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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1508.06215
Seeliger et al. (2015)
Ground-based transit observations of the HAT-P-18, HAT-P-19, HAT-P-27/WASP-40 and WASP-21 systems
(HAT-P-18, HAT-P-19, HAT-P-27/WASP-40 and WASP-21系のトランジットの地上観測)
これらの惑星は、それぞれの発見論文でトランジット時刻変動 (Transit timing variation, TTV)の存在が疑われていた。
これらの惑星のトランジットを、3年間で 46回観測した。
大部分が、Young Exoplanet Transit Initiative (YETI)のプロジェクトに参加している望遠鏡での観測である。
観測と解析の結果、これらの惑星での有意なTTVのシグナルは検出されなかった。
また惑星と恒星のパラメータの変更もなく、過去の観測結果を支持する結果となった。
2つとも土星質量程度の惑星で、K型星のまわりをそれぞれ 5.51日と4.01日で公転している。
HAT-P-18bのトランジット深さには変動があることが分かっている。
またHAT-P-19bでは、視線速度の残差に線型のトレンドがあることが分かっており、長周期の別の天体の存在を示唆している。
典型的なホットジュピターであり、軌道周期は 3.04日。
軌道長半径は双方の発見論文では 0.078と、小さい離心率を持つ軌道だと推定された。
しかしAnderson et al. (2011)では、視線速度の追観測で支援速度に大きなばらつきがある事が分かっており、擾乱の原因となる天体が系に存在していることが示唆された。
また、B ́eky et al. (2011)の観測ではトランジットの光度曲線の形状はフラットなのに対し、Anderson et al. (2011)やSada et al. (2012)では光度曲線は丸みを帯びた形状となっている。
惑星のグレーズ角からは、後者の丸みを帯びた光度曲線の形状が示唆されるが (惑星は恒星をかすめるようにトランジットしている)、現状ではこれらのどちらが正しいのかは明らかではない。
中心星のWASP-21は、地上観測で発見されたもののうち、最も密度が低い部類の惑星を持つ、最もメタルが少ない恒星のうちの一つである。
YETI networkに参加している望遠鏡がある天文台は以下のとおり。
Cerro Armazones (チリ)
Gettysburg (アメリカ)
Jena (ドイツ)
Lulin (台湾)
Rozhen (ブルガリア)
Sierra Nevada (スペイン)
Stara ́ Lesn ́a (スロバキア)
Swarthmore (アメリカ)
Tenagra (アメリカ)
Xinglong (中国)
また、YETI network以外の、以下の望遠鏡でのデータも使用している。
German-Spanish Astronomical Center on Calar Alto (スペイン)
Teide Observatory on Tenerife (スペイン)
Michael Adrian Observatory Trebur (ドイツ)
TU ̈BITAK National Obser- vatory (トルコ)
Ulupınar Observatory (トルコ)
Torun ́ Centre for Astronomy (ポーランド)
また、光度曲線の形状が問題になっていたHAT-P-27b/WASP-40bについては、この観測では光度曲線のフラットな形状は確認できず、Anderson et al. (2011)やSada et al. (2012)が得た丸みを帯びた光度曲線を得た。
そのため、この惑星は恒星をかすめるようにトランジットしているという結論を得た。
arXiv:1508.06215
Seeliger et al. (2015)
Ground-based transit observations of the HAT-P-18, HAT-P-19, HAT-P-27/WASP-40 and WASP-21 systems
(HAT-P-18, HAT-P-19, HAT-P-27/WASP-40 and WASP-21系のトランジットの地上観測)
概要
HAT-P-18, HAT-P-19, HAT-P-27/WASP-40 and WASP-21の4つの惑星をトランジット観測した。これらの惑星は、それぞれの発見論文でトランジット時刻変動 (Transit timing variation, TTV)の存在が疑われていた。
これらの惑星のトランジットを、3年間で 46回観測した。
大部分が、Young Exoplanet Transit Initiative (YETI)のプロジェクトに参加している望遠鏡での観測である。
