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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1511.05954
Spake et al. (2015)
WASP-135b: a highly irradiated, inflated hot Jupiter orbiting a G5V star
(WASP-135b:G5V星を公転する、強い日射を受けている膨張したホットジュピター)

概要

WASPサーベイで新しい惑星 WASP-135bを発見した。1.30木星半径、1.90木星質量、軌道周期 1.401日のホットジュピターである。中心星は太陽型星であり、0.98太陽質量、0.96太陽半径、スペクトル型は G5である。軌道配置から惑星は強い日射を受けており、また膨張した半径を持っている。さらに、惑星から恒星への角運動量の輸送を示す弱い証拠を発見した。

研究背景

ホットジュピターに関しては、形成や進化のメカニズム、膨張半径の起源などの未解明な問題が存在する (Fortney & Nettlemann 2010など)。ホットジュピターの非常に大きい半径は、中心星からのエネルギーを惑星内部に注入することで説明可能と考えられている (Showman & Guillot 2002)。また、膨張の度合いは受け取る日射の水準と相関があることが分かっている (Enoch et al. 2011, Demory & Seager 2011, Weiss et al. 2012)。しかしそのメカニズムに関しては現在も議論が存在する。

また、Lanza (2010)などによると、ホットジュピターを持つ恒星は、gyrochronology的に非常に若いという傾向があることが示されている。
(※ gyrochronology…恒星の自転速度から年齢測定を行うこと)
これは、惑星と恒星の間に角運動量のやり取りがあり、潮汐によって恒星の自転が加速されている (tidal spin-up)ことを示唆する。この潮汐による加速は、通常発生する恒星の自転速度の減速の効果を隠し、gyrochronologyによる年齢を若く見せる。このような天体の性質を調べるためには、より多くの観測サンプルが必要である。

観測

WASPサーベイプロジェクトによってトランジット観測を行った。
加えて、フランスのObservatoire de Haute-Provence (オート・プロヴァンス天文台)の 1.93 m望遠鏡に設置されている SOPHIE spectrographによる分光観測から、視線速度観測を行った。さらに Near Infra-red Transiting ExoplanetS (NITES)望遠鏡による測光観測のフォローアップも行った。

系のパラメータ

WASP-135

質量:0.98太陽質量
半径:0.96太陽半径
有効温度:5675 K

分光観測からは、恒星大気中にリチウムが検出されており、等価幅は 39 mÅである。この値からは、年齢が 0.60 Gyrであることが示唆される。また自転周期の推定は 10.08日であり、gyrochronologyからは年齢が ~ 0.82 Gyrであると示唆される (Barnes 2010)。なお自転周期は、自転速度の視線方向成分からの推定であるため、この年齢推定は上限値を与える。

その他の、表面温度と平均密度からの年齢推定の手法によると、平均して ~ 4.4 Gyrという年齢を得る。例として、
4.21 Gyr (Padova isochrone)
3.10 Gyr (Yonsei-Yale isochrone)
5.96 Gyr (DSEP isochron)
という値が得られた。

WASP-135b

軌道周期:1.4013794日
質量:1.90木星質量
半径:1.30木星半径
軌道長半径:0.0243 AU
平均密度:木星の平均密度の 0.87倍

惑星が受ける中心星のフラックスは 1.98 × 109 erg s-1 cm-2であり、膨張半径を持つカットオフである ~ 2 × 108 erg s-1 cm-2よりも 1桁大きい (Demory & Seager 2011)。さらに、Weiss et al. (2013)の経験則からは、この日射量ではこの惑星は 1.3木星半径を持つことが予測され、これは観測と整合的である。

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1511.05306
Armstrong et al. (2015)
The Host Stars of Keplers Habitable Exoplanets: Superflares, Rotation and Activity
(ケプラーハビタブル系外惑星の中心星:スーパーフレア、自転と恒星活動)

概要

ケプラー宇宙望遠鏡のデータを用いて、ケプラーで発見された最も地球に類似している系外惑星の光度曲線を詳細に調査した。中心星の自転周期、測光観測における恒星の活動度、発生するフレアのエネルギー、恒星風による質量放出、恒星の自転周期からの年齢推定 (gyrochronological age)、X線光度を導出した。また、惑星の磁気圏と居住可能性への関連についても考察した。

