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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1605.03595
Lammer et al. (2016)
Identifying the "true" radius of the hot sub-Neptune CoRoT-24b by mass loss modelling
(質量損失モデリングによるホットサブネプチューン CoRoT-24b の "本当の" 半径の識別)
惑星のトランジット半径が惑星の物理半径 (圧力が 100 mbar となる半径) と仮定すると,CoRoT-24b では非現実的な大きさの熱駆動流体力学的散逸率となった.この値は,惑星の温度が高いことと,表面重力が小さいことに起因し,中心星からの極端紫外線フラックスとは独立であった.
このような大きな質量散逸率は,100 Myr 未満の期間しか継続しない.すなわち,質量放出率が極端紫外線が駆動する質量散逸率の可能な値と同程度か,それを下回る程度の値になる程度にまで惑星の物理半径が小さくなるまでの間しか継続しない.
従って,CoRoT-24b の実際の物理半径は 1.9 - 2.2 地球半径の範囲にあり,大気中の高高度におけるヘイズや雲による吸収がトランジット半径の大きさを実現している可能性がある.また惑星質量は 5 - 5.7 地球質量の範囲であるとの制限を付けた.
CoRoT-24c については,物理半径とトランジット半径は非常に近いという結果を得た.
このような,惑星の物理半径とトランジット半径の違いは,他の低密度なホットネプチューンでも起きうるかもしれない.
arXiv:1605.03595
Lammer et al. (2016)
Identifying the "true" radius of the hot sub-Neptune CoRoT-24b by mass loss modelling
(質量損失モデリングによるホットサブネプチューン CoRoT-24b の "本当の" 半径の識別)
概要
トランジットする高温な系外惑星である CoRoT-24b, CoRoT-24c は,トランジット半径がそれぞれ 3.7 ± 0.4 地球半径と4.9 ± 0.5 地球半径,質量は ≤ 5.7 地球質量と 28 ± 11 地球質量と推定されてきた.これらの惑星の高層大気構造と散逸について,流体力学モデルを用いて調べた.惑星のトランジット半径が惑星の物理半径 (圧力が 100 mbar となる半径) と仮定すると,CoRoT-24b では非現実的な大きさの熱駆動流体力学的散逸率となった.この値は,惑星の温度が高いことと,表面重力が小さいことに起因し,中心星からの極端紫外線フラックスとは独立であった.
このような大きな質量散逸率は,100 Myr 未満の期間しか継続しない.すなわち,質量放出率が極端紫外線が駆動する質量散逸率の可能な値と同程度か,それを下回る程度の値になる程度にまで惑星の物理半径が小さくなるまでの間しか継続しない.
従って,CoRoT-24b の実際の物理半径は 1.9 - 2.2 地球半径の範囲にあり,大気中の高高度におけるヘイズや雲による吸収がトランジット半径の大きさを実現している可能性がある.また惑星質量は 5 - 5.7 地球質量の範囲であるとの制限を付けた.
CoRoT-24c については,物理半径とトランジット半径は非常に近いという結果を得た.
このような,惑星の物理半径とトランジット半径の違いは,他の低密度なホットネプチューンでも起きうるかもしれない.
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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1605.03941
Burkhart et al. (2016)
A Deep Search for Additional Satellites around the Dwarf Planet Haumea
(準惑星ハウメアのまわりのさらなる衛星の詳細な捜索)
カイパーベルト天体 (Kuiper Belt Object, KBO) まわりの規則衛星の詳細な捜索は観測的な制限から難しいが,ハウメアは十分なデータが存在する数少ない天体の一つである.
ここでは,ハッブル宇宙望遠鏡による観測結果の解析を行い,新たな小さい衛星を捜索した.詳細な捜索を行うため,non-linear shift-and-stack method を用いた.
その結果,新しい衛星は発見されなかった.
またこの結果から,ハウメアまわりの未発見の衛星に対して制限をかけることができ,ハウメアから ~ 10000 - 350000 km の範囲では,衛星の幾何学的アルベドをハウメアと同程度の 0.7 であると仮定した場合,~ 10 km サイズ以上の衛星は存在しないと結論付けられた.
また,ハッブル宇宙望遠鏡による別のデータより,ハウメアのヒル半径内の大部分の領域において,~ 40 km 以上のサイズの衛星の存在も排除された.
arXiv:1605.03941
Burkhart et al. (2016)
A Deep Search for Additional Satellites around the Dwarf Planet Haumea
(準惑星ハウメアのまわりのさらなる衛星の詳細な捜索)
概要
準惑星であるハウメアは,2 個の衛星を持ち,異常に速い自転をしており,またハウメア族と呼ばれる大きな衝突族 (collisional family) を持っている.そのため,太陽系外縁の天体のなかでも特に興味深いものの一つである.カイパーベルト天体 (Kuiper Belt Object, KBO) まわりの規則衛星の詳細な捜索は観測的な制限から難しいが,ハウメアは十分なデータが存在する数少ない天体の一つである.