観測と解析の結果、これらの惑星での有意なTTVのシグナルは検出されなかった。
また惑星と恒星のパラメータの変更もなく、過去の観測結果を支持する結果となった。
観測ターゲット
HAT-P-18bとHAT-P-19b
これらの惑星はHartman et al. (2011)によって発見が報告された。2つとも土星質量程度の惑星で、K型星のまわりをそれぞれ 5.51日と4.01日で公転している。
HAT-P-18bのトランジット深さには変動があることが分かっている。
またHAT-P-19bでは、視線速度の残差に線型のトレンドがあることが分かっており、長周期の別の天体の存在を示唆している。
HAT-P-27b/WASP-40b
この惑星は、B ́eky et al. (2011)によってHAT-P-27bとして、またAnderson et al. (2011)によってWASP-40bとして独立に発見された。典型的なホットジュピターであり、軌道周期は 3.04日。
軌道長半径は双方の発見論文では 0.078と、小さい離心率を持つ軌道だと推定された。
しかしAnderson et al. (2011)では、視線速度の追観測で支援速度に大きなばらつきがある事が分かっており、擾乱の原因となる天体が系に存在していることが示唆された。
また、B ́eky et al. (2011)の観測ではトランジットの光度曲線の形状はフラットなのに対し、Anderson et al. (2011)やSada et al. (2012)では光度曲線は丸みを帯びた形状となっている。
惑星のグレーズ角からは、後者の丸みを帯びた光度曲線の形状が示唆されるが (惑星は恒星をかすめるようにトランジットしている)、現状ではこれらのどちらが正しいのかは明らかではない。
WASP-21b
この惑星は、軌道周期 4.32日の土星質量の惑星であり、Bouchy et al. (2010)によって発見が報告された。中心星のWASP-21は、地上観測で発見されたもののうち、最も密度が低い部類の惑星を持つ、最もメタルが少ない恒星のうちの一つである。
YETI network
Young Exoplanet Transit Initiative, YETIのネットワーク(Neuh ̈auser et al. 2011)に入っている望遠鏡を主に観測に用いた、YETI networkに参加している望遠鏡がある天文台は以下のとおり。
Cerro Armazones (チリ)
Gettysburg (アメリカ)
Jena (ドイツ)
Lulin (台湾)
Rozhen (ブルガリア)
Sierra Nevada (スペイン)
Stara ́ Lesn ́a (スロバキア)
Swarthmore (アメリカ)
Tenagra (アメリカ)
Xinglong (中国)
また、YETI network以外の、以下の望遠鏡でのデータも使用している。
German-Spanish Astronomical Center on Calar Alto (スペイン)
Teide Observatory on Tenerife (スペイン)
Michael Adrian Observatory Trebur (ドイツ)
TU ̈BITAK National Obser- vatory (トルコ)
Ulupınar Observatory (トルコ)
Torun ́ Centre for Astronomy (ポーランド)
結果
どの惑星に関しても、有意なTTVの検出は見られなかった。また、光度曲線の形状が問題になっていたHAT-P-27b/WASP-40bについては、この観測では光度曲線のフラットな形状は確認できず、Anderson et al. (2011)やSada et al. (2012)が得た丸みを帯びた光度曲線を得た。
そのため、この惑星は恒星をかすめるようにトランジットしているという結論を得た。
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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1508.05715
Bonsor & Veras (2015)
A wide binary trigger for white dwarf pollution
(長周期の伴星が引き起こす白色矮星の汚染)
白色矮星の大気の重元素汚染を説明するためにこれまで提案されてきた複数の説は、重元素汚染が見られる白色矮星の数は、白色矮星の冷却期間 (cooling age)に伴って急激に減少することを予言する。
しかし観測ではこのトレンドは確認されておらず、また古い(形成後 1 - 5 Gyr、10 - 50億年)白色矮星でも重元素汚染されているものがあるという事実を説明することが難しい。
そこで、時間に依存しない重元素汚染のメカニズムを提案する。
ここで提案するのは、大きく離れた軌道で白色矮星と連星をなす、長周期の伴星によって汚染が引き起こされるというモデルである。
