠される.
WFIRST による観測で,そのようなヘイズの検出は可能である.しかし,硫黄のヘイズ・水氷・KCl/ZnS の雲を識別するためには 0.4 µm より短い波長での観測が必要であり,これは WFIRST の範囲を超える.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1612.08962
Parke Loyd et al. (2016)
Ultraviolet C II and Si III Transit Spectroscopy and Modeling of the Evaporating Atmosphere of GJ436b
(GJ 436b の紫外線 C II と Si III トランジット分光観測と蒸発する大気のモデリング)
ここでは,GJ 436b から散逸する大気中の C と Si について調査を行った.ハッブル宇宙望遠鏡で COS G 130M を用いた遠紫外線でのトランジットの観測を行った.
その結果,C II 1334 Å,1335 Å と, Si III 1206 Å 線を -100 〜 100 km s-1 で積分した観測データでは,トランジット時の吸収が検出されなかった.
また観測結果から,不透明な円盤のトランジットにおいて,C II で 14%,Si III で 60% の上限をかけ,またHI Lyα と同じ非常に非対称的な広がった大気のトランジットに対して,C II で 22%,Si III で 49% の上限を与えた.
ここで行った球対称の光化学-流体力学的モデルのシミュレーションによると,C+ は流出する大気の中に存在する.このシミュレーションは,観測したバンドパス内で積分した C II 線のトランジット深さが ~2%になることを予言し,これはデータと整合的である.
スペクトル線の中心では,C II トランジットの深さは最大で 19%になると予測する.
ここで用いたモデルからは,この惑星からの中性水素の散逸率は 1.6 × 109 g s-1,全粒子では 3.1 × 109 g s-1 と予測される.この値は,高層大気が水素とヘリウムで構成されているとした場合のものである.
GJ 436b は HI で大気散逸が観測されている 3 つの惑星のうち,唯一の海王星質量の惑星である.その他の惑星は HD 209458b (Vidal-Madjar et al. 2003) と HD 189733b (Lecavelier des Etangs et al. 2010) であり,どちらも木星質量に近い.また,55 Cnc b ではその兆候が検出されている (Ehrenreich et al. 2012).
上記の木星サイズの 2 惑星では,水素よりも重い原子やイオンも散逸するガスに引きずられて流出している.HD 209458b から流出する大気中には,O I, C II, Si III (Vidal-Madjar et al. 2004など),HD 189733b では O I (Ben-Jaffel & Ballester 2013) が検出されている.
ここでは,C II, Si III, Si IV, N V 線それぞれにおけるトランジット吸収を探査した.
ハッブル宇宙望遠鏡の Cosmic Origins Spectrograph (COS) を用いたトランジット観測を行い.観測結果を解析しトランジット深さに上限を与えた.また,X 線天文衛星チャンドラの X 線の同時期のデータから,惑星トランジット中の恒星活動のデータを取得した.
また,改良された 1 次元の流体力学-光化学モデルを用いて GJ 436b の熱圏の計算を行い,H, He, C, O の散逸率を求め,それを観測から推定されたトランジット深さの上限と比較した.
Si III トランジットの非検出は,おそらく Si が上空まで輸送されるのが阻害されていることが原因だろうと考えられる.これは凝結による輸送の阻害であり,具体的には forsterite (Mg2SiO4,苦土カンラン石) と enstatite (MgSiO3,頑火輝石) の雲になっている可能性がある.
これらの種は,Line et al. (2014) によって求められた GJ 436b 大気の温度-圧力構造と交差する凝結線を持つ (Fortney 2005).また,SI を含有する分子は,水素に乗って高層大気に運ばれるには重すぎると推定される.同様の議論より,他のホットジュピターでは検出されている Mg も,GJ 436b の高層大気では存在しないだろうと予測される.
他のホットジュピターと異なり,GJ 436b での C II トランジット深さの上限値は,H I Lyα のトランジット深さよりずっと小さかった.これを検証するために GJ 436b の熱圏のシミュレーションを行った.
その結果,現在の観測のデータセットでは検出できない程度の浅いトランジットを示すことが分かった.
シミュレーションは,50%を超えるトランジットを起こすために十分な H I の密度を予言した.また散逸率は 3.1 × 109 g s-1 (全粒子合計) であり,これは中心星からのエネルギーが質量放出に変換される効率が 11% 程度である事を示唆する.