ここでは,ハッブル宇宙望遠鏡による観測結果の解析を行い,新たな小さい衛星を捜索した.詳細な捜索を行うため,non-linear shift-and-stack method を用いた.
その結果,新しい衛星は発見されなかった.
またこの結果から,ハウメアまわりの未発見の衛星に対して制限をかけることができ,ハウメアから ~ 10000 - 350000 km の範囲では,衛星の幾何学的アルベドをハウメアと同程度の 0.7 であると仮定した場合,~ 10 km サイズ以上の衛星は存在しないと結論付けられた.
また,ハッブル宇宙望遠鏡による別のデータより,ハウメアのヒル半径内の大部分の領域において,~ 40 km 以上のサイズの衛星の存在も排除された.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1605.02825
Morton et al. (2016)
False positive probabilties for all Kepler Objects of Interest: 1284 newly validated planets and 428 likely false positives
(全ての Kepler Object of Interest の偽陽性確率:1284 個の新しく確定した惑星と 428 件の偽陽性)
また,428 の KOI は偽陽性であると考えられる.しかしそのうちのいくつかは,確定していないトランジット時刻変動 (transit timing variation, TTV) の結果によるものであるかもしれない.
このプロシージャは vespa と呼ばれるオープンソースの Python パッケージを用いており,どのトランジット惑星候補に対しても容易に適用可能である.
ニュースにもなった,1284 個のもの系外惑星が新たに "発見" された,ということを報告する論文です.
ケプラーで検出されたトランジット惑星候補は数千個ありましたが,その減光が本当に惑星によるものなのか,それとも惑星ではない偽陽性なのかは慎重に判別する必要があります.これまでは,ケプラーが検出した惑星候補に対して,地上からの追観測を用いて惑星であることを確定させたり,複数の惑星候補が検出されている系においては TTV を用いて確定させたりといった手法が用いられてきました.
ここでは,追観測を行わず,ケプラーで得られた光度曲線のデータのみから偽陽性である確率を計算する手法を用いています.もし本当に惑星のトランジットによる減光であった場合に期待される光度曲線と,観測された光度曲線の比較をすることによって確率を計算しているとのことです.そしてこの手法で偽陽性である確率が 1%未満となったものを,惑星としています.
このようにケプラーで得られた光度曲線から自動で判別する手法であるため短時間で惑星か偽陽性かの判断が可能となり,今回の 1284 個もの大量の惑星が確定するという事態になったようです.
arXiv:1605.02825
Morton et al. (2016)
False positive probabilties for all Kepler Objects of Interest: 1284 newly validated planets and 428 likely false positives
(全ての Kepler Object of Interest の偽陽性確率:1284 個の新しく確定した惑星と 428 件の偽陽性)
概要
全ての Kepler Object of Interest (KOI) に対する,偽陽性の確率の計算について報告する.これは,完全自動化されたトランジット惑星の検証プロシージャの,初めての大規模なデモンストレーションである.※注釈
KOI は,ケプラーによって惑星によると思われる減光が検出された天体のことであり,そのような減光が検出された天体 (恒星) には,例えば KOI-4878 のような通し番号が与えられている.またこの天体で検出された惑星候補 (減光を起こしているであろう惑星候補) には,KOI-4878.1 のように番号が与えられている.
このような惑星候補のうち,追観測によって惑星だと確認されたものは,例えば主星に対してはケプラー11,惑星に対してはケプラー11b などと言ったような名称が付される.
また,惑星のトランジット以外の原因によって,惑星のトランジットと似た減光を示す場合がある (連星がかすめるようにお互いを掩蔽している場合など).このようなものを偽陽性 (false positive) と呼ぶ.
今回開発したプロシージャによって,7056 の KOI のうち,1935 個は偽陽性である確率が 1%未満と算出され,これらは偽陽性ではなく惑星によるシグナルであると考えられる.このうちの 1284 個は,これまでに他の手法によって惑星とは確認されていなかったものである.KOI は,ケプラーによって惑星によると思われる減光が検出された天体のことであり,そのような減光が検出された天体 (恒星) には,例えば KOI-4878 のような通し番号が与えられている.またこの天体で検出された惑星候補 (減光を起こしているであろう惑星候補) には,KOI-4878.1 のように番号が与えられている.