長周期の伴星が銀河潮汐 (galactic tide)によって軌道を乱された結果として、伴星は主星が白色矮星へと進化した数十億年の間で初めて主星に接近する軌道となる。
伴星が主星へ接近することによって、白色矮星周りの惑星系を乱し、微惑星を星をかすめる軌道 (star-grazing orbit)へと変化させる。
その結果、微惑星によって白色矮星が重元素汚染されるというメカニズムである。
この機構は年齢に依存しない。
ただし、観測のサンプル数の問題から、これまでに提案されたメカニズムとこのメカニズムのどちらが正しいかを判別することは今のところ出来ない。
白色矮星周りの長周期の伴星の存在頻度による制限が必要であり、これは将来的にはGaiaを用いた観測で実現することが出来るだろう。
DA型の白色矮星では、数日から数週間というタイムスケールで沈んでしまい、DB型の場合も104 - 106年で沈んで表面付近から失われる(Koester & Wilken 2006)。
そのため、白色矮星のスペクトル中に重元素由来の輝線が検出された場合は、最近に重元素の汚染があったことを示す証拠となる。
汚染源は複数提案されているが、星間物質による汚染は否定的な結論が得られている(Farihi et al. 2010 など)。
そのため、惑星や小天体などの惑星物質 (planetary material)の降着による汚染という説が提案されている。
HARPSの観測によると、太陽型星の少なくとも 50%は、軌道周期 100日未満の惑星を少なくとも 1つと考えられている(Mayor et al. 2011)。
またHerschel (ハーシェル宇宙望遠鏡)による観測からは、F, G, K型星の少なくとも 20%は、検出可能なデブリ円盤を持つと考えられている(Eiroa et al. 2013)。
恒星の周りの惑星のうち、近接したもの (1 - 5 AU未満の軌道長半径を持つもの)は恒星に飲み込まれる可能性があるが、全ての外側の惑星が破壊されるという証拠は存在しない。
そのため、恒星が白色矮星に進化した後でも、惑星や小惑星・彗星といった惑星物質は存在し続けると考えられる。
白色矮星が重い小惑星帯を持てば、白色矮星の重元素汚染を説明できると考えられている(Bonsor et al 2011, Debes et al 2012, Frewen & Hansen 2014)。
しかし、星をかすめるような軌道へ散乱される小惑星や彗星の数は、時間の経過とともに急激に減少すると予言されている(Bonsor et al 2011, Debes et al 2012)。
しかし、古い白色矮星には汚染されているものが少ないという観測的な証拠は存在しない(Wyatt et al. 2014, Koester et al. 2014)。
また、典型的な重元素汚染が見られる白色矮星であるヴァン・マーネン星 (van Maanen's star)は、有効温度が 6220 Kであり、これは白色矮星進化後の冷却期間が ~ 3 Gyr (30億年)と非常に古い白色矮星であることを意味している(Sion et al. 2009)。
この他にも、有効温度が 8000 K未満、冷却期間に置き換えると ~ 5 Gyr程度の、汚染されているが古い白色矮星は多数発見されている。
そのため、従来の説では白色矮星の重元素汚染をうまく説明することが出来ない。
ここで新たに提案するのは、長周期の伴星の軌道の変化によって惑星物質の軌道が乱され、惑星物質による重元素汚染が引き起こされるという説である。
伴星の軌道長半径が 1000 AU以上という非常に長周期の離れた軌道であり、そのままでは白色矮星周りの惑星系には影響を及ぼさない。しかし銀河潮汐によって伴星の軌道が変化させられる。
そのため、銀河潮汐が伴星の軌道を変化させるまでの間は、惑星系は数十億年以上もの間乱されずに存在し続ける。
1太陽質量の主星は、主系列段階を終えて巨星へ進化した後、外層を放出して最終的には 0.52太陽質量の白色矮星へと進化する(Veras et al. 2013)。
また、伴星の 0.8太陽質量というのは、主系列星の典型的な質量である(Parravano et al. 2011)。
さらに初期質量が 0.8太陽質量の恒星は、主系列段階の年齢が宇宙年齢と同程度 (~ 14 Gyr)である。
主星は、シンプルに1つの惑星と、1つの微惑星の円盤 (あるいはデブリの円盤)を持つと仮定する。
これは太陽系で言う、海王星とカイパーベルトのようなものである。
また、惑星の公転面と伴星の公転面は同一と仮定する。
惑星の初期の軌道長半径は 30 AU、微惑星の円盤は 30 - 50 AUに分布しているとする。
従って、主星が 1太陽質量から 0.52太陽質量の白色矮星へと進化した後は、惑星の軌道長半径は 60 AU程度に、微惑星の円盤は 60 - 100 AUの分布へと変化する。
(軌道の変化は断熱的であると仮定)
ここでは、円盤内の小天体に対するYORP効果や、ヤルコフスキー効果 (Yarkovsly effect)は無視している。