ここで推定した大気散逸率は,Bourrier et al. (2016) の予測である 2.5 ± 1 × 108 g s-1 を超える.また,予測される密度と流出の速度は両者で大きく異なる.将来的な研究により,モンテカルロ前進モデリング (“トップダウン型”) のアプローチである Bourrier et al. (2016) と,ここでの光化学-流体力学的 (“ボトムアップ型”) のアプローチの違いを解く必要がある.
arXiv:1612.08962
Parke Loyd et al. (2016)
Ultraviolet C II and Si III Transit Spectroscopy and Modeling of the Evaporating Atmosphere of GJ436b
(GJ 436b の紫外線 C II と Si III トランジット分光観測と蒸発する大気のモデリング)
概要
ホットネプチューン GJ 436b の大気から蒸発している水素ガスは,トランジットの最中に 50% を超える恒星からの Lyα 線の放射を吸収する.惑星大気の組成とエネルギー律速の大気散逸率を考慮すると,この水素の流出は C や O といった重い元素も一緒に引きずっていくことが期待される.ここでは,GJ 436b から散逸する大気中の C と Si について調査を行った.ハッブル宇宙望遠鏡で COS G 130M を用いた遠紫外線でのトランジットの観測を行った.
その結果,C II 1334 Å,1335 Å と, Si III 1206 Å 線を -100 〜 100 km s-1 で積分した観測データでは,トランジット時の吸収が検出されなかった.
また観測結果から,不透明な円盤のトランジットにおいて,C II で 14%,Si III で 60% の上限をかけ,またHI Lyα と同じ非常に非対称的な広がった大気のトランジットに対して,C II で 22%,Si III で 49% の上限を与えた.
ここで行った球対称の光化学-流体力学的モデルのシミュレーションによると,C+ は流出する大気の中に存在する.このシミュレーションは,観測したバンドパス内で積分した C II 線のトランジット深さが ~2%になることを予言し,これはデータと整合的である.
スペクトル線の中心では,C II トランジットの深さは最大で 19%になると予測する.
ここで用いたモデルからは,この惑星からの中性水素の散逸率は 1.6 × 109 g s-1,全粒子では 3.1 × 109 g s-1 と予測される.この値は,高層大気が水素とヘリウムで構成されているとした場合のものである.
研究背景
ホットネプチューン GJ 436b は,散逸する大気による吸収により,Lyα 線の大きなトランジット吸収 (56.3%) が観測されている (Kulow et al. 2014, Ehrenreich et al. 2015など).GJ 436b は HI で大気散逸が観測されている 3 つの惑星のうち,唯一の海王星質量の惑星である.その他の惑星は HD 209458b (Vidal-Madjar et al. 2003) と HD 189733b (Lecavelier des Etangs et al. 2010) であり,どちらも木星質量に近い.また,55 Cnc b ではその兆候が検出されている (Ehrenreich et al. 2012).
上記の木星サイズの 2 惑星では,水素よりも重い原子やイオンも散逸するガスに引きずられて流出している.HD 209458b から流出する大気中には,O I, C II, Si III (Vidal-Madjar et al. 2004など),HD 189733b では O I (Ben-Jaffel & Ballester 2013) が検出されている.
ここでは,C II, Si III, Si IV, N V 線それぞれにおけるトランジット吸収を探査した.
ハッブル宇宙望遠鏡の Cosmic Origins Spectrograph (COS) を用いたトランジット観測を行い.観測結果を解析しトランジット深さに上限を与えた.また,X 線天文衛星チャンドラの X 線の同時期のデータから,惑星トランジット中の恒星活動のデータを取得した.
また,改良された 1 次元の流体力学-光化学モデルを用いて GJ 436b の熱圏の計算を行い,H, He, C, O の散逸率を求め,それを観測から推定されたトランジット深さの上限と比較した.
議論と結論
今回の観測では GJ 436b の C II と Si III のトランジットは検出されなかった.Si III トランジットの非検出は,おそらく Si が上空まで輸送されるのが阻害されていることが原因だろうと考えられる.これは凝結による輸送の阻害であり,具体的には forsterite (Mg2SiO4,苦土カンラン石) と enstatite (MgSiO3,頑火輝石) の雲になっている可能性がある.
これらの種は,Line et al. (2014) によって求められた GJ 436b 大気の温度-圧力構造と交差する凝結線を持つ (Fortney 2005).また,SI を含有する分子は,水素に乗って高層大気に運ばれるには重すぎると推定される.同様の議論より,他のホットジュピターでは検出されている Mg も,GJ 436b の高層大気では存在しないだろうと予測される.
他のホットジュピターと異なり,GJ 436b での C II トランジット深さの上限値は,H I Lyα のトランジット深さよりずっと小さかった.これを検証するために GJ 436b の熱圏のシミュレーションを行った.
その結果,現在の観測のデータセットでは検出できない程度の浅いトランジットを示すことが分かった.
シミュレーションは,50%を超えるトランジットを起こすために十分な H I の密度を予言した.また散逸率は 3.1 × 109 g s-1 (全粒子合計) であり,これは中心星からのエネルギーが質量放出に変換される効率が 11% 程度である事を示唆する.