このような惑星候補のうち,追観測によって惑星だと確認されたものは,例えば主星に対してはケプラー11,惑星に対してはケプラー11b などと言ったような名称が付される.
また,惑星のトランジット以外の原因によって,惑星のトランジットと似た減光を示す場合がある (連星がかすめるようにお互いを掩蔽している場合など).このようなものを偽陽性 (false positive) と呼ぶ.
また,428 の KOI は偽陽性であると考えられる.しかしそのうちのいくつかは,確定していないトランジット時刻変動 (transit timing variation, TTV) の結果によるものであるかもしれない.
このプロシージャは vespa と呼ばれるオープンソースの Python パッケージを用いており,どのトランジット惑星候補に対しても容易に適用可能である.
ニュースにもなった,1284 個のもの系外惑星が新たに "発見" された,ということを報告する論文です.
ケプラーで検出されたトランジット惑星候補は数千個ありましたが,その減光が本当に惑星によるものなのか,それとも惑星ではない偽陽性なのかは慎重に判別する必要があります.これまでは,ケプラーが検出した惑星候補に対して,地上からの追観測を用いて惑星であることを確定させたり,複数の惑星候補が検出されている系においては TTV を用いて確定させたりといった手法が用いられてきました.
ここでは,追観測を行わず,ケプラーで得られた光度曲線のデータのみから偽陽性である確率を計算する手法を用いています.もし本当に惑星のトランジットによる減光であった場合に期待される光度曲線と,観測された光度曲線の比較をすることによって確率を計算しているとのことです.そしてこの手法で偽陽性である確率が 1%未満となったものを,惑星としています.
このようにケプラーで得られた光度曲線から自動で判別する手法であるため短時間で惑星か偽陽性かの判断が可能となり,今回の 1284 個もの大量の惑星が確定するという事態になったようです.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1605.02507
Kislyakova et al. (2016)
On the ultraviolet anomalies of the WASP-12 and HD 189733 systems: Trojan satellites as a plasma source
(WASP-12 と HD 189733 系における紫外線の異常について:プラズマ源としてのトロヤ衛星)
HD 189733b はやや低温であるため,限定的には可能である.
また,WASP-12b と HD 189733b のトロヤ衛星の軌道安定性について,惑星軌道と同一平面上の場合と傾いた軌道を保つ場合について調べた.この場合,通常の衛星の場合とは異なり,イオサイズのトロヤ衛星は系の寿命の間にわたって安定であることが分かった.
この場合,"トロヤ衛星" というより "トロヤ惑星" と言ったほうが良いような気がしますがどうなんでしょうか.
arXiv:1605.02507
Kislyakova et al. (2016)
On the ultraviolet anomalies of the WASP-12 and HD 189733 systems: Trojan satellites as a plasma source
(WASP-12 と HD 189733 系における紫外線の異常について:プラズマ源としてのトロヤ衛星)
概要
トランジットするホットジュピター WASP-12b と HD 189733b の紫外線トランジット観測における現象の説明として,新しいプラズマ供給源の可能性を提案する.ここで考えるのは,惑星のラグランジュ点 L4, L5 付近の tadpole 型軌道にいるトロヤ衛星の溶融した表面からの脱ガス物質である.※注釈
"tadpole" は「オタマジャクシ」の意味で,ラグランジュ点付近で天体がとるオタマジャクシ状の軌道を指して "tadpole orbit" と呼んでいる.
WASP-12b の軌道では,岩石質のトロヤ衛星の表面に浅い溶岩層が形成される程度には十分高温となる.この場合,脱ガス物質のマグネシウムやカルシウムが系を覆うと考えられる.2 つのイオ (木星の衛星) サイズの天体からのマグネシウム,カルシウムの脱ガス速度は,それぞれ 2.2 × 1027 個 s-1,2.2 × 1026 個 s-1 と予想される.このトロヤ衛星からの脱ガスは,観測での Mg II h, k 線,Ca II h, k 線の欠乏を説明できる."tadpole" は「オタマジャクシ」の意味で,ラグランジュ点付近で天体がとるオタマジャクシ状の軌道を指して "tadpole orbit" と呼んでいる.
HD 189733b はやや低温であるため,限定的には可能である.
また,WASP-12b と HD 189733b のトロヤ衛星の軌道安定性について,惑星軌道と同一平面上の場合と傾いた軌道を保つ場合について調べた.この場合,通常の衛星の場合とは異なり,イオサイズのトロヤ衛星は系の寿命の間にわたって安定であることが分かった.