また、計算時間を短くするため、小天体が白色矮星の 0.1 AU以内に接近したものは近接接近する軌道に入り、破壊されて汚染源になるとみなした。
この条件で、N体計算用のMercuryというコードを用いてシミュレーションを行っている。
計算では銀河潮汐の効果は直接入れず、潮汐によって長周期の伴星の離心率が大きくなり、近点付近で惑星系への擾乱が大きくなるようなセットアップとした。
arXiv:1508.05715
Bonsor & Veras (2015)
A wide binary trigger for white dwarf pollution
(長周期の伴星が引き起こす白色矮星の汚染)
概要
白色矮星大気の重元素の汚染は、惑星系の残骸によるものであるという可能性について考察する。白色矮星の大気の重元素汚染を説明するためにこれまで提案されてきた複数の説は、重元素汚染が見られる白色矮星の数は、白色矮星の冷却期間 (cooling age)に伴って急激に減少することを予言する。
しかし観測ではこのトレンドは確認されておらず、また古い(形成後 1 - 5 Gyr、10 - 50億年)白色矮星でも重元素汚染されているものがあるという事実を説明することが難しい。
そこで、時間に依存しない重元素汚染のメカニズムを提案する。
ここで提案するのは、大きく離れた軌道で白色矮星と連星をなす、長周期の伴星によって汚染が引き起こされるというモデルである。
長周期の伴星が銀河潮汐 (galactic tide)によって軌道を乱された結果として、伴星は主星が白色矮星へと進化した数十億年の間で初めて主星に接近する軌道となる。
伴星が主星へ接近することによって、白色矮星周りの惑星系を乱し、微惑星を星をかすめる軌道 (star-grazing orbit)へと変化させる。
その結果、微惑星によって白色矮星が重元素汚染されるというメカニズムである。
この機構は年齢に依存しない。
ただし、観測のサンプル数の問題から、これまでに提案されたメカニズムとこのメカニズムのどちらが正しいかを判別することは今のところ出来ない。
白色矮星周りの長周期の伴星の存在頻度による制限が必要であり、これは将来的にはGaiaを用いた観測で実現することが出来るだろう。
白色矮星の重元素汚染について
白色矮星大気での重元素検出
白色矮星の大気中では、ヘリウムより重い元素は急速に沈んでいく。DA型の白色矮星では、数日から数週間というタイムスケールで沈んでしまい、DB型の場合も104 - 106年で沈んで表面付近から失われる(Koester & Wilken 2006)。
そのため、白色矮星のスペクトル中に重元素由来の輝線が検出された場合は、最近に重元素の汚染があったことを示す証拠となる。
汚染源は複数提案されているが、星間物質による汚染は否定的な結論が得られている(Farihi et al. 2010 など)。
そのため、惑星や小天体などの惑星物質 (planetary material)の降着による汚染という説が提案されている。
惑星物質による汚染説とその問題点
恒星が惑星系を持つことは一般的だと考えられている。HARPSの観測によると、太陽型星の少なくとも 50%は、軌道周期 100日未満の惑星を少なくとも 1つと考えられている(Mayor et al. 2011)。
またHerschel (ハーシェル宇宙望遠鏡)による観測からは、F, G, K型星の少なくとも 20%は、検出可能なデブリ円盤を持つと考えられている(Eiroa et al. 2013)。
恒星の周りの惑星のうち、近接したもの (1 - 5 AU未満の軌道長半径を持つもの)は恒星に飲み込まれる可能性があるが、全ての外側の惑星が破壊されるという証拠は存在しない。
そのため、恒星が白色矮星に進化した後でも、惑星や小惑星・彗星といった惑星物質は存在し続けると考えられる。
白色矮星が重い小惑星帯を持てば、白色矮星の重元素汚染を説明できると考えられている(Bonsor et al 2011, Debes et al 2012, Frewen & Hansen 2014)。
しかし、星をかすめるような軌道へ散乱される小惑星や彗星の数は、時間の経過とともに急激に減少すると予言されている(Bonsor et al 2011, Debes et al 2012)。
しかし、古い白色矮星には汚染されているものが少ないという観測的な証拠は存在しない(Wyatt et al. 2014, Koester et al. 2014)。
また、典型的な重元素汚染が見られる白色矮星であるヴァン・マーネン星 (van Maanen's star)は、有効温度が 6220 Kであり、これは白色矮星進化後の冷却期間が ~ 3 Gyr (30億年)と非常に古い白色矮星であることを意味している(Sion et al. 2009)。
この他にも、有効温度が 8000 K未満、冷却期間に置き換えると ~ 5 Gyr程度の、汚染されているが古い白色矮星は多数発見されている。
そのため、従来の説では白色矮星の重元素汚染をうまく説明することが出来ない。