さらに、ケプラー438の光度曲線中に、スーパーフレアを検出した。この恒星を公転するケプラー438bは、現在最も高い地球類似度 (Earth Similarity Index, ESI)を示す系外惑星である。ケプラー438bは軌道長半径 0.166 AUであり、大気の剥ぎ取りの影響を受けやすい。

調査対象とした系は、Habitable Exoplanet Catalogueから抽出した。ケプラー22, ケプラー61, ケプラー62, ケプラー174, ケプラー186, ケプラー283, ケプラー296, ケプラー298, ケプラー438, ケプラー440, ケプラー442, ケプラー443, KOI-4427が対象である。これらの系では、ケプラーによって最も居住可能性が高いと考えられるトランジット惑星が計 15個発見されている。

研究背景

恒星活動と居住可能性

ケプラーミッション (Borucki et al. 2010, Koch et al. 2010)では、~ 150000個の恒星を高精度測光観測している。

系外惑星の環境は主に中心星に影響される。どの平衡温度の領域で惑星表面に液体の水が存在できるかという問題は、ハビタブルゾーンの研究と関連している (Kasting 1993など)。
これまでのハビタブルゾーン内にあるハビタブル惑星は、太陽よりも低温の恒星周りに発見されている。これは、低温度の恒星周りの方が地球型惑星を発見しやすいからである。このような低温な恒星は、一般的には太陽より活動的であると考えられている (Wright et al. 2011)。活動の例は、フレア、コロナ質量放出 (coronal mass ejection, CME)、X線・遠紫外線放射などである (Mamajek & Hillenbrand 2008)。また恒星の磁場も強い (Reiners & Mohanty 2012など)。

恒星でフレアが発生した場合、紫外線と荷電粒子のフラックスが増加するが、これは惑星の居住可能性には影響は少ないと考えられている (Segura et al. 2010)。しかし CMEは増加する (Chen & Kunkel 2010)。さらに惑星の磁気圏を圧縮する効果があり (Khodachenko et al. 2007)、大気の侵食を駆動する (Lammer et al. 2007)。

惑星の磁気圏は、惑星大気の侵食を防ぎ、また高エネルギー粒子から地表を守るのに重要である。M型星周りの惑星に惑星磁気圏による防護が無い場合、大気は 1 Gyr以内に失われる場合もある (Zendejas et al. 2010)。惑星の磁気圏のサイズは恒星の特性に大きく依存する。特に、恒星風 (See et al. 2014)、恒星磁場 (Vidotto et al. 2013)への依存が大きい。

系外惑星の地球類似性とサンプル抽出

系外惑星はしばしば、Earth Similarity Index (ESI)によって測られる (Schulze-Makuch et al. 2011)。これは、ある系外惑星がどれだけ地球と似ているかを、惑星半径、平均密度、脱出速度、表面温度から判定するものである。

ここではケプラー惑星の ESIの数値を元に、以下の惑星をサンプルとして選定した。
・ケプラー22b (Borucki et al. 2012)
・ケプラー61b (Ballard et al. 2013)
・ケプラー62e, f (Borucki et al. 2013)
・ケプラー174d (Rowe et al. 2014)
・ケプラー186f (Quintana et al. 2014)
・ケプラー283c
・ケプラー294e, f
・ケプラー298d (以上 Rowe et al. 2014)
・ケプラー438b
・ケプラー440b
・ケプラー442b
・ケプラー443b
・KOI-4427b (以上 Torres et al. 2015)






ケプラーで発見された惑星のうち、ハビタブルゾーンに存在すると考えられる地球型惑星を持つ系の中心星に関する研究です。ケプラー438bは最も地球に似ていると期待される系外惑星ですが、この中心星であるケプラー438でスーパーフレア (太陽で発生する平均的なフレアよりも数桁エネルギーが大きいもの)が検出されたことが話題となりました。

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arXiv:1511.05528
Greene et al. (2015)
Characterizing transiting exoplanet atmospheres with JWST
(JWSTによるトランジット系外惑星大気の特徴付け)