ここで推定した大気散逸率は,Bourrier et al. (2016) の予測である 2.5 ± 1 × 108 g s-1 を超える.また,予測される密度と流出の速度は両者で大きく異なる.将来的な研究により,モンテカルロ前進モデリング (“トップダウン型”) のアプローチである Bourrier et al. (2016) と,ここでの光化学-流体力学的 (“ボトムアップ型”) のアプローチの違いを解く必要がある.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1612.05945
Wilson Cauley et al. (2016)
A search for Hα absorption around KELT-3 b and GJ 436 b
(KELT-3b と GJ 436b まわりでの Hα 吸収の探査)
散逸する惑星のガスの形状によって,非対称的なトランジット光度曲線の形状を生み出すことがある.通常のトランジットの前と後の両方に,特定の原子による吸収が生成されることでこの現象が発生しうる.
また,散逸する大気の速度と吸収の強さの測定は,大気散逸機構への制限を与え,さらにおそらくは,惑星と中心星の相互作用のヒントとなるかもしれない.
ここでは,高温の惑星 KELT-3b と GJ 436b の惑星周りの環境における,Hα 線の吸収を調べた.
その結果,どちらの惑星でも吸収の兆候は得られなかった.
観測結果から,双方の惑星の周囲のおける,励起された水素原子大気の密度と,その動径方向の広がりについての上限を与えた.
GJ 436b での Hα の吸収の非検出は,このにおける Ly α 線でのの強い吸収の検出とは対照的な結果である.この結果は,大きな中性水素の雲はほとんど基底状態にあるという事を示唆する.
これまでに系外惑星で確認されている Hα 線の吸収は,活発な恒星周りの惑星 HD 189733b においてのみ報告されている.各惑星の中心星 KELT-3 と GJ 436 は,どちらも HD 189733 より不活発である.そのため,活動的な恒星からの EUV 光子にさらされている系外惑星の大気の方が,Hα 線での吸収の検出には適しているということを示唆する.
これらの惑星はしばしば膨張した半径を持っており (Laughlin et al. 2011など),また詳細な自転や大気力学が HD 189733b においては観測されている (Wyttenbach et al. 2015, Louden & Whearley 2015など).また同様の観測は HD 209458b でも行われている (Snellen et al. 2010).
その他に観測されている興味深い力学的過程は,惑星からの蒸発的な質量放出であろう.この過程は最初にホットジュピター HD 209458b で観測された (Vidal-Madjar 2003).水素の UV の Lyα 線の観測から,中性水素の大気が,惑星のロッシュ限界を超えて広がっていることが示されている.
この惑星のフォローアップ観測では,質量放出は大きく変動を起こし,観測するタイミングごとに大きく変わることが示されている (Lecavelier des Etangs et al. 2012).
大気の散逸は,他の高温惑星を持つ系,HD 189733b, 55 Cnc b と GJ 436b でも検出されている (Lecavelier des Etangs et al. 2010など).
Ehrenreich et al. (2015) による GJ 436b まわりの最近の質量放出の検出は,この広がった大気と散逸する大気の観測は,通常の惑星のトランジット (広い波長域の白色光トランジット) の前と後の両方で強い吸収として検出される可能性を指摘した.GJ 436b に加え,通常のトランジットより前での吸収の特徴は,WASP-12b (Fossati et al. 2010),HD 189733b (Ben-Jaffel & Ballester 2013など) でも観測されている.
高温の惑星が持つ広がった大気による,トランジット前とトランジット中の吸収の特徴は一般的なものと考えられるが,観測が難しく広帯域の測光観測では特徴が現れない.言い換えれば,強い原子のスペクトル線でのみこの吸収が観測出来る.
この観測には,水素の線スペクトルの検出が適している.特に Lyα である.
HD 189733b のトランジット前とトランジット中における Hα 線の吸収の検出は,大きく広がった中性の大気を,高分散の可視光分光観測で検出できる可能性を示唆した (Jensen et al. 2012など).また,バルマージャンプでのフラックスの減少を介して検出された励起された水素の存在は,Ballester et al. (2007) によって HD 209458b で初めて報告された.
HD 189733b での励起された水素の測定では,物質の散逸を示す大きな青方偏移した速度は検出されなかったが,観測されたトランジット深さからは,透過スペクトルは気圧が 10^-6 - 10^-9 bar の所を探査していることを示唆された.これは惑星の熱圏に相当する領域である (Christie et al. 2013).