ここで新たに提案するのは、長周期の伴星の軌道の変化によって惑星物質の軌道が乱され、惑星物質による重元素汚染が引き起こされるという説である。
伴星の軌道長半径が 1000 AU以上という非常に長周期の離れた軌道であり、そのままでは白色矮星周りの惑星系には影響を及ぼさない。しかし銀河潮汐によって伴星の軌道が変化させられる。
そのため、銀河潮汐が伴星の軌道を変化させるまでの間は、惑星系は数十億年以上もの間乱されずに存在し続ける。
モデルの設定と計算
ここでは、初期に1太陽質量を持つ主星と、0.8太陽質量の伴星が連星系を成しているという系を考える。1太陽質量の主星は、主系列段階を終えて巨星へ進化した後、外層を放出して最終的には 0.52太陽質量の白色矮星へと進化する(Veras et al. 2013)。
また、伴星の 0.8太陽質量というのは、主系列星の典型的な質量である(Parravano et al. 2011)。
さらに初期質量が 0.8太陽質量の恒星は、主系列段階の年齢が宇宙年齢と同程度 (~ 14 Gyr)である。
主星は、シンプルに1つの惑星と、1つの微惑星の円盤 (あるいはデブリの円盤)を持つと仮定する。
これは太陽系で言う、海王星とカイパーベルトのようなものである。
また、惑星の公転面と伴星の公転面は同一と仮定する。
惑星の初期の軌道長半径は 30 AU、微惑星の円盤は 30 - 50 AUに分布しているとする。
従って、主星が 1太陽質量から 0.52太陽質量の白色矮星へと進化した後は、惑星の軌道長半径は 60 AU程度に、微惑星の円盤は 60 - 100 AUの分布へと変化する。
(軌道の変化は断熱的であると仮定)
ここでは、円盤内の小天体に対するYORP効果や、ヤルコフスキー効果 (Yarkovsly effect)は無視している。
また、計算時間を短くするため、小天体が白色矮星の 0.1 AU以内に接近したものは近接接近する軌道に入り、破壊されて汚染源になるとみなした。
この条件で、N体計算用のMercuryというコードを用いてシミュレーションを行っている。
計算では銀河潮汐の効果は直接入れず、潮汐によって長周期の伴星の離心率が大きくなり、近点付近で惑星系への擾乱が大きくなるようなセットアップとした。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1508.05763
Csizmadia et al. (2015)
Transiting exoplanets from the CoRoT space mission XXVIII. CoRoT-33b, an object in the brown dwarf desert with 2:3 commensurability with its host star
(CoRoTによるトランジット系外惑星観測XXVIII:CoRoT-33b、褐色矮星欠乏領域にある2:3の尽数関係にある天体)
中心星のCoRoT-33はスペクトル型G9V、金属量は [Fe/H] = +0.44とメタルリッチな恒星である。
褐色矮星CoRoT-33bの軌道周期は 5.82日、軌道離心率は 0.07とやや偏心した軌道である。
この褐色矮星は、褐色矮星の発見が有意に少ない"褐色矮星欠乏領域" (brown dwarf desert)のパラメータ領域に発見された褐色矮星である。
公転周期は中心星の自転周期との3:2共鳴の3%以内であり、潮汐進化の理解には重要な要素かもしれない。
中心星に近い(公転周期10日未満)褐色矮星の存在頻度は ~ 0.2%程度である。これは同じ中心星に近い軌道を持つホットジュピターの存在頻度の6分の1である。
褐色矮星の存在頻度は、周期が短くなるに従ってガス惑星の存在頻度よりも速く減少するものと思われる。
褐色矮星のうち、427個が多重連星系になっている。
褐色矮星は多数発見されているものの、F, G, K型星まわりの 2 AU以内を公転する褐色矮星はこれまでに 65個しか発見されていない。このうちトランジットを起こすのは9個のみであり、今回のCoRoT-33bは10個目の発見である。
褐色矮星は、65木星質量の境界を超えて分布している。この境界よりも軽いものは重水素の核融合を起こすことが出来る。また、この境界よりも重いものは一時的なリチウムの核融合イベントも起こす。
一方、惑星では核融合反応には点火しない。
重水素燃焼の有無によって定められる褐色矮星の質量下限は、11 - 16木星質量程度で、この値は金属量によって変化する(Spiegel et al. 2011)。
一般に惑星の質量はこの質量下限よりも小さいが、この領域にオーバーラップすることもある。
例として、"super-planets"はコア集積によって 20 - 40木星質量にまで成長し得るものが存在すると考えられている(Mordasini et al. 2009)。
また、褐色矮星の質量の上限値は 75 - 80木星質量である(Baraffe et al. 2002)。