概要

打ち上げ予定のジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡 (James-Webb Space Telescope, JWST)を用いて、大気のバルクの特徴をスペクトルから制限することが可能かについての研究を行った。想定する対象は、ホットジュピター、温暖な海王星型惑星 (warm Neptune)、温暖な小型海王星型惑星 (warm sub-Neptune)、低温なスーパーアースの大気モデルであり、それぞれクリアな大気、雲の多い大気、平均分子量が大きい大気を持つ場合についてである。

さらに、トランジットと二次食時の 1 - 11 μmでの透過スペクトルと放射スペクトルのシミュレーションを行った。これらの観測から、惑星の温度と分子の混合比 (メタン、一酸化炭素、二酸化炭素、水、アンモニア)がどれだけ制限できるか見積もった。

その結果、1 - 2.5 μmの透過スペクトルからは、クリアな大気での主要な分子種の制限が出来ることが分かった。雲の多い大気、平均分子量が大きい大気の場合は、大気組成をよく制限するためには 1 - 11 μmの波長帯全てが必要である。

また、惑星からのフラックスが大きい場合、惑星からのフラックスと恒星からのフラックスの比が大きい場合は、放射スペクトルを用いるのが良い。太陽組成を持つホットジュピター大気における強い温度逆転層は、 1 - 2.5 μmかそれ以上の波長での熱放射の観測から検出することが出来る。さらに、1 - 5 μmかそれ以上の波長での熱放射の観測からは、温暖な惑星での温度-圧力分布 (T-P profile)の制限が可能である。

1 - 5 μmかそれ以上の波長での透過スペクトルを用いることで、ホットネプチューン・温暖な海王星型惑星で金属量 ([Fe/H])をよく制限する事が出来る。炭素と酸素の存在比は、いくつかの系ではファクター2良く制限することが出来る。

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arXiv:1511.04497
Petigura et al. (2015)
Two Transiting Low Density Sub-Saturns from K2
(K2による2個の土星より小さいトランジット低密度惑星の発見)

概要

ケプラー宇宙望遠鏡による K2ミッションの、Campaign 2の視野内にある明るい金属量の多い G3型星のまわりに、2つの土星より小さいサイズの惑星を発見した。また、Keck I望遠鏡の HIRESで視線速度観測を行った。

系のパラメータ

EPIC 203771098

等級:11.3
質量:1.12太陽質量
半径:1.21太陽半径
光度:1.44太陽光度
有効温度:5743 K
距離:181 pc
金属量:[Fe/H] = 0.42
スペクトル型:G3
年齢:3.2 - 6.9 Gyr

惑星

EPIC 203771098b
軌道周期:20.8851日
軌道長半径:0.154 AU
半径:5.68地球半径
質量:21.0地球質量
平均密度:0.63 g cm-3
EPIC 203771098c
軌道周期:42.3633日
軌道長半径:0.247 AU
半径:7.82地球半径
質量:27.0地球質量
平均密度:0.31 g cm-3

軌道周期は 2:1平均運動共鳴に近い。
また、いずれ K2の通し番号 (K2-xx b, c)が与えられる予定である。

議論

惑星のサイズと平均密度から、この惑星は厚い水素・ヘリウムのエンベロープを持つと考えられる。内部モデルを考慮すると、それぞれ 17.6地球質量、16.1地球質量という重いコアを持つと推定される。これらの惑星はいずれも外側で形成され、遠方で水素・ヘリウムエンベロープを獲得し、共鳴のペアとして一緒に内側に移動してきたものであると考えられる。

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arXiv:1511.04415
Dyudina et al. (2015)
Reflected Light Curves, Spherical and Bond Albedos of Jupiter- and Saturn-like Exoplanets
(木星型・土星型系外惑星の反射光光度曲線、球面アルベドとボンドアルベド)

概要

惑星の二次食 (secondary eclipse)時の光度曲線と、恒星による惑星の加熱が、どのように雲の前方散乱・後方散乱に依存するかの見積もりを行った。見積もりを行うために、木星類似惑星と土星類似惑星の光度曲線を観測に基づいて再現した。惑星の軌道位相と木星・土星表面での反射光の輝度の関係に、解析的な関数をフィットさせた。関数の推定には、パイオニアとカッシーニによる木星・土星の観測画像を用いた。これらの観測は、0.59 - 0.72 μm、0.39 - 0.5 μmの広い波長域と、大気の窓に相当する 0.938 μm、メタンの吸収に対応する 0.889 μm、0.24 - 0.28 μmの狭いバンドの観測に対応する。