この場合,"トロヤ衛星" というより "トロヤ惑星" と言ったほうが良いような気がしますがどうなんでしょうか.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1605.00171
Nettelmann et al. (2016)
Uranus evolution models with simple thermal boundary layers
(シンプルな熱境界層を持つ天王星の進化モデル)
モデルにおいては,水,メタン,アンモニアそれぞれの氷組成の高圧環境における状態方程式として,最新の第一原理方程式を用いた.
その結果,断熱モデルの場合は,氷と岩石の混合比の不定性を考慮した上でもなお冷却時間が長すぎる (観測と合わない) ことを確認した.
ここで,氷/岩石豊富な内部と,水素/ヘリウム豊富な外側エンベロープの遷移が安定に成層しているという状態を考えた.シンプルな熱境界層を,観測されている天王星の低い光度を再現できるように導入した.その結果,内部は断熱モデルの場合よりも 2 - 3 倍暖かくなる.
また,熱境界の存在により,外側エンベロープの冷却が速くなる.有効温度が平衡温度とおおむね等しい状態になったとき,大気中の浅く亜断熱な領域 (subadiabatic zone) が発達し始める.この領域の深さは,観測を再現するように調整した.
ここで提案したモデルは,拡散領域における熱流束や粒子流束を取り扱えるように改善可能な,将来的な巨大氷惑星の進化,構造モデルの基礎となることが期待される.
ガス惑星は重力で収縮 (ケルビン・ヘルムホルツ収縮) して重力エネルギーを熱として解放するため,一定の内部からの熱流束があります.巨大氷惑星の内部構造と進化の理論モデルでは,海王星の熱流束の観測値は再現できている (再現できるパラメータが存在する) のに対し,天王星は再現できていません (再現できるパラメータがない).
観測される天王星の光度は理論モデルから予測される値に比べて明らかに低く,何らかの原因で熱の輸送が抑えられているか,逆に何らかの原因で急速に冷えたなどが原因として考えられています.
arXiv:1605.00171
Nettelmann et al. (2016)
Uranus evolution models with simple thermal boundary layers
(シンプルな熱境界層を持つ天王星の進化モデル)
概要
天王星が著しく低い光度を持つ (有効温度と平衡温度がほぼ同じ) という事実は,巨大氷惑星を理解する上での長い期間に渡る謎である.ここでは,観測で得られている天王星の低い光度と,天王星まわりの重力場の観測データに合う構造・進化モデルを提案する.モデルにおいては,水,メタン,アンモニアそれぞれの氷組成の高圧環境における状態方程式として,最新の第一原理方程式を用いた.
その結果,断熱モデルの場合は,氷と岩石の混合比の不定性を考慮した上でもなお冷却時間が長すぎる (観測と合わない) ことを確認した.
ここで,氷/岩石豊富な内部と,水素/ヘリウム豊富な外側エンベロープの遷移が安定に成層しているという状態を考えた.シンプルな熱境界層を,観測されている天王星の低い光度を再現できるように導入した.その結果,内部は断熱モデルの場合よりも 2 - 3 倍暖かくなる.
また,熱境界の存在により,外側エンベロープの冷却が速くなる.有効温度が平衡温度とおおむね等しい状態になったとき,大気中の浅く亜断熱な領域 (subadiabatic zone) が発達し始める.この領域の深さは,観測を再現するように調整した.
ここで提案したモデルは,拡散領域における熱流束や粒子流束を取り扱えるように改善可能な,将来的な巨大氷惑星の進化,構造モデルの基礎となることが期待される.
ガス惑星は重力で収縮 (ケルビン・ヘルムホルツ収縮) して重力エネルギーを熱として解放するため,一定の内部からの熱流束があります.巨大氷惑星の内部構造と進化の理論モデルでは,海王星の熱流束の観測値は再現できている (再現できるパラメータが存在する) のに対し,天王星は再現できていません (再現できるパラメータがない).
観測される天王星の光度は理論モデルから予測される値に比べて明らかに低く,何らかの原因で熱の輸送が抑えられているか,逆に何らかの原因で急速に冷えたなどが原因として考えられています.


衝突族は,天体衝突によって作られた複数の天体の集まりを指す言葉である.一つの衝突イベントによって生成された多数の小天体から成り,組成が似ている,似通った軌道要素を持つなどの共通の特徴がある.ハウメアも,ハウメアへの天体衝突が原因と思われる衝突族を持っており,ハウメア属 (Haumea family または Haumean family) と呼ばれる.ハウメア族は,太陽系外縁天体における唯一の既知の衝突族である.