Chabrier et al. (2014)の提案では、惑星と褐色矮星の境界線は、重水素の核融合に添加するための最小質量ではなく、それぞれの形成シナリオに関連付けられているべきとされる。
この形成機構とその後の進化の違いが、褐色矮星と惑星質量天体の存在頻度の違いと関連している可能性がある。
しかし、太陽型星が 5 AU以内に褐色矮星を持つ頻度はわずか 0.6 - 0.8%である。
この主系列星周りでの褐色矮星の欠乏を、brown dwarf desertと呼ぶ。
より長周期の、軌道長半径が 5 AUを超える褐色矮星の存在頻度については 2 - 3%と、短周期に比べると多くなる。
35 - 55木星質量の質量領域は、周期 100日以下の褐色矮星が特に少ないことが分かっている。
この形成過程の違いが、欠乏領域存在の理由だという考えである。
他の説としては、褐色矮星の内側移動は非常に効率的であるため、褐色矮星は内側に落下して恒星に飲み込まれてしまうというものがある。
これが太陽型星周りの 5 AU以内の褐色矮星が少ない理由だとするものである。
質量:0.86太陽質量
半径:0.94太陽半径
有効温度:5225 K
金属量:[Fe/H] = +0.44
スペクトル型:G9V
年齢:4.6 Gyr以上
CoRoT-33b
質量:59木星質量
半径:1.10木星半径
平均密度:55 ± 29 g cm-3
軌道長半径:0.0579 AU
軌道離心率:0.0700
軌道周期:5.819143日
発見された褐色矮星 (恒星の周りを公転しているもの)を、褐色矮星の軌道周期と質量で分類すると、軌道周期が短い褐色矮星は特に発見数が少ないということが分かっています。
もし存在するのであれば十分に検出可能であるため、観測バイアスではなく、その領域では何らかの原因で褐色矮星が少ない (形成されないか失われる)と考えられています。
その領域の事を "brown dwarf desert"と呼ぶのですが…日本語に訳すと「褐色矮星欠乏領域」でしょうかね。
arXiv:1508.05763
Csizmadia et al. (2015)
Transiting exoplanets from the CoRoT space mission XXVIII. CoRoT-33b, an object in the brown dwarf desert with 2:3 commensurability with its host star
(CoRoTによるトランジット系外惑星観測XXVIII:CoRoT-33b、褐色矮星欠乏領域にある2:3の尽数関係にある天体)
概要
宇宙望遠鏡CoRoTを用いた観測結果の解析から、59木星質量、1.1木星半径の褐色矮星を発見した。中心星のCoRoT-33はスペクトル型G9V、金属量は [Fe/H] = +0.44とメタルリッチな恒星である。
褐色矮星CoRoT-33bの軌道周期は 5.82日、軌道離心率は 0.07とやや偏心した軌道である。
この褐色矮星は、褐色矮星の発見が有意に少ない"褐色矮星欠乏領域" (brown dwarf desert)のパラメータ領域に発見された褐色矮星である。
公転周期は中心星の自転周期との3:2共鳴の3%以内であり、潮汐進化の理解には重要な要素かもしれない。
中心星に近い(公転周期10日未満)褐色矮星の存在頻度は ~ 0.2%程度である。これは同じ中心星に近い軌道を持つホットジュピターの存在頻度の6分の1である。
褐色矮星の存在頻度は、周期が短くなるに従ってガス惑星の存在頻度よりも速く減少するものと思われる。
褐色矮星について
褐色矮星の観測
2015年6月の時点で、2085個の褐色矮星が発見されている。また562個の褐色矮星候補天体も検出されている。褐色矮星のうち、427個が多重連星系になっている。
褐色矮星は多数発見されているものの、F, G, K型星まわりの 2 AU以内を公転する褐色矮星はこれまでに 65個しか発見されていない。このうちトランジットを起こすのは9個のみであり、今回のCoRoT-33bは10個目の発見である。
褐色矮星の特徴
褐色矮星の半径はおおむね木星半径程度であるが、質量は大きく異なる。褐色矮星は、65木星質量の境界を超えて分布している。この境界よりも軽いものは重水素の核融合を起こすことが出来る。また、この境界よりも重いものは一時的なリチウムの核融合イベントも起こす。
一方、惑星では核融合反応には点火しない。
重水素燃焼の有無によって定められる褐色矮星の質量下限は、11 - 16木星質量程度で、この値は金属量によって変化する(Spiegel et al. 2011)。
一般に惑星の質量はこの質量下限よりも小さいが、この領域にオーバーラップすることもある。
例として、"super-planets"はコア集積によって 20 - 40木星質量にまで成長し得るものが存在すると考えられている(Mordasini et al. 2009)。
また、褐色矮星の質量の上限値は 75 - 80木星質量である(Baraffe et al. 2002)。