Dyudina et al. (2005)による光線追跡法 (ray-tracing model)から、異なる位相での惑星の画像のシミュレーションを行った。惑星の位相によって変わる光度が、軌道全体での光度曲線を再現する。

また、木星と土星の全方向への反射光の積分を行って球面アルベド (spherical albedo)の計算を行った。さらに惑星大気がランバート面的な散乱をする場合、レイリー散乱的である場合それぞれの場合の球面アルベドの計算も行った。

木星に関する計算モデルを、複数の確度から観測されている full-diskの輝度に合わせた。その結果、木星的な大気を持つ場合、半分の位相 (半月状)の場合は、ランバート面的な反射の場合よりもファクター 2暗いことが分かった。(両者の幾何学的アルベドが同じ場合の比較)
さらに、球面アルベドと、これを波長で積分したボンドアルベド (Bond albedo)も、ランバート面的な反射をする場合のモデルよりも小さくなることを示した。これに伴い、恒星光の大気での吸収と惑星全体の加熱率は、灰色ランバート大気の場合より大きくなる。ランバート大気を仮定した場合は、球面アルベドを最大でファクター ~1.5程度過大評価することになる。

研究背景

系外惑星の熱放射の光度曲線や二次食の観測は、50を超える惑星で観測されている。また 5つの惑星の熱放射が直接撮像で観測されている(Madhushdhan et al. 2014)。

系外惑星の位相曲線は、トランジットしていない惑星であるアンドロメダウプシロン星b (υ Andromedae b)において、24 μmで観測された (Harrington et al. 2006)。次に HD 179949bにおいて 8 μmで観測された (Cowan et al. 2007)。更にトランジット惑星である HD 189733bにおいて、8 μmでも観測された (Knutson et al. 2007)。これ以降複数の惑星で位相曲線が観測されており、このうち 2つは軌道離心率がある軌道でのものである。

位相曲線が観測されているもののうち、可視光での観測は 3例存在する。可視光では惑星からの光は熱放射と反射光の合計であり、両者を区別するためには赤外線での観測が必要である。
Demory et al. (2013)では、スピッツァー宇宙望遠鏡での 3.6, 4.5 μmでの観測と比較することによって位相曲線中の反射光の寄与を区別し、ケプラー7bは反射率が非常に高い事を示した。この惑星の幾何学的アルベド (惑星の反射光のフラックスと、惑星と同サイズの面積を持つランバート面での反射光フラックスとの比)は、Ag = 0.35である。

また、ホットジュピターであるHD 189733bの二次食観測からは、惑星の反射光は青色で、Ag = 0.4と推定されている (Evans et al. 2013)。
惑星の高い反射率は、大気中の雲の存在を示唆する。この雲は、ケイ酸塩 (silicate)の凝縮やあるいはその他の岩石成分、または光化学で生成される物質によるものであると考えられる。多くのホットジュピターのアルベドは 0.1以下と小さい値をとるが、いくつかのグループでは 0.3程度と高い値を持つ (Heng & Demory 2013)。このグループには、ケプラー7bや HD 189733bも含まれる。

幾何学的アルベドが ~ 0.4という値は、雲の存在が必要である。木星や土星の雲は、ホットジュピターのものとは異なる。例えば、温度領域の差異、雲ができる領域がより高圧であること、組成が異なること、さらにいくらか明るい (Ag ~ 0.5 - 0.6)という点などである。しかし、木星や土星の雲と同様に多重散乱を示す。

大気の窓領域で得られた木星・土星の雲は、スペクトルに驚くべきほど特徴が欠けている事が分かっている。雲粒子はスペクトル依存性の無い散乱体としてはたらいており、輝度は粒子サイズ、アルベド、密度に依存するが、組成には依存しない。系外惑星においては、雲の上に存在する異なるガスがスペクトルを変えうるが、雲の散乱特性自体はホットジュピターと木星・土星で似ていると期待される。そのため、位相曲線の理解は系外惑星の観測結果を理解する上で非常に重要である。

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