ただし注意点として,Barnes et al. (2016) によると,Hα 線のシグナルは惑星起源であるかには疑問が投げかけられている.なぜなら,透過スペクトルにおける速度の中心が恒星の静止座標と相関があるように思えるからである.そのため HD 189733b のトランジット中の Hα 測定については議論がある.
arXiv:1612.05945
Wilson Cauley et al. (2016)
A search for Hα absorption around KELT-3 b and GJ 436 b
(KELT-3b と GJ 436b まわりでの Hα 吸収の探査)
概要
高温の惑星の周りに広がった大気の観測は,散逸する惑星物質の力学に関連した興味深い結果を与える.散逸する惑星のガスの形状によって,非対称的なトランジット光度曲線の形状を生み出すことがある.通常のトランジットの前と後の両方に,特定の原子による吸収が生成されることでこの現象が発生しうる.
また,散逸する大気の速度と吸収の強さの測定は,大気散逸機構への制限を与え,さらにおそらくは,惑星と中心星の相互作用のヒントとなるかもしれない.
ここでは,高温の惑星 KELT-3b と GJ 436b の惑星周りの環境における,Hα 線の吸収を調べた.
その結果,どちらの惑星でも吸収の兆候は得られなかった.
観測結果から,双方の惑星の周囲のおける,励起された水素原子大気の密度と,その動径方向の広がりについての上限を与えた.
GJ 436b での Hα の吸収の非検出は,このにおける Ly α 線でのの強い吸収の検出とは対照的な結果である.この結果は,大きな中性水素の雲はほとんど基底状態にあるという事を示唆する.
これまでに系外惑星で確認されている Hα 線の吸収は,活発な恒星周りの惑星 HD 189733b においてのみ報告されている.各惑星の中心星 KELT-3 と GJ 436 は,どちらも HD 189733 より不活発である.そのため,活動的な恒星からの EUV 光子にさらされている系外惑星の大気の方が,Hα 線での吸収の検出には適しているということを示唆する.
研究背景
高温の惑星 (軌道周期が 5 日程度より短いもの) は中心星から多くの量のフラックスを受けるため,長周期の惑星では発生しないような極端な宇宙物理学的プロセスについての識見を与えてくれる.これらの惑星はしばしば膨張した半径を持っており (Laughlin et al. 2011など),また詳細な自転や大気力学が HD 189733b においては観測されている (Wyttenbach et al. 2015, Louden & Whearley 2015など).また同様の観測は HD 209458b でも行われている (Snellen et al. 2010).
その他に観測されている興味深い力学的過程は,惑星からの蒸発的な質量放出であろう.この過程は最初にホットジュピター HD 209458b で観測された (Vidal-Madjar 2003).水素の UV の Lyα 線の観測から,中性水素の大気が,惑星のロッシュ限界を超えて広がっていることが示されている.
この惑星のフォローアップ観測では,質量放出は大きく変動を起こし,観測するタイミングごとに大きく変わることが示されている (Lecavelier des Etangs et al. 2012).
大気の散逸は,他の高温惑星を持つ系,HD 189733b, 55 Cnc b と GJ 436b でも検出されている (Lecavelier des Etangs et al. 2010など).
Ehrenreich et al. (2015) による GJ 436b まわりの最近の質量放出の検出は,この広がった大気と散逸する大気の観測は,通常の惑星のトランジット (広い波長域の白色光トランジット) の前と後の両方で強い吸収として検出される可能性を指摘した.GJ 436b に加え,通常のトランジットより前での吸収の特徴は,WASP-12b (Fossati et al. 2010),HD 189733b (Ben-Jaffel & Ballester 2013など) でも観測されている.
高温の惑星が持つ広がった大気による,トランジット前とトランジット中の吸収の特徴は一般的なものと考えられるが,観測が難しく広帯域の測光観測では特徴が現れない.言い換えれば,強い原子のスペクトル線でのみこの吸収が観測出来る.
この観測には,水素の線スペクトルの検出が適している.特に Lyα である.
HD 189733b のトランジット前とトランジット中における Hα 線の吸収の検出は,大きく広がった中性の大気を,高分散の可視光分光観測で検出できる可能性を示唆した (Jensen et al. 2012など).また,バルマージャンプでのフラックスの減少を介して検出された励起された水素の存在は,Ballester et al. (2007) によって HD 209458b で初めて報告された.
HD 189733b での励起された水素の測定では,物質の散逸を示す大きな青方偏移した速度は検出されなかったが,観測されたトランジット深さからは,透過スペクトルは気圧が 10^-6 - 10^-9 bar の所を探査していることを示唆された.これは惑星の熱圏に相当する領域である (Christie et al. 2013).
ただし注意点として,Barnes et al. (2016) によると,Hα 線のシグナルは惑星起源であるかには疑問が投げかけられている.なぜなら,透過スペクトルにおける速度の中心が恒星の静止座標と相関があるように思えるからである.そのため HD 189733b のトランジット中の Hα 測定については議論がある.
ppmv: 体積 (volume) で比較した時の百万分率 (perts per million)