Chabrier et al. (2014)の提案では、惑星と褐色矮星の境界線は、重水素の核融合に添加するための最小質量ではなく、それぞれの形成シナリオに関連付けられているべきとされる。
この形成機構とその後の進化の違いが、褐色矮星と惑星質量天体の存在頻度の違いと関連している可能性がある。
褐色矮星欠乏領域
太陽型星の ~ 50%は恒星の伴星を持つ。また ~ 30%は地球から海王星サイズの低質量の惑星を持つ。より大質量の惑星 (木星程度かそれ以上)を持つ頻度は ~ 2.5%程度である。しかし、太陽型星が 5 AU以内に褐色矮星を持つ頻度はわずか 0.6 - 0.8%である。
この主系列星周りでの褐色矮星の欠乏を、brown dwarf desertと呼ぶ。
より長周期の、軌道長半径が 5 AUを超える褐色矮星の存在頻度については 2 - 3%と、短周期に比べると多くなる。
欠乏領域がある理由
Ma & Ge (2014)では、35木星質量以下の天体は原始惑星系円盤内の重力不安定によって形成され、55木星質量より重い天体は分子雲の分裂によって形成されたものだと提案されている。35 - 55木星質量の質量領域は、周期 100日以下の褐色矮星が特に少ないことが分かっている。
この形成過程の違いが、欠乏領域存在の理由だという考えである。
他の説としては、褐色矮星の内側移動は非常に効率的であるため、褐色矮星は内側に落下して恒星に飲み込まれてしまうというものがある。
これが太陽型星周りの 5 AU以内の褐色矮星が少ない理由だとするものである。
CoRoT-33とCoRoT-33b
CoRoT-33質量:0.86太陽質量
半径:0.94太陽半径
有効温度:5225 K
金属量:[Fe/H] = +0.44
スペクトル型:G9V
年齢:4.6 Gyr以上
CoRoT-33b
質量:59木星質量
半径:1.10木星半径
平均密度:55 ± 29 g cm-3
軌道長半径:0.0579 AU
軌道離心率:0.0700
軌道周期:5.819143日
発見された褐色矮星 (恒星の周りを公転しているもの)を、褐色矮星の軌道周期と質量で分類すると、軌道周期が短い褐色矮星は特に発見数が少ないということが分かっています。
もし存在するのであれば十分に検出可能であるため、観測バイアスではなく、その領域では何らかの原因で褐色矮星が少ない (形成されないか失われる)と考えられています。
その領域の事を "brown dwarf desert"と呼ぶのですが…日本語に訳すと「褐色矮星欠乏領域」でしょうかね。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1508.04795
Bjoraker et al. (2015)
Jupiter's Deep Cloud Structure Revealed Using Keck Observations of Spectrally Resolved Line Shapes
(スペクトル的に分解されたラインの形からの木星内部の雲構造について)
解析に用いたのは Keck 2 telescopeに設置されたNIRSPECによって2014年3月11日に得られたデータである。
ここで使用するのは、
a) フラウンホーファー吸収線の強度 → 反射した太陽光と熱放射の日を決める
b) 重水素化メタン (CH3D)の、圧力によって広がったライン形状 → 雲の場所を決める
である。
太陽光と木星の熱成分の 5 μmスペクトルの両方の高度領域を制限するために、輻射輸送モデルを用いた。
結果、木星のほぼ全ての緯度において、上層に雲が存在する場合でも、熱成分は深い領域での雲構造を制限するのには十分に大きい事がわかった。
輻射輸送のモデルによると、North Equatorial BeltとSouth Equatorial Belt中のホットスポット (Hot Spots)は、2 barよりも深い所では典型的には不透明な雲を持たない。
南緯32度に位置するSouth Tropical Zone (STZ)は、4 - 5 barの間に不透明な雲頂を持つ。
熱化学モデルによると、この雲の成分は水である。
また、South Equatorial BeltのホットスポットとSTZ中での水の鉛直分布についても制限を与えた。
ホットスポットは 4.5 bar未満の圧力領域では非常に乾燥しており、これはガリレオプローブによる水の分布の観測結果をフォローする。
STZは、4 - 5 barの間の雲頂より上の領域では飽和した水の分布を持つ。
arXiv:1508.04795
Bjoraker et al. (2015)
Jupiter's Deep Cloud Structure Revealed Using Keck Observations of Spectrally Resolved Line Shapes
(スペクトル的に分解されたラインの形からの木星内部の雲構造について)
概要
木星大気中における、圧力領域 2 - 6 barの間の重要な雲のオパシティが存在する領域での圧力の決定手法を提案する。解析に用いたのは Keck 2 telescopeに設置されたNIRSPECによって2014年3月11日に得られたデータである。
ここで使用するのは、
a) フラウンホーファー吸収線の強度 → 反射した太陽光と熱放射の日を決める
b) 重水素化メタン (CH3D)の、圧力によって広がったライン形状 → 雲の場所を決める
である。
太陽光と木星の熱成分の 5 μmスペクトルの両方の高度領域を制限するために、輻射輸送モデルを用いた。
結果、木星のほぼ全ての緯度において、上層に雲が存在する場合でも、熱成分は深い領域での雲構造を制限するのには十分に大きい事がわかった。
輻射輸送のモデルによると、North Equatorial BeltとSouth Equatorial Belt中のホットスポット (Hot Spots)は、2 barよりも深い所では典型的には不透明な雲を持たない。
南緯32度に位置するSouth Tropical Zone (STZ)は、4 - 5 barの間に不透明な雲頂を持つ。
熱化学モデルによると、この雲の成分は水である。
また、South Equatorial BeltのホットスポットとSTZ中での水の鉛直分布についても制限を与えた。
ホットスポットは 4.5 bar未満の圧力領域では非常に乾燥しており、これはガリレオプローブによる水の分布の観測結果をフォローする。
STZは、4 - 5 barの間の雲頂より上の領域では飽和した水の分布を持つ。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1508.04518
Zeebe (2015)
Highly stable evolution of Earth's future orbit despite chaotic behavior of the Solar System
(太陽系のカオス的な振る舞いにも関わらず地球の将来の軌道進化は安定である)
地球への破局的な遭遇や衝突を含む地球型惑星の不安定化は、水星の軌道離心率の大幅な増加によって引き起こされると考えられ、その確率の推定値は ~ 1%である。
しかし最近になって、太陽系での数値計算の統計は、数値計算のアルゴリズムのタイプと正確性に非常に敏感であるということが指摘されている。
ここでは、5 Gyr (50億年)の期間にわたる、8つの惑星と冥王星の運動方程式をフルに数値積分した。計算は一般相対論的効果を含んでいる。
計算は合計で 1600回行っており、初期条件をわずかに変えている。
今回の計算では、水星の軌道離心率の大幅な増加の確率はこれまでよりも低いものとなった。
2つの計算においては、水星は金星か太陽に衝突する前に、高い軌道離心率 (0.93以上)を保った状態で 80 - 100 Myrもの間存在し続けた。
またもっとも重要な事として、1600の計算では、地球の軌道が不安定化されたり、地球への近接遭遇を起こすものは無かった。
従って、太陽系のカオス的な振る舞いにも関わらず、地球の軌道は将来 50億年以上にわたって力学的に非常に安定であると結論付けることが出来る。
これは、太陽が赤色巨星になって内惑星を飲み込むまでの時間には短いかもしれないが、地球がハビタブルな環境である期間である数十億年よりは長い値である。
arXiv:1508.04518
Zeebe (2015)
Highly stable evolution of Earth's future orbit despite chaotic behavior of the Solar System
(太陽系のカオス的な振る舞いにも関わらず地球の将来の軌道進化は安定である)
概要
太陽系のカオス的な性質のせいで、系の長時間の安定性に対する答えは統計的に答えることしか出来ない。例えば、近傍の軌道の多数の数値計算に基づくものである。地球への破局的な遭遇や衝突を含む地球型惑星の不安定化は、水星の軌道離心率の大幅な増加によって引き起こされると考えられ、その確率の推定値は ~ 1%である。
しかし最近になって、太陽系での数値計算の統計は、数値計算のアルゴリズムのタイプと正確性に非常に敏感であるということが指摘されている。
ここでは、5 Gyr (50億年)の期間にわたる、8つの惑星と冥王星の運動方程式をフルに数値積分した。計算は一般相対論的効果を含んでいる。
計算は合計で 1600回行っており、初期条件をわずかに変えている。
今回の計算では、水星の軌道離心率の大幅な増加の確率はこれまでよりも低いものとなった。
2つの計算においては、水星は金星か太陽に衝突する前に、高い軌道離心率 (0.93以上)を保った状態で 80 - 100 Myrもの間存在し続けた。
またもっとも重要な事として、1600の計算では、地球の軌道が不安定化されたり、地球への近接遭遇を起こすものは無かった。
従って、太陽系のカオス的な振る舞いにも関わらず、地球の軌道は将来 50億年以上にわたって力学的に非常に安定であると結論付けることが出来る。
これは、太陽が赤色巨星になって内惑星を飲み込むまでの時間には短いかもしれないが、地球がハビタブルな環境である期間である数十億年よりは長い値である。

